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19.来客は女
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次の日の朝、サヴイル邸の呼び鈴が鳴らされた。
朝食の準備に取りかかっていたソニアは刺客やもしれぬ存在に身構えて、玄関へと向かう。
意を決して扉を開けると、そこに立っていたのは金髪の若く美しい女性だった。
ソニアの顔を見るやいなや首をかしげた彼女からは一切の殺気を感じない。
どうやら刺客ではないらしい。
「…あの、ヴォルフはいます?」
「彼の知り合いですか?」
「えぇ。私、ビッキー・ウォルムーンと申します。てゆーか、あなたは誰?どちら様?」
2人が話していると、起きたばかりのヴォルフが廊下に出てくる。
その姿をすかさず見つけたビッキーは彼を呼び止めた。
「ヴォルフ!おばあちゃんの代わりに今日から私がここであなたたちの面倒を見ることになったわ!」
「は?ばあさんの代わり?」
「そうよ。あなたには誰かいないとダメでしょう?あなたの相手は私じゃないと務まらないでしょう?」
「えっ?ソニアちゃんでしょ?」
「「…ん?」」
ソニアもビッキーもヴォルフの言葉にきょとんとする。
「ばあさんの命令でソニアちゃんがもう来てくれてるから大丈夫。だから別に2人も必要ないし。そもそもビッキー、家事全くできないだろ?」
「なっ!そ、それはそうだけど…!でも私がいた方が!」
「はいはい、分かったから。今日はもう帰ってー」
「ち、ちょっと!ヴォルフ!最後まで話を聞きなさいってば!」
ヴォルフはビッキーを玄関から押し出すと、さっさと扉を閉めてしまった。
朝食の準備に取りかかっていたソニアは刺客やもしれぬ存在に身構えて、玄関へと向かう。
意を決して扉を開けると、そこに立っていたのは金髪の若く美しい女性だった。
ソニアの顔を見るやいなや首をかしげた彼女からは一切の殺気を感じない。
どうやら刺客ではないらしい。
「…あの、ヴォルフはいます?」
「彼の知り合いですか?」
「えぇ。私、ビッキー・ウォルムーンと申します。てゆーか、あなたは誰?どちら様?」
2人が話していると、起きたばかりのヴォルフが廊下に出てくる。
その姿をすかさず見つけたビッキーは彼を呼び止めた。
「ヴォルフ!おばあちゃんの代わりに今日から私がここであなたたちの面倒を見ることになったわ!」
「は?ばあさんの代わり?」
「そうよ。あなたには誰かいないとダメでしょう?あなたの相手は私じゃないと務まらないでしょう?」
「えっ?ソニアちゃんでしょ?」
「「…ん?」」
ソニアもビッキーもヴォルフの言葉にきょとんとする。
「ばあさんの命令でソニアちゃんがもう来てくれてるから大丈夫。だから別に2人も必要ないし。そもそもビッキー、家事全くできないだろ?」
「なっ!そ、それはそうだけど…!でも私がいた方が!」
「はいはい、分かったから。今日はもう帰ってー」
「ち、ちょっと!ヴォルフ!最後まで話を聞きなさいってば!」
ヴォルフはビッキーを玄関から押し出すと、さっさと扉を閉めてしまった。
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