運命の番じゃないあなたを愛している

明太子

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14.王太子の密命

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婚約破棄から数日経って、謹慎明け前日のことだった。
ソニアは王太子ガーランド・ヴァーニールから密かに呼び出された。
王族の居城であるフレイヤノーラン城にある彼の執務室へと向かう。

「明日、復帰だね」
「はい。殿下には多大なるご迷惑をお掛け致しました。明日からはまた護衛に戻ります」
「うん。それだけどね、必要ないから」
「えっ?」

驚くソニアにガーランドは微笑む。

「ソニアには王国軍近衛師団長を退いてもらう」
「俺は有罪になるってことですか?…軍から出てけってことですか?」
「それは半分当たりで、半分外れ。ソニアはちゃんと無罪だよ。告発者も虚偽だと自白した。昨日付けで懲戒処分にされている」
「それなのに俺は軍を追い出されるんですか?冗談じゃない!」
「ははっ、人聞きの悪いことを言うもんじゃないよ?ちゃんと話は最後まで聞きなさいね。ソニアにはね、密命を下します」
「み、密命ですか…?」

ソニアはガーランドに訝しげな視線を送る。
ニコニコと笑うばかりで本心を全く見せることのないこの男にソニアは今まで何度も振り回されてきた。
今度はどんな無茶な要求をしてくるのだろうかと考えるだけでゾっとする。

「ヴォルフヒルデ・サヴィル候爵を守ってほしいんだ」
「…はぁっ?」

思いもよらぬ申し出にソニアは素っ頓狂な声を出す。
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