12 / 56
11.奪い取ってしまえばいい
しおりを挟む
(レイモンド様はソニアさんに婚約破棄を言い渡している頃かしら?ふふっ、これで公爵夫人の座は私のものになるわね)
事はメイリンの思うように運んでいた。
彼女がレイモンドと出会ったのは半年前。
フォリフィア王女が主催するパーティーだった。
身分・気位ともに高い義姉の引き立て役にどうしてもならざるを得ないので、以前より付き合いを毛嫌いしていたが、この時だけは感謝した。
メイリンにとって、レイモンドは理想的な男性だった。
穏やかな性格、整った顔立ち、アルファの遺伝子。
そして何よりも魅力を感じたのは公爵令息という地位だ。
メイリンはヴィッチ子爵と高級娼婦の妾との間に生まれた娘だった。
しかしながら同母兄のフウは男という性別だけで、子どものいなかった正妻の養子として迎えられた。
幼い頃から愛らしい容貌であった彼女だって兄と同じように両親から愛情たっぷりに育てられたものの、嫡男と庶子という身分の差は妬ましくて妬ましくて仕方なかった。
そしてそれは異常なまでに地位への執着へと繋がっていった。
レイモンドと結婚すれば、ゆくゆくは公爵夫人になれる。
妾から産まれた子爵令嬢なんかよりもずっとずっと上の存在になれる。
その輝かしい未来の前では彼に運命の番である婚約者がいるという現実はどうでもよかった。
だってそんなもの奪い取ってしまえばいいのだから。
事はメイリンの思うように運んでいた。
彼女がレイモンドと出会ったのは半年前。
フォリフィア王女が主催するパーティーだった。
身分・気位ともに高い義姉の引き立て役にどうしてもならざるを得ないので、以前より付き合いを毛嫌いしていたが、この時だけは感謝した。
メイリンにとって、レイモンドは理想的な男性だった。
穏やかな性格、整った顔立ち、アルファの遺伝子。
そして何よりも魅力を感じたのは公爵令息という地位だ。
メイリンはヴィッチ子爵と高級娼婦の妾との間に生まれた娘だった。
しかしながら同母兄のフウは男という性別だけで、子どものいなかった正妻の養子として迎えられた。
幼い頃から愛らしい容貌であった彼女だって兄と同じように両親から愛情たっぷりに育てられたものの、嫡男と庶子という身分の差は妬ましくて妬ましくて仕方なかった。
そしてそれは異常なまでに地位への執着へと繋がっていった。
レイモンドと結婚すれば、ゆくゆくは公爵夫人になれる。
妾から産まれた子爵令嬢なんかよりもずっとずっと上の存在になれる。
その輝かしい未来の前では彼に運命の番である婚約者がいるという現実はどうでもよかった。
だってそんなもの奪い取ってしまえばいいのだから。
113
お気に入りに追加
486
あなたにおすすめの小説
『別れても好きな人』
設樂理沙
ライト文芸
大好きな夫から好きな女性ができたから別れて欲しいと言われ、離婚した。
夫の想い人はとても美しく、自分など到底敵わないと思ったから。
ほんとうは別れたくなどなかった。
この先もずっと夫と一緒にいたかった……だけど世の中には
どうしようもないことがあるのだ。
自分で選択できないことがある。
悲しいけれど……。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
登場人物紹介
戸田貴理子 40才
戸田正義 44才
青木誠二 28才
嘉島優子 33才
小田聖也 35才
2024.4.11 ―― プロット作成日
💛イラストはAI生成自作画像
巣作りΩと優しいα
伊達きよ
BL
αとΩの結婚が国によって推奨されている時代。Ωの進は自分の夢を叶えるために、流行りの「愛なしお見合い結婚」をする事にした。相手は、穏やかで優しい杵崎というαの男。好きになるつもりなんてなかったのに、気が付けば杵崎に惹かれていた進。しかし「愛なし結婚」ゆえにその気持ちを伝えられない。
そんなある日、Ωの本能行為である「巣作り」を杵崎に見られてしまい……
彼女にも愛する人がいた
まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。
「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」
そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。
餓死だと? この王宮で?
彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。
俺の背中を嫌な汗が流れた。
では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…?
そんな馬鹿な…。信じられなかった。
だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。
「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。
彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。
俺はその報告に愕然とした。
婚約者は愛を見つけたらしいので、不要になった僕は君にあげる
カシナシ
BL
「アシリス、すまない。婚約を解消してくれ」
そう告げられて、僕は固まった。5歳から13年もの間、婚約者であるキール殿下に尽くしてきた努力は一体何だったのか?
殿下の隣には、可愛らしいオメガの男爵令息がいて……。
サクッとエロ&軽めざまぁ。
全10話+番外編(別視点)数話
本編約二万文字、完結しました。
※HOTランキング最高位6位、頂きました。たくさんの閲覧、ありがとうございます!
※本作の数年後のココルとキールを描いた、
『訳ありオメガは罪の証を愛している』
も公開始めました。読む際は注意書きを良く読んで下さると幸いです!
ふしだらオメガ王子の嫁入り
金剛@キット
BL
初恋の騎士の気を引くために、ふしだらなフリをして、嫁ぎ先が無くなったペルデルセ王子Ωは、10番目の側妃として、隣国へ嫁ぐコトが決まった。孤独が染みる冷たい後宮で、王子は何を思い生きるのか?
お話に都合の良い、ユルユル設定のオメガバースです。
国王の嫁って意外と面倒ですね。
榎本 ぬこ
BL
一国の王であり、最愛のリヴィウスと結婚したΩのレイ。
愛しい人のためなら例え側妃の方から疎まれようと頑張ると決めていたのですが、そろそろ我慢の限界です。
他に自分だけを愛してくれる人を見つけようと思います。
嘘の日の言葉を信じてはいけない
斯波良久@出来損ないΩの猫獣人発売中
BL
嘘の日--それは一年に一度だけユイさんに会える日。ユイさんは毎年僕を選んでくれるけど、毎回首筋を噛んでもらえずに施設に返される。それでも去り際に彼が「来年も選ぶから」と言ってくれるからその言葉を信じてまた一年待ち続ける。待ったところで選ばれる保証はどこにもない。オメガは相手を選べない。アルファに選んでもらうしかない。今年もモニター越しにユイさんの姿を見つけ、選んで欲しい気持ちでアピールをするけれど……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる