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兄妹の鎖 三夜
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お兄ちゃんと恋人の関係になってから数週間が過ぎた。特に生活に変わりは無いし、父と母が帰ってくることもない。強いて言えば、キスの回数や一緒に寝る時間、それにちょっぴりえっちなことをする事柄が多くなっただけだろう。
それはそうと、リモートの時代でも勿論現地の学校に集わないわけではない。
例を挙げるとしたら月一回の顔合わせや入学式、卒業式。それに文化祭などが当てられるだろう。
秋も半ばに入り、寒くなってきた。そろそろ私やお兄ちゃんの文化祭や大学祭が行われる時期だ。
「おにいちゃーん!行ってくるからね~」
鞄の中には幾つかの書物と筆記用具、そしてお兄ちゃんが用意してくれたお弁当。そもそも授業は行わないので本当にリモートで行えなかった分のレクリエーションとイベントの打ち合わせがメインの顔合わせだ。
「うん。行ってらっしゃい、希帆。気を付けて行ってくるんだよ」
そう言うお兄ちゃんはいつもより少しだけ寂しそうに見えた。何故だろう、とふと考えてわかった。
恋人になったからだ。普段なら家で一緒に過ごしている恋人が出かける、それはきっと寂しいし、私だってお兄ちゃんが同じ事で出かけたら分かっていても寂しい。
「お兄ちゃんお兄ちゃん、かがんで?」
「……?いいよ」
困惑しているお兄ちゃんに対して屈むように促すと、丁度顔が良い高さまで下がってくる。
そっと背伸びをして抱き着きながら唇を触れ合わせると、お兄ちゃんがハッとして笑顔になってくれる。
「ありがとう、希帆」
「えへへ、お兄ちゃんはやっぱり笑顔がいいな!」
悩んだり、真剣な顔だったり色んな顔を見たけれど、やはり私の恋人には笑顔が一番似合う。
そう思いながら玄関を開けて外に出て、もう一度お兄ちゃんの顔を見る。
そこには曇りのない笑顔を浮かべて手を軽く振った、愛しい恋人の姿があった。
「んじゃ出席取るぞ~」
学校についてから一応出席確認をされる。これもきちんと授業日数としては加算されるので出ないと大惨事だ。
「徒知~」
「はいっ」
徒知は私とお兄ちゃんの苗字だ。早い段階で呼ばれることの多い苗字なのでその後若干ウトウトしていても大丈夫なところがひっそり気に入っている。
全ての人の名前が確認し終わった後、先生から話を切り出される。
「さて、そろそろ学園祭の時期だ。ウチの教室でも何か催しする……というかしなきゃならないから、皆で何がいいか相談しあってみるといい。それじゃ、また後でな」
うちの担任は結構雑である。そう言い残して教室を去ってしまった。何が良いだろう、とりあえず意見を聞かなければならない。
「そういえば学園祭かあ。……誰が取り仕切るの?それぐらいは先生決めて行ってほしかった……。ウチら初めてなんだから……」
横の友達のボヤキを聞きながら、仕方がないと思いつつ私は立ち上がる。
「とりあえず、暫定として私がみんなの意見を聞きつつ学園祭の方針を決めていきたいと思いますが、他にやりたい方いらっしゃいますか?」
そういうと皆が肯定の言葉を口にする。
「希帆なら頭いいし、いいんじゃない?」「徒知なら頼りになりそうだよな」「ただ徒知は筆頭に、って感じだよな。徒知一人に任せるわけにはいかないし」
色んな言葉を聞きながら、それらを集約して私は教壇の場所に立つ。
「では私が最終的に意見を纏め、方針を固める役割に立ちます。クラスの皆で協力して、学園祭を盛り上げていきましょう!」
その言葉に異論は出ず、私はこのクラスの学園祭を取り仕切る事になった。
お兄ちゃんは褒めてくれるだろうか、ふとそう思ってくすっと笑った。
まずは出し物の方針を固めなければいけない。
「とりあえず、出し物の案を沢山出しましょう。大雑把なものでも大丈夫です」
言ってからは様々な案が出た。
定番の食べ物屋さん、お化け屋敷。射的のようなアトラクション系や午前、午後に分けて演目をやるなど。
様々な意見がある。その中では対立もあって大変だった。
例えばこのデジタル化した社会でわざわざ食べ物屋をやって人が来るのか、予算の元は取れるのか。それを言ったらお化け屋敷だって相当な労力を費やしても他のクラスと被る可能性がある、など。それらを収めつつ、意見を纏めていく。
「とりあえず、午前の意見の纏めとしてはこうです。予算をなるべく抑えつつ、かつ人が喜ぶもの。そして私たちにしかない独創性がありそうなもの。言葉にするのは簡単ですが、それを実現するにはもっと沢山の具体案が必要です。午後もよろしくお願いします」
そう言って午前中を締める。丁度お昼時だ。
「希帆やっぱりすごいわ~!どうやったらこんなにするっと意見まとめられるの?」
私は友人に囲まれながらちょっと恥ずかしくなりながら答える。
「え、えっと……お兄ちゃんがゲームやってて、それで人を纏めるのを見ていたからかな?私もゲームしているし……」
「ああ~!流石だわ希帆のお兄ちゃん……」
褒められて、まるで自分のことのように嬉しくなる。そうでしょ?と返しながら弁当箱を取り出す。
「あれ?それ希帆の手作り?一口頂戴!」
コンビニ弁当を取り出した友達にそう言われたが、これはお兄ちゃんが愛情をたっぷり注ぎ込んで作ってくれたお弁当だ。友達でも一口たりとも渡すわけにはいかない。
「これお兄ちゃんの手作りだからあげない!絶対あげないからね!!」
「あはは!本当に徒知さんってお兄ちゃんの事が好きだね~」
これはチャンスだ、とばかりに返した。
「うん!私はお兄ちゃんの事大好きだよ?」
「そ、そこまでドストレートに返されるとこっちが恥ずかしい……まるで恋人みたいじゃん……」
まるで、恋人。本当に恋人なのだけれど、やはり血のつながった家族では恋をしてはいけないのだと無意識に思い出してしまう。
そんな暗い考えをしながらも蓋を開けると、のり弁で文字が書いてあった。
「えっ凄……希帆のお兄ちゃんってナニモン……?」
そこには海苔で『おつかれ』と横に並んだ文字。それを聞いて他のクラスメイトも見に来る。
「なんだこれ、やばっ……」「女子力で完全敗北したわ……」「徒知さんのお兄さん、希帆さんへの愛が強すぎだろ……」
「遠くからでもこうやって応援されてるんだね……」
最後のクラスメイトの一言にはっと反応する。
「すみません、今なんて?」
「え?応援されているって……」
「その前!」
「と、遠くから……」
「……それです!」
皆がクエスチョンマークを浮かべる中、私はお兄ちゃんに深く感謝する。
こんなにも妹を、恋人を、私を愛してくれていること。そして、学園祭に向けての閃きが得られたこと。
それらはきっと、私では思いつかなかった。感謝しながら食べたのり弁とおかずの味は、いつもよりとても美味しく感じられた。
午後。皆がご飯を食べ終わってから教壇に立つと問いかける。
「午前中の意見で演目をやるという意見が出ました。それに関して皆さんに質問したいことがあります。……この中で、私を含めてデジタルのイラストを描ける人はいますか?」
そういうと複数人が手を上げる。よし、と思いつつ次の問題に入る。
「ありがとうございます。ではこのクラスの中で、趣味でもなんでも良いのでバーチャルアバターを動かしたことのある人は?」
そう問いかけると、また複数人が手を上げる。先ほどより少ないが、いればよいのだ。そこまで聞いて何人かハッとした表情をした。
「他のクラスにはない独創性。コストを抑える。何よりも成功させるための団結力。そこで私は『バーチャルダンス』をやりたいと思います」
その言葉に皆は度肝を抜かれた顔をしていた。そう。その顔をお客さんにさせられれば成功なのだ。
「つ、つまり、絵を描いて、それをバーチャルで動かして、演目をするってこと!?」
「そういう事です。これの成功には大きく分けて四つ、役割があります。
一つは勿論、絵を描く人。二つ目はそれを動かすアバターのプログラムを用意すること。三つ目はその絵とアバターで実際にダンスをする人。四つ目は、これを宣伝する人です」
これならば、やる事が無いという人は出てこない。四つ目の人は何人いても困らないし、三つ目の人は自宅でリモートでダンスを練習してもらえばいい。二つ目の人は複数人いたので幾つか案が上がるだろう。一つ目は気合でどうにかするしかない。
「異論はありますか?」
異議はでなかった。苦労しそうだ、との声は出たがそれ以上に面白そうという感じだった。
「ではそれぞれ役割を割り振りたいので、分かれてもらいたいと思います。特に絵を描く人とアバターを動かすための人は苦労が大きいので、踊れる人は踊りに、それ以外の人は宣伝のやり方を考えてもらえればと思います」
私は勿論、一番目と二番目を見つつ全体を見る係だ。一番大変である。
こうして学園祭での準備は初日にして、リモートを使わずともお兄ちゃんに間接的に助けられたのであった。
少し居残りをして学校から帰ろうとした時、校門でふと待っていたであろう男子が話しかけてきた。
「あ、あのっ!徒知さん!」
知らない男子だ。いや、身長的に先輩かもしれない。
「はい、何でしょうか?」
このパターンは知っている。中学校の時も何度だって味わった。
「じ、自分二学年の高橋って言います!……入学式の時、一目見てからずっと好きだったんです!あ、あの、徒知さんさえ良ければお付き合いしてくれませんか!」
そうだ、告白だ。でも私には好きな人がいるのだ。過去は尊敬している人で通した。でも今は最悪、付き合っているで通せる。それが何となく良いなと感じながら振ることにした。
「ごめんなさい、高橋先輩。私は好きな人がいるんです。だから貴方の気持ちには答えられません。……勇気を出してくださって、ありがとうございます」
「そう、ですか……。でも自分は諦めません!その好きな人よりも、自分を磨いて貴方を振り向かせられるように努力します!」
それは無理だ。この先輩には悪いが、この人とお兄ちゃんでは好きの度合いも、中身も、覚悟も段違いに違う。
特に覚悟。お兄ちゃんと私にはこの世全てを敵に回してもお互いを愛するという覚悟が出来ている。
それを言わない事が許せなくて、私は少しだけ口を出してしまった。
「私は好きな人と結ばれるのであれば、他に何もいらないと思っています」
「そ、それは自分も……」
「いいえ、本当にその人以外何もいらないのです。赤の他人に蔑まれようと、友達、親からその人と私は相応しくないと言われても貫き通す覚悟があります。貴方にはありますか?今からでも、親友や親から軽蔑されてなお、私を愛せる覚悟が」
「う、うう……」
そういうとぺこりとお辞儀をして帰り道を歩く。
遠くから元気出せよ、との声が聞こえてくる。きっとあの高橋さんの友達がいたのだろう。
私とお兄ちゃんは、その友達をも一瞬で遠ざける関係だ。認められない関係だ。
だから、貫き通すしかない。この愛は、誰にも譲らない。
______________________________
帰ってきた希帆は、なんだか少し複雑そうな表情をしていた。
「おかえり、希帆。何かあったかい?」
「……告白されたんだ。振ったけど」
なるほど。希帆は恋人、家族という視点を除いても美人でかなり何でも出来る。それは告白されても仕方ないだろう。中学の頃は元気に振った!とか報告してきたのだが。
少し、胸が疼く。自分の妹が、恋人が取られそうになったような気がして。
だから希帆が着替えてご飯を食べる前。ぎゅっと抱き着く。
「ど、どうしたのお兄ちゃん!?」
「希帆は誰にも譲らない。希帆は、自分の恋人だから」
そういうと彼女は嬉しそうに笑って、抱き着き返してくれた。
「そういえば学園祭、どうするんだ?」
ご飯を食べ終えてリビングで話し始める。高校一年生で出せるものはかなり限られていそうだし、いざとなったら相談に乗ろうと考えている。
「あ、そうそう!お兄ちゃんの作ってくれたお弁当のお陰で一瞬で決まったの!」
自分の作った弁当?あのお疲れ様海苔弁当だろうか。
話を聞くと、遠くから応援というワードでバーチャルダンスをすることになったらしい。なるほど、よく考えたものだと拍手する。
「凄いじゃないか!プロジェクターとか用意するものはあるけど、十分に驚くよ!」
「でしょ?それでね、その……まとめ役で私が入ったんだ。お兄ちゃん、私、偉い?」
少し首をかしげながら上目遣いに聞いてくる希帆に満面の笑みで言った。
「偉いぞ、希帆!」
「えへへ!」
嬉しそうに微笑んで言う希帆。それで、我慢が出来なくなって。
――告白されたんだ――
(嫌だ。希帆は、世界を敵に回したって自分の恋人だ。誰にも、誰にも……渡さない……!)
そう思った時には、ソファーに希帆を押し倒していた。
「お、お兄ちゃん!?」
「希帆……」
そう言って自分は希帆の唇に自分の唇を重ねる。彼女の少しだけ厚い服の上から、大振りでも小振りでもない、大きなマシュマロのような胸を揉む。
「ん、んっ……!!んぅ……っ!!」
何度も、何度も。口づけを交わす。馬乗りになって、希帆を独り占めして。
譲らない、渡さない。この妹は、恋人は、希帆は自分だけの愛しい人だ。
そう思うごとに彼女への恋情と劣情が高まる。
上半身の服をそっと捲って下着姿にさせると、さらに肌の近くで胸を揉む。
「おにい、ちゃ……!」
「希帆……っ!」
ピン、と立った突起を中指と親指でくるりと摘まむとリビングに嬌声が響く。
「ぁっ!」
「希帆……可愛いよ、希帆……」
何度も何度も愛を伝えながら色んな場所に唇を落とす。
額、頬、鼻、唇、首筋。
そうだ、自分のものだけにするのなら印をつければいい。
そう思って首筋をチュウッっと吸い上げる。
「あっ!おにい、ちゃ、強……!あっ、あっ……!」
しばらく胸を揉みながら首筋を吸ってから離すと、そこには立派な印が出来ていた。
「できた。キスマーク」
「お、お兄ちゃん……そんな、恥ずかしい……!」
照れる彼女に向けて、今度は優しく耳元で問いかける。
「……嫌だった?」
返答は、顔を真っ赤にして小声でやってきた。
「嫌じゃない……けど、お兄ちゃんだけずるい」
そういわれては仕方がない。一旦退くと、今度は希帆が馬乗りになって自分の首筋を吸う。
必死にキスマークを付けようとしている彼女が、とても可愛らしくてつい頭を撫でてしまう。
ああ、そうだ。自分だって希帆だけの恋人で、誰にもこの位置は譲らない。自分だけが希帆の恋人なのだという多幸感を感じる。
「ぷはっ……!できた、キスマーク……!」
「嬉しいな。これでお互いはお互いのものだ……」
そういうと、彼女ははにかむ。
「今回は、私の部屋で……しよ?」
「希帆が望むなら」
______________________________
そう言って、希帆の部屋に移動した。彼女の部屋は整理整頓がしっかりされていて、どこかしらから石鹸の良い匂いがする。
「ねえ、お兄ちゃん……その、ゴムってある?」
「一応自分の部屋に置いてあるよ」
彼女がそう聞く理由はわかる。自分は大学生、希帆に至っては高校一年生。これで兄妹で子供が出来ました、なんて言われたら騒ぎどころではない。
「……なんであるの?」
「えっ」
意外な言葉に戸惑う。
「なんでお兄ちゃんの部屋にあるの?」
その問いは少し怒りを含んでいるように聞こえたので、誤解を招かないように正直に話す。
「あの夜の後、考えたんだ。こういう事がまたあったとき、毎回中に出していたら子供はどこかで絶対出来る。でも今の自分たちにそれを管理できる能力は、正直ない。だからあの夜の後、こっそり買いに行ったんだ」
その言葉に一転して彼女が嬉しそうに言った。
「そっか、お兄ちゃんなりに考えてくれてたんだね。ごめんね、なんであるのか疑っちゃって……」
「仕方ないよ。でもそれだけ、自分は希帆を大事にしたかった。今も、これからも。……すぐ取ってくるよ」
そう言って自分は部屋を出て、すぐ横の部屋からゴムを取ってきた。
______________________________
お兄ちゃんが他の女の人と付き合ったのかと、一瞬でも疑った私が愚かだった。
そもそもリビングでキスマークを付ける時点で、そんなことありえないのに。あの誠実で、真面目で、優しいお兄ちゃんが。
そんな優しいお兄ちゃんが見せた獰猛な男の人の姿に、私は興奮した。最愛の恋人が私で興奮してくれているという満足感。それが弄られた胸と合わさって秘部を濡らす。
ああ、もうめんどうだ。全部脱いでしまおう。
そう思って下を脱ぐ。ブラジャーのホックはあえてはずすだけで肌の上にのせておく。そしてベッドの上に仰向けで転がる。
「持ってきたよ……って、はは。もう準備万端なんだね」
「うん。だって、お兄ちゃんがリビングで……告白されただけであんなに嫉妬してくれるなんて思わなくて、それが嬉しくて」
なんだ、ばれてたのか。そう言いながらお兄ちゃんはゴムを一つ出す。
「ちょっと待ってね、付け方が……わからない……。んしょ……」
「ふふ、お兄ちゃんにもできない事あったんだ」
それは初めて付けるという証明。下半身の肉棒にゴムを当てて四苦八苦するお兄ちゃんを眺める。
「よし、はまった……」
「よくできました!」
そう褒めると、柔和な笑みを向けられて、そのまま秘部に舌を当てられる。
「っぁ!!あっ!!」
そこでちろり、ちろりと舐められる快感は微弱な刺激だけれど身体が震えて止まらない。
それが続く限り、私は満たされることは無い。
「も、っと……」
「もっと……何?」
本当に、いつものお兄ちゃんとは違った一面だ。けれどそれは逆に言えば私にしか見せない一面。
恥ずかしいけれど、口にする。
「もっと……気持ちよく、してほしい……!」
「うん、わかった。いじわるしてごめんね、希帆」
そういうと私の中に温かい棒がゆっくり入ってくる。
前回とは感覚が違うけれど、それでも変わらない愛しい交わりだ。
「入った……!」
「それじゃあご希望にお応えして……」
ゆっくりと離れて行ったと思った瞬間、ドン!、と一気に押し付けられる。
「あぁっ!!」
それが何度も、何度も繰り返される。そのたびに私は大きく喘ぐしかない。
下品だとか、汚いとか、そういう問題ではない。いや、愛しい彼氏の前でそんなこと関係ない。
ただ気持ちよいのだ。愛している人が荒い息遣いで私の奥を突くという行為が。
だからその心が叫ぶままに、本能のまま声が上がる。
じゅぷり、じゅぷりといやらしい水音が聞こえる。お兄ちゃんのピストン運動も余裕がなくなったのか、早くなっている。
先に果てたのは、私だった。
「あっ、ああっ!あああっ!!っー!!!!」
足先がピン、と伸びる。全身が快楽に包まれる。指先の一本一本まで刺激が伝わっていく。
その後、お兄ちゃんが奥で何か温かいものがゴムに広がっていくのを感じた。
それがゆっくり引き抜かれると、その中には白濁液が溜まっていた。
「希帆、可愛いよ……」
「おにい、ちゃん……ぎゅってして……お願い……」
ゴムをそっとティッシュに包むと、お兄ちゃんは裸のまま私を抱きしめてくれた。
「お兄ちゃん、幸せ?」
「幸せだよ、希帆。希帆はどうだい?」
「私も、幸せだよ……。お兄ちゃん、大好き……」
「うん。自分もだよ希帆。希帆とずっと、ずっと幸せでいるからね……」
そういって暫く抱きしめあって、どちらからともなく触れ合うだけのキスをする。
ずっと一緒だという言葉にお互い偽りはない。だから、幸せを感じられるように。何度も、何回だって。
そうして、お兄ちゃんはが二つ目のゴムを取り出したところで私は言った。
「今日は沢山しようね、私だけのお兄ちゃん……」
それに対して、お兄ちゃんは優しい声色で答えた。
「ああ、満足しきっても……幸せを感じ続ける限りしよう。自分だけの希帆……」
それはそうと、リモートの時代でも勿論現地の学校に集わないわけではない。
例を挙げるとしたら月一回の顔合わせや入学式、卒業式。それに文化祭などが当てられるだろう。
秋も半ばに入り、寒くなってきた。そろそろ私やお兄ちゃんの文化祭や大学祭が行われる時期だ。
「おにいちゃーん!行ってくるからね~」
鞄の中には幾つかの書物と筆記用具、そしてお兄ちゃんが用意してくれたお弁当。そもそも授業は行わないので本当にリモートで行えなかった分のレクリエーションとイベントの打ち合わせがメインの顔合わせだ。
「うん。行ってらっしゃい、希帆。気を付けて行ってくるんだよ」
そう言うお兄ちゃんはいつもより少しだけ寂しそうに見えた。何故だろう、とふと考えてわかった。
恋人になったからだ。普段なら家で一緒に過ごしている恋人が出かける、それはきっと寂しいし、私だってお兄ちゃんが同じ事で出かけたら分かっていても寂しい。
「お兄ちゃんお兄ちゃん、かがんで?」
「……?いいよ」
困惑しているお兄ちゃんに対して屈むように促すと、丁度顔が良い高さまで下がってくる。
そっと背伸びをして抱き着きながら唇を触れ合わせると、お兄ちゃんがハッとして笑顔になってくれる。
「ありがとう、希帆」
「えへへ、お兄ちゃんはやっぱり笑顔がいいな!」
悩んだり、真剣な顔だったり色んな顔を見たけれど、やはり私の恋人には笑顔が一番似合う。
そう思いながら玄関を開けて外に出て、もう一度お兄ちゃんの顔を見る。
そこには曇りのない笑顔を浮かべて手を軽く振った、愛しい恋人の姿があった。
「んじゃ出席取るぞ~」
学校についてから一応出席確認をされる。これもきちんと授業日数としては加算されるので出ないと大惨事だ。
「徒知~」
「はいっ」
徒知は私とお兄ちゃんの苗字だ。早い段階で呼ばれることの多い苗字なのでその後若干ウトウトしていても大丈夫なところがひっそり気に入っている。
全ての人の名前が確認し終わった後、先生から話を切り出される。
「さて、そろそろ学園祭の時期だ。ウチの教室でも何か催しする……というかしなきゃならないから、皆で何がいいか相談しあってみるといい。それじゃ、また後でな」
うちの担任は結構雑である。そう言い残して教室を去ってしまった。何が良いだろう、とりあえず意見を聞かなければならない。
「そういえば学園祭かあ。……誰が取り仕切るの?それぐらいは先生決めて行ってほしかった……。ウチら初めてなんだから……」
横の友達のボヤキを聞きながら、仕方がないと思いつつ私は立ち上がる。
「とりあえず、暫定として私がみんなの意見を聞きつつ学園祭の方針を決めていきたいと思いますが、他にやりたい方いらっしゃいますか?」
そういうと皆が肯定の言葉を口にする。
「希帆なら頭いいし、いいんじゃない?」「徒知なら頼りになりそうだよな」「ただ徒知は筆頭に、って感じだよな。徒知一人に任せるわけにはいかないし」
色んな言葉を聞きながら、それらを集約して私は教壇の場所に立つ。
「では私が最終的に意見を纏め、方針を固める役割に立ちます。クラスの皆で協力して、学園祭を盛り上げていきましょう!」
その言葉に異論は出ず、私はこのクラスの学園祭を取り仕切る事になった。
お兄ちゃんは褒めてくれるだろうか、ふとそう思ってくすっと笑った。
まずは出し物の方針を固めなければいけない。
「とりあえず、出し物の案を沢山出しましょう。大雑把なものでも大丈夫です」
言ってからは様々な案が出た。
定番の食べ物屋さん、お化け屋敷。射的のようなアトラクション系や午前、午後に分けて演目をやるなど。
様々な意見がある。その中では対立もあって大変だった。
例えばこのデジタル化した社会でわざわざ食べ物屋をやって人が来るのか、予算の元は取れるのか。それを言ったらお化け屋敷だって相当な労力を費やしても他のクラスと被る可能性がある、など。それらを収めつつ、意見を纏めていく。
「とりあえず、午前の意見の纏めとしてはこうです。予算をなるべく抑えつつ、かつ人が喜ぶもの。そして私たちにしかない独創性がありそうなもの。言葉にするのは簡単ですが、それを実現するにはもっと沢山の具体案が必要です。午後もよろしくお願いします」
そう言って午前中を締める。丁度お昼時だ。
「希帆やっぱりすごいわ~!どうやったらこんなにするっと意見まとめられるの?」
私は友人に囲まれながらちょっと恥ずかしくなりながら答える。
「え、えっと……お兄ちゃんがゲームやってて、それで人を纏めるのを見ていたからかな?私もゲームしているし……」
「ああ~!流石だわ希帆のお兄ちゃん……」
褒められて、まるで自分のことのように嬉しくなる。そうでしょ?と返しながら弁当箱を取り出す。
「あれ?それ希帆の手作り?一口頂戴!」
コンビニ弁当を取り出した友達にそう言われたが、これはお兄ちゃんが愛情をたっぷり注ぎ込んで作ってくれたお弁当だ。友達でも一口たりとも渡すわけにはいかない。
「これお兄ちゃんの手作りだからあげない!絶対あげないからね!!」
「あはは!本当に徒知さんってお兄ちゃんの事が好きだね~」
これはチャンスだ、とばかりに返した。
「うん!私はお兄ちゃんの事大好きだよ?」
「そ、そこまでドストレートに返されるとこっちが恥ずかしい……まるで恋人みたいじゃん……」
まるで、恋人。本当に恋人なのだけれど、やはり血のつながった家族では恋をしてはいけないのだと無意識に思い出してしまう。
そんな暗い考えをしながらも蓋を開けると、のり弁で文字が書いてあった。
「えっ凄……希帆のお兄ちゃんってナニモン……?」
そこには海苔で『おつかれ』と横に並んだ文字。それを聞いて他のクラスメイトも見に来る。
「なんだこれ、やばっ……」「女子力で完全敗北したわ……」「徒知さんのお兄さん、希帆さんへの愛が強すぎだろ……」
「遠くからでもこうやって応援されてるんだね……」
最後のクラスメイトの一言にはっと反応する。
「すみません、今なんて?」
「え?応援されているって……」
「その前!」
「と、遠くから……」
「……それです!」
皆がクエスチョンマークを浮かべる中、私はお兄ちゃんに深く感謝する。
こんなにも妹を、恋人を、私を愛してくれていること。そして、学園祭に向けての閃きが得られたこと。
それらはきっと、私では思いつかなかった。感謝しながら食べたのり弁とおかずの味は、いつもよりとても美味しく感じられた。
午後。皆がご飯を食べ終わってから教壇に立つと問いかける。
「午前中の意見で演目をやるという意見が出ました。それに関して皆さんに質問したいことがあります。……この中で、私を含めてデジタルのイラストを描ける人はいますか?」
そういうと複数人が手を上げる。よし、と思いつつ次の問題に入る。
「ありがとうございます。ではこのクラスの中で、趣味でもなんでも良いのでバーチャルアバターを動かしたことのある人は?」
そう問いかけると、また複数人が手を上げる。先ほどより少ないが、いればよいのだ。そこまで聞いて何人かハッとした表情をした。
「他のクラスにはない独創性。コストを抑える。何よりも成功させるための団結力。そこで私は『バーチャルダンス』をやりたいと思います」
その言葉に皆は度肝を抜かれた顔をしていた。そう。その顔をお客さんにさせられれば成功なのだ。
「つ、つまり、絵を描いて、それをバーチャルで動かして、演目をするってこと!?」
「そういう事です。これの成功には大きく分けて四つ、役割があります。
一つは勿論、絵を描く人。二つ目はそれを動かすアバターのプログラムを用意すること。三つ目はその絵とアバターで実際にダンスをする人。四つ目は、これを宣伝する人です」
これならば、やる事が無いという人は出てこない。四つ目の人は何人いても困らないし、三つ目の人は自宅でリモートでダンスを練習してもらえばいい。二つ目の人は複数人いたので幾つか案が上がるだろう。一つ目は気合でどうにかするしかない。
「異論はありますか?」
異議はでなかった。苦労しそうだ、との声は出たがそれ以上に面白そうという感じだった。
「ではそれぞれ役割を割り振りたいので、分かれてもらいたいと思います。特に絵を描く人とアバターを動かすための人は苦労が大きいので、踊れる人は踊りに、それ以外の人は宣伝のやり方を考えてもらえればと思います」
私は勿論、一番目と二番目を見つつ全体を見る係だ。一番大変である。
こうして学園祭での準備は初日にして、リモートを使わずともお兄ちゃんに間接的に助けられたのであった。
少し居残りをして学校から帰ろうとした時、校門でふと待っていたであろう男子が話しかけてきた。
「あ、あのっ!徒知さん!」
知らない男子だ。いや、身長的に先輩かもしれない。
「はい、何でしょうか?」
このパターンは知っている。中学校の時も何度だって味わった。
「じ、自分二学年の高橋って言います!……入学式の時、一目見てからずっと好きだったんです!あ、あの、徒知さんさえ良ければお付き合いしてくれませんか!」
そうだ、告白だ。でも私には好きな人がいるのだ。過去は尊敬している人で通した。でも今は最悪、付き合っているで通せる。それが何となく良いなと感じながら振ることにした。
「ごめんなさい、高橋先輩。私は好きな人がいるんです。だから貴方の気持ちには答えられません。……勇気を出してくださって、ありがとうございます」
「そう、ですか……。でも自分は諦めません!その好きな人よりも、自分を磨いて貴方を振り向かせられるように努力します!」
それは無理だ。この先輩には悪いが、この人とお兄ちゃんでは好きの度合いも、中身も、覚悟も段違いに違う。
特に覚悟。お兄ちゃんと私にはこの世全てを敵に回してもお互いを愛するという覚悟が出来ている。
それを言わない事が許せなくて、私は少しだけ口を出してしまった。
「私は好きな人と結ばれるのであれば、他に何もいらないと思っています」
「そ、それは自分も……」
「いいえ、本当にその人以外何もいらないのです。赤の他人に蔑まれようと、友達、親からその人と私は相応しくないと言われても貫き通す覚悟があります。貴方にはありますか?今からでも、親友や親から軽蔑されてなお、私を愛せる覚悟が」
「う、うう……」
そういうとぺこりとお辞儀をして帰り道を歩く。
遠くから元気出せよ、との声が聞こえてくる。きっとあの高橋さんの友達がいたのだろう。
私とお兄ちゃんは、その友達をも一瞬で遠ざける関係だ。認められない関係だ。
だから、貫き通すしかない。この愛は、誰にも譲らない。
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帰ってきた希帆は、なんだか少し複雑そうな表情をしていた。
「おかえり、希帆。何かあったかい?」
「……告白されたんだ。振ったけど」
なるほど。希帆は恋人、家族という視点を除いても美人でかなり何でも出来る。それは告白されても仕方ないだろう。中学の頃は元気に振った!とか報告してきたのだが。
少し、胸が疼く。自分の妹が、恋人が取られそうになったような気がして。
だから希帆が着替えてご飯を食べる前。ぎゅっと抱き着く。
「ど、どうしたのお兄ちゃん!?」
「希帆は誰にも譲らない。希帆は、自分の恋人だから」
そういうと彼女は嬉しそうに笑って、抱き着き返してくれた。
「そういえば学園祭、どうするんだ?」
ご飯を食べ終えてリビングで話し始める。高校一年生で出せるものはかなり限られていそうだし、いざとなったら相談に乗ろうと考えている。
「あ、そうそう!お兄ちゃんの作ってくれたお弁当のお陰で一瞬で決まったの!」
自分の作った弁当?あのお疲れ様海苔弁当だろうか。
話を聞くと、遠くから応援というワードでバーチャルダンスをすることになったらしい。なるほど、よく考えたものだと拍手する。
「凄いじゃないか!プロジェクターとか用意するものはあるけど、十分に驚くよ!」
「でしょ?それでね、その……まとめ役で私が入ったんだ。お兄ちゃん、私、偉い?」
少し首をかしげながら上目遣いに聞いてくる希帆に満面の笑みで言った。
「偉いぞ、希帆!」
「えへへ!」
嬉しそうに微笑んで言う希帆。それで、我慢が出来なくなって。
――告白されたんだ――
(嫌だ。希帆は、世界を敵に回したって自分の恋人だ。誰にも、誰にも……渡さない……!)
そう思った時には、ソファーに希帆を押し倒していた。
「お、お兄ちゃん!?」
「希帆……」
そう言って自分は希帆の唇に自分の唇を重ねる。彼女の少しだけ厚い服の上から、大振りでも小振りでもない、大きなマシュマロのような胸を揉む。
「ん、んっ……!!んぅ……っ!!」
何度も、何度も。口づけを交わす。馬乗りになって、希帆を独り占めして。
譲らない、渡さない。この妹は、恋人は、希帆は自分だけの愛しい人だ。
そう思うごとに彼女への恋情と劣情が高まる。
上半身の服をそっと捲って下着姿にさせると、さらに肌の近くで胸を揉む。
「おにい、ちゃ……!」
「希帆……っ!」
ピン、と立った突起を中指と親指でくるりと摘まむとリビングに嬌声が響く。
「ぁっ!」
「希帆……可愛いよ、希帆……」
何度も何度も愛を伝えながら色んな場所に唇を落とす。
額、頬、鼻、唇、首筋。
そうだ、自分のものだけにするのなら印をつければいい。
そう思って首筋をチュウッっと吸い上げる。
「あっ!おにい、ちゃ、強……!あっ、あっ……!」
しばらく胸を揉みながら首筋を吸ってから離すと、そこには立派な印が出来ていた。
「できた。キスマーク」
「お、お兄ちゃん……そんな、恥ずかしい……!」
照れる彼女に向けて、今度は優しく耳元で問いかける。
「……嫌だった?」
返答は、顔を真っ赤にして小声でやってきた。
「嫌じゃない……けど、お兄ちゃんだけずるい」
そういわれては仕方がない。一旦退くと、今度は希帆が馬乗りになって自分の首筋を吸う。
必死にキスマークを付けようとしている彼女が、とても可愛らしくてつい頭を撫でてしまう。
ああ、そうだ。自分だって希帆だけの恋人で、誰にもこの位置は譲らない。自分だけが希帆の恋人なのだという多幸感を感じる。
「ぷはっ……!できた、キスマーク……!」
「嬉しいな。これでお互いはお互いのものだ……」
そういうと、彼女ははにかむ。
「今回は、私の部屋で……しよ?」
「希帆が望むなら」
______________________________
そう言って、希帆の部屋に移動した。彼女の部屋は整理整頓がしっかりされていて、どこかしらから石鹸の良い匂いがする。
「ねえ、お兄ちゃん……その、ゴムってある?」
「一応自分の部屋に置いてあるよ」
彼女がそう聞く理由はわかる。自分は大学生、希帆に至っては高校一年生。これで兄妹で子供が出来ました、なんて言われたら騒ぎどころではない。
「……なんであるの?」
「えっ」
意外な言葉に戸惑う。
「なんでお兄ちゃんの部屋にあるの?」
その問いは少し怒りを含んでいるように聞こえたので、誤解を招かないように正直に話す。
「あの夜の後、考えたんだ。こういう事がまたあったとき、毎回中に出していたら子供はどこかで絶対出来る。でも今の自分たちにそれを管理できる能力は、正直ない。だからあの夜の後、こっそり買いに行ったんだ」
その言葉に一転して彼女が嬉しそうに言った。
「そっか、お兄ちゃんなりに考えてくれてたんだね。ごめんね、なんであるのか疑っちゃって……」
「仕方ないよ。でもそれだけ、自分は希帆を大事にしたかった。今も、これからも。……すぐ取ってくるよ」
そう言って自分は部屋を出て、すぐ横の部屋からゴムを取ってきた。
______________________________
お兄ちゃんが他の女の人と付き合ったのかと、一瞬でも疑った私が愚かだった。
そもそもリビングでキスマークを付ける時点で、そんなことありえないのに。あの誠実で、真面目で、優しいお兄ちゃんが。
そんな優しいお兄ちゃんが見せた獰猛な男の人の姿に、私は興奮した。最愛の恋人が私で興奮してくれているという満足感。それが弄られた胸と合わさって秘部を濡らす。
ああ、もうめんどうだ。全部脱いでしまおう。
そう思って下を脱ぐ。ブラジャーのホックはあえてはずすだけで肌の上にのせておく。そしてベッドの上に仰向けで転がる。
「持ってきたよ……って、はは。もう準備万端なんだね」
「うん。だって、お兄ちゃんがリビングで……告白されただけであんなに嫉妬してくれるなんて思わなくて、それが嬉しくて」
なんだ、ばれてたのか。そう言いながらお兄ちゃんはゴムを一つ出す。
「ちょっと待ってね、付け方が……わからない……。んしょ……」
「ふふ、お兄ちゃんにもできない事あったんだ」
それは初めて付けるという証明。下半身の肉棒にゴムを当てて四苦八苦するお兄ちゃんを眺める。
「よし、はまった……」
「よくできました!」
そう褒めると、柔和な笑みを向けられて、そのまま秘部に舌を当てられる。
「っぁ!!あっ!!」
そこでちろり、ちろりと舐められる快感は微弱な刺激だけれど身体が震えて止まらない。
それが続く限り、私は満たされることは無い。
「も、っと……」
「もっと……何?」
本当に、いつものお兄ちゃんとは違った一面だ。けれどそれは逆に言えば私にしか見せない一面。
恥ずかしいけれど、口にする。
「もっと……気持ちよく、してほしい……!」
「うん、わかった。いじわるしてごめんね、希帆」
そういうと私の中に温かい棒がゆっくり入ってくる。
前回とは感覚が違うけれど、それでも変わらない愛しい交わりだ。
「入った……!」
「それじゃあご希望にお応えして……」
ゆっくりと離れて行ったと思った瞬間、ドン!、と一気に押し付けられる。
「あぁっ!!」
それが何度も、何度も繰り返される。そのたびに私は大きく喘ぐしかない。
下品だとか、汚いとか、そういう問題ではない。いや、愛しい彼氏の前でそんなこと関係ない。
ただ気持ちよいのだ。愛している人が荒い息遣いで私の奥を突くという行為が。
だからその心が叫ぶままに、本能のまま声が上がる。
じゅぷり、じゅぷりといやらしい水音が聞こえる。お兄ちゃんのピストン運動も余裕がなくなったのか、早くなっている。
先に果てたのは、私だった。
「あっ、ああっ!あああっ!!っー!!!!」
足先がピン、と伸びる。全身が快楽に包まれる。指先の一本一本まで刺激が伝わっていく。
その後、お兄ちゃんが奥で何か温かいものがゴムに広がっていくのを感じた。
それがゆっくり引き抜かれると、その中には白濁液が溜まっていた。
「希帆、可愛いよ……」
「おにい、ちゃん……ぎゅってして……お願い……」
ゴムをそっとティッシュに包むと、お兄ちゃんは裸のまま私を抱きしめてくれた。
「お兄ちゃん、幸せ?」
「幸せだよ、希帆。希帆はどうだい?」
「私も、幸せだよ……。お兄ちゃん、大好き……」
「うん。自分もだよ希帆。希帆とずっと、ずっと幸せでいるからね……」
そういって暫く抱きしめあって、どちらからともなく触れ合うだけのキスをする。
ずっと一緒だという言葉にお互い偽りはない。だから、幸せを感じられるように。何度も、何回だって。
そうして、お兄ちゃんはが二つ目のゴムを取り出したところで私は言った。
「今日は沢山しようね、私だけのお兄ちゃん……」
それに対して、お兄ちゃんは優しい声色で答えた。
「ああ、満足しきっても……幸せを感じ続ける限りしよう。自分だけの希帆……」
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