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其の四 奇術師
六
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夢を見た。
上も下もない真っ白な空間に、安藤は一人で立っている。前も後ろも分からない中、ひたすら歩みを続けていると、足元に何かが落ちているのを見つけた。拾い上げると、それは空っぽになった瓶だった。
安藤は、心の中で瓶に書かれている商品名を読み上げる。これは、白米と一緒に食べると美味しい、磯っぽい例のアレである。
何でこんなものが?
そう思って付近を見回すと、空になった瓶はあちこちに散らばっていた。全て、完食済である。
どれだけの白米が消費されたのだろうと思うが、炊飯器は一切見当たらない。落ちているのは瓶だけだ。
不思議である。
安藤は瓶を集めながら、歩いて行く。
瓶が落ちている先に、何かが蠢いているのを見つけた。
透明だが、確かに何かが動いている。見間違いかと思って目を凝らすも、確かに何かがいる。
目が合った。
「 」
安藤は、名前を呼んだ。
しかし自分の声が聞こえない。
いったい自分は、何と言ったのか。
安藤は目を覚ました。
いつもと変わらないベッドの上だ。外は、仄かに明るいようだった。
ひどい気分だった。
上も下もない真っ白な空間に、安藤は一人で立っている。前も後ろも分からない中、ひたすら歩みを続けていると、足元に何かが落ちているのを見つけた。拾い上げると、それは空っぽになった瓶だった。
安藤は、心の中で瓶に書かれている商品名を読み上げる。これは、白米と一緒に食べると美味しい、磯っぽい例のアレである。
何でこんなものが?
そう思って付近を見回すと、空になった瓶はあちこちに散らばっていた。全て、完食済である。
どれだけの白米が消費されたのだろうと思うが、炊飯器は一切見当たらない。落ちているのは瓶だけだ。
不思議である。
安藤は瓶を集めながら、歩いて行く。
瓶が落ちている先に、何かが蠢いているのを見つけた。
透明だが、確かに何かが動いている。見間違いかと思って目を凝らすも、確かに何かがいる。
目が合った。
「 」
安藤は、名前を呼んだ。
しかし自分の声が聞こえない。
いったい自分は、何と言ったのか。
安藤は目を覚ました。
いつもと変わらないベッドの上だ。外は、仄かに明るいようだった。
ひどい気分だった。
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