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十一
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隙あらば、目の保養とばかりに紀ノ川さんを眺めている奴は大勢いる。例えば加藤。例えば相川さん。例えば俺。男女問わず、年齢問わずだ。教師たちだって、たいていが紀ノ川さんに対して眩しい表情を向ける。紀ノ川さんを前に、普通に対応している人も僅かながらいるが、ほんの僅かである。例えば担任の青木先生。例えば校長先生。それくらいのものだ。
「えー! そうなの?」
「そうそう、それでね――」
教室の隅で楽しく談笑する女子たちの輪の中心には、光り輝く紀ノ川莉子がいた。向けられる大勢の眼差しに気付いていないわけもないだろうが、もう慣れているのだろう。
ふわふわとしたピンク色の視線が集中する中、一つ、気色の異なる視線があった。佐野だ。
俺の目の前で箸を持ち、じっと教室の隅を見つめる佐野の表情は、硬い。紀ノ川さんを見つめているのは確かだが、そこには目の保養という目的はないのだ。ただ、観察している。興味がある。そこに恋情や憧れはないのだ。確かにそう思って佐野を見ていると、野鳥の観察的な真摯さ、真面目さが見て取れた。
「おーい。固まってるぞ」
肘で突いてやれば、佐野はやっと瞬きをした。一度に二つのことは出来ない奴なのだ。
「あんまり気味悪い目で見てたら、苦情が来るぞ」
「俺に? まさか。この佐野陸に苦情なんて、少なくとも女子からはないだろ」
「自信満々だな」
「まあな。ただ、紀ノ川さんはちょっと分かんねーけど」
「紀ノ川さんは誰にだって苦情なんて言わないだろ」
佐野は、乱暴に弁当箱へ箸を突っ込んだ。佐野の弁当箱は二段になっていて、一段目は白米、二段目におかずが入っている。その中身といえば、コロッケに麻婆春雨、大学芋等々だ。全体的に茶色っぽく、曰くほとんどが冷凍食品なのだそうだ。唯一の緑であるブロッコリーは、隅で窮屈そうにしている。
「紀ノ川さんは、そんな聖人君子かねえ?」
「佐野は紀ノ川さんを愚弄する気か? ん?」
「愚弄なんてとんでもない。気味悪い目的で見てるわけでもないし、俺は至極真面目だ」
「じゃあ何の目的だよ」
「紀ノ川さんのオーラっつか、存在感? を、真似できないかと思ってるんだよな」
唐突に佐野は俺の卵焼きを奪い、勝手に噛み締め、「美味い」と心から賞賛してきた。代わりに俺の弁当箱に放り込んだのは、唯一の緑だ。
「は? 真似?」
初めて聞いた話に、俺はブロッコリーどころではなくなる。
「俺、人間全員からモテたいから」
「馬鹿なのか?」
「せっかくあんな人が近くにいるんだから、何か盗めないかと思ってな」
「馬鹿か?」
「泉井君よお、人のこと馬鹿馬鹿って、いくら何でも言い過ぎじゃね? その手作りきんぴらごぼうも食っていい?」
「止めとけ、それこそ茶色いだろ。どうせ食うなら別のおかず――じゃなくてだ。いったん馬鹿は撤回するからやっぱり食うな」
弁当箱を非難させ、考えることに集中する。向こうには、光り輝く紀ノ川莉子。目の前には、佐野。眉間に皺を寄せていると、佐野がぐいとそこを押した。
「押すな」
「えー? せっかくほぐしてやってんのに」
「ほぐさなくていい。ていうかその――真面目に言ってる?」
「俺は至極真面目だっつの」
「まじか」
呆れたという言葉が適切かどうかは分からない。とにかく俺は、呆れ切った。
「まじだ」
佐野は、冗談などを言っている様子ではなかった。本気で、紀ノ川さんを真似しようとしているのだ。俺は、諭すように佐野の肩を叩く。
「佐野は、モデルは出来たとしても、世界の佐野にはなれないだろ。でも、紀ノ川さんは世界の紀ノ川莉子になれる。そういう違いがあるんだよ。いくら頑張っても出来ないことって、俺はあると思ってる」
「悲観的な奴だな、泉井は。知ってたけど。そういうところ好きだけど」
「佐野は、もっと別の方向の努力をしたらいいと思うよ俺は」
「今日はやけに優しいな。何だよ、俺はそんなに無謀なことを言ってるつもりはないんだよ。ただ、みんなに好かれたいんだ。八方美人ってわけじゃなくて」
「話聞いてた? そんなの無理だろ」
「泉井は俺のこと好き?」
「は?」
突然の質問に、俺は顔を顰める。
「気持ち悪いこと訊くなよ」
「泉井が俺のこと好きって言ってくれたら諦める」
どうやら、これも冗談じゃないらしい。俺はしだいに面倒になってきて、適当な相槌を打った。
「じゃあ頑張れ。俺は草葉の陰から見守ってる」
「ひでえ! てか、それだと泉井死んでんじゃん!」
佐野は、大きな口を開けて笑っている。数人の女子たちがうっとり見つめているのが目に入って、俺は苦笑いをした。その中には、当然相川さんも含まれているが、ちらちらと紀ノ川さんの方も見ていた。至福のひと時と言わんばかりの顔である。相川さんはどうやら、顔が良い人間に弱いようだ。
紀ノ川さんをちらりと見てから、俺は弁当箱へと視線を戻す。いつの間にか増えているブロッコリーが、所在なさげに転がっていた。まあ、そうだよなあと同情する。佐野の考え方には賛同できないにしても、一部分くらいなら理解出来るのである。人に好かれたい、嫌われたくないというのは、俺も同じだ。ネガティブなことを排除して、平和的に生きていけるならそれに越したことはないし、穏やかな日々であればそれ以上のことはない。それに、誰かに好かれていると思うだけで、自信が持てる。気分も悪くない。そういうエネルギーは、日々の糧になる。実際俺は、弟からそういう熱を受け取っている。ふいにあいつの顔を思い出してしまって、顔に手を当てた。
あいつは、俺に憧れに似た感情を抱いているのだ。決して恋情とは違う、そういう男同士の関係だ。勘違いして勝手に悩んでいたことについては、何も語りたくなかった。あまりにも恥である。もともと、あんな将来有望ないたいけな中学生が、俺を恋愛相手として好きになることなんてあるはずがなかった。馬鹿みたいだ。自分の気持ちが分からなかった。まだまだ、整理も付いていない。
「泉井、どうした? やべー顔してる」
「どうせ俺は佐野と違ってやべー顔してるよ」
「お、ダーク泉井登場か。最近多いな。悩みか?」
「うるせー」
「思春期か?」
「うるせーっての!」
何が楽しいのか、佐野はけらけらと笑っている。昔からこういう奴なのである。女子の視線を少なからず集めていることを感じて、俺は顔を背けた。
「佐野は楽しそうで良いな」
「人生なんて楽しまなきゃ損だろ。泉井だって楽しそうじゃん」
「えー? そう見える?」
「今はダーク泉井だけど」
「俺には、俺のことがよく分からない」
「だろうな。最近の泉井、変だし。……まじで悩み事あるなら聞くけど」
佐野の声が、一段低くなった。一日の大半はふざけている佐野だが、たまにこんな顔をすることもある。ちらと目が合って、すぐに逸らされた。
「いや、そこまでは。大丈夫」
「そうか? 泉井は一人で抱え込みがちだから、心の友としてはちと心配な時がある」
「え。そう?」
すると佐野は、いつものように笑顔になった。
「ちょっとだけな。ほら、イケメンがイケメンなこと言うと、イケメンが倍増するだろ?」
「ごめん、イケメンが飽和してわけ分かんねえ」
ブロッコリーを口に放り込む。何の味もついていない、ただのブロッコリーだった。
佐野だって、悪い奴ではないのだ。いつだって、俺の味方でいてくれることは確かだった。昔から、何かと気にかけてくれている。そうでなければ、友達なんて続けられていなかっただろう。
「俺、ストレスとか感じないタイプだから、何があっても大丈夫なんだよ。佐野と違ってちゃんと野菜も食ってるし」
「野菜食ったら、ストレスに強くなんのか?」
「うーん、たぶん」
「まじかよ」
佐野は白米をかきこんだ。俺のアドバイスなんて、聞いているようで聞いていない。「日本人は米だな」なんて言う奴を見て、俺は「そうだな」と生返事をした。
「えー! そうなの?」
「そうそう、それでね――」
教室の隅で楽しく談笑する女子たちの輪の中心には、光り輝く紀ノ川莉子がいた。向けられる大勢の眼差しに気付いていないわけもないだろうが、もう慣れているのだろう。
ふわふわとしたピンク色の視線が集中する中、一つ、気色の異なる視線があった。佐野だ。
俺の目の前で箸を持ち、じっと教室の隅を見つめる佐野の表情は、硬い。紀ノ川さんを見つめているのは確かだが、そこには目の保養という目的はないのだ。ただ、観察している。興味がある。そこに恋情や憧れはないのだ。確かにそう思って佐野を見ていると、野鳥の観察的な真摯さ、真面目さが見て取れた。
「おーい。固まってるぞ」
肘で突いてやれば、佐野はやっと瞬きをした。一度に二つのことは出来ない奴なのだ。
「あんまり気味悪い目で見てたら、苦情が来るぞ」
「俺に? まさか。この佐野陸に苦情なんて、少なくとも女子からはないだろ」
「自信満々だな」
「まあな。ただ、紀ノ川さんはちょっと分かんねーけど」
「紀ノ川さんは誰にだって苦情なんて言わないだろ」
佐野は、乱暴に弁当箱へ箸を突っ込んだ。佐野の弁当箱は二段になっていて、一段目は白米、二段目におかずが入っている。その中身といえば、コロッケに麻婆春雨、大学芋等々だ。全体的に茶色っぽく、曰くほとんどが冷凍食品なのだそうだ。唯一の緑であるブロッコリーは、隅で窮屈そうにしている。
「紀ノ川さんは、そんな聖人君子かねえ?」
「佐野は紀ノ川さんを愚弄する気か? ん?」
「愚弄なんてとんでもない。気味悪い目的で見てるわけでもないし、俺は至極真面目だ」
「じゃあ何の目的だよ」
「紀ノ川さんのオーラっつか、存在感? を、真似できないかと思ってるんだよな」
唐突に佐野は俺の卵焼きを奪い、勝手に噛み締め、「美味い」と心から賞賛してきた。代わりに俺の弁当箱に放り込んだのは、唯一の緑だ。
「は? 真似?」
初めて聞いた話に、俺はブロッコリーどころではなくなる。
「俺、人間全員からモテたいから」
「馬鹿なのか?」
「せっかくあんな人が近くにいるんだから、何か盗めないかと思ってな」
「馬鹿か?」
「泉井君よお、人のこと馬鹿馬鹿って、いくら何でも言い過ぎじゃね? その手作りきんぴらごぼうも食っていい?」
「止めとけ、それこそ茶色いだろ。どうせ食うなら別のおかず――じゃなくてだ。いったん馬鹿は撤回するからやっぱり食うな」
弁当箱を非難させ、考えることに集中する。向こうには、光り輝く紀ノ川莉子。目の前には、佐野。眉間に皺を寄せていると、佐野がぐいとそこを押した。
「押すな」
「えー? せっかくほぐしてやってんのに」
「ほぐさなくていい。ていうかその――真面目に言ってる?」
「俺は至極真面目だっつの」
「まじか」
呆れたという言葉が適切かどうかは分からない。とにかく俺は、呆れ切った。
「まじだ」
佐野は、冗談などを言っている様子ではなかった。本気で、紀ノ川さんを真似しようとしているのだ。俺は、諭すように佐野の肩を叩く。
「佐野は、モデルは出来たとしても、世界の佐野にはなれないだろ。でも、紀ノ川さんは世界の紀ノ川莉子になれる。そういう違いがあるんだよ。いくら頑張っても出来ないことって、俺はあると思ってる」
「悲観的な奴だな、泉井は。知ってたけど。そういうところ好きだけど」
「佐野は、もっと別の方向の努力をしたらいいと思うよ俺は」
「今日はやけに優しいな。何だよ、俺はそんなに無謀なことを言ってるつもりはないんだよ。ただ、みんなに好かれたいんだ。八方美人ってわけじゃなくて」
「話聞いてた? そんなの無理だろ」
「泉井は俺のこと好き?」
「は?」
突然の質問に、俺は顔を顰める。
「気持ち悪いこと訊くなよ」
「泉井が俺のこと好きって言ってくれたら諦める」
どうやら、これも冗談じゃないらしい。俺はしだいに面倒になってきて、適当な相槌を打った。
「じゃあ頑張れ。俺は草葉の陰から見守ってる」
「ひでえ! てか、それだと泉井死んでんじゃん!」
佐野は、大きな口を開けて笑っている。数人の女子たちがうっとり見つめているのが目に入って、俺は苦笑いをした。その中には、当然相川さんも含まれているが、ちらちらと紀ノ川さんの方も見ていた。至福のひと時と言わんばかりの顔である。相川さんはどうやら、顔が良い人間に弱いようだ。
紀ノ川さんをちらりと見てから、俺は弁当箱へと視線を戻す。いつの間にか増えているブロッコリーが、所在なさげに転がっていた。まあ、そうだよなあと同情する。佐野の考え方には賛同できないにしても、一部分くらいなら理解出来るのである。人に好かれたい、嫌われたくないというのは、俺も同じだ。ネガティブなことを排除して、平和的に生きていけるならそれに越したことはないし、穏やかな日々であればそれ以上のことはない。それに、誰かに好かれていると思うだけで、自信が持てる。気分も悪くない。そういうエネルギーは、日々の糧になる。実際俺は、弟からそういう熱を受け取っている。ふいにあいつの顔を思い出してしまって、顔に手を当てた。
あいつは、俺に憧れに似た感情を抱いているのだ。決して恋情とは違う、そういう男同士の関係だ。勘違いして勝手に悩んでいたことについては、何も語りたくなかった。あまりにも恥である。もともと、あんな将来有望ないたいけな中学生が、俺を恋愛相手として好きになることなんてあるはずがなかった。馬鹿みたいだ。自分の気持ちが分からなかった。まだまだ、整理も付いていない。
「泉井、どうした? やべー顔してる」
「どうせ俺は佐野と違ってやべー顔してるよ」
「お、ダーク泉井登場か。最近多いな。悩みか?」
「うるせー」
「思春期か?」
「うるせーっての!」
何が楽しいのか、佐野はけらけらと笑っている。昔からこういう奴なのである。女子の視線を少なからず集めていることを感じて、俺は顔を背けた。
「佐野は楽しそうで良いな」
「人生なんて楽しまなきゃ損だろ。泉井だって楽しそうじゃん」
「えー? そう見える?」
「今はダーク泉井だけど」
「俺には、俺のことがよく分からない」
「だろうな。最近の泉井、変だし。……まじで悩み事あるなら聞くけど」
佐野の声が、一段低くなった。一日の大半はふざけている佐野だが、たまにこんな顔をすることもある。ちらと目が合って、すぐに逸らされた。
「いや、そこまでは。大丈夫」
「そうか? 泉井は一人で抱え込みがちだから、心の友としてはちと心配な時がある」
「え。そう?」
すると佐野は、いつものように笑顔になった。
「ちょっとだけな。ほら、イケメンがイケメンなこと言うと、イケメンが倍増するだろ?」
「ごめん、イケメンが飽和してわけ分かんねえ」
ブロッコリーを口に放り込む。何の味もついていない、ただのブロッコリーだった。
佐野だって、悪い奴ではないのだ。いつだって、俺の味方でいてくれることは確かだった。昔から、何かと気にかけてくれている。そうでなければ、友達なんて続けられていなかっただろう。
「俺、ストレスとか感じないタイプだから、何があっても大丈夫なんだよ。佐野と違ってちゃんと野菜も食ってるし」
「野菜食ったら、ストレスに強くなんのか?」
「うーん、たぶん」
「まじかよ」
佐野は白米をかきこんだ。俺のアドバイスなんて、聞いているようで聞いていない。「日本人は米だな」なんて言う奴を見て、俺は「そうだな」と生返事をした。
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