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5000回は聞いた
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そんな歴史のある国だからこそなのか、浮気不倫に対する代償は決して軽くない。
下手すりゃ死すら生ぬるい地獄を生きながらに体験するなんてこともよくある話な訳で……
「その話をクリスタベラだって話してるはずだよな?例えラウラのガチトップオタで、男爵夫人の母さんに刃向かう結果になったとしてもラウラだけは私が守り抜くみたいな謎にケツイしてるような感じでも……」
「そうだね、ラウラに初めて会った時天使かと思ったとか恥ずかしげもなく声を大にして言える程のもはやキモオタかってぐらいのやつでも、さすがに話してるはず……そもそも、この国で生まれ育ってる時点で5000回は聞く話だし」←
「5000回は言い過ぎじゃね?せいぜい2500回だろ?」←
どっちもどっちなのだが、まあそれぐらい耳にタコができて治ったかと思ったらさらにタコができるぐらい、幾度となく聞かされる話なのだ。
それなのにこの所業……絶対におかしい。
「けど、別によくね?」
「は?」
「いやだって、どうせ私らこれから辺境へGotoすんだぜ?慰謝料払うのはラウラか、よくてオトンだろうし」
「……それもそうだな、下手に調べて巻き込まれるとかたまったもんじゃないしな……」
「そうそう、そういうのは当事者がやるべき事であって、そろそろ絶縁して辺境へGotoする私らには関係ない話」
「姉さん……それはつまり……」
「さっさと退散して辺境Goto準備しといた方がよっぽど有意義じゃね?って事よ……」
「姉さん……天才か?」←
「今更気づいたのかい?弟よ……」←
私とテオは顔を見合わせて、固く握手を交わした後、これからJapanese say syurabaと化すであろう会場を某国の蛇な方もいいセンスだと言ってくれるであろうと思えるぐらい高いスニーキングスキルを駆使し、時に弟を囮に使い、時に弟に囮にされながらも、私たちは協力し合い暖かい我が家(なお家族間の関係は絶対零度とする)に帰るのであった。
────────────
アルドリッジ邸に一足先に戻った私たちに邸にいた使用人たちは驚いてたけど、いつも通り仕事をこなしてくれた。
そんな使用人たちに入れてもらった紅茶を飲みながら、会場に残ったサラに連絡せねばと思い、私の使い魔その1であるワタリガラスのカイくんにサラ宛の手紙(ほぼメモ)を託し、サラからの返事を待ちつつ辺境へ行ったらどうするかを議論することにした。
「やっぱ、俺的には家庭菜園的な事は外せない気がするんだけど」
「そこでできた野菜使ってカフェでも開くんか?」
「それいいかも、古民家改装してカフェ開くとかロマンじゃん」
「隠居した老人もしくは脱サラ目指してる社会人か、まだお前10代だろうが。人生何度目だよ枯れすぎだろ」
「2度目だよ」←
「そういやそうだった……」←
「「HAHAHAHAHA!!」」←
「そういう姉さんは、何したいの?」
「星空とか野生動物、もしくはサラの観察」
「似たり寄った……待って、聞き捨てならない単語が聞こえたんだけど?」
「冗談だよ、半分は」
「半分本気なのかよ、怖ぇよ」
と、邸の使用人達からの生暖かい目を浴びながら適当にだべっていると、王宮の方角から見覚えのある影が見えた。
「あ、サラから返事来た」
「サラ姉なんて?」
ちょっと待て、と手紙の内容が気になって仕方ない様子のテオにご褒美が欲しいとバサバサカーカーうるさい使い魔その1:カイの世話をお願いして親友からの返事を確認した。
{親愛なる怠け者さんへ
貴方と弟さんが会場を人知れず去った後、結局あのアホ共は自分達がこの国において殺人と同等のことをしたと言うことを理解できていなかった様で、それについて説明するのにどのくらい時間を要したかわかる?
なんと5時間よ?5時間!!しかもやっと理解したかと思えば、貴方たちの妹さんは
「なんでこうなるのよ!私はこの世界のヒロインなのよ!?なんで悪役令嬢のサラ・ギーアスターよりも私が不幸になるのよ!?」
なんて意味不明な事言い出すし、元婚約者のアホは「ぼ、僕はこの女に騙されていたんだ!いや、もしかしたらこの女は僕に魅了の術を使っていたに違いない!だからサラ、僕のこと……見捨てないよな?」なんてすがりついて来るし……
それを見た貴方たちの妹で、私にとっては間女が
「はぁ?!アンタみたいなモブキャラ扱いされてるような雑魚攻略対象なんかに魅了の術ですって?!使うわけないじゃないもったいない!!アンタが単純すぎるのが悪いんじゃない!!私のせいにしないでくれる?」
って発言して、更に修羅場が悪化するし……
本当に貴方たちがいなかったのは残念だわ。
でもまぁ、結局あのアホ共にはしっかり慰謝料を払ってもらえる事にはなったけど……
問題はその後よ}
「……チッ……最悪だな……」
内容がほぼ愚痴で占められている親友からの報告に思わず舌打ちをしてしまう。
「どうしたの?」
私は何も言わず、手紙を乱暴にテオへ手渡し、ガシガシと頭を掻きむしりながらバルコニーの柵に思い切り自分の拳をぶつけた。
「あ、やべ……また壊した……」←
「また?ちゃんと直してね?」←
下手すりゃ死すら生ぬるい地獄を生きながらに体験するなんてこともよくある話な訳で……
「その話をクリスタベラだって話してるはずだよな?例えラウラのガチトップオタで、男爵夫人の母さんに刃向かう結果になったとしてもラウラだけは私が守り抜くみたいな謎にケツイしてるような感じでも……」
「そうだね、ラウラに初めて会った時天使かと思ったとか恥ずかしげもなく声を大にして言える程のもはやキモオタかってぐらいのやつでも、さすがに話してるはず……そもそも、この国で生まれ育ってる時点で5000回は聞く話だし」←
「5000回は言い過ぎじゃね?せいぜい2500回だろ?」←
どっちもどっちなのだが、まあそれぐらい耳にタコができて治ったかと思ったらさらにタコができるぐらい、幾度となく聞かされる話なのだ。
それなのにこの所業……絶対におかしい。
「けど、別によくね?」
「は?」
「いやだって、どうせ私らこれから辺境へGotoすんだぜ?慰謝料払うのはラウラか、よくてオトンだろうし」
「……それもそうだな、下手に調べて巻き込まれるとかたまったもんじゃないしな……」
「そうそう、そういうのは当事者がやるべき事であって、そろそろ絶縁して辺境へGotoする私らには関係ない話」
「姉さん……それはつまり……」
「さっさと退散して辺境Goto準備しといた方がよっぽど有意義じゃね?って事よ……」
「姉さん……天才か?」←
「今更気づいたのかい?弟よ……」←
私とテオは顔を見合わせて、固く握手を交わした後、これからJapanese say syurabaと化すであろう会場を某国の蛇な方もいいセンスだと言ってくれるであろうと思えるぐらい高いスニーキングスキルを駆使し、時に弟を囮に使い、時に弟に囮にされながらも、私たちは協力し合い暖かい我が家(なお家族間の関係は絶対零度とする)に帰るのであった。
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アルドリッジ邸に一足先に戻った私たちに邸にいた使用人たちは驚いてたけど、いつも通り仕事をこなしてくれた。
そんな使用人たちに入れてもらった紅茶を飲みながら、会場に残ったサラに連絡せねばと思い、私の使い魔その1であるワタリガラスのカイくんにサラ宛の手紙(ほぼメモ)を託し、サラからの返事を待ちつつ辺境へ行ったらどうするかを議論することにした。
「やっぱ、俺的には家庭菜園的な事は外せない気がするんだけど」
「そこでできた野菜使ってカフェでも開くんか?」
「それいいかも、古民家改装してカフェ開くとかロマンじゃん」
「隠居した老人もしくは脱サラ目指してる社会人か、まだお前10代だろうが。人生何度目だよ枯れすぎだろ」
「2度目だよ」←
「そういやそうだった……」←
「「HAHAHAHAHA!!」」←
「そういう姉さんは、何したいの?」
「星空とか野生動物、もしくはサラの観察」
「似たり寄った……待って、聞き捨てならない単語が聞こえたんだけど?」
「冗談だよ、半分は」
「半分本気なのかよ、怖ぇよ」
と、邸の使用人達からの生暖かい目を浴びながら適当にだべっていると、王宮の方角から見覚えのある影が見えた。
「あ、サラから返事来た」
「サラ姉なんて?」
ちょっと待て、と手紙の内容が気になって仕方ない様子のテオにご褒美が欲しいとバサバサカーカーうるさい使い魔その1:カイの世話をお願いして親友からの返事を確認した。
{親愛なる怠け者さんへ
貴方と弟さんが会場を人知れず去った後、結局あのアホ共は自分達がこの国において殺人と同等のことをしたと言うことを理解できていなかった様で、それについて説明するのにどのくらい時間を要したかわかる?
なんと5時間よ?5時間!!しかもやっと理解したかと思えば、貴方たちの妹さんは
「なんでこうなるのよ!私はこの世界のヒロインなのよ!?なんで悪役令嬢のサラ・ギーアスターよりも私が不幸になるのよ!?」
なんて意味不明な事言い出すし、元婚約者のアホは「ぼ、僕はこの女に騙されていたんだ!いや、もしかしたらこの女は僕に魅了の術を使っていたに違いない!だからサラ、僕のこと……見捨てないよな?」なんてすがりついて来るし……
それを見た貴方たちの妹で、私にとっては間女が
「はぁ?!アンタみたいなモブキャラ扱いされてるような雑魚攻略対象なんかに魅了の術ですって?!使うわけないじゃないもったいない!!アンタが単純すぎるのが悪いんじゃない!!私のせいにしないでくれる?」
って発言して、更に修羅場が悪化するし……
本当に貴方たちがいなかったのは残念だわ。
でもまぁ、結局あのアホ共にはしっかり慰謝料を払ってもらえる事にはなったけど……
問題はその後よ}
「……チッ……最悪だな……」
内容がほぼ愚痴で占められている親友からの報告に思わず舌打ちをしてしまう。
「どうしたの?」
私は何も言わず、手紙を乱暴にテオへ手渡し、ガシガシと頭を掻きむしりながらバルコニーの柵に思い切り自分の拳をぶつけた。
「あ、やべ……また壊した……」←
「また?ちゃんと直してね?」←
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