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全ての始まり-その2-
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さて、私と三つ年下の弟テオが転生者である事は先程のお話で十分理解していただけたであろう。
(ちなみに、先程のお話の最後の会話は私が7歳、テオが4歳の時の会話)
そんな転生者である私達は、ある事を決めた。
"絶対に面倒事を回避する"という事を……
先程の会話で、ある程度お分かりだろうが、私とテオは前世ヲタクという人種であった。
そりゃあもう、パソコンの中身など、漏洩した日には、墓から蘇ってデータを全てこの世から消し去り、二度と漏洩しないように元のデータがたっぷり入ったパソコン本体を海に沈めるぐらいやる、ヲタクであった。
そんなヲタクな私達姉弟は、とんでもなく面倒事が大嫌いな無気力姉弟(ご近所さん命名)でもあった。
それは異世界とて同じこと、転生した以上この世界で暮らしていくのは必須、そんなセカンドライフに前世でも嫌っていた面倒事が絡んでくるなど言語道断、という思考にたどり着くのは仕方の無い事だとわかって欲しい。
だがしかし、この世界は私達を放っておいてくれなかった。
それは私達が2度目の11歳と9歳を迎えてすぐの事だった。
「まさかこんなことになるなんて……」
「この世界の姉に面倒事が降りかかるなんてな……」
先程の話で、私が"実質的な長女"と言ったのには理由がある。
実は、アルドリッジ家にはラウラが来る直前に結婚して家を出た長女がいたのだ。
その人こそ社交界の華フランチェスカ·アルドリッジ(旧姓)、今はフランチェスカ·デロンシャン辺境伯夫人である、フラン姉様である。
そんなフラン姉様の身に降りかかった面倒事、それは"婚約破棄"しかもフラン姉様側に責任があると言う不当な婚約破棄であった。
当然の事ながら、父も母も烈火の如く激怒した。
だが、当の本人は両親の怒りを他人事かのように12歳歳上のデロンシャン辺境伯と恋に落ち、周りを巻き込む大恋愛に発展。
後に相手側から相当額の慰謝料を分捕り、元婚約者は家諸共没落、当の被害者フラン姉様はデロンシャン辺境伯と共に盛大な結婚式を挙げ、社交界の華は辺境の地へと旅立った。
「やっと終わった……」
「あんだけ大騒ぎが起こったんだ。もう流石に5年ぐらい静かになるんじゃね?」←
弟テオの予想虚しく、やっぱり世界は私達を放っておいてくれなかった。
私が12歳、テオが9歳の冬……私の7つ下、テオの4つ下、件の妹が我が家に仲間入りを果たしたのだった。
「なんでこうなるんだ……」
「確かマナー教え込めって言われたんだっけ?ドンマイ笑」
「他人事だと思いやがって」
「他人事だし」←
テオのこの発言にムカついた私は、鍛錬の時間にテオをボッコボコに叩きのめし、女騎士としての道を歩み始めるのだが、それはまた別の機会にでも話そう。
さて、いきなり出来た7つ年下の妹(仮)へのマナー講座だが、想像以上に遅遅として進まなかったのは言うまでもないだろう。
「……そういう訳で、男爵令嬢として恥ずかしくない程度のマナーを教えることになりました。アルドリッジ家が次女、リタ·アルドリッジよ」
「マナーなんて必要なのぉ?」
(必要だから教えるっつってんだろ)
「えぇ、嫁ぎ先や、旅行先、夜会やお茶会が多い貴族にとってマナーは必要不可欠なものよ」
私はそれはそれは懇切丁寧に、わかりやすーく説明した。
「ん~、いいや!いざと言う時は、お姉様や、お兄様が助けてくれるってパパも言ってたし!」
(パパ!?えっ、まって、父上の事パパって呼んでんの!?えっ、お前いくつ!?パパ呼びは流石に4歳ぐらいで卒業するのがセオリーでしょ?!)
「そう、わかった。でも、私もテオも忙しい身になるから、いつも一緒にいられるわけではなくなってしまうの、だから最低限は覚えてくれると私もテオも嬉しいわ」
(せめてティーカップの持ち方ぐらいは覚えとけや、堂々と手ぇ添えて飲みやがって……リンダ※のお茶が不味いとでも言いたいのか!?)
※私の侍女
ちらりと、後ろで待機するリンダを確認すると、怒りなのかプルプルと震えている様子が見て取れた。
(ほらぁ、リンダもお茶が不味いって言われてると思ってるから怒ってんじゃん……後でフォローするの私なんだけど……)
「あ~、ラウラ?ごめんなさいね、お茶を飲む時はティーカップに手を添えないで飲むの、手を添えると不味いと言っているのと同じことなのよ……お茶を淹れた人からするととっても気分が良くないから……」
「……ヒック……」
(うわぁ、めんどくせぇー!!!!)
「お姉様は、、、私の事……嫌いなの?」
(好きとか嫌いとか言う次元じゃねえから……)
なんとか弁明しようとしたら、飛んできました。
ラウラに付けられた侍女のクリスタベラ(私とテオは苦手な人物)
「まぁ、お嬢様!!いくら腹違いの妹だからといって、ラウラ様も立派なアルドリッジ家の一員なのですよ?!これは旦那様に報告しなければなりませんね!!」
キンキン 声でまくし立てるクリスタベラに、味方が来たとばかりに引っ付くラウラ……誰か助けてくれ~。
結局、授業などまともに進まず、最終的に父の判断で私はラウラと合わないからという理由でラウラのマナー講師から外された。
このことがきっかけでラウラがどんどん調子に乗り出した事は間違いないと思う。
「おつかれ」
「やっと解放された……」
「おう……まあでも、確かにアレはねえな……」
「ことある事に、"お姉様はラウラが嫌いなの云々~"ハッキリ言って欲しいなら言ってやろうか?嫌いだよ、この面倒事製造機!!」
「面倒事製造機wwwクッソピッタリじゃん!!www」
「はぁ……リンダ~、お茶淹れて~」
(ちなみに、先程のお話の最後の会話は私が7歳、テオが4歳の時の会話)
そんな転生者である私達は、ある事を決めた。
"絶対に面倒事を回避する"という事を……
先程の会話で、ある程度お分かりだろうが、私とテオは前世ヲタクという人種であった。
そりゃあもう、パソコンの中身など、漏洩した日には、墓から蘇ってデータを全てこの世から消し去り、二度と漏洩しないように元のデータがたっぷり入ったパソコン本体を海に沈めるぐらいやる、ヲタクであった。
そんなヲタクな私達姉弟は、とんでもなく面倒事が大嫌いな無気力姉弟(ご近所さん命名)でもあった。
それは異世界とて同じこと、転生した以上この世界で暮らしていくのは必須、そんなセカンドライフに前世でも嫌っていた面倒事が絡んでくるなど言語道断、という思考にたどり着くのは仕方の無い事だとわかって欲しい。
だがしかし、この世界は私達を放っておいてくれなかった。
それは私達が2度目の11歳と9歳を迎えてすぐの事だった。
「まさかこんなことになるなんて……」
「この世界の姉に面倒事が降りかかるなんてな……」
先程の話で、私が"実質的な長女"と言ったのには理由がある。
実は、アルドリッジ家にはラウラが来る直前に結婚して家を出た長女がいたのだ。
その人こそ社交界の華フランチェスカ·アルドリッジ(旧姓)、今はフランチェスカ·デロンシャン辺境伯夫人である、フラン姉様である。
そんなフラン姉様の身に降りかかった面倒事、それは"婚約破棄"しかもフラン姉様側に責任があると言う不当な婚約破棄であった。
当然の事ながら、父も母も烈火の如く激怒した。
だが、当の本人は両親の怒りを他人事かのように12歳歳上のデロンシャン辺境伯と恋に落ち、周りを巻き込む大恋愛に発展。
後に相手側から相当額の慰謝料を分捕り、元婚約者は家諸共没落、当の被害者フラン姉様はデロンシャン辺境伯と共に盛大な結婚式を挙げ、社交界の華は辺境の地へと旅立った。
「やっと終わった……」
「あんだけ大騒ぎが起こったんだ。もう流石に5年ぐらい静かになるんじゃね?」←
弟テオの予想虚しく、やっぱり世界は私達を放っておいてくれなかった。
私が12歳、テオが9歳の冬……私の7つ下、テオの4つ下、件の妹が我が家に仲間入りを果たしたのだった。
「なんでこうなるんだ……」
「確かマナー教え込めって言われたんだっけ?ドンマイ笑」
「他人事だと思いやがって」
「他人事だし」←
テオのこの発言にムカついた私は、鍛錬の時間にテオをボッコボコに叩きのめし、女騎士としての道を歩み始めるのだが、それはまた別の機会にでも話そう。
さて、いきなり出来た7つ年下の妹(仮)へのマナー講座だが、想像以上に遅遅として進まなかったのは言うまでもないだろう。
「……そういう訳で、男爵令嬢として恥ずかしくない程度のマナーを教えることになりました。アルドリッジ家が次女、リタ·アルドリッジよ」
「マナーなんて必要なのぉ?」
(必要だから教えるっつってんだろ)
「えぇ、嫁ぎ先や、旅行先、夜会やお茶会が多い貴族にとってマナーは必要不可欠なものよ」
私はそれはそれは懇切丁寧に、わかりやすーく説明した。
「ん~、いいや!いざと言う時は、お姉様や、お兄様が助けてくれるってパパも言ってたし!」
(パパ!?えっ、まって、父上の事パパって呼んでんの!?えっ、お前いくつ!?パパ呼びは流石に4歳ぐらいで卒業するのがセオリーでしょ?!)
「そう、わかった。でも、私もテオも忙しい身になるから、いつも一緒にいられるわけではなくなってしまうの、だから最低限は覚えてくれると私もテオも嬉しいわ」
(せめてティーカップの持ち方ぐらいは覚えとけや、堂々と手ぇ添えて飲みやがって……リンダ※のお茶が不味いとでも言いたいのか!?)
※私の侍女
ちらりと、後ろで待機するリンダを確認すると、怒りなのかプルプルと震えている様子が見て取れた。
(ほらぁ、リンダもお茶が不味いって言われてると思ってるから怒ってんじゃん……後でフォローするの私なんだけど……)
「あ~、ラウラ?ごめんなさいね、お茶を飲む時はティーカップに手を添えないで飲むの、手を添えると不味いと言っているのと同じことなのよ……お茶を淹れた人からするととっても気分が良くないから……」
「……ヒック……」
(うわぁ、めんどくせぇー!!!!)
「お姉様は、、、私の事……嫌いなの?」
(好きとか嫌いとか言う次元じゃねえから……)
なんとか弁明しようとしたら、飛んできました。
ラウラに付けられた侍女のクリスタベラ(私とテオは苦手な人物)
「まぁ、お嬢様!!いくら腹違いの妹だからといって、ラウラ様も立派なアルドリッジ家の一員なのですよ?!これは旦那様に報告しなければなりませんね!!」
キンキン 声でまくし立てるクリスタベラに、味方が来たとばかりに引っ付くラウラ……誰か助けてくれ~。
結局、授業などまともに進まず、最終的に父の判断で私はラウラと合わないからという理由でラウラのマナー講師から外された。
このことがきっかけでラウラがどんどん調子に乗り出した事は間違いないと思う。
「おつかれ」
「やっと解放された……」
「おう……まあでも、確かにアレはねえな……」
「ことある事に、"お姉様はラウラが嫌いなの云々~"ハッキリ言って欲しいなら言ってやろうか?嫌いだよ、この面倒事製造機!!」
「面倒事製造機wwwクッソピッタリじゃん!!www」
「はぁ……リンダ~、お茶淹れて~」
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