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チャプター【077】
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馬上の4人は、ゆっくりと城門の中へと入っていく。
口髭の門兵は、己の取った行動を恥じるかのように眉根をよせて眼を伏せている。
その口髭の門兵にコウザが眼をやり、
「なにも恥じることはねえよ。あんた、いままでで、いちばんの仕事をしたと思うぜ」
そう言って片方の口端に笑みを浮かべた。
4人は、城へとつづいている石畳を進んでいく。
敷地内を悠々と進みくる侵入者に気づいて、城の中から20人ほどの兵たちが躍り出てきた。
皆、門兵と同じように甲冑を身に着け、手に槍や剣、太刀を携えている。
「おう、おう。また民間人のお出ましかよ。いったい、どれだけの捨て駒を雇ってんだ?」
辟易したように、コウザが言った。
「そういう言いかたはよせ、コウザ」
紫門が窘める。
「なんだ? 俺は、事実を言っただけだぜ。って言うかよ。さっきもそうだが、ずいぶん偉そうじゃねえか、紫門よ。おめえ、いつから俺たちの主導者になったんだ?」
コウザは、紫門をぎろりと睨みつけた。
「そんなつもりはない」
「じゃあ、どんなつもりだってんだ。あ?」
コウザが凄む。
「やめなよ、コウザ!」
それまでずっと口を閉じていた白薙が、止めに入った。
「こんなときに、なにをやってんだよ。あんたには、時と場所を考える頭もないのかい!」
「だってよ」
「だってもへちまもあるかい! いいかげん、その口を閉じてな!」
「――――」
コウザは、しゅんとして閉口してしまった。
そんな侵入者のやり取りに、城の兵たちは出鼻を挫かれたかたちとなっていたが、
「きさまら、何者だ!」
その中のひとりが、ようやくそこでそう言った。
「わたしたちは、冬ノ洲の継ぐべき者」
紫門が答えると、兵たちは、門兵と同じ反応を示し、
「継ぐべき者が、なに用で参られたか」
やはり同じ問いを投げかけた。
「この城を陥落せしめるために来た」
紫門は、平然とそう口にした。
「なッ――」
それによって、兵たちのあいだに緊張が走った。
「きさまら、継ぐべき者を語る賊か!」
「なに! 俺たちが、継ぐべき者を語る賊だと! ざけんな、このやろう。そう思うなら、かかってきやがれ! この華炎槍で、まとめてあの世に送ってやらァ!」
コウザは右手で十文字槍を頭上に掲げると、ぐるぐると回した。
それを見て、兵たちは後退りした。
それでも兵の中のひとりが、勇んで持っている槍をコウザに向かって突いて出た。
「おう。根性のあるやつがいるじゃねえか! だが、命を縮めるだけだがなァ」
突き出された槍を、コウザが払う。
兵の槍は、柄の中央から先がすっぱりと切り落とされていた。
その兵は思わずをその場に腰を抜かしてへたり込んだ。
「なんだ。おめえの根性はその程度かよ」
へたり込んだ兵の眼前に、コウザは十文字槍を突きつけた。
兵は、ごくりと音を立てて生唾を呑みこんだ。
「他に向かって来るやつはいねえのか!」
コウザは兵たちを睥睨した。
兵たちは、完全に士気を失い、じりじりと後退していった。
と――
「継ぐべき者の方々とお見受けするが、我らが城にて、なにゆえの狼藉か!」
兵たちの後方から、そう言う声がした。
コウザが、その声の主へと眼を向けた。他の3人も同様に眼を向けている。
そこには、コウザたちとおなじ4人の男が立っていた。
その身に甲冑(かっちゅう)はつけていない。
4人ともに、黒のジャンパーに黒のパンツというラフな格好だった。
腰に剣や太刀を帯刀(たいとう)している。
その中で、いま声を発した男だけが、黒のベレー帽を被っていた。
「ようやく、出てきやがったか。やつら、護衛役だな。ようやく暴れられるってもんだぜ」
前方の4人を見据えてコウザが言った。
その4人が、やはり馬上の4人を見据えて歩を進めると、兵たちが左右へさっと分かれた。
そのあいだを、4人が歩みよってくる。
「馬上から見下ろしたままとは、継ぐべき者は礼儀を知らぬか」
ベレー帽の男が、馬上の4人を見据えて言った。
「礼儀だ? これからこの城を陥落(お)とすってのに、礼儀もクソもあるかよ!」
コウザがベレー帽の男を見下ろして言った。
「この城を陥落とす? これはまた、笑止。継ぐべき者とはいえ、たった四人でなにができるというのかな」
ベレー帽の男が皮肉をこめて言うと、他の3人は、見下したように唇をゆがめて笑った。
「なにが可笑しいんだ、てめえら! 俺たちゃあ、霊晶石に選ばれし継ぐべき者だぞ。てめえら警護役が何人かかってこようと、物の数じゃねえんだよ!」
コウザが言うと、
「クク、その言葉、そのままそっくり返そう」
ベレー帽の男が言った。
「300年以上前ならばいざ知らず、いまや継ぐべき者など、過去の遺物にすぎぬ」
「なに? 過去の遺物とは、継ぐべき者をずいぶんコケにしてくれるじゃねえか」
「真実を言ったまで」
「フン。警護役ふぜいが、継ぐべき者に並ぶと言うのか」
「並ぶ? これはまたも笑止なことを。我らには特質武具がある。継ぐべき者は、霊晶石に宿る式鬼あってこそ、その力を発揮するもの。しかし、その式鬼も、人を殺めることはできぬのだろう? となれば、特質武具を持つ我らのほうが力は上」
「ケッ、おめえのほうが、よほど笑わせるぜ。継ぐべき者よりも力が上とはぬかしやがる。特質武具なんてものに頼ってるてめえらに、継ぐべき者が劣るわけがねえだろうがよ。それにな、おめえは式鬼が人を殺めねえと思ってるらしいが、それは違うぞ。式鬼にとっては継ぐべき者がすべてなんだ。継ぐべき者が望むなら、人を殺るのも厭わねえんだよ。とは言え、てめえらを殺るのに、式鬼を頼る必要なんてねえがな」
「そうか。なるほど。ならば、試してみようではないか」
ベレー帽の男が不敵な笑みを浮かべた。
「おう。でかい口を利きやがる。後悔先に立たずってのを、あの世で思い知るんだな!」
コウザが十文字槍の刃先を天に向けて掲げた。
すると、その十文字の刃先が炎に包まれた。
その刃先を、ベレー帽の男の頭上からふり下す。
と、そのとき、横から羅紀が手を差し出して、それを止めた。
「なんだ、羅紀。なぜ止める!」
「わたしもちょっと、試してみたくなりましてね」
そう言いながら、羅紀はベレー帽の男に眼を向けていた。
「試す?」
「ええ。この者の言った特質武具とやらが、どれほどのものなのかをです。ですから、この者、わたしに譲ってはくれませんか」
羅紀の唇には、あるかなしかの微笑が浮いている。
「譲るもなにも、あんたがやりてえってんなら、俺はかまわねえよ。それに、あんたの力がどれほどのものか、この眼で見てみてえしな」
コウザは槍を引いた。
それと同時に刃先の炎が消えた。
「おい、待て。いま、この男の名を、なんと呼んだ!」
ベレー帽の男が、驚愕の顔で訊いた。
「おめえ、耳が遠いのか? 同じことを2度も言わせるなよ」
コウザが言う。
「まさか……、羅紀とは、闇の冥王、羅紀のことか」
「なんだよ。ちゃんと聴こえてるじゃねえか」
「どういうことだ、それは。継ぐべき者が4人とはおかしいと思っていたが、きさまら……、継ぐべき者でありながら、闇に魂を売ったか」
「やかましい! おのれの裡の闇に、どっぷりと嵌(はま)り切ったてめえらに言われたくはねえな」
コウザは、吐き棄てるように言った。
「問答無用! 闇に降ったとなれば、継ぐべき者とて容赦は――」
ベレー帽の男が中途で言葉を切った。
いや、そうではない。
ベレー帽の男は口をパクパクと動かしてはいるが、それが声にならないのだ。
それどころか、呼吸さえままならないようだった。
「そなたの相手は、このわたしなのですよ。無視をするとは、癪(しゃく)に障(さわ)りますね」
羅紀の右手が、ベレー帽に向いていた。
その手は空を鷲づかみするような形をとっている。
その指が、徐々に内側へと狭まる。
羅紀が腕をわずかに上げる。
すると、ベレー帽の男の身体が1メートルほど宙に浮いた。
口髭の門兵は、己の取った行動を恥じるかのように眉根をよせて眼を伏せている。
その口髭の門兵にコウザが眼をやり、
「なにも恥じることはねえよ。あんた、いままでで、いちばんの仕事をしたと思うぜ」
そう言って片方の口端に笑みを浮かべた。
4人は、城へとつづいている石畳を進んでいく。
敷地内を悠々と進みくる侵入者に気づいて、城の中から20人ほどの兵たちが躍り出てきた。
皆、門兵と同じように甲冑を身に着け、手に槍や剣、太刀を携えている。
「おう、おう。また民間人のお出ましかよ。いったい、どれだけの捨て駒を雇ってんだ?」
辟易したように、コウザが言った。
「そういう言いかたはよせ、コウザ」
紫門が窘める。
「なんだ? 俺は、事実を言っただけだぜ。って言うかよ。さっきもそうだが、ずいぶん偉そうじゃねえか、紫門よ。おめえ、いつから俺たちの主導者になったんだ?」
コウザは、紫門をぎろりと睨みつけた。
「そんなつもりはない」
「じゃあ、どんなつもりだってんだ。あ?」
コウザが凄む。
「やめなよ、コウザ!」
それまでずっと口を閉じていた白薙が、止めに入った。
「こんなときに、なにをやってんだよ。あんたには、時と場所を考える頭もないのかい!」
「だってよ」
「だってもへちまもあるかい! いいかげん、その口を閉じてな!」
「――――」
コウザは、しゅんとして閉口してしまった。
そんな侵入者のやり取りに、城の兵たちは出鼻を挫かれたかたちとなっていたが、
「きさまら、何者だ!」
その中のひとりが、ようやくそこでそう言った。
「わたしたちは、冬ノ洲の継ぐべき者」
紫門が答えると、兵たちは、門兵と同じ反応を示し、
「継ぐべき者が、なに用で参られたか」
やはり同じ問いを投げかけた。
「この城を陥落せしめるために来た」
紫門は、平然とそう口にした。
「なッ――」
それによって、兵たちのあいだに緊張が走った。
「きさまら、継ぐべき者を語る賊か!」
「なに! 俺たちが、継ぐべき者を語る賊だと! ざけんな、このやろう。そう思うなら、かかってきやがれ! この華炎槍で、まとめてあの世に送ってやらァ!」
コウザは右手で十文字槍を頭上に掲げると、ぐるぐると回した。
それを見て、兵たちは後退りした。
それでも兵の中のひとりが、勇んで持っている槍をコウザに向かって突いて出た。
「おう。根性のあるやつがいるじゃねえか! だが、命を縮めるだけだがなァ」
突き出された槍を、コウザが払う。
兵の槍は、柄の中央から先がすっぱりと切り落とされていた。
その兵は思わずをその場に腰を抜かしてへたり込んだ。
「なんだ。おめえの根性はその程度かよ」
へたり込んだ兵の眼前に、コウザは十文字槍を突きつけた。
兵は、ごくりと音を立てて生唾を呑みこんだ。
「他に向かって来るやつはいねえのか!」
コウザは兵たちを睥睨した。
兵たちは、完全に士気を失い、じりじりと後退していった。
と――
「継ぐべき者の方々とお見受けするが、我らが城にて、なにゆえの狼藉か!」
兵たちの後方から、そう言う声がした。
コウザが、その声の主へと眼を向けた。他の3人も同様に眼を向けている。
そこには、コウザたちとおなじ4人の男が立っていた。
その身に甲冑(かっちゅう)はつけていない。
4人ともに、黒のジャンパーに黒のパンツというラフな格好だった。
腰に剣や太刀を帯刀(たいとう)している。
その中で、いま声を発した男だけが、黒のベレー帽を被っていた。
「ようやく、出てきやがったか。やつら、護衛役だな。ようやく暴れられるってもんだぜ」
前方の4人を見据えてコウザが言った。
その4人が、やはり馬上の4人を見据えて歩を進めると、兵たちが左右へさっと分かれた。
そのあいだを、4人が歩みよってくる。
「馬上から見下ろしたままとは、継ぐべき者は礼儀を知らぬか」
ベレー帽の男が、馬上の4人を見据えて言った。
「礼儀だ? これからこの城を陥落(お)とすってのに、礼儀もクソもあるかよ!」
コウザがベレー帽の男を見下ろして言った。
「この城を陥落とす? これはまた、笑止。継ぐべき者とはいえ、たった四人でなにができるというのかな」
ベレー帽の男が皮肉をこめて言うと、他の3人は、見下したように唇をゆがめて笑った。
「なにが可笑しいんだ、てめえら! 俺たちゃあ、霊晶石に選ばれし継ぐべき者だぞ。てめえら警護役が何人かかってこようと、物の数じゃねえんだよ!」
コウザが言うと、
「クク、その言葉、そのままそっくり返そう」
ベレー帽の男が言った。
「300年以上前ならばいざ知らず、いまや継ぐべき者など、過去の遺物にすぎぬ」
「なに? 過去の遺物とは、継ぐべき者をずいぶんコケにしてくれるじゃねえか」
「真実を言ったまで」
「フン。警護役ふぜいが、継ぐべき者に並ぶと言うのか」
「並ぶ? これはまたも笑止なことを。我らには特質武具がある。継ぐべき者は、霊晶石に宿る式鬼あってこそ、その力を発揮するもの。しかし、その式鬼も、人を殺めることはできぬのだろう? となれば、特質武具を持つ我らのほうが力は上」
「ケッ、おめえのほうが、よほど笑わせるぜ。継ぐべき者よりも力が上とはぬかしやがる。特質武具なんてものに頼ってるてめえらに、継ぐべき者が劣るわけがねえだろうがよ。それにな、おめえは式鬼が人を殺めねえと思ってるらしいが、それは違うぞ。式鬼にとっては継ぐべき者がすべてなんだ。継ぐべき者が望むなら、人を殺るのも厭わねえんだよ。とは言え、てめえらを殺るのに、式鬼を頼る必要なんてねえがな」
「そうか。なるほど。ならば、試してみようではないか」
ベレー帽の男が不敵な笑みを浮かべた。
「おう。でかい口を利きやがる。後悔先に立たずってのを、あの世で思い知るんだな!」
コウザが十文字槍の刃先を天に向けて掲げた。
すると、その十文字の刃先が炎に包まれた。
その刃先を、ベレー帽の男の頭上からふり下す。
と、そのとき、横から羅紀が手を差し出して、それを止めた。
「なんだ、羅紀。なぜ止める!」
「わたしもちょっと、試してみたくなりましてね」
そう言いながら、羅紀はベレー帽の男に眼を向けていた。
「試す?」
「ええ。この者の言った特質武具とやらが、どれほどのものなのかをです。ですから、この者、わたしに譲ってはくれませんか」
羅紀の唇には、あるかなしかの微笑が浮いている。
「譲るもなにも、あんたがやりてえってんなら、俺はかまわねえよ。それに、あんたの力がどれほどのものか、この眼で見てみてえしな」
コウザは槍を引いた。
それと同時に刃先の炎が消えた。
「おい、待て。いま、この男の名を、なんと呼んだ!」
ベレー帽の男が、驚愕の顔で訊いた。
「おめえ、耳が遠いのか? 同じことを2度も言わせるなよ」
コウザが言う。
「まさか……、羅紀とは、闇の冥王、羅紀のことか」
「なんだよ。ちゃんと聴こえてるじゃねえか」
「どういうことだ、それは。継ぐべき者が4人とはおかしいと思っていたが、きさまら……、継ぐべき者でありながら、闇に魂を売ったか」
「やかましい! おのれの裡の闇に、どっぷりと嵌(はま)り切ったてめえらに言われたくはねえな」
コウザは、吐き棄てるように言った。
「問答無用! 闇に降ったとなれば、継ぐべき者とて容赦は――」
ベレー帽の男が中途で言葉を切った。
いや、そうではない。
ベレー帽の男は口をパクパクと動かしてはいるが、それが声にならないのだ。
それどころか、呼吸さえままならないようだった。
「そなたの相手は、このわたしなのですよ。無視をするとは、癪(しゃく)に障(さわ)りますね」
羅紀の右手が、ベレー帽に向いていた。
その手は空を鷲づかみするような形をとっている。
その指が、徐々に内側へと狭まる。
羅紀が腕をわずかに上げる。
すると、ベレー帽の男の身体が1メートルほど宙に浮いた。
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