里子の恋愛

星 陽月

文字の大きさ
上 下
17 / 69

【第17話】

しおりを挟む
 加速状態だけに許される引き伸ばされた時間の中で、世之介は手早く二人の賽博格に、状況を説明する。
「微小機械の暴走は、風祭のせいだ! 風祭の際限ない強さへの欲望が、微小機械の暴走に火を点けた!」
 助三郎は叫んだ。
「そうか! 風祭を倒さなければ微小機械の暴走は止まらない、という理屈か!」
 格乃進は疑問を投げかける。
「しかし、どうやって倒す? あいつは賽博格の身体に、世之介さんの〝伝説のガクラン〟の能力も加えているぞ。俺たちだけで、何とかできるのか?」
 世之介は自分の姿を立体映像で投射し、二人の動きに追随させつつ、答えた。
「俺は今、微小機械と直に交信できる状態になっている。だから、風祭の身体を覆っている微小機械に、俺の意識を同調させてみる! うまくいったら、あんたらが風祭を攻撃してくれ!」
 助三郎は仰天したような表情になった。
「そんなことして、大丈夫なのか?」
 世之介は、かぶりを振った。
「判らない……。しかし、他に方法はないんだ!」
 助三郎と格乃進は粛然とした表情になった。格乃進が強く頷き、口を開いた。
「よし、やってくれ! 俺たちは、いつでも攻撃できるよう、待機しているぞ!」
 二人に頷き返し、世之介は二体の巨大な怪物に意識を集中させた。
 巨大化した代償か、風祭は賽博格の加速能力を失っているようだった。
 一方、勝又勝の乗り込む【バンチョウ・ロボ】は、風祭の打撃を受け止め、校舎に叩きつけられ、今ようやく起き上がろうとしている。風祭は肘を引き、腰を落とし、第二の攻撃に移ろうとしている最中だった。
 世之介の視線が、風祭の巨体に向けられた。意識を投射し、風祭の巨体を形作る微小機械の群れに同調させる。
 世之介は意識同調サイコ・ダイブを敢行した!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

アルバートの屈辱

プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。 『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

じれったい夜の残像

ペコかな
恋愛
キャリアウーマンの美咲は、日々の忙しさに追われながらも、 ふとした瞬間に孤独を感じることが増えていた。 そんな彼女の前に、昔の恋人であり今は経営者として成功している涼介が突然現れる。 再会した涼介は、冷たく離れていったかつての面影とは違い、成熟しながらも情熱的な姿勢で美咲に接する。 再燃する恋心と、互いに抱える過去の傷が交錯する中で、 美咲は「じれったい」感情に翻弄される。

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

愛など初めからありませんが。

ましろ
恋愛
お金で売られるように嫁がされた。 お相手はバツイチ子持ちの伯爵32歳。 「君は子供の面倒だけ見てくれればいい」 「要するに貴方様は幸せ家族の演技をしろと仰るのですよね?ですが、子供達にその様な演技力はありますでしょうか?」 「……何を言っている?」 仕事一筋の鈍感不器用夫に嫁いだミッシェルの未来はいかに? ✻基本ゆるふわ設定。箸休め程度に楽しんでいただけると幸いです。

処理中です...