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【第43話】
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トオルの胸は痛みにつぶれた。
彼女を抱きしめることができない、いまのこの身が恨めしい。
彼女を受け止めることのできない、この身体が。
沈黙がふたりを圧し包む。
そのときだった。
天からとつぜん光が射してきた。
トオルはその光を見上げた。
もう迎えが来てしまった、そう思った。
待って。
まだ、彼女に別れを告げてないんだ。
その想いを無視するかのように、光はトオルの身体を包みこんだ。
せめてもう少しだけ。
そう願った。
それでも光は消えない。
だが、何かが違った。トオルの身体に異変が起きている。
(え、なに?……)
トオルの身体は、光に包まれながらみるみる大きくなっているのだった。
光が消え、すると、トオルは成人の身体へと変わっていた。
「カカッ。アンタ、なかなか男前じゃないか」
すぐそこにはザイールが立っていた。
「ザイール。君が、僕をこの姿に?」
「オレをだれだと思ってる。大天使ザイール様だぞ。特別のオプションだよ。ほら、なにしてる。残された時間はもうないんだぞ。ここはよ、女をガバッと抱きしめてだな、キスのひとつくらいするもんだろっての」
そう言うと、ザイールはスッと姿を消した。
トオルの視線の先に、しおれた朝子の肩がある。
その朝子の身体をトオルはうしろから抱きしめた。
「朝子」
朝子は一瞬、身体を緊張させたが、その声をすぐに理解した。
「透……」
抱きしめる透の腕を緩め、朝子はふり返った。
「透、その姿、どうして……?」
「天使がこの身体にしてくれた」
「前世の中で見た、あなただわ」
透の顔に朝子は手を触れる。
「うん」
「律子さんだった、私を愛した透」
「うん」
「そして、律子さんだった私が愛した透」
「うん、そうだよ」
「愛してる。いまでもあなたを」
「僕もさ。君だけを愛しつづけてきた」
「愛してる。これからも、ずっと、ずっと」
「愛してる。僕たちの愛は永遠だ」
「だれよりも、だれよりも、この世界であなただけを愛してる」
朝子の唇に、透は自分の唇を重ねた。
魂を交わし合うように、ふたりは唇を重ね合った。
そしてふたりの魂は肉体を離れ、重なり交じり合いながら天へと昇った。
どこまでも高く、空を越え、宇宙を越え、銀河を越え、ふたりの魂はひとつとなった。
光り耀く星となり、銀河となった。
それは、遥かなる永遠のようでもあり、ほんの刹那なときのようでもあった。
ふたりは唇を離した。
「いまのは、なんだったの?」
朝子は透を見つめる。その瞳の中には銀河が広がっていた。
「すべてさ。始まりであり終わりであり、そして僕たちだよ」
「よくはわからないけど、私たちはひとつということね」
「うん」
そこへまた、天からの光が射してきた。
透の身体が光に包まれていく。
彼も光となって耀きだす。
「行くのね」
「うん」
「また逢えるわ」
「僕はきっと、君を見つける」
「私もよ。私もきっと、あなたを見つけるわ」
透は微笑みの中でうなずく。
そして光となって、天へと消えていった。
彼女を抱きしめることができない、いまのこの身が恨めしい。
彼女を受け止めることのできない、この身体が。
沈黙がふたりを圧し包む。
そのときだった。
天からとつぜん光が射してきた。
トオルはその光を見上げた。
もう迎えが来てしまった、そう思った。
待って。
まだ、彼女に別れを告げてないんだ。
その想いを無視するかのように、光はトオルの身体を包みこんだ。
せめてもう少しだけ。
そう願った。
それでも光は消えない。
だが、何かが違った。トオルの身体に異変が起きている。
(え、なに?……)
トオルの身体は、光に包まれながらみるみる大きくなっているのだった。
光が消え、すると、トオルは成人の身体へと変わっていた。
「カカッ。アンタ、なかなか男前じゃないか」
すぐそこにはザイールが立っていた。
「ザイール。君が、僕をこの姿に?」
「オレをだれだと思ってる。大天使ザイール様だぞ。特別のオプションだよ。ほら、なにしてる。残された時間はもうないんだぞ。ここはよ、女をガバッと抱きしめてだな、キスのひとつくらいするもんだろっての」
そう言うと、ザイールはスッと姿を消した。
トオルの視線の先に、しおれた朝子の肩がある。
その朝子の身体をトオルはうしろから抱きしめた。
「朝子」
朝子は一瞬、身体を緊張させたが、その声をすぐに理解した。
「透……」
抱きしめる透の腕を緩め、朝子はふり返った。
「透、その姿、どうして……?」
「天使がこの身体にしてくれた」
「前世の中で見た、あなただわ」
透の顔に朝子は手を触れる。
「うん」
「律子さんだった、私を愛した透」
「うん」
「そして、律子さんだった私が愛した透」
「うん、そうだよ」
「愛してる。いまでもあなたを」
「僕もさ。君だけを愛しつづけてきた」
「愛してる。これからも、ずっと、ずっと」
「愛してる。僕たちの愛は永遠だ」
「だれよりも、だれよりも、この世界であなただけを愛してる」
朝子の唇に、透は自分の唇を重ねた。
魂を交わし合うように、ふたりは唇を重ね合った。
そしてふたりの魂は肉体を離れ、重なり交じり合いながら天へと昇った。
どこまでも高く、空を越え、宇宙を越え、銀河を越え、ふたりの魂はひとつとなった。
光り耀く星となり、銀河となった。
それは、遥かなる永遠のようでもあり、ほんの刹那なときのようでもあった。
ふたりは唇を離した。
「いまのは、なんだったの?」
朝子は透を見つめる。その瞳の中には銀河が広がっていた。
「すべてさ。始まりであり終わりであり、そして僕たちだよ」
「よくはわからないけど、私たちはひとつということね」
「うん」
そこへまた、天からの光が射してきた。
透の身体が光に包まれていく。
彼も光となって耀きだす。
「行くのね」
「うん」
「また逢えるわ」
「僕はきっと、君を見つける」
「私もよ。私もきっと、あなたを見つけるわ」
透は微笑みの中でうなずく。
そして光となって、天へと消えていった。
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