ロボット交際問題

めでんノベルチーム

文字の大きさ
上 下
1 / 1

ロボットとの交際を考える

しおりを挟む


ず、このテーマを論ずるに当たって

そもそも恋人の定義ていぎが何かについて考えなければならない。私が思うに少しか下劣げれつな話になるが、男女間の友情と恋人の違いとは、文字通り下心があるかどうかだと思う。この人との子孫を残したいかどうか、という生物学的に当然の想い、それすなわち恋であると。そして人が異性にかれ恋に落ちる要因は様々である。
容姿ようし、性格、立ち振る舞い、声などなど挙げていけばキリがない。そう考えると人間がロボットに恋をするのは、なんら不思議ふしぎではないように思える。何故なぜならロボットは容姿も性格も声も立ち振る舞い方も、使用者(ユーザー)によって自分好みにプログラムできるからである。
それがむなしいと感じるならば数万という人間のパーソナルデータを収集し、アトランダムに形成すればいい。それもまたロボットひいてはAI(人工知能)の良いところであると私は思う。
更に言えばオプションとして、ips細胞などを利用した人工卵子や精子などを付ければ、子供ができ恋人にとどまらず立派な家族にもなれるのではないだろうか。

しかし、ロボットを恋人として持たない理由の中に、人間と違って心が無いからと答える人が多くいる。だがこれは私からしてみるととても滑稽こっけいな話であると思う。
確かにロボットに心は無い。いくら科学が進化し、技術が進んでも心を作ることは未来永劫みらいえいごう出来ないだろう。

笑顔や涙、怒りや嫉妬しっと、そういった表情や感情だってプログラミングされたものに過ぎない。しかし人間も同じなのではないだろうか?
機械には心が無いという人、その人は本当に恋する人の心の内を完全に理解しているのだろうか?
自分のほおを伝ったその涙が本当に心によるものだという確証かくしょうがあるのだろうか?

実際、首をたてに強く振れる人はそう多くはないだろう。前述ぜんじゅつした通りロボットの感情はプログラムだ。しかしロボットはそれによって涙も流せるし笑顔にもなれる。
そこに人間とどんな差があるというのだろうか?
心というのは完全に理解できない、酷く抽象的ちゅうしょうてきなものだ。それにより人間は完全には互いを理解りかいできない。だがプログラミングされたロボットなら完全に相手のことを理解し、している言葉をかけてくれる。誰も傷つかない行動を取ってくれる。私にはそう思えて仕方がない。

心の有無うむ以外にもう一つ、ロボットを恋人に持つのに障害となってくるものがある。世間からの視線だ。自分の理想通りの異性が現れた時、人はそれを愛せずにはいられない。しかし自分の居場所がある人ほど、社会的な地位が立派である人ほど社会の目という自分の人生を一変させてしまう怪物を恐れ、理性という名のかせによりロボットとの交際に踏み切れない人たちが出てくるのは想像にかたくない。
だがそれは時間が解決してくれるのでは無いだろうか?
良い例がジャンクフードだ。今でこそ私達の生活の一部になっているが、昔はあんな得体の知れない化学薬品まみれの物を口にできるか!と、世間からは排他的はいたてきあつかいを受けていたというのを本や新聞で読んだり、テレビやニュースで見かけることも少なくない。

人間というのは順応性じゅんのうせいが高く、『慣れ』という属性を持った唯一の生き物だ。そしてこれは人間が必ずしも悪いというわけではなく社会という独特な世界観における、奇異きい風潮ふうちょうが関係していると思われるが、善悪ぜんあくは多少どうあれ大多数の人がしていることを正常、少数の人がしていることを異常と判断してしまう。

つまりロボット文明が進み、人間と交際できるようになった初期こそ社会からは冷たい目で見られるかもしれないが、時代とともにそれは少しずつ受け入れられ、そして社会の目が以前ほどきびしくないことに気づいた人々は、自分をおさえてくれていた理性が消え、ロボットを伴侶はんりょとして迎え始めるだろう。もっとも、単純に時代が進み、技術が進化し、人間と見分けがつかなくなるかもしれない。そうなると益々ますますロボットを恋人に持つ人が増えていくことだろう。

ロボットの増加と、容姿に人間との差異さいが無くなれば、自分が人間かロボットかどうなのかすらわからなくなってくるかもしれない。ロボットとの結婚や交際に反対運動をしていた団体のリーダー格がロボットだった、なんてオチになったりするかもしれない。そしてそんな事件は社会においての一般的なこととなるかもしれない。
大多数であるロボットとの交際が正常であり、今度は逆に人間同士が付き合っているのを異常とされるかもしれない。


これは私の完全な妄想ではあるが、人間と交際しているロボットは人間のあまりの精神的なひどさに嫌気いやけがさし、長い時間をかけロボットは恋愛対象を人間からロボットへと変えるのではないだろうか?
そしてロボット交際問題から長い年月をかけ人間は人間と、ロボットはロボットとそして、極小数ごくしょうすうが人間とロボットと、そんなディストピアめいた世界が私達の未来には待っているのかもしれない。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

子どもの心、大人の心

月澄狸
エッセイ・ノンフィクション
「意見」はいじめではない。正しいことは正しいんだ。……って、本当かなぁ。間違った正しさ、従う必要のない正しさを見極められるようになりたい。

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

個性(message from tarot 7)

よもぎ絵画店
エッセイ・ノンフィクション
メッセージ付き色鉛筆画です 文章はタロットカードを展開して創作しています

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

【アルファポリスで稼ぐ】新社会人が1年間で会社を辞めるために収益UPを目指してみた。

紫蘭
エッセイ・ノンフィクション
アルファポリスでの収益報告、どうやったら収益を上げられるのかの試行錯誤を日々アップします。 アルファポリスのインセンティブの仕組み。 ど素人がどの程度のポイントを貰えるのか。 どの新人賞に応募すればいいのか、各新人賞の詳細と傾向。 実際に新人賞に応募していくまでの過程。 春から新社会人。それなりに希望を持って入社式に向かったはずなのに、そうそうに向いてないことを自覚しました。学生時代から書くことが好きだったこともあり、いつでも仕事を辞められるように、まずはインセンティブのあるアルファポリスで小説とエッセイの投稿を始めて見ました。(そんなに甘いわけが無い)

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

「乳がんサバイバーのある日, 9年目の再発 ーそれでも僕は生きて行く!ー」

真人 ーMahitoー
エッセイ・ノンフィクション
真人-Mahito-(♀)です。 乳がんサバイバー9年目にして、再発しました。(ステージ4とかではない。取り敢えず、まだ、何とか) 凹みましたが、凹んでいる暇はなく生きて――生活して行かなければなりません。 右往左往しつつ、揺蕩う-たゆたう-とも沈まず――徒然書いていければ、と思い、アカウントを取ってエッセイを書かせて頂くことにしました。 (声に出していく-書く-こと-も、乗り越えて行く大事なプロセスだから)  僕自身が消化するためではある日記ですが、(今回再発なのですが)元々乳がんの中でも”小葉がん”という少々レアなタイプで情報が割と少ないのです。流れ流れて、必要としている誰かに”大丈夫だよ”、”しんどくないワケじゃないけれど、大丈夫、何とかなるよ”と届けばいい……とも願っています。

処理中です...