ハニードロップ

蜜柑大福

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おはよう

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ーーー

チュンチュンと鳥の囀りが聞こえて目を開ける。

薄暗い室内にカーテンから眩しい光が射していた。

もう、朝か……

いつもと変わらない部屋に、いつもと何も変わらず俺は眠っていた。

ベッドには俺しかいなくて、あれは夢だったのか…最近抜いてないし欲求不満だったのかなと思い起き上がる。

そして固まりそこから動けなかった。

冷や汗が出る、腰を酷使したように痛い。

昨日はバイトがなかったのに、なんで重労働のバイトみたいになってんだ?

しかもなんか尻の穴がヒリヒリする。

嘘だ、まさかあれは全部現実?

あの怖いくらい感じた快楽も河原のエロい息遣いも、俺が河原にヤられた事も全部…

声を出そうとしたら掠れた声しか出なくて喉が痛い。

それが、決定的だと思った。

ずっと寝てるわけにもいかず、痛い腰を支えながら歩く。

あの事が本当なら、河原がいる筈だ。

……河原は何処だ?

自室を出てリビングに向かうとコーヒーの良いにおいがした。

朝はいつもコーヒーを飲んでいたが、昨日の朝のコーヒーのにおいがそのまま残っていると思わなかった。

こぽこぽとお湯が沸騰する音が聞こえる。

コーヒーに釣られるようにリビングに入る。

キッチンには変装済みの河原がいた。

「なんだ起きたのか、まだ時間あるから寝とけ」

「…いや、二度寝とか怖すぎて無理」と言おうとしたら喉が痛くなり口を閉ざした。

昨晩はあんなに声を出したからな、思い出して顔を赤くする。

俺だけ意識しているみたいで、河原の普通の顔を見ると悔しかった。

俺も平気な顔を装って椅子に座り、インスタントコーヒーを淹れる河原を眺める。

手際いいけど、料理とか出来るのか?…結構様になりそう。

芸能人って言ってたし、もしかしたら料理番組に出てるのか?

料理番組は見ないからなぁ、それじゃあ知らないのも無理ないか。

河原は自分はコーヒーで俺には紅茶を淹れてくれた。

ホッとするいいにおいだ。

「喉にいいハーブティーだ、後これのど飴な…仕事上喉は大切にしてるから分けてやるよ」

俺の気遣いもしてくれる、女の子にモテる要素が多いな。

口が悪いのは、マイナスだと思うけど…

のど飴も貰いテーブルに向かい合い紅茶を口にする。

……美味しい。

だんだん喉も落ち着き「あ、あー」と声を出してみる、何とかなりそうだ。

河原は意外と優しい性格だよな、強引だと思ったら気遣ってくれて…シーツも身体も綺麗になっていた。

そう変わらない身長の俺を運ぶの大変だっただろうに文句の一つも言わない。

俺はただ寝ていただけだし、申し訳ない事もしてしまった。

だから俺もヤられた事に関して何も言わない、あれは合意だったしな。

「今日はちょっと帰りが遅くなるから」

「そっか、俺も学校終わったらバイトだから」

また紅茶を飲む。

喉を使う仕事、料理番組に出てるかと思ったがやっぱり違うかな。

芸能人ならだいたい喉を使うからいまいちまだ河原が何の芸能人か分からないけど、まぁこれから長い付き合いになるわけだし少しずつ知っていけばいい。

そういえば河原はVIP待遇なんだっけ、担任が言ってたな。

もしかして河原は校長の身内とか?あの、禿げたおっさんと河原が結び付かないな。

俺の視線に気付いた河原は不思議そうに見ていた。

外人と日本人のハーフと言われた方が納得する。

初対面の頃とは違い裸の付き合いをした仲だ、気軽に聞ける。

あれに比べたら、他の事なんてなんて事はない!

……これがもし、重い過去持ちだったから物凄く気まずいな。

「河原ってVIP待遇だけど校長の身内かなにかなのか?」

「……はぁ、やっぱりここでもか…身内じゃねぇ赤の他人だ、ただ両親が過保護で校長に頼んだんだろ、全部知ってもお前だけは態度変えるなよ」

本当に疲れたような顔で河原は言ってくるから頷いた。

前の学校でもいろいろと苦労していたんだな、と分かる。

河原が誰でも変わらないけど、言いたくない事なら無理に聞こうとも思わない。

俺は河原が自分から話してくれる日を待つ事にした。

紅茶を飲み終わり今度は俺が片付けると河原のカップも持ち台所に向かう。

ほとんど食堂で食べてるからあまり台所に立たないから新鮮だった。

まだ俺は寝間着だからさっさと制服に着替えようと食器を片し自室に向かった。

クローゼットに向かい、黒い制服を取り出し着替える。

そして机にずっと置いていたスマホに目がいった。
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