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美しい少年
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まっすぐ根暗くん?を見ると分かってくれたのか何なのか分からないがため息を吐かれた。
正直根暗くん?は嫌な奴かと思っていたが悩んで必死だったと思ったら不器用なだけかもしれない。
話してみないと分からないよな、転校生だし…不安もあったんだろう。
根暗くんの手を両手で包み込むように握ると驚いた顔でこちらを見ていた。
「……な、なんだよ」
「実は親父もお前と同じなんだ、お前はまだ若いんだから今から病院に行けば何とかなる!…多分」
そんなに悩んでいたのか、悪い事をしてしまったな。
俺はまだだから分からないが、同級生として秘密を守る事を誓おう。
真剣な眼差しで根暗くんを見つめると、根暗くんは驚いた顔をしていた。
その顔は一瞬で、すぐに不機嫌そうな顔に変わった。
なんでそんな顔をするんだ、別にバカにしているわけではない。
不思議に思いつつも、俺は必死に励ます言葉を探す。
この場合なんて言えば良いんだ?ストレートがいいのか!?
「……おいお前、何の話をしてる」
「いやだから、ハゲても大丈…ぶっ!!」
せっかく俺が慰めようとしていたのにいきなり根暗くんに肩を掴まれ押し倒された。
背中が痛い、何するんだ!と睨もうとしたら根暗くん?は倍以上に怒っているようで恐ろしい顔で睨んでいる。
顔がいいと怖さも倍増だなとブルブル震えながら思った。
ハゲているとは見た目では分からないが、傷んだ髪なら禿げる。
それともハゲって言い方が悪かったのか?…じゃあ髪の毛が抜け落ちて…とか言えばいいのか?
どっちにしろダメな気がする、若くてハゲたらそりゃああんな風に荒ぶるよな。
デリケートな話をどう言えばいいか分からない。
さすがにデリカシーがなかったかと反省した。
これからはその話題は禁止にしよう、墓場まで持っていく。
そう思っていたら、根暗くん?は目を細めていた。
「誰がハゲだ、ハゲてねぇよ」
「…え?じゃあなんでかつら」
「うるせぇな、黙れよ」
ただ質問しただけなのにうるせぇは酷い…と思っていたら美形な顔が近付いてきて唇に柔らかい感触がした。
いいにおいがする、男ってこんなにおいするんだっけ。
あれ……この感じ、前にも何処かであったような…
安心するような、それでいてずっと嗅いでいると頭がクラクラする。
この素顔なら覚えている筈なのに、なんで覚えていないんだ?
……ってか俺、男にキスされてないか!?意味が分からない!
自然にするから反応が遅れたが、すぐに抵抗した。
根暗くん?がいくら美形でも男とキスする性癖はねぇよ!
根暗くん?の肩を掴んで、離れようと押してみた。
根暗くん?を引き剥がそうとしているが全然ピクリとも動かない。
それだけではない、舌が侵入してきて目を見開いた。
キスとか、元カノとさえ舌なんて入れてなかったのに…
どうしたらいいのか分からず、されるがままで硬直した。
絡められ吸われ、根暗くん?は意外と経験あるのかど素人の俺の力が抜けるのは早かった。
また見た目に反して、キスが上手くねぇか!?
くちゅくちゅとやらしい音が教室に響き、抵抗の手はいつの間にかすがるように根暗くん?の腕に触れた。
引き剥がすための手ではなく、すがるように掴んだ。
なにかを掴んでいないと、すぐにでも崩れてしまいそうになる。
一瞬なんでここに来たのか忘れそうになる。
…忘れちゃいけないのに、頭がボーっとして働かなくなる。
好きでもない男にキスされて、身体が痺れてくる。
唇が離れて二人の息遣いが聞こえる、キスってこんなに激しいんだな…俺から彼女には無理だったかもしれない。
最後は俺の方からも舌を伸ばしていたが、無意識だ……多分。
根暗くん?は濡れた唇を舐めた、男の俺から見ても色気が凄くてドキドキと鼓動が早くなる。
さっきまで怒っていたのに、今の根暗くんの瞳は熱がありずっと見られたら溶けてしまいそうだった。
「あの時もそうだけど、お前って本当にキス好きだな」
「…?そんな事より紫乃に謝れよ」
「あ?…しのって誰だよ」
「俺の友達、お前が突き飛ばした」
やっと思い出したのか「あー」と棒読みで言われムッとした。
お前は何でもないのかもしれないが、紫乃は傷付いたんだぞ。
友達として、絶対に見過ごす事は出来ない。
顔が熱いけど、なんとか言いたい事が言えてホッと胸を撫で下ろした。
コイツのキスは何なんだ…頭がぐちゃぐちゃになって変になる。
もっともっとと貪欲になってしまう自分が怖かった。
俺は男にそんな気持ちを抱いた事も考えた事もなかった。
ダメだ、早くここから出ないと…未知なる扉を開きそうで怖い。
……普通に女の子が好きなんだ、今までだってこの学校に染まった事はない。
でも今押し倒されてるし、力が出ないのはなんでなんだ?
それに童貞には刺激が強すぎるんだよ、大人のキスが怖い。
前が反応してしまっていて、気付くなと心の中で祈る事しか出来ない。
「アイツが勝手に俺のに触ったから悪いんだよ、関わるなって言ったのに」
「はぁ?紫乃はお前と友達になりたくてなぁ」
「友達なんていらねぇよ…でもまぁ、前払いでご褒美くれんなら、謝ってもいいぜ」
うわ、すっげぇ俺様だな……前払いって何すりゃいいんだ?金は払わないぞ。
頬に触れられて、もうキスはしないと顔を逸らした。
根暗くん?は全く気にしていないのか、その手はどんどん下に向かっていた。
そして気付いていたのか、反応しているところを包み込むように触られた。
根暗くん?の笑う顔が、今では美しい悪魔のように思えた。
正直根暗くん?は嫌な奴かと思っていたが悩んで必死だったと思ったら不器用なだけかもしれない。
話してみないと分からないよな、転校生だし…不安もあったんだろう。
根暗くんの手を両手で包み込むように握ると驚いた顔でこちらを見ていた。
「……な、なんだよ」
「実は親父もお前と同じなんだ、お前はまだ若いんだから今から病院に行けば何とかなる!…多分」
そんなに悩んでいたのか、悪い事をしてしまったな。
俺はまだだから分からないが、同級生として秘密を守る事を誓おう。
真剣な眼差しで根暗くんを見つめると、根暗くんは驚いた顔をしていた。
その顔は一瞬で、すぐに不機嫌そうな顔に変わった。
なんでそんな顔をするんだ、別にバカにしているわけではない。
不思議に思いつつも、俺は必死に励ます言葉を探す。
この場合なんて言えば良いんだ?ストレートがいいのか!?
「……おいお前、何の話をしてる」
「いやだから、ハゲても大丈…ぶっ!!」
せっかく俺が慰めようとしていたのにいきなり根暗くんに肩を掴まれ押し倒された。
背中が痛い、何するんだ!と睨もうとしたら根暗くん?は倍以上に怒っているようで恐ろしい顔で睨んでいる。
顔がいいと怖さも倍増だなとブルブル震えながら思った。
ハゲているとは見た目では分からないが、傷んだ髪なら禿げる。
それともハゲって言い方が悪かったのか?…じゃあ髪の毛が抜け落ちて…とか言えばいいのか?
どっちにしろダメな気がする、若くてハゲたらそりゃああんな風に荒ぶるよな。
デリケートな話をどう言えばいいか分からない。
さすがにデリカシーがなかったかと反省した。
これからはその話題は禁止にしよう、墓場まで持っていく。
そう思っていたら、根暗くん?は目を細めていた。
「誰がハゲだ、ハゲてねぇよ」
「…え?じゃあなんでかつら」
「うるせぇな、黙れよ」
ただ質問しただけなのにうるせぇは酷い…と思っていたら美形な顔が近付いてきて唇に柔らかい感触がした。
いいにおいがする、男ってこんなにおいするんだっけ。
あれ……この感じ、前にも何処かであったような…
安心するような、それでいてずっと嗅いでいると頭がクラクラする。
この素顔なら覚えている筈なのに、なんで覚えていないんだ?
……ってか俺、男にキスされてないか!?意味が分からない!
自然にするから反応が遅れたが、すぐに抵抗した。
根暗くん?がいくら美形でも男とキスする性癖はねぇよ!
根暗くん?の肩を掴んで、離れようと押してみた。
根暗くん?を引き剥がそうとしているが全然ピクリとも動かない。
それだけではない、舌が侵入してきて目を見開いた。
キスとか、元カノとさえ舌なんて入れてなかったのに…
どうしたらいいのか分からず、されるがままで硬直した。
絡められ吸われ、根暗くん?は意外と経験あるのかど素人の俺の力が抜けるのは早かった。
また見た目に反して、キスが上手くねぇか!?
くちゅくちゅとやらしい音が教室に響き、抵抗の手はいつの間にかすがるように根暗くん?の腕に触れた。
引き剥がすための手ではなく、すがるように掴んだ。
なにかを掴んでいないと、すぐにでも崩れてしまいそうになる。
一瞬なんでここに来たのか忘れそうになる。
…忘れちゃいけないのに、頭がボーっとして働かなくなる。
好きでもない男にキスされて、身体が痺れてくる。
唇が離れて二人の息遣いが聞こえる、キスってこんなに激しいんだな…俺から彼女には無理だったかもしれない。
最後は俺の方からも舌を伸ばしていたが、無意識だ……多分。
根暗くん?は濡れた唇を舐めた、男の俺から見ても色気が凄くてドキドキと鼓動が早くなる。
さっきまで怒っていたのに、今の根暗くんの瞳は熱がありずっと見られたら溶けてしまいそうだった。
「あの時もそうだけど、お前って本当にキス好きだな」
「…?そんな事より紫乃に謝れよ」
「あ?…しのって誰だよ」
「俺の友達、お前が突き飛ばした」
やっと思い出したのか「あー」と棒読みで言われムッとした。
お前は何でもないのかもしれないが、紫乃は傷付いたんだぞ。
友達として、絶対に見過ごす事は出来ない。
顔が熱いけど、なんとか言いたい事が言えてホッと胸を撫で下ろした。
コイツのキスは何なんだ…頭がぐちゃぐちゃになって変になる。
もっともっとと貪欲になってしまう自分が怖かった。
俺は男にそんな気持ちを抱いた事も考えた事もなかった。
ダメだ、早くここから出ないと…未知なる扉を開きそうで怖い。
……普通に女の子が好きなんだ、今までだってこの学校に染まった事はない。
でも今押し倒されてるし、力が出ないのはなんでなんだ?
それに童貞には刺激が強すぎるんだよ、大人のキスが怖い。
前が反応してしまっていて、気付くなと心の中で祈る事しか出来ない。
「アイツが勝手に俺のに触ったから悪いんだよ、関わるなって言ったのに」
「はぁ?紫乃はお前と友達になりたくてなぁ」
「友達なんていらねぇよ…でもまぁ、前払いでご褒美くれんなら、謝ってもいいぜ」
うわ、すっげぇ俺様だな……前払いって何すりゃいいんだ?金は払わないぞ。
頬に触れられて、もうキスはしないと顔を逸らした。
根暗くん?は全く気にしていないのか、その手はどんどん下に向かっていた。
そして気付いていたのか、反応しているところを包み込むように触られた。
根暗くん?の笑う顔が、今では美しい悪魔のように思えた。
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