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始まり
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貯金箱に金が落ちる音が好きだ、預金通帳を見るのが楽しい。
お金は裏切らないし、いっぱいあって困る事はない…そんな俺は可笑しいのだろうか?
貯まった金は大切に少しずつ使っている、金を稼ぐのは好きだがあまり欲しいものがないから貯まる貯まる。
でもそれでいい、金が増えていくのが楽しいから…
いろんなバイトをして経験を重ねる事も大事だと思っている、就職にだって使える。
昨日のバイトは某テレビ局の雑用だった、テレビ局に就職するわけではないけど…
不定期だからか普通より時給がそれなりに高い…だから日給バイトばかりしている。
休みも自分で決められるから、それも魅力の一つだ。
いろんな仕事があって楽しいものだ、たまに日給ならではの特別なバイトもあるのが魅力だ。
学生が出来るバイト限定だけど種類が多い。
今日も求人雑誌片手にパラパラと捲っていると隣の席が空いてるからと隣に我が物顔で座っている友人は冷めた目でこちらを見ていた。
「よう、金の亡者くん今日もバイトか?」
「なんだがり勉くんか、残念だけど今日はバイトなし…この前荷物運びのバイトで腰痛めてさぁ」
「……お前はジジイかよ」
「もー、二人共喧嘩はだめだよ!」
眼鏡を掛けて難しい本ばかりを読んでいる友人その一の久我始。
俺と性格が正反対で、普段だったら友達にならないタイプだが高校に入学してからの長い付き合いだ。
いつもこうして言い合いをしているが、まぁじゃれてるようなものだ。
お互い本気で言い合っているわけではない、少なくとも俺はそうだ。
そして俺のマイエンジェルである友人その二の上条紫乃。
可愛くて癒し系で気配りも出来て優しい、まさに理想の女性。
見た目もふわふわな茶髪に大きな目に一切ケアもしていないのにモチモチプルプルな色白の肌をしている美少女だ。
しかし残念ながら男の子なんだ、女の子なら惚れていただろうが男の子だからただの目の保養だ。
やはりもったいない美貌という事で時々紫乃に写真を撮らせてもらって売りさばいている。
本人もノリノリで楽しんでいるから協力関係だ。
これが良い値で売れるから美味しい副業だ…学校内でこんな事をしても生活指導を受けた事がない。
教師も顧客だからなんだけどちょっと犯罪の気配がした。
別にエロい写真ではないけど、生徒の写真を買うってちょっとどうかと思う。
売っている俺が言うのも変なんだけどな。
だけどいつもいいところで始にバレて写真を没収されてしまうから始にバレないようにどう売ろうか常に考えている。
始は俺に手を出してきたから、手を乗せてみたら叩かれた……文系のくせに痛い。
「分かってんだろ、出せよ」
「俺はかつあげには屈しない!」
「いいから出せよ、紫乃の写真!!」
やはりまたバレたか、売り出す前だったからとても惜しい…現像代だってタダじゃないんだよ。
俺の写真にファンが沢山いる事は始も知っている筈なのに酷い事をする。
別に隠し撮りじゃないし、紫乃は意外と撮影にノリノリなんだけどな。
はぐらかしても始の事だから証拠があるから言っているのだろう。
ずっと押し問答しても仕方ないから素直に言う事を聞くが、写真を出す前にこれだけは言っておこう。
タダでやるのは不本意だ、俺だって商売人だからな。
始を見つめると始は驚いた顔をして俺を見ていた。
「始、友達価格だ…特別に千円で売ってやる」
「写真一枚五百円だったよな、友達価格倍じゃねーか!!いいから寄越せ」
始に頭を殴られた、文系のくせに暴力的だな。
いいだろ五百円でも、この学校ちょっとした成金が多いんだから……俺は頭がいいだけで入った庶民だけどな。
渋々カバンから写真が入った封筒を取り出すと横からぶん取られて中身を確認していた。
そんな怖い顔で調べなくても健全な写真しか撮ってねぇよ。
あーあ、あの写真今晩の始のおかずになるのかぁ…金払え。
まぁでもそんな写真必要ねぇだろうけどなと二人を見る。
紫乃が始の腕に絡み一緒に写真を見て「これなんて可愛く撮れてるでしょ」「あ、あぁ…」と会話をしていた。
紫乃と始は恋愛の意味で付き合っている、それは高校一年の時から友人の俺よりも長い…中学生からだと言う。
この学校はエスカレーター式だし、外部入学の俺の方が珍しいだろう…親に進められて特に行きたい高校もなかったから受けただけだけど…
そして男子校だ、つまり東西南北何処を見ても男しかいない。
だからか多くはないが同性カップルはそれなりに居て、一年も居れば俺だって慣れてくる…友人達がそうだし偏見はない。
恋愛は自由だし…誰と付き合おうが本人達がいいなら外部が口出す事ではない。
そこで半年前に別れた彼女の事を思い出してため息を吐いた。
今の俺がいるのはある意味彼女のおかげだろう。
彼女の事を思い出し辛い思いをしたくなくて始めたバイトが楽しくて、給料を貰う喜びを感じて今の金に執着する性格になった。
後悔はしていない、もう彼女に未練はないから…
「ったく、写真を売りたいなら自分のを売りゃあいいだろ…マイナーなファンがいるくせに」
「は?俺は可愛くねぇから売れねぇよ、こういうのは美少女顔の方がノーマルな野郎共に受けるんだよ」
「いや、案外お前だってノンケの奴に…」
「はーじーめー、そろそろ先生来ちゃうから席に戻ろう」
至近距離で始がジロジロ見てきたと思ったら、可愛く甘えて首を傾げた紫乃に引っ張られて席に戻った。
周りから見たら始が紫乃を独占したくて仕方ない感じだろうが、実際は紫乃の方が嫉妬深い。
そして始は紫乃を見た目で判断して勘違いしている。
俺にとって紫乃は天使だが始にとっては分からない。
なんせ始は紫乃を抱こうとしてるみたいだが、紫乃は始の尻を狙っている。
お金は裏切らないし、いっぱいあって困る事はない…そんな俺は可笑しいのだろうか?
貯まった金は大切に少しずつ使っている、金を稼ぐのは好きだがあまり欲しいものがないから貯まる貯まる。
でもそれでいい、金が増えていくのが楽しいから…
いろんなバイトをして経験を重ねる事も大事だと思っている、就職にだって使える。
昨日のバイトは某テレビ局の雑用だった、テレビ局に就職するわけではないけど…
不定期だからか普通より時給がそれなりに高い…だから日給バイトばかりしている。
休みも自分で決められるから、それも魅力の一つだ。
いろんな仕事があって楽しいものだ、たまに日給ならではの特別なバイトもあるのが魅力だ。
学生が出来るバイト限定だけど種類が多い。
今日も求人雑誌片手にパラパラと捲っていると隣の席が空いてるからと隣に我が物顔で座っている友人は冷めた目でこちらを見ていた。
「よう、金の亡者くん今日もバイトか?」
「なんだがり勉くんか、残念だけど今日はバイトなし…この前荷物運びのバイトで腰痛めてさぁ」
「……お前はジジイかよ」
「もー、二人共喧嘩はだめだよ!」
眼鏡を掛けて難しい本ばかりを読んでいる友人その一の久我始。
俺と性格が正反対で、普段だったら友達にならないタイプだが高校に入学してからの長い付き合いだ。
いつもこうして言い合いをしているが、まぁじゃれてるようなものだ。
お互い本気で言い合っているわけではない、少なくとも俺はそうだ。
そして俺のマイエンジェルである友人その二の上条紫乃。
可愛くて癒し系で気配りも出来て優しい、まさに理想の女性。
見た目もふわふわな茶髪に大きな目に一切ケアもしていないのにモチモチプルプルな色白の肌をしている美少女だ。
しかし残念ながら男の子なんだ、女の子なら惚れていただろうが男の子だからただの目の保養だ。
やはりもったいない美貌という事で時々紫乃に写真を撮らせてもらって売りさばいている。
本人もノリノリで楽しんでいるから協力関係だ。
これが良い値で売れるから美味しい副業だ…学校内でこんな事をしても生活指導を受けた事がない。
教師も顧客だからなんだけどちょっと犯罪の気配がした。
別にエロい写真ではないけど、生徒の写真を買うってちょっとどうかと思う。
売っている俺が言うのも変なんだけどな。
だけどいつもいいところで始にバレて写真を没収されてしまうから始にバレないようにどう売ろうか常に考えている。
始は俺に手を出してきたから、手を乗せてみたら叩かれた……文系のくせに痛い。
「分かってんだろ、出せよ」
「俺はかつあげには屈しない!」
「いいから出せよ、紫乃の写真!!」
やはりまたバレたか、売り出す前だったからとても惜しい…現像代だってタダじゃないんだよ。
俺の写真にファンが沢山いる事は始も知っている筈なのに酷い事をする。
別に隠し撮りじゃないし、紫乃は意外と撮影にノリノリなんだけどな。
はぐらかしても始の事だから証拠があるから言っているのだろう。
ずっと押し問答しても仕方ないから素直に言う事を聞くが、写真を出す前にこれだけは言っておこう。
タダでやるのは不本意だ、俺だって商売人だからな。
始を見つめると始は驚いた顔をして俺を見ていた。
「始、友達価格だ…特別に千円で売ってやる」
「写真一枚五百円だったよな、友達価格倍じゃねーか!!いいから寄越せ」
始に頭を殴られた、文系のくせに暴力的だな。
いいだろ五百円でも、この学校ちょっとした成金が多いんだから……俺は頭がいいだけで入った庶民だけどな。
渋々カバンから写真が入った封筒を取り出すと横からぶん取られて中身を確認していた。
そんな怖い顔で調べなくても健全な写真しか撮ってねぇよ。
あーあ、あの写真今晩の始のおかずになるのかぁ…金払え。
まぁでもそんな写真必要ねぇだろうけどなと二人を見る。
紫乃が始の腕に絡み一緒に写真を見て「これなんて可愛く撮れてるでしょ」「あ、あぁ…」と会話をしていた。
紫乃と始は恋愛の意味で付き合っている、それは高校一年の時から友人の俺よりも長い…中学生からだと言う。
この学校はエスカレーター式だし、外部入学の俺の方が珍しいだろう…親に進められて特に行きたい高校もなかったから受けただけだけど…
そして男子校だ、つまり東西南北何処を見ても男しかいない。
だからか多くはないが同性カップルはそれなりに居て、一年も居れば俺だって慣れてくる…友人達がそうだし偏見はない。
恋愛は自由だし…誰と付き合おうが本人達がいいなら外部が口出す事ではない。
そこで半年前に別れた彼女の事を思い出してため息を吐いた。
今の俺がいるのはある意味彼女のおかげだろう。
彼女の事を思い出し辛い思いをしたくなくて始めたバイトが楽しくて、給料を貰う喜びを感じて今の金に執着する性格になった。
後悔はしていない、もう彼女に未練はないから…
「ったく、写真を売りたいなら自分のを売りゃあいいだろ…マイナーなファンがいるくせに」
「は?俺は可愛くねぇから売れねぇよ、こういうのは美少女顔の方がノーマルな野郎共に受けるんだよ」
「いや、案外お前だってノンケの奴に…」
「はーじーめー、そろそろ先生来ちゃうから席に戻ろう」
至近距離で始がジロジロ見てきたと思ったら、可愛く甘えて首を傾げた紫乃に引っ張られて席に戻った。
周りから見たら始が紫乃を独占したくて仕方ない感じだろうが、実際は紫乃の方が嫉妬深い。
そして始は紫乃を見た目で判断して勘違いしている。
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なんせ始は紫乃を抱こうとしてるみたいだが、紫乃は始の尻を狙っている。
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