拝啓、お姉さまへ

一華

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第一章 4月

私の居場所 ★1★

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文芸部と写真部の合同誌
「憧れのあの人~神7~」を初めて手に取ることになったが、高校の部誌とは思えないほどの出来だ。
表紙はカラーで厚手の用紙を使用している。部誌の中で紹介される生徒が一堂に会した一枚の写真が使用されているのだ。
真ん中は昨年度の生徒会長である小鳥遊志奈さんが椅子に座り、それを囲むように6人の生徒が写っている。
流石に部誌の中に使用されている写真は白黒だが、それでも1人1人の写真とインタビュー、血液型や生年月日、家族構成に至るまでのちょっとしたパーソナルデータなども掲載されていて、ちょっとしたアイドル雑誌のような作りになっている。
昨年度の文化祭で、特別企画として受注販売した一品で、かなりの評判を呼んだらしい。
文芸部では部誌を見本として展示。
写真部では、文化祭の展示作品の一スペースで、部誌で使用した写真のカラー版を額縁に入れて飾り、かなりの集客だったというから、隙の無い企画だったと言える。
文芸部では、過去最高の発行部数となった一冊であり、そのため保存用として何冊かは部室で大切に保管されているのだ。

その部誌を昼休みの文芸部部室で、幸に招かれ、柚鈴は見ることになった。
文芸部部室で、部員の方々が昼食を取ることは殆どないため、鍵を持って来てくれた幸と2人きりである。
いつもは学食で昼食を取るが、この為に3時限目の休み時間に購買でパンと飲み物を買い、素早く食べてしまってから、部誌閲覧に至っている。

部誌の1ページ目に目次。
志奈さんは最終ページ。
「なんか、派手だね」
写真や見出しを見ながら、思わず言葉が漏れる。
全体写真にアップ写真、穏やかに微笑む志奈さんの写真に添えられた「全校生徒のお姉さま」の文字。

「すごいねぇ、なんか本当に凄い人なんだね」
「そうなんだろうね。なんだか違和感があるけど」
「そうなの?」
思わず本音が漏れると、幸は不思議そうに首を傾げた。
確かに最初から凄い生徒会長と志奈さんのことを知ればこういう反応になるのかも知れない。
「確かに志奈さんは美人だけど、なんかそんな風に憧れの対象とかじゃなくて」
部誌を見る限りでは、沢山の生徒の憧れを受けていた志奈さんは、とても遠い存在に思えだ。
「もう少し、近い人だったんだけどな」
一緒に住んでもいない、同じ学校に行っていたわけでもない私がこんなことを思うのはおかしいのかもしれないけど、部誌で見ている志奈さんはまるで他人の誰かのようだ。
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