拝啓、お姉さまへ

一華

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第一章 4月

お姉さまは有名人? ★3★

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「ごきげんよう。私は寮長の市原遥いちはらはるかです。3年生よ」
「あ、はじめまして。今度入学することになりました、小鳥遊柚鈴たかなしゆずです」

ごきげんよう?
その言葉にももちろん驚いたが、この変わった格好の人が寮長??

困惑を隠すように深々とお辞儀をする。
すると一瞬息を飲んだような間があった。なんだろうと顔を上げる瞬間に肩を軽く叩かれた。

「緊張しないで大丈夫よ。今、新入生のお部屋を一部屋ずつご挨拶に回っている所なの」
「そ、そうなんですか」
「それよりあなた、小鳥遊さんとおっしゃるの?」
「は、はい」
この春からの苗字ではあるが、小鳥遊には違いないので頷く。
それで気づいたが、もしかして苗字に驚いたのだろうか?
志奈さんも寮生活をしていたのだから、当然この市原寮長とも知り合いのはずだ。
珍しい苗字だし、気になったとしても確かに不思議ではない。
言った方が良いか迷っていると、市原寮長は質問を重ねた。

「小鳥遊さんは、遠方からいらっしゃったの?」
「あ、いえ。元々はここからも近い公立の中学で。春に引っ越ししたので、結果的にはすこし遠くなりましたけど」
「そう」
納得したような、釈然としないような表情をして、じぃっと顔を見つめられる。
これはやはり、苗字が珍しいから志奈さんとの関係性を勘ぐっているんだろうか?
とはいえ、当たり前ながら、柚鈴と志奈は全く似ていない。
顔を見れば、他人だと思われるだろう。
自分で思ってて、ちょっと悲しい。

志奈さんから特に口止めされなかったし、言ってもいいのかもしれない。
いや、どちらかと言えば、義理でも妹です!と名乗ることを喜びそうな気もする。
地味な義理の妹として珍しがられ、大変なのは私だけじゃないだろうか?
そう思うと、親の再婚話などの細かい話を自分からするのは気がすすまなくなってきた。

どうしたものかと、誤魔化すようにぎこちない愛想笑いをしていると。
はるか様!」
2人の会話に乱入するように。
どたばたとした足音でショートカットの女の子が走ってきた。
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