後宮にて、あなたを想う

じじ

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130 報告

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「そうか。あなたには迷惑をかけたな」

黄怜からことのあらましを聴き終えた皇帝は、そう告げた後表情をあらためた。

「州芳に事を訊さねばならぬな。」
「すでに奏輝に呼びに行かせております」

しれっと答えた黄怜をまじまじと見つめ苦笑する。

「あなたは仕事が早いな…それとも奏輝に行かせたい他の理由がおありなのか」

探るような問いかけを黄怜は柔らかな笑みでいなした。

「まさか。この件を報告すれば陛下が、州芳をお呼びになることなど火を見るより明らかでございます。お忙しい陛下のお手を煩わせるまでもないかと思っただけです」
「なるほど。では、そう言うことにしておこう。」

それ以上追求することもなく、皇帝は頷いた。
程なくして奏輝が州芳を伴ってきたことを告げた。

「陛下、黄怜様。州芳をお連れしました。」
「入れ」

俯いたまま州芳が入ってくるのを見て、黄怜は胸が痛んだ。まるで罪人のようだ。口止めしている以上奏輝は陛下に呼ばれている旨だけを伝えているのは分かっている。しかし、州芳の様子からは何を問われるかがすでに分かっているようでもあった。

「久しいな、州芳」

名前を呼ばれた瞬間、州芳は肩をびくりと震わせた。

「直接答えることを許す。私が今から問う内容に答えよ。よいな」
「はい…」
「私の前妃たちの出産を立ち会ったのは侍医とそなたの二人で間違いないか」
「はい」
「当時も確認したが、そなた達は我が妃にも子らにも、その当時出来うる最大限の処置を施した、その認識で違いはないか?」
「…」
「なぜ黙る?当時は是と答えていたはずだ」
「…」
「答えよ。問うているのは私だ。是でも否でも構わぬが沈黙は許さぬ」

いつにない皇帝の厳しい言葉に黄怜は、思わず怯えた表情で皇帝を見つめた。その様子に気づいた皇帝が、今度は幾分か柔らかな声音で州芳に尋ねる。

「答えられぬ理由があるのか」
「…」

口を閉ざしたままの州芳を見て溜め息を吐くと、皇帝は再び州芳に語りかけた。

「そなたはなぜ今ごろになって、このようなことが行われているのか不思議に思うか」
「いいえ」

その問いかけには確かな意志を持って答えた州芳に、皇帝は片眉をあげて尋ねた。

「なぜ私が過去のことを調べていると思う?」
「皇后様をはじめ、新しくお妃様方をお迎えになられたのです。今後お世継ぎを望まれる声が方々から上がるのは必須かと。その際、お妃様方が安心して妊娠そしてご出産できるように、とのお心遣いかと」

淀みなく答える州芳に、皇帝は苦笑いした。

「なるほど、あなたは本当に職務に忠実なようだ」

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