後宮にて、あなたを想う

じじ

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126 自責

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そこで言葉を切ると、ふっと嘲るような笑みを律佳は浮かべた。遠い日の自分の愚かしさを呪うようなその表情に黄怜は胸が痛くなる。
いったいどれほど律佳はこの日のことを思い出してはこの表情をしたのだろうか、と思わずにはいられないほどだ。

「抗える訳ありませんよね。そもそも紅霞は水月様や湖月様に抗えず虐められていた私を庇って標的になってしまったと言うのに…その紅霞を助けることも怖くてできなかった私は…責められる立場でありこそすれ、誰かを責めることなどできるはずもなかったのに…」

呪詛の如く続く自分自身を貶める律佳の言葉に黄怜が反論しようとした瞬間、律佳は続けた。

「だから、私はあの侍医女官…州芳殿になら殺されても良かったのです。これでやっと償える、と思ったのですから」

驚いて言葉を失う黄怜に律佳は続けた。

「紅霞が亡くなり程なくして、私も件の侍女も実家に返されました。いくら陳家の力が強かろうと、その娘が侍女を死に追いやったとあっては外聞が悪うございます。事情を知る私たちは固く口止めされた上で両親の元へ送り返されました。程なくして後宮入りの話が上がり…そこでは陛下の寵を競う者として湖月様と水月様と一緒になりました。お二人からの当たりは昔と変わらず強かったのですが…今度は守ってくださる方も大勢いてくださり、それなりに穏やかに過ごせていたのです。」
「ええ」
「その後出産に際して、立て続けに三人の妃方が亡くなり…私自身も妊娠していたため、死を恐れる気持ちがなかったと言えば嘘になります。ですが、どこかで私はこれでようやく楽になれる、とも思ったのです」
「もしや律佳様は…」
「ええ。私が死ぬべきだった。私の代わりを紅霞にさせてしまったのだ、そう思いながらずっと生きていました。
先ほど申し上げたとおり、私の出産は突然でした。その日駆けつけてくれた侍医女官の州芳は…紅霞に瓜二つでした…」
「まさか…」
「陣痛の辛さの中にありながらも、私はどうしても聞かずにはいられませんでした。あなたは紅霞と関係があるのか、と。」
「ええ」
「彼女は微笑んで教えてくれました。紅霞は自分の実姉だったと。」
「そんな…」
「その時、私は全て悟ったのです。彼女が湖月様と水月様とその御子方を手にかけたのだ、と。」
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