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本編【第二章】
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「申し訳ございません。外が少々騒がしいようです。状況を確認いたしますので、一緒に来てくださいますか」
動かず待っておけ、と言われると思っていた私は一瞬面食らう。
「ご一緒してもよろしいのですか。私がいれば足手まといになりませんか」
「いいえ。目の届く範囲であればカリーナ様お一人お守りすることくらい造作もございません。むしろお一人にして狙われるほうが危ないので。」
半歩後ろから付いてくるように言われ頷く。忙しなく何人もの使用人達が行き来するのを見て、私の胸に一抹の不安がよぎった。フォーゼム様はどうされたのだろう。その心配が顔に出ていたらしい。振り返ったエルシラ様に励ますように微笑まれた。程なくしてエルシラ様は一人の使用人をつかまえて、状況を聞き始めた。
「何かありましたの?」
「それが、私共も詳細は…」
「知っていることだけで構いません。こちらのカリーナ様はフォーゼム•バレール伯爵の婚約者でいらっしゃるのですが、先ほどから伯爵が見当たらないのです。あなた方が急がれている理由と無関係であれば、これ以上お引き留めしませんわ」
フォーゼム様の名前が出たところで明らかに相手の顔色が変わる。しかし相手の口から出てきた名前はフォーゼム様のものではなかった。
「バレール伯爵の婚約者のカリーナ様…ということはカレン•ダルラ様の姉君でいらっしゃいますか」
「え、ええ。」
私が頷くと、メイドは悲しみと安堵が入り混じったような複雑な表情をみせた。私とエルシラ様は意図が読み取れず、お互いに顔を見合わせる。
「カレンに何かあったの?」
その質問に直接答えず、メイドは感情を抑えた声で告げてきた。
「カリーナ様をお呼びしに参りました。フォーゼム様がお待ちですので、こちらへ。ご案内いたします。」
「あ、あの、フォーゼム様はご無事なのでしょうか」
私の問いかけに一拍置いて、メイドは答える。
「フォーゼム様は特にお変わりございません。」
「何がありましたの?」
再度重ねて問うたエルシラ様に観念したようにメイドは答えた。
「カレン様が暴漢に襲われたようでございます。その場でフォーゼム様が犯人を捕えられましたが…」
そして言い辛そうに目を伏せたまま続けた。
「カレン様は刺されて…そのまま息を引き取られたようでございます」
「え」
絶句した私に代わって、エルシラ様が尋ねる。
「その情報は確かでございますか」
「フォーゼム様が呼ばれた医師が確認しました。私もお側で聞いておりました。カリーナ様とお聞きするまでは、無用に言いふらす訳にも行かず、先ほどは失礼致しました。」
動かず待っておけ、と言われると思っていた私は一瞬面食らう。
「ご一緒してもよろしいのですか。私がいれば足手まといになりませんか」
「いいえ。目の届く範囲であればカリーナ様お一人お守りすることくらい造作もございません。むしろお一人にして狙われるほうが危ないので。」
半歩後ろから付いてくるように言われ頷く。忙しなく何人もの使用人達が行き来するのを見て、私の胸に一抹の不安がよぎった。フォーゼム様はどうされたのだろう。その心配が顔に出ていたらしい。振り返ったエルシラ様に励ますように微笑まれた。程なくしてエルシラ様は一人の使用人をつかまえて、状況を聞き始めた。
「何かありましたの?」
「それが、私共も詳細は…」
「知っていることだけで構いません。こちらのカリーナ様はフォーゼム•バレール伯爵の婚約者でいらっしゃるのですが、先ほどから伯爵が見当たらないのです。あなた方が急がれている理由と無関係であれば、これ以上お引き留めしませんわ」
フォーゼム様の名前が出たところで明らかに相手の顔色が変わる。しかし相手の口から出てきた名前はフォーゼム様のものではなかった。
「バレール伯爵の婚約者のカリーナ様…ということはカレン•ダルラ様の姉君でいらっしゃいますか」
「え、ええ。」
私が頷くと、メイドは悲しみと安堵が入り混じったような複雑な表情をみせた。私とエルシラ様は意図が読み取れず、お互いに顔を見合わせる。
「カレンに何かあったの?」
その質問に直接答えず、メイドは感情を抑えた声で告げてきた。
「カリーナ様をお呼びしに参りました。フォーゼム様がお待ちですので、こちらへ。ご案内いたします。」
「あ、あの、フォーゼム様はご無事なのでしょうか」
私の問いかけに一拍置いて、メイドは答える。
「フォーゼム様は特にお変わりございません。」
「何がありましたの?」
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そして言い辛そうに目を伏せたまま続けた。
「カレン様は刺されて…そのまま息を引き取られたようでございます」
「え」
絶句した私に代わって、エルシラ様が尋ねる。
「その情報は確かでございますか」
「フォーゼム様が呼ばれた医師が確認しました。私もお側で聞いておりました。カリーナ様とお聞きするまでは、無用に言いふらす訳にも行かず、先ほどは失礼致しました。」
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