【完結】悪女のなみだ

じじ

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本編【第二章】

2-40 カレン視点

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途端にフォーゼム様の周りの空気が冷える。

「カリーナに会える立場か?」

冷たい声で問われる。私は悠然と微笑んで答えた。

「妹が姉に会いたいというのは、それほど不思議なことではありませんが」
「黙れ。」
「ふふ。このドレスいかがですか。こんな色似合わないと思っていましたが、着てみるとカリーナみたいでしょう?」
「はっ。ドレスの色まで真似して何のつもりだ。」

その言葉を聞いた瞬間、私は胸を撫で下ろす。やはりカリーナはこれと近い色のドレスを着ているようだ。それなら、私の考えはきっと上手くいく。

「フォーゼム様。お願いがございます。私と少しの間だけ二人きりになっていただけませんか。」

思いっきり媚びた瞳で見上げると、吐き気を催しそうな顔をされる。だが、ここで引くわけにはいかない。

「それほどお時間は取らせません」
「たとえ短い間でもあなたと二人きりになるのは耐えられない」

吐き捨てるように言われる。ありのまま話す?だが、この様子ではきっとまともに取り合ってもらえない。
やはり…この方法しかない。

「今、二人きりになっていただければ、今後二度とお二人に関わらないと約束します。ですが、お断りなさるのであれば、今後一生、姉の側を纏わりつきます。」

燃える瞳で私を見た後フォーゼム様は、凍てつく声で確認した。

「今日を最後にカリーナの視界に入らない、ということだな」
「はい。もちろんパーティなどで顔も合わせません」
「…分かった。少し待て」

部屋の中のカリーナに状況を説明しているのだろう。しばらくするとフォーゼム様だけ出てきた。私は挑発するように尋ねる。

「あら、カリーナを一人で留守番させて大丈夫なのですか」

私の方を見もせずにフォーゼム様は淡々と答えた。

「問題ない。彼女は友人と一緒だ。」

どうやら、中にはもう一人人間がいたらしい。だが、女性貴族と一緒でもあまり安全さは変わらない気がする。そんな私の疑問を敏感に感じ取ったフォーゼム様が淡々と続けた。

「友人の女性は貴族だが、要人警護につく騎士でもある。武術も体術も私に引けをとらない。何を企んでるか知らないが、カリーナを私から引き離して害そうなどと思わない方が身のためだぞ」
 
なるほど、貴族位を持つ護衛か。考えたものだ。本人も招待客の一人なのだろう。要人警護ができる女性騎士などよく知り合いにいたものだ。

「ええ、肝に銘じておきます」

私はさらりと答えた。
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