【完結】悪女のなみだ

じじ

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本編【第二章】

2-33 カレン視点

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傲慢な口調のシュナイダー様にうんざりしてしまう。ついこの前まで声を聞くだけで華やいだ気持ちになれたのが嘘のようだ。私は冷たく告げた。

「気は変わらなくて結構です。」
「そうか。それならありがたい。」
「次のお相手でも見つかりましたか」

大して興味もなかったが、尋ねて欲しげな目で見られたので問うと、シュナイダー様は口の端を歪めて笑った。
美しい顔だと思っていたがその表情は醜さの方が勝る。そう思って私は自嘲した。きっとカリーナを貶めている時の私は、今の彼と全く同じ表情をしていたのだろう。

「カリーナ殿だ」
「え」

私が驚くと、再び嘲るような笑みを浮かべて答えた。

「カリーナ殿を口説き落とそうと思ってる」

あまりの馬鹿らしさに一瞬言葉を失う。

「正気ですか。お相手はフォーゼム様ですよ」

暗に勝ち目などないと言うと、彼はいたくコンプレックスを刺激されたようだ。

「はっ、馬鹿にしてるのか。兄より私の方が女性の心はよく分かっている。カリーナも真面目なだけでつまらぬ奴より、私の方が良いとすぐに気づくはずだ。」

自信満々に言われて呆れてしまう。

「カリーナはあなたのことを相手にしないでしょう。やめておいた方がいいと思いますが」
「カリーナ殿と君は仲が良くなかったんだろう?どうして彼女の考えが分かる?」

小馬鹿にしたように聞いてくるシュナイダー様に溜め息を吐いて答えた。

「あなたよりフォーゼム様の方が誰の目から見ても魅力的だからですよ。」
「兄のことが気になるのか?それなら私達であの二人の仲を割けばいい。兄は君にやるぞ?」
「勘違いしないでください。フォーゼム様を手に入れたいと言ってる訳ではありません。それにあの二人の邪魔もしないでください。」
「はっ、君もついこの前までカリーナ殿のことを疎ましがっていたのに、よくそんな口がきけるものだ。」
「自分勝手なのは承知の上です。ですが、あの二人の仲を邪魔するなら許さないですよ」
「君に指図される覚えはない」
「なら、さっさとお帰りください。婚約破棄は承知しましたし、これ以上私にご用などございませんでしょう?」

追い出すようにドアを手ずから開けてやる。ようやく分が悪いと悟ったシュナイダー様はそそくさと出ていった。
あの様子では明日のパーティに何か仕掛けてくるかもしれない。シュナイダー様から目を離さないようにしなくては…。そう思って自分の身勝手さに笑ってしまう。私とシュナイダー様は同じ穴のムジナだ。カリーナから見て私はシュナイダー様と同じ立場だと、それだけは自分の心に刻んで置かねば。

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