29 / 91
本編【第二章】
2-2
しおりを挟む年末年始。
私は実家に帰ることになった。
というか、何度断っても「帰ってこい」という父からの電話が絶えなかったため、帰らざるを得なかった。
正直、私は両親が嫌いだ。
そして…怖い。
"普通じゃない"から。
小学2年生になったばかりの私は
新しく買ってもらった白いスニーカーを履いて
近所の公園に遊びに来ていた。
いつもなら小さい子どもや、その母親が何人かいるのだが、今日は誰もいなかった。
1人、ブランコに座り、
買ってもらった新しい靴を眺める。
"ママ!私、このピンクの靴が欲しい!"
"アナタにはこっちのほうが似合うわ。パパもそう思うでしょう?"
"そうだな、白いほうにしなさい"
"私、白じゃなくてピンクのほうが…"
"白のほうが素敵よ、こっちにしましょう"
(私が欲しいと言ったものを
買ってくれることは、一度もなかった)
爪先から目線を少しずらすと、紫色の一輪の花が、小さく咲いているのが目に入った。
その花を摘み取り、家に持ち帰った。
"パパとママにプレゼントだよ!"
"……お花?"
"そうだよ!公園で摘んで来たの!"
"……汚いわ"
そう言うと母は、窓から花を投げ捨てた。
そして、父は
"公園ではちゃんと1人で遊んだか?いいな、友達なんか作るんじゃないぞ"
とだけ言って、書斎に向かって行った。
(私がプレゼントするものに
喜んでくれたことは、一度もなかった)
ただ、このくらいの対応であれば日常的だったし、
多少の寂しさはあったものの、両親を"嫌い"とまでは思わなかった。
しかし、ある出来事をきっかけに
私は両親に、極度の「恐怖心」と
「嫌悪感」を抱くことになる。
もう思い出すのはやめよう。
帰省の準備を終わらせなければならない。
私は、タンスの引き出しに手をかけた。
私は実家に帰ることになった。
というか、何度断っても「帰ってこい」という父からの電話が絶えなかったため、帰らざるを得なかった。
正直、私は両親が嫌いだ。
そして…怖い。
"普通じゃない"から。
小学2年生になったばかりの私は
新しく買ってもらった白いスニーカーを履いて
近所の公園に遊びに来ていた。
いつもなら小さい子どもや、その母親が何人かいるのだが、今日は誰もいなかった。
1人、ブランコに座り、
買ってもらった新しい靴を眺める。
"ママ!私、このピンクの靴が欲しい!"
"アナタにはこっちのほうが似合うわ。パパもそう思うでしょう?"
"そうだな、白いほうにしなさい"
"私、白じゃなくてピンクのほうが…"
"白のほうが素敵よ、こっちにしましょう"
(私が欲しいと言ったものを
買ってくれることは、一度もなかった)
爪先から目線を少しずらすと、紫色の一輪の花が、小さく咲いているのが目に入った。
その花を摘み取り、家に持ち帰った。
"パパとママにプレゼントだよ!"
"……お花?"
"そうだよ!公園で摘んで来たの!"
"……汚いわ"
そう言うと母は、窓から花を投げ捨てた。
そして、父は
"公園ではちゃんと1人で遊んだか?いいな、友達なんか作るんじゃないぞ"
とだけ言って、書斎に向かって行った。
(私がプレゼントするものに
喜んでくれたことは、一度もなかった)
ただ、このくらいの対応であれば日常的だったし、
多少の寂しさはあったものの、両親を"嫌い"とまでは思わなかった。
しかし、ある出来事をきっかけに
私は両親に、極度の「恐怖心」と
「嫌悪感」を抱くことになる。
もう思い出すのはやめよう。
帰省の準備を終わらせなければならない。
私は、タンスの引き出しに手をかけた。
23
お気に入りに追加
370
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されましたが、帝国皇女なので元婚約者は投獄します
けんゆう
ファンタジー
「お前のような下級貴族の養女など、もう不要だ!」
五年間、婚約者として尽くしてきたフィリップに、冷たく告げられたソフィア。
他の貴族たちからも嘲笑と罵倒を浴び、社交界から追放されかける。
だが、彼らは知らなかった――。
ソフィアは、ただの下級貴族の養女ではない。
そんな彼女の元に届いたのは、隣国からお兄様が、貿易利権を手土産にやってくる知らせ。
「フィリップ様、あなたが何を捨てたのかーー思い知らせて差し上げますわ!」
逆襲を決意し、華麗に着飾ってパーティーに乗り込んだソフィア。
「妹を侮辱しただと? 極刑にすべきはお前たちだ!」
ブチギレるお兄様。
貴族たちは青ざめ、王国は崩壊寸前!?
「ざまぁ」どころか 国家存亡の危機 に!?
果たしてソフィアはお兄様の暴走を止め、自由な未来を手に入れられるか?
「私の未来は、私が決めます!」
皇女の誇りをかけた逆転劇、ここに開幕!

【完結】政略結婚はお断り致します!
かまり
恋愛
公爵令嬢アイリスは、悪い噂が立つ4歳年上のカイル王子との婚約が嫌で逃げ出し、森の奥の小さな山小屋でひっそりと一人暮らしを始めて1年が経っていた。
ある日、そこに見知らぬ男性が傷を追ってやってくる。
その男性は何かよっぽどのことがあったのか記憶を無くしていた…
帰るところもわからないその男性と、1人暮らしが寂しかったアイリスは、その山小屋で共同生活を始め、急速に2人の距離は近づいていく。
一方、幼い頃にアイリスと交わした結婚の約束を胸に抱えたまま、長い間出征に出ることになったカイル王子は、帰ったら結婚しようと思っていたのに、
戦争から戻って婚約の話が決まる直前に、そんな約束をすっかり忘れたアイリスが婚約を嫌がって逃げてしまったと知らされる。
しかし、王子には嫌われている原因となっている噂の誤解を解いて気持ちを伝えられない理由があった。
山小屋の彼とアイリスはどうなるのか…
カイル王子はアイリスの誤解を解いて結婚できるのか…
アイリスは、本当に心から好きだと思える人と結婚することができるのか…
『公爵令嬢』と『王子』が、それぞれ背負わされた宿命から抗い、幸せを勝ち取っていくサクセスラブストーリー。

悪役令嬢ですが、ヒロインの恋を応援していたら婚約者に執着されています
窓辺ミナミ
ファンタジー
悪役令嬢の リディア・メイトランド に転生した私。
シナリオ通りなら、死ぬ運命。
だけど、ヒロインと騎士のストーリーが神エピソード! そのスチルを生で見たい!
騎士エンドを見学するべく、ヒロインの恋を応援します!
というわけで、私、悪役やりません!
来たるその日の為に、シナリオを改変し努力を重ねる日々。
あれれ、婚約者が何故か甘く見つめてきます……!
気付けば婚約者の王太子から溺愛されて……。
悪役令嬢だったはずのリディアと、彼女を愛してやまない執着系王子クリストファーの甘い恋物語。はじまりはじまり!
乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?
シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。
……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。

【完結】離婚しましょうね。だって貴方は貴族ですから
すだもみぢ
恋愛
伯爵のトーマスは「貴族なのだから」が口癖の夫。
伯爵家に嫁いできた、子爵家の娘のローデリアは結婚してから彼から貴族の心得なるものをみっちりと教わった。
「貴族の妻として夫を支えて、家のために働きなさい」
「貴族の妻として慎みある行動をとりなさい」
しかし俺は男だから何をしても許されると、彼自身は趣味に明け暮れ、いつしか滅多に帰ってこなくなる。
微笑んで、全てを受け入れて従ってきたローデリア。
ある日帰ってきた夫に、貞淑な妻はいつもの笑顔で切りだした。
「貴族ですから離婚しましょう。貴族ですから受け入れますよね?」
彼の望み通りに動いているはずの妻の無意識で無邪気な逆襲が始まる。
※意図的なスカッはありません。あくまでも本人は無意識でやってます。
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
罠にはめられた公爵令嬢~今度は私が報復する番です
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
ファンタジー
【私と私の家族の命を奪ったのは一体誰?】
私には婚約中の王子がいた。
ある夜のこと、内密で王子から城に呼び出されると、彼は見知らぬ女性と共に私を待ち受けていた。
そして突然告げられた一方的な婚約破棄。しかし二人の婚約は政略的なものであり、とてもでは無いが受け入れられるものではなかった。そこで婚約破棄の件は持ち帰らせてもらうことにしたその帰り道。突然馬車が襲われ、逃げる途中で私は滝に落下してしまう。
次に目覚めた場所は粗末な小屋の中で、私を助けたという青年が側にいた。そして彼の話で私は驚愕の事実を知ることになる。
目覚めた世界は10年後であり、家族は反逆罪で全員処刑されていた。更に驚くべきことに蘇った身体は全く別人の女性であった。
名前も素性も分からないこの身体で、自分と家族の命を奪った相手に必ず報復することに私は決めた――。
※他サイトでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる