7 / 16
ローズ=ワーレル リリー=カンファ
しおりを挟む
社交界で紅薔薇と呼ばれる私はワーレル公爵の第一子で、白百合と称される彼女はカンファ公爵の第一子だ。この国に二つしかない公爵家の跡取り娘。それが彼女と私だった。
政治的なものから始まり、果ては私たちの取り巻きにいたるまで何かにつけてできる二つの派閥のせいで、周りから彼女と私は犬猿の仲だと思われている。
しかし、実際はとても仲の良い親友だ。家族ぐるみの付き合いでお互いの家族とも仲がいい。ただ、王に次ぐ権力者である私たちの仲がいいことで、結託して何か企んでいるなどといらぬ誤解をされないように、互いの主催のパーティーには顔をあまり見せず、もし同じパーティに行ったとしても人前では話さないだけだ。
それはある日の午後だった。リリーが私のもとを訪ねてきた。
「こんにちは、ローズ。突然ごめんなさいね」
「ご機嫌よう、リリー。会えて嬉しいわ!急にどうしたの?」
リリーが突然訪れるのは珍しい。色白で儚い妖精のような繊細な美貌のこの親友は、しかし今日は頬を紅潮させていた。
珍しいと思い尋ねてみると、にっこり笑って答えた。
「恋人ができたの!」
「まあ!すてき。いつからのお付き合いなの?」
「2月くらい前かしら。カンファ領に戻っていた時に出会った方なのだけれど、とても素敵な方で…ローズにすぐ知らせたかったのだけれど、驚く顔を見たくて王都に戻ってくるまで我慢しちゃった!」
「あら、ありがとう!すてきね。今度紹介してくださる?」
リリーを射止めた男性はどのような方かしら、と私が思っているとリリーはニコニコしながら私を見つめた。
「どうしたの、リリー」
「ふふ、ローズも何か隠してるわね?いつもの女王様の笑みが消えてるわよ?」
そう、私はどちらかと言うときつい顔立ちで、ピンクゴールドの髪と相まって、よく女王のようだ、とこの親友から揶揄われる。
「あら、バレちゃった」
ペロッと舌を出して私は戯けた。
「実はね、リリーが帰ってきたら言おうと思ってたのだけれど、私も恋人ができたのよ!」
「まあ!いつから?ねえいつから?女王の親衛隊を泣かす男性はどなたかしら」
「私は1月前ね」
「私達、恋人ができる時期までそっくりなのね」
二人で楽しく笑いあって、そして、私は尋ねた。
「ねえ、あなたの恋人のお名前は?」
「やだ、ローズが先に言ってよ」
「それじゃあ、一緒に言いましょう!」
きゃあきゃあ言いながら二人で恋人の名前を同時に言う事にした。
「「アルフレッド=ビーガー」」
同じ言葉をハモったことに一瞬のちに、私も彼女も気づく。
「ねえ、ローズ。ビーガーって新興貴族のビーガー家?」
「ええ」
「絶対ないとわかってるけど聞かせて。私と彼が付き合ってるの知らなかったわよね」
問われて私は憤然と言い返した。
「当たり前でしょ。あいつがあなたと付き合ってるの知ってて私に声かけてきたら付き合うどころか殴り飛ばして、すぐあなたに伝えるわよ!」
「そうよね。ごめんなさい」
「いいえ、それよりリリー。このままだと悔しくない?」
「ええ、あんなやつもう要らないけど、この国で紅薔薇と白百合を敵に回したらどうなるか教えて差し上げましょう。」
「なら、今日このままここにいれる?」
「ええ大丈夫よ。なにかあるの?」
「午後からあいつがくるのよ。出会うのが楽しみね」
「ええ。私はバルコニーの部屋から見えない位置にいるわ。頃合い見計らって声をかけてくれる」
「いいわよ。それじゃあまずはランチでもしましょうか。」
「アルフレッド様がいらっしゃいました」
メイドのアンの声が響いて、私はリリーと頷きあった。
ガチャリと言う音と共にアルフレッドが現れた。私はにこやかに挨拶した。
「ようこそアルフレッド様。本当にお待ちしておりました」
「それは嬉しいな、紅薔薇の君にお待ちいただけるなんて。世の男性に恨まれそうだよ」
「まあ!アルフレッド様ったら。ところで前にお話ししてくださった婚約の件なのですが…」
「ああ。どうだろう?君に正式にプロポーズする栄誉を僕に与えてくれるだろうか」
「とても嬉しいのですが…心配ごとがございます」
「僕の爵位が低いことなら…すぐにでも不安を払拭させられると思うよ。手がけてる商売は上り調子だし、このまま行けば来年には伯爵位は貰えると思う。」
「ですが、その商売の主な取引先はカンファ公爵を筆頭とする向こうの派閥ではございませんか」
「ああ。だが、君との婚約がマイナスになることはないよ。向こうだって商品の質が良いからこそ、僕の仕入れた物を購入してくれているのだから。」
よく言う…私は呆れた。もちろんアルフレッドの仕入れたものが一級品なのは間違いないが、貴族にビーガー男爵の仕入れた品が人気を博したのはカンファ公爵やリリーの口添えがあったからに他ならない。
こいつも欲をかくにしても、私か彼女かどちらかだけにしておけばよかったものを。
思うに、貴族間に影響力を持つ、カンファ公爵家と王族に影響を与えられるワーレル公爵家のどちらも欲しかったのだろう。
まず、リリーを落として、次いで私を落とす。私が婚約を承知すれば、リリーとは別れる。
もちろん多少揉めることは想定しているだろうが、リリーと私はライバルだと思っているこいつのことだ。ライバルに恋人を取られたなどと恥ずかしくて、リリーが騒ぎ立てることはないと踏んでいる。だからカンファ派ともそのまま付き合い続けられる。
一方私が、婚約を断れば素知らぬ顔してリリーにプロポーズするのだろう。
「そう…」
「浮かない顔をしてどうしたんだい」
「いえ、あの…ごめんなさい。やっぱりあなたのことが信じきれなくて。出会ってすぐなのに婚約してもいいものなのか。カンファ公爵とも繋がりがあるのがどうしても心配で」
「そんな。君より愛しい人はいないよ。どうすれば信じてくれる?カンファ派と取引しなければ信じられるのか?それならここで一筆書くよ」
「でも、あなたの出世はカンファ派にかかっているんでしょう?」
「僕は0から男爵位を得たんだよ。大丈夫君のためならカンファ派に頼らずともできるよ」
「まあ!それならお願いします。カンファ派とは取引をしない旨書いてくださいますか」
「わかったよ…これでいいかい?」
「ええ…リリー、出てきて!これでいいかしら?」
「まあ!さすがローズね、ありがとう。これでカンファ派の貴族に大々的にビーガーの商品を取り扱えなくなった旨、告げられるわ。一方的な納品不履行だからあなたの信頼も地に落ちるわね、アルフレッド。」
「え。リリーなんで?」
訳がわからず、私とリリーの顔を交互に見るアルフレッドに、私はにこやかに種明かしをした。
「振興貴族のあなたはご存知なかったでしょうけど、私たち仲が良いの」
「え」
「びっくりしたわよ、ローズの恋人があなただって知って。」
「本当よね。うちもリリーのお家も、恋愛も結婚も自由にして良いって親だからうっかりあんたみたいのと付き合っちゃったじゃない」
「そうねぇ。私達、容姿も雰囲気も正反対だけど、男の趣味が最悪なところが似てるなんて嫌よね、ローズ」
「ええ。ビーガー男爵家はもう商売で身を立てることはできないでしょうけど…ねぇ、リリー私達傷ついたわよね?」
「とっても。他に傷つく女の子がいるなんて耐えられないわ」
私達二人の会話を聞いて呆然とするアルフレッドを見ながら私とリリーは続けた。
「とりあえず、紅薔薇派の女の子達にアルフレッドの所業は伝えておかなきゃ。騙されてたなんて恥ずかしいけれど、他の女の子が毒牙にかかるの見たくないもの」
「では、私は白百合派に伝えておくわ。大丈夫よ、ローズ。恥ずかしい思いは一緒にしましょう。あ、それとローズ。紅薔薇派のあなたの取り巻きの男性にも伝えておきなさいよ。こいつに逆恨みされたら怖いから。守ってもらいなさい。私もそうするわ」
「そうね。あらあら、あなたってば貴族のほとんどを敵に回すんじゃないかしら?大丈夫?」
顔面が蒼白になっているアルフレッドに私は優しく告げた。
「せっかく手に入れた男爵位。いつまで持つか見ものね。」
そこまで言って彼は、ようやく唇を振るわせながら私達に懇願してきた。
「お二人を欺くつもりなどなかったのです。お二人ともそれぞれに美しく…どうかお許しください。どうかこのことはお二人の胸のうちに秘めていただけませんか」
私と彼女は顔を見合わせたあと、優しくアルフレッドに対して微笑んだ。
「するわけないでしょう?あなたみたいなのに貴族を名乗られるだけでも虫唾が走るわ。だからあなたはね、もう要らないのよ」
完
政治的なものから始まり、果ては私たちの取り巻きにいたるまで何かにつけてできる二つの派閥のせいで、周りから彼女と私は犬猿の仲だと思われている。
しかし、実際はとても仲の良い親友だ。家族ぐるみの付き合いでお互いの家族とも仲がいい。ただ、王に次ぐ権力者である私たちの仲がいいことで、結託して何か企んでいるなどといらぬ誤解をされないように、互いの主催のパーティーには顔をあまり見せず、もし同じパーティに行ったとしても人前では話さないだけだ。
それはある日の午後だった。リリーが私のもとを訪ねてきた。
「こんにちは、ローズ。突然ごめんなさいね」
「ご機嫌よう、リリー。会えて嬉しいわ!急にどうしたの?」
リリーが突然訪れるのは珍しい。色白で儚い妖精のような繊細な美貌のこの親友は、しかし今日は頬を紅潮させていた。
珍しいと思い尋ねてみると、にっこり笑って答えた。
「恋人ができたの!」
「まあ!すてき。いつからのお付き合いなの?」
「2月くらい前かしら。カンファ領に戻っていた時に出会った方なのだけれど、とても素敵な方で…ローズにすぐ知らせたかったのだけれど、驚く顔を見たくて王都に戻ってくるまで我慢しちゃった!」
「あら、ありがとう!すてきね。今度紹介してくださる?」
リリーを射止めた男性はどのような方かしら、と私が思っているとリリーはニコニコしながら私を見つめた。
「どうしたの、リリー」
「ふふ、ローズも何か隠してるわね?いつもの女王様の笑みが消えてるわよ?」
そう、私はどちらかと言うときつい顔立ちで、ピンクゴールドの髪と相まって、よく女王のようだ、とこの親友から揶揄われる。
「あら、バレちゃった」
ペロッと舌を出して私は戯けた。
「実はね、リリーが帰ってきたら言おうと思ってたのだけれど、私も恋人ができたのよ!」
「まあ!いつから?ねえいつから?女王の親衛隊を泣かす男性はどなたかしら」
「私は1月前ね」
「私達、恋人ができる時期までそっくりなのね」
二人で楽しく笑いあって、そして、私は尋ねた。
「ねえ、あなたの恋人のお名前は?」
「やだ、ローズが先に言ってよ」
「それじゃあ、一緒に言いましょう!」
きゃあきゃあ言いながら二人で恋人の名前を同時に言う事にした。
「「アルフレッド=ビーガー」」
同じ言葉をハモったことに一瞬のちに、私も彼女も気づく。
「ねえ、ローズ。ビーガーって新興貴族のビーガー家?」
「ええ」
「絶対ないとわかってるけど聞かせて。私と彼が付き合ってるの知らなかったわよね」
問われて私は憤然と言い返した。
「当たり前でしょ。あいつがあなたと付き合ってるの知ってて私に声かけてきたら付き合うどころか殴り飛ばして、すぐあなたに伝えるわよ!」
「そうよね。ごめんなさい」
「いいえ、それよりリリー。このままだと悔しくない?」
「ええ、あんなやつもう要らないけど、この国で紅薔薇と白百合を敵に回したらどうなるか教えて差し上げましょう。」
「なら、今日このままここにいれる?」
「ええ大丈夫よ。なにかあるの?」
「午後からあいつがくるのよ。出会うのが楽しみね」
「ええ。私はバルコニーの部屋から見えない位置にいるわ。頃合い見計らって声をかけてくれる」
「いいわよ。それじゃあまずはランチでもしましょうか。」
「アルフレッド様がいらっしゃいました」
メイドのアンの声が響いて、私はリリーと頷きあった。
ガチャリと言う音と共にアルフレッドが現れた。私はにこやかに挨拶した。
「ようこそアルフレッド様。本当にお待ちしておりました」
「それは嬉しいな、紅薔薇の君にお待ちいただけるなんて。世の男性に恨まれそうだよ」
「まあ!アルフレッド様ったら。ところで前にお話ししてくださった婚約の件なのですが…」
「ああ。どうだろう?君に正式にプロポーズする栄誉を僕に与えてくれるだろうか」
「とても嬉しいのですが…心配ごとがございます」
「僕の爵位が低いことなら…すぐにでも不安を払拭させられると思うよ。手がけてる商売は上り調子だし、このまま行けば来年には伯爵位は貰えると思う。」
「ですが、その商売の主な取引先はカンファ公爵を筆頭とする向こうの派閥ではございませんか」
「ああ。だが、君との婚約がマイナスになることはないよ。向こうだって商品の質が良いからこそ、僕の仕入れた物を購入してくれているのだから。」
よく言う…私は呆れた。もちろんアルフレッドの仕入れたものが一級品なのは間違いないが、貴族にビーガー男爵の仕入れた品が人気を博したのはカンファ公爵やリリーの口添えがあったからに他ならない。
こいつも欲をかくにしても、私か彼女かどちらかだけにしておけばよかったものを。
思うに、貴族間に影響力を持つ、カンファ公爵家と王族に影響を与えられるワーレル公爵家のどちらも欲しかったのだろう。
まず、リリーを落として、次いで私を落とす。私が婚約を承知すれば、リリーとは別れる。
もちろん多少揉めることは想定しているだろうが、リリーと私はライバルだと思っているこいつのことだ。ライバルに恋人を取られたなどと恥ずかしくて、リリーが騒ぎ立てることはないと踏んでいる。だからカンファ派ともそのまま付き合い続けられる。
一方私が、婚約を断れば素知らぬ顔してリリーにプロポーズするのだろう。
「そう…」
「浮かない顔をしてどうしたんだい」
「いえ、あの…ごめんなさい。やっぱりあなたのことが信じきれなくて。出会ってすぐなのに婚約してもいいものなのか。カンファ公爵とも繋がりがあるのがどうしても心配で」
「そんな。君より愛しい人はいないよ。どうすれば信じてくれる?カンファ派と取引しなければ信じられるのか?それならここで一筆書くよ」
「でも、あなたの出世はカンファ派にかかっているんでしょう?」
「僕は0から男爵位を得たんだよ。大丈夫君のためならカンファ派に頼らずともできるよ」
「まあ!それならお願いします。カンファ派とは取引をしない旨書いてくださいますか」
「わかったよ…これでいいかい?」
「ええ…リリー、出てきて!これでいいかしら?」
「まあ!さすがローズね、ありがとう。これでカンファ派の貴族に大々的にビーガーの商品を取り扱えなくなった旨、告げられるわ。一方的な納品不履行だからあなたの信頼も地に落ちるわね、アルフレッド。」
「え。リリーなんで?」
訳がわからず、私とリリーの顔を交互に見るアルフレッドに、私はにこやかに種明かしをした。
「振興貴族のあなたはご存知なかったでしょうけど、私たち仲が良いの」
「え」
「びっくりしたわよ、ローズの恋人があなただって知って。」
「本当よね。うちもリリーのお家も、恋愛も結婚も自由にして良いって親だからうっかりあんたみたいのと付き合っちゃったじゃない」
「そうねぇ。私達、容姿も雰囲気も正反対だけど、男の趣味が最悪なところが似てるなんて嫌よね、ローズ」
「ええ。ビーガー男爵家はもう商売で身を立てることはできないでしょうけど…ねぇ、リリー私達傷ついたわよね?」
「とっても。他に傷つく女の子がいるなんて耐えられないわ」
私達二人の会話を聞いて呆然とするアルフレッドを見ながら私とリリーは続けた。
「とりあえず、紅薔薇派の女の子達にアルフレッドの所業は伝えておかなきゃ。騙されてたなんて恥ずかしいけれど、他の女の子が毒牙にかかるの見たくないもの」
「では、私は白百合派に伝えておくわ。大丈夫よ、ローズ。恥ずかしい思いは一緒にしましょう。あ、それとローズ。紅薔薇派のあなたの取り巻きの男性にも伝えておきなさいよ。こいつに逆恨みされたら怖いから。守ってもらいなさい。私もそうするわ」
「そうね。あらあら、あなたってば貴族のほとんどを敵に回すんじゃないかしら?大丈夫?」
顔面が蒼白になっているアルフレッドに私は優しく告げた。
「せっかく手に入れた男爵位。いつまで持つか見ものね。」
そこまで言って彼は、ようやく唇を振るわせながら私達に懇願してきた。
「お二人を欺くつもりなどなかったのです。お二人ともそれぞれに美しく…どうかお許しください。どうかこのことはお二人の胸のうちに秘めていただけませんか」
私と彼女は顔を見合わせたあと、優しくアルフレッドに対して微笑んだ。
「するわけないでしょう?あなたみたいなのに貴族を名乗られるだけでも虫唾が走るわ。だからあなたはね、もう要らないのよ」
完
21
お気に入りに追加
142
あなたにおすすめの小説
悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

純白の牢獄
ゆる
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」
華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。
王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。
そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。
レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。
「お願いだ……戻ってきてくれ……」
王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。
「もう遅いわ」
愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。
裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。
これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。

こんな人とは頼まれても婚約したくありません!
Mayoi
恋愛
ダミアンからの辛辣な一言で始まった縁談は、いきなり終わりに向かって進み始めた。
最初から望んでいないような態度に無理に婚約する必要はないと考えたジュディスは狙い通りに破談となった。
しかし、どうしてか妹のユーニスがダミアンとの縁談を望んでしまった。
不幸な結末が予想できたが、それもユーニスの選んだこと。
ジュディスは妹の行く末を見守りつつ、自分の幸せを求めた。
ヒロインは辞退したいと思います。
三谷朱花
恋愛
リヴィアはソニエール男爵の庶子だった。15歳からファルギエール学園に入学し、第二王子のマクシム様との交流が始まり、そして、マクシム様の婚約者であるアンリエット様からいじめを受けるようになった……。
「あれ?アンリエット様の言ってることってまともじゃない?あれ?……どうして私、『ファルギエール学園の恋と魔法の花』のヒロインに転生してるんだっけ?」
前世の記憶を取り戻したリヴィアが、脱ヒロインを目指して四苦八苦する物語。
※アルファポリスのみの公開です。
婚姻契約には愛情は含まれていません。 旦那様には愛人がいるのですから十分でしょう?
すもも
恋愛
伯爵令嬢エーファの最も嫌いなものは善人……そう思っていた。
人を救う事に生き甲斐を感じていた両親が、陥った罠によって借金まみれとなった我が家。
これでは領民が冬を越せない!!
善良で善人で、人に尽くすのが好きな両親は何の迷いもなくこう言った。
『エーファ、君の結婚が決まったんだよ!! 君が嫁ぐなら、お金をくれるそうだ!! 領民のために尽くすのは領主として当然の事。 多くの命が救えるなんて最高の幸福だろう。 それに公爵家に嫁げばお前も幸福になるに違いない。 これは全員が幸福になれる機会なんだ、当然嫁いでくれるよな?』
と……。
そして、夫となる男の屋敷にいたのは……三人の愛人だった。

虚言癖の友人を娶るなら、お覚悟くださいね。
音爽(ネソウ)
恋愛
伯爵令嬢と平民娘の純粋だった友情は次第に歪み始めて……
大ぼら吹きの男と虚言癖がひどい女の末路
(よくある話です)
*久しぶりにHOTランキグに入りました。読んでくださった皆様ありがとうございます。
メガホン応援に感謝です。

【完結】最初からあなたは婚約対象外です
横居花琉
恋愛
王立学園へ通うことになった伯爵令嬢グレースに与えられた使命は良い婚約者を作ること。
それは貴族の子女として当然の考えであり、グレースは素直に受け入れた。
学園に入学したグレースは恋愛とは無関係に勉学に励んだ。
グレースには狙いがあったのだ。

私の愛すべきお嬢様の話です。
Ruhuna
恋愛
私はメアリー。シェリル・サマンサ・リース・ブリジット侯爵令嬢であるお嬢様に使える侍女でございます。
これは最近巷を騒がせている婚約破棄事件を侍女の目線からお話しさせて頂いた物語です。
*似たような話があるとは思いますが、関係はありません。
*誤字脱字、あるかと思いますがおおらかなお気持ちでお読み頂けると幸いです。
*ゆるふわ設定です。矛盾は沢山あるかと思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる