あなたのおかげで吹っ切れました〜私のお金目当てならお望み通りに。ただし利子付きです

じじ

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ベスはものの10分ほどで戻ってきた。

「あら、何か怪しまれてしまったかしら」
「それがあの、驚くほどすんなりと提案を受け入れられまして」

げんなりした表情で答えるベスを見てアリアナはパチンと手を打った。

「良かったわ。私がケイビス様と出会うことを怪しまれたらどうしようかと思ったの」

朗らかに答えるアリアナを見て、ベスはなんとも言えない表情をする。

「普通は恋愛感情を持っていないか、怪しまれないようにするものなのですが…」
「確かに。でも、彼が一番嫌なのは私の気持ちがケイビス様に向くことより、金銭的な部分で私がケイビス様に相談することのような気がするわ。無駄なプライドだけ高いから。それに、例え少しの間、私の興味がケイビス様に向いたとしても彼は気にも留めないと思うわよ。私は彼に惚れ込んでいると思ってるし、いつでもお金を出してくれると思い込んでるから。」
「でも、先ほどお嬢様がぴしゃりとおっしゃっていたではありませんか。家計はお嬢様に任せるように、と。」
「普通はあれで気づくわよね。でも、領地の名義、私に譲るってなった時に彼言ってたでしょう?僕たち夫婦の土地なんだから名義はどちらでも構わないよって」
「ああ、言ってましたね」
「私思わず口ついて出そうだったわ。僕たち夫婦の土地じゃなくて、これからは私の土地ですよ、って」
「言ってやればよろしかったですのに」

ベスの顔に、そう言ってくれればすっきりしたのに、と書いてあるようでアリアナは笑って答えた。

「そんなこと言ったら、いくらクレメント様でも私がもう恋心抱いてないって気づきそうじゃない?」
「そうでしょうか。強烈さで言うなら結婚式の赤いドレスの方がなかなか…」
「それはもういいじゃない。彼が馬鹿にした赤毛を印象づけたかっただけなの」

苦笑いしながら言い訳するアリアナをベスは穏やかに見つめる。

「まぁ、とりあえず話を戻すとね。そんな彼だから私が家計云々言ったところで気にもとめてないんでしょうね。ちょっと釘刺されたな、くらいにしか思ってないわよ。
それに結局私ならなんでも言うこと聞くとも思ってるでしょうし。
だから、彼にしたら私が関心をずっとクレメント様に向けている状態の方が鬱陶しいはずよ。」
「お嬢様…」
「それで、クレメント様は具体的になんて?」
「早速明日にでも、二人に挨拶の機会を与えようってうきうきされていました」
「苦労かけるわね、ベス。そっちはおまけみたいなものだから、嫌気がさしたらいつでもやめていいからね」

アリアナが申し訳なさそうに告げるとベスは天使の微笑みで答えた。

「ええ。お嬢様に這いつくばって許しを請うたらおやめします」
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