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第1章 転生少女の憂鬱

生まれてすぐに魔王を倒しちゃった

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「エリカ」

 金髪碧眼の女性が私に声をかけてきた。 この女性がきっと私のママだね。 彼女はとびきりの美人だから、 私の将来も 誰もが振り返る美女に成長することは間違いなさそうだね。
 キョロキョロと辺りを見回してみる。
 絢爛豪華とは言えない質素な造りの建物だね。ママの 顔色から察すると、 貧しくはなさそう。 中流家庭といったところだろうか。

 ・・・・・・お腹空いた。
  赤ちゃんのご飯といえばママの おっぱいだね。
 あむあむ。美味しい。
 羞恥心はないかって? そんなものでお腹は膨れないよ。

 お腹が満たされたところで、 私は自分がやるべき事を思い出した。
 魔法で魔王を 討ち滅ぼすんだっけ。ネクヒロの 呪文は全て暗記している。 魔王を一撃で倒すことができる魔法となると・・・・・・。
 レベルアップで覚えられる攻撃魔法では大ダメージは与えられるけど、 一撃で仕留めることはできないよね。隠し ダンジョンで手に入る最大 火力の魔法が使えれば、 魔王あっさりと葬り去ることができる。
 エセリアは私が 魔王を一撃で倒せると断言していたから、 魔法チートで ロストマジックまで 発動することができると思う。
 試しにやってみないとね。
 今の私は赤ちゃんだから詠唱は無理かな。魔法はイメージが大事だから、 心の中で 唱えても問題ないよね。


 
 深淵を切り裂く満月の閃光よ。
 光輝なる竜神よ。
 我と汝の契約に基づき、今ここに終焉の絶望と希望を解放する。
 さあ、見るがよい。神をも恐れる 強大な力の片鱗を。
 一部だけでも拝めることを光栄に思うが良い。
 刹那で 消え去ることができる慈悲を与えてやろう。



【 ドラゴニックメテオブラスト】!!!



 これで魔王を片付けられるはずだね。
 ん?
 私の体が光ってるんですけど!? どうなってるの?
 魔法を発動したエフェクトかな。地震まで発生している。建物崩壊の危険はないよね! 私の望みは平凡なスローライフなんだから、安全面は保証されてるはずだよね。もしも私の周辺で被害者が出たら、エセリアを絶対に許してあげない。邪心として語り継いであげるんだからね!

「エリカ!?」

 ママが私を抱き締めてくれる。光がママを傷付けることはなく、眩しいだけですんだようだ。
 怖かった。生まれて間もなくママを怪我させてしまったら、トラウマものだよ。魔王がいなくなっても心が平穏でいられなければ、私が望む生き方は夢のまた夢だ。
 強力な魔法を使えるのも考えものだね。魔法を楽しむつもりだったけど、これからは自重することを決意した。

 光が終息して、地震が収まった。ママは安堵の微笑を浮かべて、私に話かけてくる。でも、私は聞き取ることができない。こんなことなら、言語チートも選んでおけば良かった。
 勉強は好きではないけど、ママとお喋りしたいから、言葉を一生懸命覚えるね。
 魔法についても、コントロールする術を身に付ける必要がある。
 しなければいけないことが山積みだ。
 忙しくなりすぎて目が回る思いをしても本末転倒だから、のんびりまったりベイビーステップで進んでいくつもりだけどね。
 ふああ、何だか眠くなってきちゃった。それでは皆さん、お休みなさい。



 
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