悪役令嬢に転生したら、勇者に師匠扱いされました(;゜∇゜)

第２章、 私が正妃候補って、それなんて罰ゲーム！？

毒殺は犯罪だよ( ノД`)…

　私が攻略対象と仲良くしてどうする！
　ほら、 アンジェリカが困ったような表情をしているじゃないか。
いけないいけない。危うくフラグクラッシャーになるところだったよ。
　もう大丈夫だよ。 私はアンジェリカが 攻略していくのを、温かく見守っていくからね。
　にっこり。

｢...... エリスちゃん、不気味な目で見つめるのはやめてよ｣
｢ その辺のクレイジー令嬢と一緒にするな！｣

　私は温かく見守っているのであって、 獲物を狙っているような獰猛な目はしていない。 ないったらない！

｢ 二人は仲がいいんだね｣

　アルバートは私たちのやり取りを面白がっている。
　見世物じゃないぞ、この野郎！
不敬罪とやらになるらしいから、口に出しては言えないけどね。
　口は災いの元って言うから、黙っていよう。
　私がでしゃばると 、イベントが始まらないようだからね。

　......。
　............。
　...............。

　あれっ？
　おかしいな。ちっともイベントが始まらないよ。
　アンジェリカのことは攻略対象の3人に任せて、私はこっそり抜け出しちゃおうかな。
　でももし、 後でそのことがばれたら、ベルカナさんに折檻されてしまう。
　やっぱり、やめだやめだ。おとなしくしていよう。

　...... それにしても暇だ。何か面白いことないかな。
　あたりをキョロキョロと見渡してみても、面白いものなんて......。

｢いた！！｣
｢エリスちゃん、 奇声をあげちゃだめだよ｣

　思わず叫んでしまった私を、アンジェリカがとがめる。
　だけど、これは仕方がないことだ 。 彼女も理由を知れば、叫ばずにはいられないことだろう。

｢ 黄色い奇声中の お姉様方と一緒にしないでよ｣
｢で？ 今度はどんな騒動を巻き起こすの？｣
｢ 人をトラブルメーカーみたいに言わないでよ。...... 実は この中に 、毒殺犯がいるみたいなんだよね｣
｢ええ！？｣
｢ ほらやっぱり、アンジェリカも叫んじゃうじゃない｣
｢ だって、毒殺犯なんて本当なの？｣
｢ 本当だよ｣

　第２王子は 暗殺者を雇い、第一王子を毒殺しようとしている。
　毒はじわじわと 効いていくタイプで、これから2年間にかけて第一王子は殺されることになるのだ。

｢ 興味深いな。詳しく聞かせてくれ｣

　アンジェリカだけに聞かせるつもりが 、アルバートにも聞かれてしまっていた。

　アルバートのルートでは、第１王子を殺した第２王子の悪事を暴き、 勇者の功績を持って 国王となる。 勇者になれなかった時でも、勇者パーティーのメンバーとして国王として選ばれることになる。
　だけど、事前に毒殺を 防がれたら、第１王子が 国王陛下になるんだろうね。
　やらかしちゃったよ！
　気をつけてたのに、フラグクラッシャーになっちゃった。
　アンジェリカ、ごめんね。
　だけど、人の命には代えられないよね。
　仕方がない。私はアルバートに、毒殺の詳しい あらましを話すことにした。