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第1章 勇者候補から師匠扱いされた私

転生したら悪役令嬢でした(*ToT)

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 ここはどこ?
 私は誰?
 私の心境は 記憶喪失のテンプレートでした。
 まず部屋が 、私の知っている私の部屋ではない。
 一言で言えば高級ホテルの一室。
 家族旅行で奮発した のだろうか。
 わたしの家は中流家庭だから、 一年に一回旅行で贅沢することがある。
 私が忘れていただけで、その日だっただろうか。
 旅行で海外に行くこともあるから、今日もそうだったのだろうか。
 何て、部屋だけの事ならそう考えられた。
 ふと鏡を見ると、金髪碧眼の見知らぬ美少女が写っている。
 私の姿はどこに行った?
 マジックミラーというやつだろうか。
 私が鏡に近づくと、美少女も鏡に近づく。
 私が右手を振ると、美少女は左手を振る。
 これはひょっとして......!
 夢だね。そうに違いない。
 私の頭がおかしくなったわけではない。
 ないったらない!

「 エリスリーナお嬢様、そろそろ起きて下さい。朝食のご用意ができましたよ」

 そう言って、部屋の中にメイドさんが入ってきた。 メイド喫茶のメイドではない。 ロングスカート出し、 上品な感じがする。
 私の潜在意識にお嬢様願望があったのだろうか。
 幼稚園の頃はお姫様になりたいとか言ってたけど、さすがに今は そんなことはないはずだ。

「 お嬢様、今日はお城で舞踏会があるんですよ。そろそろ支度をしていただかないと」
「 それ、なんてシンデレラ?」
「 シンデレラ?よくわからないけど 、今日のドレスを選びましょう」

 メイドさんは私に向かって 言っている。お嬢様って、やっぱり私のことなんだ。

「 ねぇねぇ、メイドさん」
「 メイドさん? お嬢様が 私達の名前を覚えてないのは当然ですがいつもなら あなたとかお前とか言うじゃないですか。 今日はどうなさったのですか?」

 お嬢様は私じゃないのかな。でも、メイドさんは私に向かってしゃべりかけてるし......。
 まあ、考えても仕方ないか。
 コミュニケーションを図るには まずは自己紹介だね。

「 私はエリスリーナお嬢様とやらじゃなくって......」

 あれっ?
 自分の名前が出てこない。おかしいな。
 私は日本人で、 乙女ゲームが大好きな隠れ腐女子で......。
 両親と弟がひとりいて、 家族旅行に出かけていた。
 楽しかった。
 楽しくてはしゃぎすぎて、帰りが遅くなった。

 その帰り道。
 事故にあって、私は死んだ。

 そうだった。
 私は死んで、 エリスリーナとして生まれ変わったんだ。
 ぽろぽろと涙が溢れてくる。
 両親と弟にはもう2度と会えない。
 乙女ゲームも できない。
 やっと すべての攻略対象を攻略したのに。
 悪役令嬢のエリスリーナの妨害をはねのけて、やっとクリアしてきたのに。
 .....あれっ?
 エリスリーナって、今の私じゃなかったっけ?
 恐る恐るもう一度、鏡を見てみる。間違いない、悪役令嬢のエリスリーナの顔だった。
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