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第11章、 私の名前を言ってみて!

 妖精の森その3( ☆∀☆)

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「あなたは 何者なの?」
「 私はアンジェリカの 心の闇が 具現化した 存在よ。アンネとでも 呼んで」

 私の質問に、 アンジェリカの偽物が答えてくれた。

「アンネの 目的は何?」
「 私はアンジェリカの願いを叶えるために行動してるのよ」

 アンネの 目的を聞くと、アンジェリカは ガタガタと震えだす。

「エリスちゃん、 私のせいでごめんなさい・・・・・・」
「アンジェリカのせいじゃないよ。アンネも ダクネスと同じく、勝手な解釈で行動してるだけでしょ」

 アンジェリカが 必要以上に気にすることはない。
 アンジェリカが アレクと結婚して、私がそれを祝福する。 確かそういう願いだった。
 だけど、その願いは 未だに実現されていない。
 アンジェリカは 迷いがあるのか、 それとも 願いについては吹っ切れているのかもしれない。
 アンネという 心の闇が存在しているなら、 未練が残っているのかもね。
 私とアレクを応援するという気持ちは本当だけど、アンジェリカにもアレクを 好きな気持ちが残っている。
 心の葛藤は誰にでもあるものだよね。
 アンジェリカの場合は大げさになっているけど、本来は普通の悩みのはずなんだよ。

「 私はアンジェリカの心のままに行動しているだけよ」

 アンネは 不敵な笑みを浮かべた。

 そうかもしれない。
 誰だって心に闇を抱えているものだ。
 だけど、光の部分だってあるんだよ。
 だからきっと、乗り越えられるはずだよ。

 私は微笑んで、アンネの 頭を撫でた。

「よしよし。アンネは 寂しかったんだね」
「な、何を!」
「 いいこの部分だけ認められて、悪いこの部分は否定される。 その否定された 心の穴がアンネなんでしょ」
「 だから、何だというの」
「 私はアンジェリカがいい子なだけで好きになったわけじゃない。アンネの 部分も ちゃんと受け止めるよ」

 抱きしめてもあげる。
 温もりを伝え合う。

「 私も存在していいの ? 消えなくていいの?」
「 いいんだよ」

 アンネもーー 心の闇も含めて人間なんだから。
 私にだって、 攻略対象の横にはヒロインが いるものだと思い込んでいた。
 それでも私はアレクを好きになって、アンジェリカと 戦ってでも 付き合いたいと思った。
 それは悪感情なのかな。
 恋愛は楽しいだけじゃいられない。 傷つくことだってある。
 そういう ことを全て含めて人間なんだよ。
 アンネの 存在がアンジェリカの中にあってもいい。
 否定することなんて誰にもできないよ。

「エリスちゃん、 大好き!」

 アンジェリカが 私に抱きついてくる。
 ラファルまで? まあ、別にいいけどね。
 クレアは くっつく必要ないよね?
 アレクは 嬉しいけど、 少し照れくさいよ。
 アウェイクは、 何で来てるし!?
 さすがに苦しいんだけど。
 なんで、みんな私に抱きついてくるのかな。
 安っぽい感動の演出なんていらないよ!

「く、 苦しい! 離れて・・・・・・」

 モンスターとの戦闘より大ピンチだったよ。本当だよ!





 アンネの件が 解決したから、そろそろ帰れるかな。

「アンネ、 元の世界に戻してよ」
「えっ? 無理。 私にも元に戻る方法わからないよ」
「 何ですと!?」

 一難去ってまた一難。
 
 私たちの旅はこれからだ!

 お願いだから早く返してよぉ!!




 
 
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