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11、勇者一行が街にやってきた
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僕はスマホの画面を見た。
リンは 焦った様子もなく 傍観している。
アイリン お嬢様はリンの来世の 姿なんだから、 もしも危ない目にあうなら事前に教えてくれるはずだよね。
キャンディがこっそり着いてきてるのかな。
「ロイ、 この人知り合いなの?」
「 メロディに 懲らしめられてたチンピラさんですよ」
僕がアイリンお嬢様に説明すると、 チンピラさんは怒鳴り声をあげた。
「 誰がチンピラだ!?」
「 ヤンキーですか?」
「 違うつってんだろ!」
「 どこからどうみても......」
「 埒があかねぇな。 そのお嬢さんを置いていきな!」
チンピラさんの狙いはアイリンお嬢様だった。
リンは チンピラさんに軽蔑の目線を向ける。
『 ロリコンはいつの時代にもいるんだね』
「 俺はロリコンじゃねえ!!」
『 それ以外の何が目的なの? 詳しく教えて』
「 そのお嬢さんは カトレア=ルクマスの 孫娘だろ」
『 おばさんが恋愛対象なの?うわぁ』
「 身代金目的に決まってるだろ」
「 それが本当なら、 見逃すわけにはいかないね」
金髪碧眼の美少女が颯爽と現れた。
「ティル、 久しぶり」
「 久しぶり。......って、 そんな場合じゃないでしょ!」
「ティルは 勇者なんだから、 その辺の男なら片手間で 片付けられるでしょ。 それとも僕とは話したくない?」
「 そんなことはないよ! 是非会話しようじゃないか」
ティルは 僕と会話しながら、 本当にチンピラさんを拘束した。
よく舌を噛まないものだよね。感心するよ。
チンピラさんは衛兵に引き渡す。
「ロイ、 この人は誰?」
アイリン お嬢様が僕に質問してきた。
お嬢様とティルに 面識はないから、 僕がそれぞれ紹介するしかないね。
「アイリン お嬢さま、こっちは幼なじみのティルです。ティル、 こちらの方はアイリン お嬢様。 僕が使用人として働いているお屋敷の娘さんなんだ」
なぜか、アイリンお嬢様とティルが見つめ合う。
火花が見えるのは気のせいかな。
しばらくすると、二人はにっこりと微笑みあった。
「 初めまして。アイリン=ルクマスです。ロイとは ひとつ屋根の下で暮らしています」
「なっ!?...... 私は一緒にお風呂に入った仲だぞ」
「 幼い頃の話でしょう?」
「ロイ さえよければ、 私は今だって......」
「 何を張り合ってるのさ?」
アイリン お嬢様とティルは 相性が悪いのかな。
アイリン お嬢様は 女の子の友達が欲しかったはずなんだけど......。
ティルは 比較的誰とでも仲良くなれるような性格だった。
それがどうして、喧嘩になっているのだろう。
「 そこまでよ」
僕が困り果てていると、 大人の女性が間に入ってくれた。
彼女は見たことがある。
オレンジ色のセミロングの髪に、 黒を基調としたデザインの中に ピンク色の 線が入った とんがり帽子をかぶっている。 たれ目で大きなメガネをしている。
勇者一行の魔法使い。 サティア= ビザリアたった。
「 サティア!?どうしてここに?」
ティルは 動揺しているが、 サティアは淡々と喋り続けた。
「ティルが 集合時間になっても来ないから迎えに来たのよ」
「 女の子がチンピラに絡まれてたから......」
「 チンピラを 撃退した理由?」
「 そ、そういうことだよ」
「 あなたが女の子に絡んでどうするのよ?」
「 女の子のツレが知り合いだったから、その......」
ティルの 言い訳を聞いて、 サティアさんは 僕の方を見つめてくる。
「あなたがロイくん?」
「 僕のことを知ってるんですか?」
「ええ、ティルから よく聞かされているわ」
にっこり。
ティルは 顔真っ赤にしながら両手と首を振った。
「ちち、 違うんだ! 幼馴染がいると話しただけで......」
「 わかってるよ」
僕なんかに自慢できる話はひとつもないからね。
幼馴染というだけで、気にかけてもらえただけで嬉しいよ。
『 ふたりは用事があるんじゃなかったの?』
意外にも、リンが 指摘した。
サティアさんは 急用を思い出し、ティルの 手を引いて去っていく。
「 いけない!私たちはこれで失礼するわね」
「 久しぶりに話せたのに......」
「 私達がしくじったら、彼の命も危ないのよ」
「 それもそうだね。ロイは 私が守る!」
「 街のみんなも守ってあげようね」
サティアさんはティルの 話を聞いて苦笑した。
魔族の残党兵が街に侵入したのかな。
勇者一行の出番があるなんてそうそうないからね。
ティルは 頭は残念な子だけど、 勇者 としての実力は折り紙付きだから、 任せてたら大丈夫だよね。
男としてのプライド? そんなものはとっくに塵として 消えてるよ。
避難警報は出されてないけど、 早めに家に帰った方がいいかな。
「アイリン お嬢様、そろそろ戻りましょうか」
「ロイ、 私も呼び捨てでいいから」
「えっ?」
「 敬語も禁止!...... 距離があって寂しいからね」
お嬢様......アイリンの 可愛いわがままに、 僕は笑顔で頷いた。
「 分かったよ。アイリン」
リンは 焦った様子もなく 傍観している。
アイリン お嬢様はリンの来世の 姿なんだから、 もしも危ない目にあうなら事前に教えてくれるはずだよね。
キャンディがこっそり着いてきてるのかな。
「ロイ、 この人知り合いなの?」
「 メロディに 懲らしめられてたチンピラさんですよ」
僕がアイリンお嬢様に説明すると、 チンピラさんは怒鳴り声をあげた。
「 誰がチンピラだ!?」
「 ヤンキーですか?」
「 違うつってんだろ!」
「 どこからどうみても......」
「 埒があかねぇな。 そのお嬢さんを置いていきな!」
チンピラさんの狙いはアイリンお嬢様だった。
リンは チンピラさんに軽蔑の目線を向ける。
『 ロリコンはいつの時代にもいるんだね』
「 俺はロリコンじゃねえ!!」
『 それ以外の何が目的なの? 詳しく教えて』
「 そのお嬢さんは カトレア=ルクマスの 孫娘だろ」
『 おばさんが恋愛対象なの?うわぁ』
「 身代金目的に決まってるだろ」
「 それが本当なら、 見逃すわけにはいかないね」
金髪碧眼の美少女が颯爽と現れた。
「ティル、 久しぶり」
「 久しぶり。......って、 そんな場合じゃないでしょ!」
「ティルは 勇者なんだから、 その辺の男なら片手間で 片付けられるでしょ。 それとも僕とは話したくない?」
「 そんなことはないよ! 是非会話しようじゃないか」
ティルは 僕と会話しながら、 本当にチンピラさんを拘束した。
よく舌を噛まないものだよね。感心するよ。
チンピラさんは衛兵に引き渡す。
「ロイ、 この人は誰?」
アイリン お嬢様が僕に質問してきた。
お嬢様とティルに 面識はないから、 僕がそれぞれ紹介するしかないね。
「アイリン お嬢さま、こっちは幼なじみのティルです。ティル、 こちらの方はアイリン お嬢様。 僕が使用人として働いているお屋敷の娘さんなんだ」
なぜか、アイリンお嬢様とティルが見つめ合う。
火花が見えるのは気のせいかな。
しばらくすると、二人はにっこりと微笑みあった。
「 初めまして。アイリン=ルクマスです。ロイとは ひとつ屋根の下で暮らしています」
「なっ!?...... 私は一緒にお風呂に入った仲だぞ」
「 幼い頃の話でしょう?」
「ロイ さえよければ、 私は今だって......」
「 何を張り合ってるのさ?」
アイリン お嬢様とティルは 相性が悪いのかな。
アイリン お嬢様は 女の子の友達が欲しかったはずなんだけど......。
ティルは 比較的誰とでも仲良くなれるような性格だった。
それがどうして、喧嘩になっているのだろう。
「 そこまでよ」
僕が困り果てていると、 大人の女性が間に入ってくれた。
彼女は見たことがある。
オレンジ色のセミロングの髪に、 黒を基調としたデザインの中に ピンク色の 線が入った とんがり帽子をかぶっている。 たれ目で大きなメガネをしている。
勇者一行の魔法使い。 サティア= ビザリアたった。
「 サティア!?どうしてここに?」
ティルは 動揺しているが、 サティアは淡々と喋り続けた。
「ティルが 集合時間になっても来ないから迎えに来たのよ」
「 女の子がチンピラに絡まれてたから......」
「 チンピラを 撃退した理由?」
「 そ、そういうことだよ」
「 あなたが女の子に絡んでどうするのよ?」
「 女の子のツレが知り合いだったから、その......」
ティルの 言い訳を聞いて、 サティアさんは 僕の方を見つめてくる。
「あなたがロイくん?」
「 僕のことを知ってるんですか?」
「ええ、ティルから よく聞かされているわ」
にっこり。
ティルは 顔真っ赤にしながら両手と首を振った。
「ちち、 違うんだ! 幼馴染がいると話しただけで......」
「 わかってるよ」
僕なんかに自慢できる話はひとつもないからね。
幼馴染というだけで、気にかけてもらえただけで嬉しいよ。
『 ふたりは用事があるんじゃなかったの?』
意外にも、リンが 指摘した。
サティアさんは 急用を思い出し、ティルの 手を引いて去っていく。
「 いけない!私たちはこれで失礼するわね」
「 久しぶりに話せたのに......」
「 私達がしくじったら、彼の命も危ないのよ」
「 それもそうだね。ロイは 私が守る!」
「 街のみんなも守ってあげようね」
サティアさんはティルの 話を聞いて苦笑した。
魔族の残党兵が街に侵入したのかな。
勇者一行の出番があるなんてそうそうないからね。
ティルは 頭は残念な子だけど、 勇者 としての実力は折り紙付きだから、 任せてたら大丈夫だよね。
男としてのプライド? そんなものはとっくに塵として 消えてるよ。
避難警報は出されてないけど、 早めに家に帰った方がいいかな。
「アイリン お嬢様、そろそろ戻りましょうか」
「ロイ、 私も呼び捨てでいいから」
「えっ?」
「 敬語も禁止!...... 距離があって寂しいからね」
お嬢様......アイリンの 可愛いわがままに、 僕は笑顔で頷いた。
「 分かったよ。アイリン」
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