上 下
6 / 37

第6 ばってん

しおりを挟む
なんだかんだありつつも通行証は無事に発行されることになりました。
......泣いてもいいですか。
瞬間。
光に包まれ。
いずみちゃんとりょうちゃんが笑ってくれました。

「 魔法少女あほまほだね」
「 ロリータっぽい衣装だな」
「 猫耳がでこちゃんらしいね」
「 語尾が『にゃ』だからな」
「 なんで知っとっとにゃ!?
......にゃぅぅっ」

大爆笑。
恥ずかしすぎますよ。
まさかにゃーまで知られとったとにゃ。
にゃっ!?
モノローグまで!?

...... こほん。

私は今、東京にいます。
福岡の片田舎ではありません。

お年寄りに人気があって、すっかりと方言が移ってしまいました。
福岡の友達と比べても方言丸出しです。
親の世代でも使わない『にゃ』を付けるのは私くらいだったのですにゃ。
福岡にいた頃でも隠していたほどです。
それを知られていたなんて......。
油断しすぎでしょう!私!!

私が頭を抱えていると、いずみちゃんが手鏡を差し出してきました。

「 とりあえず今の自分の姿を見てみるといいよ」
「 今の姿......?
って。
どげんなっとっとにゃ!?」

ピンク色のフリフリのドレスのような衣装に変化しています。
制服はどこに消えてしまったのでしょうか。
心なしか髪の毛も 二割増しで伸びているような気がします。
頭にはピンク色のとんがり帽子が乗っています。
拳ほどの大きさでかぶれそうにありません。
なのに、なぜか固定されています。
なぜかはさっぱりわかりません。
魔法の力なのでしょうね。
そのとんがり帽子が2つ。
猫耳のようなデザインです。
なるほど。
それで私らしいということですか。
語尾の話になるのも納得......。
できるわけなかやろ!

これではただのコスプレじゃないですか。
いや、普通の戦士や魔法使いの格好もコスプレと言えなくもないのですが、異世界では当たり前の格好です。
でも、魔法少女はあり得ません!
異世界でも......。
異世界だからこそ、異質 と言える格好なのです。

「 かわいいからいいじゃない」

いずみちゃんはフォローしてくれます。
けど、余計に傷つきますよ。
だって、
りょうちゃんはからかいの目付きをしていました。

「 ああ、 でこちゃんにピッタリ似合ってるな」
にやにや。
「 どうせ私は子供っぽいですよ!」

むうっ。

私が幼児体型だから魔法少女の格好が似合ってしまうんですよね 。
いえ、私は成長期なんです。
いずみちゃんは百五十六センチで、 私は百五十四センチ。
りょうちゃんは A カップで、私は AAカップ。
あまり変わらないじゃないですか。
......なんて。
思えるわけなかやろ!
いずみちゃんは C カップですよ!
りょうちゃんは百六十五センチの モデル体型。
毎日。
圧倒的な戦力の差を見せつけられています。
泣けてきますよ。
しくしく。

いずみちゃんとりょうちゃんは、変身シーンの話題で盛り上がっていました。

「 変身の時の決め台詞は何て言うのかな」
「 まだ決めてないならあたしたちが決めてやるからな」
「『あほまほ』に なあれ」
「『 私のおでこが光っている限り、どんな悪も許さない!魔法少女あほまほここに見参にゃ』 猫のポーズ」
「『 でこでこでこりん、でこでこでこりん☆』」
「 しかも、おでこに両手を押し当てるわけだな」
「 それいいね」
「ああ、 いいだろ」
「 よくなかやろ!」

このまま続けさせると本当に採用されそうなので、私は二人の暴走を止めます。すると。
ぷりんちゃんが正解を教えてくれました。

「 でこちゃんが変身する時は、『 どげんかせんといけんにゃ』と 言うのじゃ」
「えっ......?」
「 聞こえんかったかの。
『どげんかせんといけんにゃ』がでこちゃんが変身するときの決め台詞じゃよ」
「えぇーっ!!?」

その台詞こそ、どげんかせんといけんにゃ!?
まともな決め台詞じゃないですよ!
それは絶対、みんなの笑いものじゃないですか!

「 予想以上のインパクトだね」
「ああ、 最高の面白さだなw」

友達からも爆笑されているくらいですからね。しくしく。

きゅーと君は、 こうならないように罪まで犯したというのに。
私はすっかりピエロです。
こんなことできゅーと君を助けられるとは思えません。

「 まさかだましたわけじゃありませんよね!?学園長!!」
ぎろり。

私が睨みつけても、ぷりんちゃんは 涼しい顔をしていました。

「 いつものように、ぷりんちゃんと 呼んで欲しいのじゃ。
もちろん、友達の期待には応えようぞ」
「 じゃあ、きゅーと君に合わせてよ。ぷりんちゃん」
「 よろしい、あわせてあげようぞ。
ただし、でこちゃんが知っている姿ではないがの」
「えっ?」

ぷりんちゃんが 指をパチンと鳴らします。
すると。
一匹の白猫が現れました。

えっ。
えっ?
きゅーと君の ペットでしょうか。
でも。
ぷりんちゃんは 本人に合わせてくれると約束してくれました。
えーっと......。
つまり。
白猫がきゅーと君ということでしょうか常識ではありえません。

ぷりんちゃんは 剣と魔法の世界の出身者です。
人間を猫に変身させるぐらい朝飯前なのでしょう。
わざわざそうする理由がわからないのですが、やってやれないことはないのでしょう。

私は白猫に声をかけました。

「 あなたはきゅーと君 ですか?」
「 そうだよ」

間違いありません。きゅーと君です。
私は嬉しさのあまり、きゅーと君に抱きつきました。

「きゅーと君!」
「 苦しい!それにみんなに見られてるよ」
「にゃあ!?」
「よかったね」
「 よかったな」
にやにや。

いずみちゃんとりょうちゃんがからかうように祝福してくれます。
赤面。

「 その目、やめてくださいよ!」
「 方言が出ないなんて意外と余裕だね」
「 つまり、本気でいじっていってことだな?」
きらーん!

りょうちゃんの瞳が怪しげに光ました。

「 これ以上はいじめですよ!?」

そう伝えても、りょうちゃんが止まるはずがありません。
いずみちゃんとぷりんちゃんも、フォローしてくれる所が一緒になって楽しんでいました。

きゅーと君は......。
ガールズトーク特有の雰囲気の前では無力のようです。

あっ。

きゅーと君も、 からかいの対象になっていますね。
でも、元はといえば......。
いえ、私の力のなさのせいです。
ごめんなさい。
2人仲良くピエロですね。
はははのは。

はあっ。
きゅーと君を 助けることはできるのでしょうか?

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

[恥辱]りみの強制おむつ生活

rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。 保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。

RUBBER LADY 屈辱の性奴隷調教

RUBBER LADY
ファンタジー
RUBBER LADYが活躍するストーリーの続編です

校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれた女子高生たちが集団お漏らしする話

赤髪命
大衆娯楽
※この作品は「校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれた女子高生たちが小さな公園のトイレをみんなで使う話」のifバージョンとして、もっと渋滞がひどくトイレ休憩云々の前に高速道路上でバスが立ち往生していた場合を描く公式2次創作です。 前作との文体、文章量の違いはありますがその分キャラクターを濃く描いていくのでお楽しみ下さい。(評判が良ければ彼女たちの日常編もいずれ連載するかもです)

初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。 ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。 ※短いお話です。 ※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。

名前を書くとお漏らしさせることが出来るノートを拾ったのでイジメてくる女子に復讐します。ついでにアイドルとかも漏らさせてやりたい放題します

カルラ アンジェリ
ファンタジー
平凡な高校生暁 大地は陰キャな性格も手伝って女子からイジメられていた。 そんな毎日に鬱憤が溜まっていたが相手が女子では暴力でやり返すことも出来ず苦しんでいた大地はある日一冊のノートを拾う。 それはお漏らしノートという物でこれに名前を書くと対象を自在にお漏らしさせることが出来るというのだ。 これを使い主人公はいじめっ子女子たちに復讐を開始する。 更にそれがきっかけで元からあったお漏らしフェチの素養は高まりアイドルも漏らさせていきやりたい放題することに。 ネット上ではこの怪事件が何らかの超常現象の力と話題になりそれを失禁王から略してシンと呼び一部から奉られることになる。 しかしその変態行為を許さない美少女名探偵が現れシンの正体を暴くことを誓い…… これはそんな一人の変態男と美少女名探偵の頭脳戦とお漏らしを楽しむ物語。

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...