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コールオブホーリーガール
聖女完堕ち
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「ではでは、ヤッコのパーティー参入を祝して、かんぱーい‼︎」
いつものように打ち鳴らされるジョッキの音。
しかしながら今日は一つ多く、三つのジョッキが打ち鳴らされる音が違いの判るゴブリン亭に響く。
「ごぶごぶ‼︎ 今日も大量、お腹も満腹‼︎ ゴブゴブおー‼︎ ゴブゴブおー‼︎」
「春先とはいえまだ夜はひえるから、熊鍋にしてみたゴブよ?」
「くまは天然の食材箱だからな‼︎ それだけじゃないぞ、トマト鍋風味にしたからな‼︎ 締めはたっぷりのパスタとチーズを入れてスープパスタにしてめしあがれぇ‼︎」
ゴブたちが運んできた料理に、ペコリーナは自慢げに胸を張りそう語る。
説明などなくとも赤いルビーのように輝く料理は美味であることは間違いなく。
待ちきれないとばかりにクレールは木の匙でスープを口に運び、飛び上がる。
「う、うっまあぁ‼︎? リタリカの郷土料理は初めて食べるけど、でもいいのか? こんな豪華料理ただで食べていいなんて」
「いいのいいの、熊肉なんて貴重な食材あんなに仕入れてくれたんだもん」
「ごぶごぶ‼︎ 滅多に取れないクマ料理を存分に‼︎ ゴブたち料理人にとっては夢のような環境ゴブ‼︎」
「滅多にとれるようなもんじゃない料理だから、お客にも大盛況になるかも……いや、絶対大盛況間違いなしだ‼︎」
「売り上げ四割り増し予定ゴブ‼︎」
「なんで四割り増しになるかの根拠はないけれど大入りゴブ‼︎ ボーナス希望ゴブ姉御‼︎」
「よーし‼︎ おまえたちには褒美にさくらんぼをやろう‼︎」
「いやっほー‼︎ ボーナスでしかもらえないさくらんぼゴブ‼︎ みんなで集めてチェリーパイを作るゴブー‼︎」
「ペコリーナの姉御太っ腹ゴブー‼︎」
「太いを超えた樽っ腹ごぶー‼︎」
「よーし、今樽っ腹っていったお前前にでろー? 右ストレートでぶっ飛ばす‼︎」
「ごぶぶぶぶああぁ‼︎?」
殴り飛ばされたゴブが店を舞い、客はまた始まったと愉快げに笑い声をあげる。
「チェリーパイ……」
「トンディ、欲しがらないの」
「ほ、欲しがってない」
「よだれ」
「はっ‼︎」
ごしごしと慌ててよだれを拭くトンディ。
そんな様子にヤッコはニコニコと笑う。
「穏やかに明るくて、とても素敵なおみせですね。 お鍋も、旨味が凝縮されていて……バルチカンの高級料理店でもこれだけのものは食べられませんよ」
「おぉ、高名な聖女さまにそう言っていただけるたぁ、料理人冥利につきるってもんだねぇ‼︎ 褒められると私は調子にのるよ? こーんな高い白ワインなんかがぽんっと出てきちまうぐらいにはねぇ‼︎ のむかい?」
「いただきまひゅうーーー‼︎」
ペコリーナの提案に、ヤッコは先ほどまでのお上品な姿は何処へやら。
瞳の中にハートを浮かべながらよだれを垂らしてねだるようにそのたわわを揺らす。
「いい返事だ‼︎ ゴブたちグラスを持ってきな‼︎」
「ごぶごぶー‼︎」
運ばれたワイングラスに注がれる白いワイン。
閉じ込められていた甘い香りが、店全体を誘惑するように包み込む。
ヤッコはその香りを胸いっぱいに吸い込むと、恍惚な表情を浮かべてあひぃと声を漏らす。
「いざいざご賞味あれ‼︎ 聖女さまゆかりの名酒。60年ものの【シャトー・マルゴー】ほっぺた落ちても知らないよ‼︎」
テイスティングなど必要ない。
その香りはまさに【神秘の時代】に作られた神の酒の名に相応しく。
ヤッコは待ちきれんと言わんばかりに手に取り、口に含むと。
「ふ、ふっっわああああぁぁぁふわふわあぁぁ‼︎? お、おくち、溶け、溶けひゃうぅう‼︎?
甘みが広がって……そしてさっぱりとした味が、トマトスープに合う、あっちゃうにょおお‼︎?」
ぶっ壊れた。
「幸せそうだなー……ヤッコ」
「なにより。 一番傷だらけにさせちゃったからね」
そんな様子を見ながら、トンディとクレールは苦笑を浮かべながら微笑ましくみまもる。
ヤッコはすでにお酒に夢中であり、トンディとクレールの姿など目に映らないと言ったようすでワインと料理を楽しんでいる。
「あーーーー、お酒おいしぃ……し・あ・わ・せー。 わたしこれから毎日こんな幸せな生活送れるんですね……もう教会なんて戻れないよぉ~。 一生ここでお酒に囲まれて生きていくぅ‼︎」
「……聖女完堕ち」
「こんな無抵抗な聖女の陥落初めて見たよ」
「うへへへへへー‼︎ おかわりーー‼︎」
「いい飲みっぷりゴブ」
ワインだけではなく、麦酒や蜂蜜酒をゴクゴクと飲み干していくヤッコ。
華奢な体のどこにそれだけの酒が飲み込まれているのか?
誰もがそんな疑問を浮かべながら、見守っていると。
「誰か私をとめてみろーー‼︎ でーす‼︎」
「ごぶぶ‼︎ だったら僕と飲みくらべゴブ‼︎ ウワバミの餌のゴブ、と恐れられた僕が相手ゴブ‼︎」
「あらら……飲みくらべ始めちゃったよ……大丈夫かヤッコのやつ?」
「いいんじゃない? ペコリーナもノリノリだし。お店も盛り上がってるし」
そう言ってトンディは二人を指差すと、興味深かそうに店の中の人間が集まってくる。
「やってやれー‼︎姉ちゃん‼︎ ゴブなんてぶっつぶせー‼︎」
「負けんじゃないよ、ゴブ‼︎ あんたの力を見せてやんな‼︎」
見ればペコリーナは厨房から抜け出しゴブを応援しており、店の中の客人も二人を囲むように集まり勝手に賭けなんかも始めている。
「ノリがいいよなぁ、ここの奴らは」
「うん、いて楽しい」
微笑みながらお酒を一口口に含むトンディ。 その姿に満足げにクレールは笑うと、ふと思い出したように「そうだ」と呟く。
「そういや、マゾ子のやつはどうしたんだ? クマ運ぶのでギルドのほうはトンディに任せちゃったけど」
「問題ない。 吊るしといた」
「なんだ、いつも通りか」
「ううん、今日はお仕置きも兼ねて水着で吊るした」
「それはまた何と……マニアックな」
「次は全部剥くって脅しといたけど、きっと効果ない」
「だろうなぁ……あいつ天然だから」
「いつかマゾ子に殺される気がする」
「笑えないのが怖いところだな」
たはは、と乾いた笑いを浮かべながらクレールはチーズの揚げ物をぽりぽりとかじり。
トンディはそんなクレールをじっとみつめる。
「……」
「……なんだ? なんかついてる?」
「ううん、ヤッコ見てたら、ちょっとクレールが捨てられてた時のこと思い出しちゃって」
「あぁ……あの時は本当に助かったよ。ありがとうな、トンディ」
「ううん、本当は助けられたのは私の方」
「へ? なんで?」
雨の降る孤独な部屋……父親の手がかりもなく、絶望しかけていたあの時。
クレールという存在はどれほど少女の寂しさを癒したか。
孤独に挑んだダンジョンが、一人で食べる食事が……クレールという少女のお陰でどれほど華やいだか。
今の光景はきっと孤独では手に入れられなかったもの。
クレールは自分のことを大した人間ではないと謙遜するが。
それでもトンディにとっては、この華やいだ世界をくれた恩人なのだ。
もちろん、そんなこと恥ずかしくて口に出せるわけもなく。
「………秘密」
トンディは頬を赤らめてクレールの唇に人差し指を触れさせる。
「??? 変なやつだな」
そんなトンディの行動に、クレールは首を傾げてチーズ揚げをつまむとトンディに食べさせてあげる。
「ごぶーー‼︎? もうだめゴブー‼︎」
「何やってるのさゴブ‼︎」
「にゃははははは‼︎ 私に勝とうなぞ100年早いと言うものでございます‼︎ 私を酔わせたきゃ樽もってこい樽ぅ‼︎」
賑やかに店を盛り上げるヤッコ。
その姿にトンディはあくびを一つ漏らすと耳を足らんとタレさせてはにかむ。
「……ふふふっ……賑やか。 楽しい」
「そっか。 そりゃ良かった……眠いのか?」
「うん……酔ってきた」
「家まで運んどいてやるから、寝ちまいな……」
「ふぁ、そうする………クレール」
「うん?」
「家族になってくれて……ありが……とう」
その頬の赤さは酒ゆえか。
それとも気恥ずかしさゆえか。
眠りに落ちたトンディはきっとこの言葉を覚えてはいないだろう。
クレールは少し残念そうに苦笑を漏らすと。
ワインを片手に、眠るトンディの頭を優しく撫でる。
「どういたしまして」
店の騒ぎにかき消される優しい言葉。
だけどその声は彼女の耳にだけは届いたのか。
返事をするように片耳がピクリと動いた。
◇
いつものように打ち鳴らされるジョッキの音。
しかしながら今日は一つ多く、三つのジョッキが打ち鳴らされる音が違いの判るゴブリン亭に響く。
「ごぶごぶ‼︎ 今日も大量、お腹も満腹‼︎ ゴブゴブおー‼︎ ゴブゴブおー‼︎」
「春先とはいえまだ夜はひえるから、熊鍋にしてみたゴブよ?」
「くまは天然の食材箱だからな‼︎ それだけじゃないぞ、トマト鍋風味にしたからな‼︎ 締めはたっぷりのパスタとチーズを入れてスープパスタにしてめしあがれぇ‼︎」
ゴブたちが運んできた料理に、ペコリーナは自慢げに胸を張りそう語る。
説明などなくとも赤いルビーのように輝く料理は美味であることは間違いなく。
待ちきれないとばかりにクレールは木の匙でスープを口に運び、飛び上がる。
「う、うっまあぁ‼︎? リタリカの郷土料理は初めて食べるけど、でもいいのか? こんな豪華料理ただで食べていいなんて」
「いいのいいの、熊肉なんて貴重な食材あんなに仕入れてくれたんだもん」
「ごぶごぶ‼︎ 滅多に取れないクマ料理を存分に‼︎ ゴブたち料理人にとっては夢のような環境ゴブ‼︎」
「滅多にとれるようなもんじゃない料理だから、お客にも大盛況になるかも……いや、絶対大盛況間違いなしだ‼︎」
「売り上げ四割り増し予定ゴブ‼︎」
「なんで四割り増しになるかの根拠はないけれど大入りゴブ‼︎ ボーナス希望ゴブ姉御‼︎」
「よーし‼︎ おまえたちには褒美にさくらんぼをやろう‼︎」
「いやっほー‼︎ ボーナスでしかもらえないさくらんぼゴブ‼︎ みんなで集めてチェリーパイを作るゴブー‼︎」
「ペコリーナの姉御太っ腹ゴブー‼︎」
「太いを超えた樽っ腹ごぶー‼︎」
「よーし、今樽っ腹っていったお前前にでろー? 右ストレートでぶっ飛ばす‼︎」
「ごぶぶぶぶああぁ‼︎?」
殴り飛ばされたゴブが店を舞い、客はまた始まったと愉快げに笑い声をあげる。
「チェリーパイ……」
「トンディ、欲しがらないの」
「ほ、欲しがってない」
「よだれ」
「はっ‼︎」
ごしごしと慌ててよだれを拭くトンディ。
そんな様子にヤッコはニコニコと笑う。
「穏やかに明るくて、とても素敵なおみせですね。 お鍋も、旨味が凝縮されていて……バルチカンの高級料理店でもこれだけのものは食べられませんよ」
「おぉ、高名な聖女さまにそう言っていただけるたぁ、料理人冥利につきるってもんだねぇ‼︎ 褒められると私は調子にのるよ? こーんな高い白ワインなんかがぽんっと出てきちまうぐらいにはねぇ‼︎ のむかい?」
「いただきまひゅうーーー‼︎」
ペコリーナの提案に、ヤッコは先ほどまでのお上品な姿は何処へやら。
瞳の中にハートを浮かべながらよだれを垂らしてねだるようにそのたわわを揺らす。
「いい返事だ‼︎ ゴブたちグラスを持ってきな‼︎」
「ごぶごぶー‼︎」
運ばれたワイングラスに注がれる白いワイン。
閉じ込められていた甘い香りが、店全体を誘惑するように包み込む。
ヤッコはその香りを胸いっぱいに吸い込むと、恍惚な表情を浮かべてあひぃと声を漏らす。
「いざいざご賞味あれ‼︎ 聖女さまゆかりの名酒。60年ものの【シャトー・マルゴー】ほっぺた落ちても知らないよ‼︎」
テイスティングなど必要ない。
その香りはまさに【神秘の時代】に作られた神の酒の名に相応しく。
ヤッコは待ちきれんと言わんばかりに手に取り、口に含むと。
「ふ、ふっっわああああぁぁぁふわふわあぁぁ‼︎? お、おくち、溶け、溶けひゃうぅう‼︎?
甘みが広がって……そしてさっぱりとした味が、トマトスープに合う、あっちゃうにょおお‼︎?」
ぶっ壊れた。
「幸せそうだなー……ヤッコ」
「なにより。 一番傷だらけにさせちゃったからね」
そんな様子を見ながら、トンディとクレールは苦笑を浮かべながら微笑ましくみまもる。
ヤッコはすでにお酒に夢中であり、トンディとクレールの姿など目に映らないと言ったようすでワインと料理を楽しんでいる。
「あーーーー、お酒おいしぃ……し・あ・わ・せー。 わたしこれから毎日こんな幸せな生活送れるんですね……もう教会なんて戻れないよぉ~。 一生ここでお酒に囲まれて生きていくぅ‼︎」
「……聖女完堕ち」
「こんな無抵抗な聖女の陥落初めて見たよ」
「うへへへへへー‼︎ おかわりーー‼︎」
「いい飲みっぷりゴブ」
ワインだけではなく、麦酒や蜂蜜酒をゴクゴクと飲み干していくヤッコ。
華奢な体のどこにそれだけの酒が飲み込まれているのか?
誰もがそんな疑問を浮かべながら、見守っていると。
「誰か私をとめてみろーー‼︎ でーす‼︎」
「ごぶぶ‼︎ だったら僕と飲みくらべゴブ‼︎ ウワバミの餌のゴブ、と恐れられた僕が相手ゴブ‼︎」
「あらら……飲みくらべ始めちゃったよ……大丈夫かヤッコのやつ?」
「いいんじゃない? ペコリーナもノリノリだし。お店も盛り上がってるし」
そう言ってトンディは二人を指差すと、興味深かそうに店の中の人間が集まってくる。
「やってやれー‼︎姉ちゃん‼︎ ゴブなんてぶっつぶせー‼︎」
「負けんじゃないよ、ゴブ‼︎ あんたの力を見せてやんな‼︎」
見ればペコリーナは厨房から抜け出しゴブを応援しており、店の中の客人も二人を囲むように集まり勝手に賭けなんかも始めている。
「ノリがいいよなぁ、ここの奴らは」
「うん、いて楽しい」
微笑みながらお酒を一口口に含むトンディ。 その姿に満足げにクレールは笑うと、ふと思い出したように「そうだ」と呟く。
「そういや、マゾ子のやつはどうしたんだ? クマ運ぶのでギルドのほうはトンディに任せちゃったけど」
「問題ない。 吊るしといた」
「なんだ、いつも通りか」
「ううん、今日はお仕置きも兼ねて水着で吊るした」
「それはまた何と……マニアックな」
「次は全部剥くって脅しといたけど、きっと効果ない」
「だろうなぁ……あいつ天然だから」
「いつかマゾ子に殺される気がする」
「笑えないのが怖いところだな」
たはは、と乾いた笑いを浮かべながらクレールはチーズの揚げ物をぽりぽりとかじり。
トンディはそんなクレールをじっとみつめる。
「……」
「……なんだ? なんかついてる?」
「ううん、ヤッコ見てたら、ちょっとクレールが捨てられてた時のこと思い出しちゃって」
「あぁ……あの時は本当に助かったよ。ありがとうな、トンディ」
「ううん、本当は助けられたのは私の方」
「へ? なんで?」
雨の降る孤独な部屋……父親の手がかりもなく、絶望しかけていたあの時。
クレールという存在はどれほど少女の寂しさを癒したか。
孤独に挑んだダンジョンが、一人で食べる食事が……クレールという少女のお陰でどれほど華やいだか。
今の光景はきっと孤独では手に入れられなかったもの。
クレールは自分のことを大した人間ではないと謙遜するが。
それでもトンディにとっては、この華やいだ世界をくれた恩人なのだ。
もちろん、そんなこと恥ずかしくて口に出せるわけもなく。
「………秘密」
トンディは頬を赤らめてクレールの唇に人差し指を触れさせる。
「??? 変なやつだな」
そんなトンディの行動に、クレールは首を傾げてチーズ揚げをつまむとトンディに食べさせてあげる。
「ごぶーー‼︎? もうだめゴブー‼︎」
「何やってるのさゴブ‼︎」
「にゃははははは‼︎ 私に勝とうなぞ100年早いと言うものでございます‼︎ 私を酔わせたきゃ樽もってこい樽ぅ‼︎」
賑やかに店を盛り上げるヤッコ。
その姿にトンディはあくびを一つ漏らすと耳を足らんとタレさせてはにかむ。
「……ふふふっ……賑やか。 楽しい」
「そっか。 そりゃ良かった……眠いのか?」
「うん……酔ってきた」
「家まで運んどいてやるから、寝ちまいな……」
「ふぁ、そうする………クレール」
「うん?」
「家族になってくれて……ありが……とう」
その頬の赤さは酒ゆえか。
それとも気恥ずかしさゆえか。
眠りに落ちたトンディはきっとこの言葉を覚えてはいないだろう。
クレールは少し残念そうに苦笑を漏らすと。
ワインを片手に、眠るトンディの頭を優しく撫でる。
「どういたしまして」
店の騒ぎにかき消される優しい言葉。
だけどその声は彼女の耳にだけは届いたのか。
返事をするように片耳がピクリと動いた。
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