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コールオブホーリーガール
ヤッコが仲間になった
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「うんうん、それじゃあ頑張ってくれたまえー」
「そっちは気楽でいいよなー」
「まぁまぁ、こっちでも出来るだけサポートはするからさぁ……あ、食べる?」
カラカラと笑いながらワッフルを差し出してくるギルドマスター。
その様子に「ほんとかぁ?」と呟きながらクレールはワッフルを受け取る。
「はむ……一緒に行動するなら、ヤッコのギルドカード発行しないとな……あれ時間かかるんだよなぁ」
「マゾ子がやるから尚更」
「いやいや、そこはちゃんとキリサメから預かっていますってお二人さん‼︎ 聖女ちゃんはいこれ、ギルドカードねー。 大事だから無くさないように」
そういうとギルドマスターは胸元からカードを取り出すとヤッコへと渡す。
「あらあら、ギルドカードというのは初めて拝見しますが。 金色で随分と派手ですねぇ」
「ちょっ‼︎? あんたそれ、Sランクギルドカードだぞ‼︎? 普通初心者は銅色のDランクからスタートするもんだろ‼︎」
「固いこと気にしない気にしないー。聖女ちゃんの実力もちゃーんと考えた上でわたしてるから安心してって。 いや本当に。 ちみたちもDランククエストしか受けられなくなったら困るだろう? 私なりの気遣いだよ気遣い……わからないかなぁー?」
偉そうにため息を漏らしながら語るアキ。
しかしトンディは鼻をふんと鳴らすと。
「別に困らない。 困るのはそっちの方なんじゃないの? Sランククエスト押し付けられなくなるからね」
そう鋭い言葉を投げつけると、一瞬アキは硬直をし。
「さーて、わたしはそろそろ帰らないと。 それじゃ、あとはよろしくねー」
そそくさとワッフルを机の上に置いた後、回れ右をしてトンディの家をギルドマスターは後にした。
「……逃げた」
「都合が悪くなると逃げんだな」
「随分と、独特なお方でしたね」
「私たちもつい最近知り合ったんだけどね」
「しかし、あの場ではついお酒に流されちゃいましたが、本当にいいのですか? ギルドマスターさんはああ言って脅してきましたが、私からの申し出であればあなた方を咎めることはできませんし、やはりお断りした方が」
「もう別にいい。 一回ひろったら最後まで面倒を見る。一人も二人も似たようなもん」
「ふふっ。そうですか。 そんなに小さな体で、とても心が広いのですねトンちゃんは」
嬉しそうに笑うと、ヤッコは優しくトンディの頭を撫でると「あら、もふもふ」と声を漏らした。
「んむーーー‼︎ 頭、撫でない‼︎」
それに対し怒るように地団駄を踏んで抗議をするトンディだが、いつものようにその表情は嬉しそうに緩んでいる。
「あらあら可愛らしい。 お顔がほころんでますよ?」
「子供扱いしない‼︎ 私、これでも18歳‼︎」
「え、うそ……私よりも年上‼︎?」
「ふふんっ‼︎ 私、一番お姉さん‼︎」
ドヤッという音が背後で響きそうなほど自慢げに胸を張るトンディ。
「なんで、嬉しそうなんですか?」
「察してやってくれ」
そんなトンディの様子に疑問符を浮かべるヤッコに、クレールはそう耳打ちをする。
と。
ゴーン……ゴーン。
いつのまにか時間が経っていたのか、街に昼を告げる鐘の音が響き渡る。
「あ、もうこんな時間」
「どうする? 昨日のうちに準備は済ませてあるけど、今日はやめとくか?」
「ううん、ヤッコの力も見ておきたいし、行くつもり」
クレールとトンディはそういうと、冒険用のバックパックを背負い準備を始める。
その様子に一人ヤッコは首をかしげる。
「えと、あの。 行くとはどちらに? それにその大きなバックは一体何に?」
大きな荷物を持つトンディに対する素朴な疑問。
その質問に対しトンディはキョトンとした表情を向け。
「もちろん、冒険」
そう当たり前のように呟いたのだった。
◇
「そっちは気楽でいいよなー」
「まぁまぁ、こっちでも出来るだけサポートはするからさぁ……あ、食べる?」
カラカラと笑いながらワッフルを差し出してくるギルドマスター。
その様子に「ほんとかぁ?」と呟きながらクレールはワッフルを受け取る。
「はむ……一緒に行動するなら、ヤッコのギルドカード発行しないとな……あれ時間かかるんだよなぁ」
「マゾ子がやるから尚更」
「いやいや、そこはちゃんとキリサメから預かっていますってお二人さん‼︎ 聖女ちゃんはいこれ、ギルドカードねー。 大事だから無くさないように」
そういうとギルドマスターは胸元からカードを取り出すとヤッコへと渡す。
「あらあら、ギルドカードというのは初めて拝見しますが。 金色で随分と派手ですねぇ」
「ちょっ‼︎? あんたそれ、Sランクギルドカードだぞ‼︎? 普通初心者は銅色のDランクからスタートするもんだろ‼︎」
「固いこと気にしない気にしないー。聖女ちゃんの実力もちゃーんと考えた上でわたしてるから安心してって。 いや本当に。 ちみたちもDランククエストしか受けられなくなったら困るだろう? 私なりの気遣いだよ気遣い……わからないかなぁー?」
偉そうにため息を漏らしながら語るアキ。
しかしトンディは鼻をふんと鳴らすと。
「別に困らない。 困るのはそっちの方なんじゃないの? Sランククエスト押し付けられなくなるからね」
そう鋭い言葉を投げつけると、一瞬アキは硬直をし。
「さーて、わたしはそろそろ帰らないと。 それじゃ、あとはよろしくねー」
そそくさとワッフルを机の上に置いた後、回れ右をしてトンディの家をギルドマスターは後にした。
「……逃げた」
「都合が悪くなると逃げんだな」
「随分と、独特なお方でしたね」
「私たちもつい最近知り合ったんだけどね」
「しかし、あの場ではついお酒に流されちゃいましたが、本当にいいのですか? ギルドマスターさんはああ言って脅してきましたが、私からの申し出であればあなた方を咎めることはできませんし、やはりお断りした方が」
「もう別にいい。 一回ひろったら最後まで面倒を見る。一人も二人も似たようなもん」
「ふふっ。そうですか。 そんなに小さな体で、とても心が広いのですねトンちゃんは」
嬉しそうに笑うと、ヤッコは優しくトンディの頭を撫でると「あら、もふもふ」と声を漏らした。
「んむーーー‼︎ 頭、撫でない‼︎」
それに対し怒るように地団駄を踏んで抗議をするトンディだが、いつものようにその表情は嬉しそうに緩んでいる。
「あらあら可愛らしい。 お顔がほころんでますよ?」
「子供扱いしない‼︎ 私、これでも18歳‼︎」
「え、うそ……私よりも年上‼︎?」
「ふふんっ‼︎ 私、一番お姉さん‼︎」
ドヤッという音が背後で響きそうなほど自慢げに胸を張るトンディ。
「なんで、嬉しそうなんですか?」
「察してやってくれ」
そんなトンディの様子に疑問符を浮かべるヤッコに、クレールはそう耳打ちをする。
と。
ゴーン……ゴーン。
いつのまにか時間が経っていたのか、街に昼を告げる鐘の音が響き渡る。
「あ、もうこんな時間」
「どうする? 昨日のうちに準備は済ませてあるけど、今日はやめとくか?」
「ううん、ヤッコの力も見ておきたいし、行くつもり」
クレールとトンディはそういうと、冒険用のバックパックを背負い準備を始める。
その様子に一人ヤッコは首をかしげる。
「えと、あの。 行くとはどちらに? それにその大きなバックは一体何に?」
大きな荷物を持つトンディに対する素朴な疑問。
その質問に対しトンディはキョトンとした表情を向け。
「もちろん、冒険」
そう当たり前のように呟いたのだった。
◇
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