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二人の冒険者
一件落着
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「ただいまゴブーー」
その後、ゴブたちとともにクレールとトンディは何事もなくギルドに到着をした。
途中クレールが森の中に仕掛けられた蜘蛛の罠に引っかかるというハプニングはあったものの。
それ以外は特に問題もなく、日付の変わるより早く二人は無事にゴブ達をギルドに送り届ける。
心配もつゆ知らずといったように、扉を開くと同時にギルドに響くゴブの呑気な声。
しかし、ゴブの無事を願っていたペコリーナにとって、その呑気さはこれ以上のない吉報であったことには違いない。
「ゴブ達いいぃ………無事で、無事で良かったああぁ‼︎トンディ、クレール……本当に、本当にありがとう‼︎‼︎」
元気なゴブの姿を見たペコリーナは、目から大粒の涙を流してゴブ達を抱きしめ。
クレールとトンディに対し感謝の言葉を述べる。
「無事で良かった」
「これからはちゃんと、依頼の内容確認してからクエストに行けよ? ゴブ達」
「ゴブ? クエスト間違ってたゴブか? どうりで山菜ないわけゴブ」
「……気づいてなかったのか」
呑気なやつだとクレールは苦笑を漏らすと、ゴブ達を叱りつけるようにペコリーナの声がギルドに響く。
「もう、バカゴブ達‼︎? どれだけ心配したと思ってるのよ……本当に、あんた達になにかあったら、私……私」
ポロポロと涙を流すペコリーナ。
その様子につられ、ゴブ達の瞳からもポロポロと涙がこぼれだす。
「ご、ごぶーーー‼︎? 姉御―‼︎ なんだかよくわからないけど感動ゴブ‼︎」
「な、涙出てきたゴブーー‼︎」
互いに抱きしめ合い涙を流すゴブとペコリーナ。
恐らくペコリーナの涙の理由などゴブ達は一ミリも理解していないのだろうが。
涙とともに溢れ出る互いの絆の深さが……理解というものすら瑣末にさえ感じられる。
「みんな無事。良かった良かった」
「あぁ……あとはこっちの処遇だけど」
ゴブ達を見守る微笑ましい表情を、険しいものに変え、二人は吊るされたマゾ子へと視線を移す。
「ぴいいいぃ……お、下ろしてくださいい‼︎ ごめんなさいいぃ‼︎」
簀巻きで吊るされたマゾ子は、半泣きで助けを二人に求める。
ペコリーナに散々責め苦を受けたのだろう。 その頬や足には罵詈雑言が油性の筆で書かれていた。
「と、言ってますがどうする? トンディ」
「お、お願いトンちゃん‼︎ 別に悪気があったわけじゃないの‼︎ 本当に、本当にミスしちゃっただけなのぉ‼︎? ごめんなさいぃ、お願いだから許してぇ‼︎」
懇願をするように暴れて許しを請うマゾ子。
ミノムシのように体をよじるたびに、その豊満な胸は振動でぷるんと揺れる。
「……むぅ……」
トンディはしばらく、揺れるマゾ子の胸と自分のものを見比べると。
「放置」
そう判決を下した。
「ぴいいいぃぃぃ‼︎? なんでですかあぁ‼︎? トンちゃん今、絶対におっぱいで決めたでしょ‼︎?」
「………そ、そんなことないよ」
「図星かよおおぉ‼︎?」
三日月の空の下、静まり返ったエリンディアナの街の中で、マゾ子のそんな叫びが夜に溶けていくのであった。
◇
その後、ゴブたちとともにクレールとトンディは何事もなくギルドに到着をした。
途中クレールが森の中に仕掛けられた蜘蛛の罠に引っかかるというハプニングはあったものの。
それ以外は特に問題もなく、日付の変わるより早く二人は無事にゴブ達をギルドに送り届ける。
心配もつゆ知らずといったように、扉を開くと同時にギルドに響くゴブの呑気な声。
しかし、ゴブの無事を願っていたペコリーナにとって、その呑気さはこれ以上のない吉報であったことには違いない。
「ゴブ達いいぃ………無事で、無事で良かったああぁ‼︎トンディ、クレール……本当に、本当にありがとう‼︎‼︎」
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「無事で良かった」
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「……気づいてなかったのか」
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ポロポロと涙を流すペコリーナ。
その様子につられ、ゴブ達の瞳からもポロポロと涙がこぼれだす。
「ご、ごぶーーー‼︎? 姉御―‼︎ なんだかよくわからないけど感動ゴブ‼︎」
「な、涙出てきたゴブーー‼︎」
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恐らくペコリーナの涙の理由などゴブ達は一ミリも理解していないのだろうが。
涙とともに溢れ出る互いの絆の深さが……理解というものすら瑣末にさえ感じられる。
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「あぁ……あとはこっちの処遇だけど」
ゴブ達を見守る微笑ましい表情を、険しいものに変え、二人は吊るされたマゾ子へと視線を移す。
「ぴいいいぃ……お、下ろしてくださいい‼︎ ごめんなさいいぃ‼︎」
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ペコリーナに散々責め苦を受けたのだろう。 その頬や足には罵詈雑言が油性の筆で書かれていた。
「と、言ってますがどうする? トンディ」
「お、お願いトンちゃん‼︎ 別に悪気があったわけじゃないの‼︎ 本当に、本当にミスしちゃっただけなのぉ‼︎? ごめんなさいぃ、お願いだから許してぇ‼︎」
懇願をするように暴れて許しを請うマゾ子。
ミノムシのように体をよじるたびに、その豊満な胸は振動でぷるんと揺れる。
「……むぅ……」
トンディはしばらく、揺れるマゾ子の胸と自分のものを見比べると。
「放置」
そう判決を下した。
「ぴいいいぃぃぃ‼︎? なんでですかあぁ‼︎? トンちゃん今、絶対におっぱいで決めたでしょ‼︎?」
「………そ、そんなことないよ」
「図星かよおおぉ‼︎?」
三日月の空の下、静まり返ったエリンディアナの街の中で、マゾ子のそんな叫びが夜に溶けていくのであった。
◇
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