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こうして、王様の暗殺計画と魔王復活の計画は終了した。
地下牢から王城に戻った僕たちはことの顛末を王様と王妃様に話をすると。
王妃様は安堵したように息をついて、王様はちょっぴり残念そうな顔をしたけれど、
それでも何か心の中で吹っ切れたのか、今は王妃様と二人で仲良く国を統治をしている。
どうやら、ボレアスの暗殺未遂の一件以降も二人の関係は良好なようで、王子様から火を吹きそうなほどイチャついているから何とかしてほしいと相談を受けるほどだった。
ボレアスとメルトラだが、 魔王との戦いの後、気がついた時には二人の姿は地下洞窟にはなかった。
セレナは「抜け目ないやつ」なんて言っていたけれども、口元が綻んでいたのでわざと逃したのだろう。
もう魔王に操られることもないし……何より、仲の悪い演技をする必要もなくなったから今ごろきっと二人で新しい人生を歩み始めているのかもしれない。
さて……そして僕たちの話だが。
「しかし、まさかボレアスとメルトラが付き合ってたなんてねぇ」
町中が建国百周年記念のお祭りで賑わう中、僕とセレナは約束をしていた通り快気祝いも兼ねて予定通りデートを結構した。
場所は外国の料理を多数取り扱う王都の中でも予約が十年先まで埋まっているという名店。
出てくる料理は王宮でも見たこともないような不思議なものばかりであり、そんな料理に舌鼓を打ちながら、僕たちはくだらない会話に花を咲かしていた。
「まぁ、二人ともあれで隠しているようだったし詮索はしなかったのだけれども。隠れて相当イチャついてたわよあの二人」
「へぇ。喧嘩するほど仲がいいって言うけれども。本当に、男女の仲ってわからないものだね」
「そうね……でもだからこそ恋というのは恐ろしくもあるし、美しいとも感じるのよね」
「ふーん。そういうの、僕にはよくわからないけど……それよりもセレナ。メルトラとボレアスがいなくなったなら、騎士団長とメルトラの仕事は誰に任せる予定なの?」
「……騎士団長はミノスに任せるつもりだと王は言っていたわ。私も賛成ね。実力は十分だし、何より街の人に慕われている。ボレアスが起こした謀反のせいで騎士団への信用が地に落ちかけている今、あの人柄はとても重要なのよ。ただそのためにはミノスとしてではなくサイモンとして生きてもらう事になるけどね」
「騎士団長だなんて、ミノス嫌がりそうだけどね」
「そこは力づくでも言う事を聞かせるわよ。あの男の弱みなら、ザクロの実の粒ほど握ってるから、私」
セレナはにっこりと微笑んで怖いことを言った。
「そ、そうなんだ……それじゃあメルトラの仕事は? 結構色々と兼任してたけど」
「そこなのよ……王も王妃も後任で頭を悩ませていたわ」
「王宮にあれだけ人がいるんだから、一人ぐらいいい人いないの?」
「メルトラの仕事は、悪用すれば魔王の復活まで可能になるほど自由と権力のある仕事だもの。ボレアスの口がいくら上手かったとはいえ、臣下のほぼ全てが王の暗殺を良しと見過ごしていた……そんな人に、任せたくないと言うのが王と王妃が頭を悩ませてる理由よ」
「……なるほど、できれば身内以外で信頼できる実力者をそばに置きたいって言うのが王様の本音なんだ」
「そうね」
「だったらさ……いい人がいるよ‼︎」
「はぁ……分かってるわ。ルードでしょ」
僕が思いついた提案にセレナは口元を膨らませて不機嫌そうに答えを先に言う。
「な、なんで分かったの⁉︎」
「わかるわよ。貴方にとって一番信頼できる人だもの。それに実力もあるしお金もあるし……今回のパレードで民衆からの信頼もある。えぇ、貴方の考える通り最適すぎる人材よ。貴方が頼めば断らないでしょうしね……でも」
「で、でも?」
「あの男、私は嫌いよ……フリークの凄いところも見つけられて、貴方を誰よりも笑顔にできて。貴方を輝かせることもできて……私とは違うものをたくさん持ってて、貴方とすっごい仲良くて、相棒で……だから、だから大っ嫌いなの」
嫌いだと言いながら、セレナはルードのいいところをたくさん上げていく。
「ど、どうして?」
「だって私はフリークの相棒にはなれないから……その、だから……フリークを、取られちゃいそうで嫌なんだもん」
しょんぼりと顔を赤くして項垂れるセレナ
その表情は反則だ。
「と、取られたりなんかしないよ。ル……ルードは確かに相棒だけど⁉︎ 僕の心はずっと、これからも、永遠にセレナのものだから!」
「‼︎」
思わずセレナの手を取って本心をぶつけてしまったが、思ったよりも大きな声が出てしまったようで、騒がしかった店内は静まり返り、僕達に視線が集中する。
と言うか、今のはなんだか聞きようによってはプロポーズみたいになっちゃったし。
セレナも凄い顔を赤くしてモジモジしてるし。
どうしよう。急に恥ずかしくなってきた。
「あ、いや……その、ルードは男で、友達だからっていう意味でね。えと、だからその、深い意味は」
「……そうね。分かっているわフリーク。答えはもちろんOKよ。それで、子供は何人欲しいかしら?」
「いや、だから今のは・・・・・・」
誤解を解こうと僕はセレナの手を離そうとするが。
万力のような力で今度は僕の手が掴まれる。
「もう二度と離さない。あなたに誓うわ、何があっても私の心はあなたのもの。二度と置いていかないわ」
それは、いつか聞いた問いへの答えであり。
「セレナ……」
「だからフリーク……」
「え?……わっ⁉︎」
不意にセレナは勢いよく僕の手を引き……強引に僕の唇を奪う。
「私の全て、受け取ってくれる?」
上目遣いで迫るセレナ……結局そのまま押し切られ、僕とセレナはその日に夫婦となった。
やっぱり、人生はサイコロの連続だ……本当に何が起こるか分からない。
地下牢から王城に戻った僕たちはことの顛末を王様と王妃様に話をすると。
王妃様は安堵したように息をついて、王様はちょっぴり残念そうな顔をしたけれど、
それでも何か心の中で吹っ切れたのか、今は王妃様と二人で仲良く国を統治をしている。
どうやら、ボレアスの暗殺未遂の一件以降も二人の関係は良好なようで、王子様から火を吹きそうなほどイチャついているから何とかしてほしいと相談を受けるほどだった。
ボレアスとメルトラだが、 魔王との戦いの後、気がついた時には二人の姿は地下洞窟にはなかった。
セレナは「抜け目ないやつ」なんて言っていたけれども、口元が綻んでいたのでわざと逃したのだろう。
もう魔王に操られることもないし……何より、仲の悪い演技をする必要もなくなったから今ごろきっと二人で新しい人生を歩み始めているのかもしれない。
さて……そして僕たちの話だが。
「しかし、まさかボレアスとメルトラが付き合ってたなんてねぇ」
町中が建国百周年記念のお祭りで賑わう中、僕とセレナは約束をしていた通り快気祝いも兼ねて予定通りデートを結構した。
場所は外国の料理を多数取り扱う王都の中でも予約が十年先まで埋まっているという名店。
出てくる料理は王宮でも見たこともないような不思議なものばかりであり、そんな料理に舌鼓を打ちながら、僕たちはくだらない会話に花を咲かしていた。
「まぁ、二人ともあれで隠しているようだったし詮索はしなかったのだけれども。隠れて相当イチャついてたわよあの二人」
「へぇ。喧嘩するほど仲がいいって言うけれども。本当に、男女の仲ってわからないものだね」
「そうね……でもだからこそ恋というのは恐ろしくもあるし、美しいとも感じるのよね」
「ふーん。そういうの、僕にはよくわからないけど……それよりもセレナ。メルトラとボレアスがいなくなったなら、騎士団長とメルトラの仕事は誰に任せる予定なの?」
「……騎士団長はミノスに任せるつもりだと王は言っていたわ。私も賛成ね。実力は十分だし、何より街の人に慕われている。ボレアスが起こした謀反のせいで騎士団への信用が地に落ちかけている今、あの人柄はとても重要なのよ。ただそのためにはミノスとしてではなくサイモンとして生きてもらう事になるけどね」
「騎士団長だなんて、ミノス嫌がりそうだけどね」
「そこは力づくでも言う事を聞かせるわよ。あの男の弱みなら、ザクロの実の粒ほど握ってるから、私」
セレナはにっこりと微笑んで怖いことを言った。
「そ、そうなんだ……それじゃあメルトラの仕事は? 結構色々と兼任してたけど」
「そこなのよ……王も王妃も後任で頭を悩ませていたわ」
「王宮にあれだけ人がいるんだから、一人ぐらいいい人いないの?」
「メルトラの仕事は、悪用すれば魔王の復活まで可能になるほど自由と権力のある仕事だもの。ボレアスの口がいくら上手かったとはいえ、臣下のほぼ全てが王の暗殺を良しと見過ごしていた……そんな人に、任せたくないと言うのが王と王妃が頭を悩ませてる理由よ」
「……なるほど、できれば身内以外で信頼できる実力者をそばに置きたいって言うのが王様の本音なんだ」
「そうね」
「だったらさ……いい人がいるよ‼︎」
「はぁ……分かってるわ。ルードでしょ」
僕が思いついた提案にセレナは口元を膨らませて不機嫌そうに答えを先に言う。
「な、なんで分かったの⁉︎」
「わかるわよ。貴方にとって一番信頼できる人だもの。それに実力もあるしお金もあるし……今回のパレードで民衆からの信頼もある。えぇ、貴方の考える通り最適すぎる人材よ。貴方が頼めば断らないでしょうしね……でも」
「で、でも?」
「あの男、私は嫌いよ……フリークの凄いところも見つけられて、貴方を誰よりも笑顔にできて。貴方を輝かせることもできて……私とは違うものをたくさん持ってて、貴方とすっごい仲良くて、相棒で……だから、だから大っ嫌いなの」
嫌いだと言いながら、セレナはルードのいいところをたくさん上げていく。
「ど、どうして?」
「だって私はフリークの相棒にはなれないから……その、だから……フリークを、取られちゃいそうで嫌なんだもん」
しょんぼりと顔を赤くして項垂れるセレナ
その表情は反則だ。
「と、取られたりなんかしないよ。ル……ルードは確かに相棒だけど⁉︎ 僕の心はずっと、これからも、永遠にセレナのものだから!」
「‼︎」
思わずセレナの手を取って本心をぶつけてしまったが、思ったよりも大きな声が出てしまったようで、騒がしかった店内は静まり返り、僕達に視線が集中する。
と言うか、今のはなんだか聞きようによってはプロポーズみたいになっちゃったし。
セレナも凄い顔を赤くしてモジモジしてるし。
どうしよう。急に恥ずかしくなってきた。
「あ、いや……その、ルードは男で、友達だからっていう意味でね。えと、だからその、深い意味は」
「……そうね。分かっているわフリーク。答えはもちろんOKよ。それで、子供は何人欲しいかしら?」
「いや、だから今のは・・・・・・」
誤解を解こうと僕はセレナの手を離そうとするが。
万力のような力で今度は僕の手が掴まれる。
「もう二度と離さない。あなたに誓うわ、何があっても私の心はあなたのもの。二度と置いていかないわ」
それは、いつか聞いた問いへの答えであり。
「セレナ……」
「だからフリーク……」
「え?……わっ⁉︎」
不意にセレナは勢いよく僕の手を引き……強引に僕の唇を奪う。
「私の全て、受け取ってくれる?」
上目遣いで迫るセレナ……結局そのまま押し切られ、僕とセレナはその日に夫婦となった。
やっぱり、人生はサイコロの連続だ……本当に何が起こるか分からない。
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