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ブラックマーケット
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ウーノの街南東にあるスラム街……通称「ブラックマーケット」
物流が行き交い、多くの国や人が集まり賑わうウーノの街の活気を光と例えるならば、当然そこに落ちる影は深く濃くなることは道理であり、魔物という脅威がないということは裏を返せば人による悪行が生まれやすいとも言える。
物流が多いということは、当然表には出せないような珍品、危険物の流通も裏の町では比例して多くなるわけで、取り締まれないほど巨大化してしまった結果ウーノの街の中央街は、臭いものに蓋でもするかのように巨大な壁で隔離をすることでウーノの治安を守ったらしく。
ここに住む人々は自嘲を込めてこの場所をウーノのゴミ箱と呼ぶのだと、フレンは教えてくれた。
「さて、というわけでやってきましたブラックマーケット‼︎」
陰鬱な空気の漂う街に姉ちゃんの声が響く。
楽しげにぴょんぴょんとその場で飛び跳ねる様は、さながら新品の雨がっぱを買ってもらった子供が水たまりで飛び跳ねているかのようだ。
「なんで楽しそうなんだよアンネ。ここがどんなところかって説明、ちゃんと理解したんだよな?」
「もちろん、めずらしいものが売ってて、何やってもいい場所でしょ? 任せて‼︎ お姉ちゃんそういうの得意だから‼︎」
「拡大解釈のバーゲンセールかっ!?」
「あー、OK姉ちゃん。とりあえず杖は没収するね」
危険を感じた僕は、姉ちゃんの背中に掛けられた杖を抜き取る。
重いなこの杖……。
「ふええぇ‼︎ なんでええぇ‼︎?」
「なんでって、姉ちゃんが任せてって言う時は大体何かを壊すときだからだよ‼︎? そうポンポンと借金増やされてたまるかこのざんねーちゃん‼︎」
「ざんね……うわあああぁん。マオちゃああぁんんユウくんがいじめるーーお姉ちゃんだって頑張ってるのにー‼︎」
「よしよし、そうじゃな……お主も頑張っておるよな。ちょっと頭おかしいけど……」
「ううぅ……認めてくれるのはマオちゃんだけ……ってあれ? 今マオちゃんさらっと悪口言った?」
「気のせいじゃないかの……それよりも金髪、地域は絞れたと言ってもこれだけ広い街じゃ、何かあてはあるのかの?」
姉ちゃんから目をそらしマオはフレンにそう問うと、フレンは考えるような素振りを見せ……。
「ふぅむ、ここいらの情報通なら一人仕事の付き合いで心あたりがあんな……そいつを尋ねてみるか……ほら、そこの酒場だ」
……思いついた様にブラックマーケット入り口すぐに立っている年季の入った酒場をゆびさす。
「付き合いがある店って……大丈夫? フレンのことだからまた揉め事になったりするんじゃないの?」
「しねーわ!? お前本当に俺のことなんだと思ってんだよ‼︎」
「詐欺師」
「商人だよ!?」
「なっ……そうじゃったのか‼︎?」
「おいおいマオさん? お前何で本気で驚いてるんですかねぇ? 何回か俺の手伝いしてるよな?」
「いや、妾今までてっきり詐欺の片棒を担がされているのだとばかり……まったくそれならそうと最初から言わぬか金髪‼︎」
「なんで俺が怒られんだよ!?……くそっ、てめえら揃いも揃ってバカにしやがって……いいぜ見せてやるよ。俺が商人としてどれだけ顔が広いかって思い知らせてやらあ‼︎? お前ら2人とも、『フレン様調子に乗ってすみませんでした』って土下座させてやるからな‼︎ 覚悟しとけ‼︎」
そう捨て台詞を吐くとフレンは一人酒場へと入っていき、少し遅れて僕たちもその後に続いた。
物流が行き交い、多くの国や人が集まり賑わうウーノの街の活気を光と例えるならば、当然そこに落ちる影は深く濃くなることは道理であり、魔物という脅威がないということは裏を返せば人による悪行が生まれやすいとも言える。
物流が多いということは、当然表には出せないような珍品、危険物の流通も裏の町では比例して多くなるわけで、取り締まれないほど巨大化してしまった結果ウーノの街の中央街は、臭いものに蓋でもするかのように巨大な壁で隔離をすることでウーノの治安を守ったらしく。
ここに住む人々は自嘲を込めてこの場所をウーノのゴミ箱と呼ぶのだと、フレンは教えてくれた。
「さて、というわけでやってきましたブラックマーケット‼︎」
陰鬱な空気の漂う街に姉ちゃんの声が響く。
楽しげにぴょんぴょんとその場で飛び跳ねる様は、さながら新品の雨がっぱを買ってもらった子供が水たまりで飛び跳ねているかのようだ。
「なんで楽しそうなんだよアンネ。ここがどんなところかって説明、ちゃんと理解したんだよな?」
「もちろん、めずらしいものが売ってて、何やってもいい場所でしょ? 任せて‼︎ お姉ちゃんそういうの得意だから‼︎」
「拡大解釈のバーゲンセールかっ!?」
「あー、OK姉ちゃん。とりあえず杖は没収するね」
危険を感じた僕は、姉ちゃんの背中に掛けられた杖を抜き取る。
重いなこの杖……。
「ふええぇ‼︎ なんでええぇ‼︎?」
「なんでって、姉ちゃんが任せてって言う時は大体何かを壊すときだからだよ‼︎? そうポンポンと借金増やされてたまるかこのざんねーちゃん‼︎」
「ざんね……うわあああぁん。マオちゃああぁんんユウくんがいじめるーーお姉ちゃんだって頑張ってるのにー‼︎」
「よしよし、そうじゃな……お主も頑張っておるよな。ちょっと頭おかしいけど……」
「ううぅ……認めてくれるのはマオちゃんだけ……ってあれ? 今マオちゃんさらっと悪口言った?」
「気のせいじゃないかの……それよりも金髪、地域は絞れたと言ってもこれだけ広い街じゃ、何かあてはあるのかの?」
姉ちゃんから目をそらしマオはフレンにそう問うと、フレンは考えるような素振りを見せ……。
「ふぅむ、ここいらの情報通なら一人仕事の付き合いで心あたりがあんな……そいつを尋ねてみるか……ほら、そこの酒場だ」
……思いついた様にブラックマーケット入り口すぐに立っている年季の入った酒場をゆびさす。
「付き合いがある店って……大丈夫? フレンのことだからまた揉め事になったりするんじゃないの?」
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「なっ……そうじゃったのか‼︎?」
「おいおいマオさん? お前何で本気で驚いてるんですかねぇ? 何回か俺の手伝いしてるよな?」
「いや、妾今までてっきり詐欺の片棒を担がされているのだとばかり……まったくそれならそうと最初から言わぬか金髪‼︎」
「なんで俺が怒られんだよ!?……くそっ、てめえら揃いも揃ってバカにしやがって……いいぜ見せてやるよ。俺が商人としてどれだけ顔が広いかって思い知らせてやらあ‼︎? お前ら2人とも、『フレン様調子に乗ってすみませんでした』って土下座させてやるからな‼︎ 覚悟しとけ‼︎」
そう捨て台詞を吐くとフレンは一人酒場へと入っていき、少し遅れて僕たちもその後に続いた。
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