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Sクラス冒険者の力
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「一応、私の特別なスキルだからね、特別な部屋を用意したYO‼︎」
そう言って連れて行かれたのはVIPルームと入り口に書かれた部屋。
部屋の作りは木造の建物の中でここだけが頑丈な石造りであり。
ロープの張られた巨大な円場の舞台が、部屋の大部分を占めている。
おそらく、より実戦的な訓練を行うためのスペースなのだということはなんとなく理解できた。
「さて、スキルを習得する前にブリーフィングだ。これは覚えておいて損はないからよーく聞いておくれよ? まずはスキルの習得は四つのステップに分けられる」
部屋に案内をすると、アニキさんはそう語りながら舞台の上に上がると、ポーズを決めてそう語る。
「ステップ?」
「SO、スキル習得の流れは基本、「視認」「理解」「知覚」「再現」の手順を踏む」
「視認?知覚?」
「まぁ簡単に言うと、そのスキルを目で見て、そのスキルがどんな効果なのかを理解したうえで、そのスキルの名前を知って覚える。そしてそれを再現できるようにする……まぁ当たり前って言えば当たり前に聞こえるかも知れないんだけど、どれか一つ欠けてもスキルは習得できない。スキルの能力を誤認していたり、名前を間違えて覚えてたりすると習得ができないから……ようはしっかり見ていてねってことSA‼︎」
「なるほど、わかりました」
「いい返事だ、君はいい子だね。さて、誰かにスキルを教えてもらう場合、「視認」「理解」「知覚」のステップはとても簡単にクリアできる、見せてもらえばいいだけだからNE。だけど「再現」はそうも行かない、誰もが知識だけじゃ泳ぐことができないように、スキルもまた知識を得た上で発動を体に覚えさせる必要があるんだYO……まぁ、ごくまれに修練しなくてもスキルを再現できる天才って奴もいるけれどね」
「それってもしかして……」
ちらりと隣にいる姉ちゃんに視線を向けると、ドヤ顔で胸をはっている姉ちゃんがいた。
「あんた、SSS冒険者から見ても化け物なんだな」
「ふっふーん当然‼︎ 強さの秘訣はユウ君への一途な愛! ユウ君さえいればお姉ちゃんは無敵なんだから!」
「……苦労するNE、君も」
「わかります?」
同情してくれるマッスルアニキの瞳はとても優しかった。
「まぁ、それは置いておいてだ……誰か召喚魔法が使える人はいないかな?」
「はいはーい‼︎ それなら私が……」
「君の呼び出す魔物だと街一つ消えかねないからご遠慮願うYOアンネ」
「ぶー、私をなんだと思ってるのよアーノルド」
不貞腐れるように口を尖らせる姉ちゃんに、隣に座っていたマオが手をあげる。
「妾も使えるぞ、暴走して所構わず暴れまわるがの‼︎」
「なんで自慢げなんだよ」
「HAHAHA! 誰にでも発展途上という期間はあるものさ。敵対をしている方がむしろ都合がいいいから召喚してみてYO。出来るだけ強い魔物の方が好ましいNE」
「大丈夫か? ドラゴンとか出てくるぞ下手したら」
「HAHAHA、それのどこに問題があるのかな? 私はSSSランク冒険者、マッスル兄貴なんだYO!?」
マオの前で爽やかにポーズを決めるマッスル兄貴。
その姿から絶対の自信が伝わってくる。
「これが、Sランク冒険者……」
「いやただの変態だろ」
「……むぅ、まぁそこまでいうならよかろうて、行くぞ‼︎」
マオはそういうと魔力を練り上げ、同時に魔法陣を展開させる。
「ほぅ、これはこれは」
マッスル兄貴もこれほどの魔法の行使は予想外だったのか、目を見開き呼び出される魔物を凝視する。
召喚陣より姿を現した魔物は、マッスル兄貴の三倍はあろうかと言う体躯に無数の腕を持つ人型の魔物だった。
青色の肌に十を超える腕が身体中から生えたその怪物は、目前に立つマッスル兄貴に向かい拳を構えて威嚇をする。
「あれはヘカトンケイルね……無数の腕を持つ剛腕にして暴力の化身。神話にも暴れまわって神様をよく困らせたなんて話が残ってるほど凶暴で凶悪な魔物だけど……マオちゃん本当にすごいもの呼び出したわね」
「おいおい、おま、少しは限度ってもんを考えろよバカ‼︎」
「のじゃ!? し、仕方なかろう!? 本当に呼び出すものもコントロールできないんじゃから‼︎ ええい、本当に大丈夫なのか、筋肉の人‼︎」
「HAHAHA、全くもってノープロブレムだYO、むしろスパーリングには丁度いい‼︎ では早速、授業開始といこうか‼︎ ユウ君、しっかり見ているんだYO‼︎」
「はい‼︎」
僕の返事に、マッスル兄貴は白い歯を見せて笑うと、筋肉を膨らませてポーズをとる。
『挑発(サイドチェスト)‼︎』
挑発のスキルをマッスル兄貴が放つと、それを合図と言わんばかりに、ヘカトンケイルはその腕を膨れ上がった筋肉へと走る。
剛腕にして暴力の化身……姉ちゃんのその言葉には偽りはなく、振るわれた腕の風圧で地面をめくり上がらせながら、ヘカトンケイルはマッスル兄貴へと拳を叩き込む。
常人ならば触れただけでも即死級の暴力、それが雨のように筋肉へと降り注ぐ。
「素晴らしい! だが負けないYO‼︎ 『モストンマスキュラー‼︎』」
しかしマッスル兄貴はその攻撃を回避する素振りも見せず、真正面から受け止めた。
絶えず鈍い音が場内に響き、打撃の振動が見ている僕たちのもとまで届く。
それだけの攻撃を絶えず受けながらなお、筋肉は不動。
それどころか、攻撃をしたヘカトンケイルの拳から赤い血が滴り落ちている。
「なんつー硬さだあの筋肉‼︎?︎ マッスルじゃなくてあれじゃキャッスルじゃねえか‼︎」
「まさに筋肉の詰め合わせパックなのじゃ‼︎?」
驚愕するように声をあげるマオとフレン。
だがそれも無理はない。
「あれだけの攻撃を全部真正面から……SSSランク冒険者最硬の名前は伊達じゃないね」
「そう。しかもあの筋肉の出鱈目なところは、攻撃を受ける際に一切のスキルを使用してないところなのよね」
「はぁ‼︎? なんじゃって!?」
「モストンマスキュラーはただのポーズの名前なの、彼が信じるのは技術じゃなくて鍛え上げられた己の肉体のみ。 その桁外れの体力による鉄壁の防御を誇る冒険者。それがかれ、マッスル兄貴なのよ」
「いや、桁外れの体力って……と言うことはあれ一応ダメージ通ってるのか!?」
「もちろん。 ただ、あれだけ攻撃を受けても、きっと一割も体力は削られていないと思うけれどねー……本当、私のことだけ危険物扱いして、失礼しちゃう」
「まぁ、マッスル兄貴は城壁破壊しないだろうからね」
「ユウ君はどっちの味方なのよー‼︎」
頬を膨らませてむくれる姉ちゃん。
「あれ? でもちょっと待って姉ちゃん。 それだとスキル習得のはずなのに、僕たち結局彼の筋肉見せつけられてるだけなんだけど」
「多分彼が見せる技はこれからかな……ほら、そろそろだよ」
姉ちゃんはそう言ってマッスル兄貴を指差すと、マッスル兄貴の体に異変が現れる。
「っ‼︎? 体が、赤く……」
「よーく見ているんだYOユウ君!? これこそ、私が魔王軍幹部を屠ったアルティメットスキル‼︎」
叫び声と同時に、今まで動くことがなかったマッスル兄貴は手を伸ばし、自らを殴りつけるヘカトンケイルの腕を掴む。
「‼︎?」
『痛み分け痛みわけ‼︎』
赤くなった体から煙のように蒸気が上がり、同時に掴まれた腕から魔物の体が崩れ落ち、やがてチリ一つ残さず消滅をする。
「な、なんじゃあれは……一体何が」
「痛み分け。 自分が受けたダメージと対象が受けたダメージを合算し、半分にして双方に振り分けるスキル。普通の人が使うには意味がないスキルなんだけど……彼ほどの体力を持っている人間がああやって使えばあの通り。敵を倒しつつ自分だけが一方的に回復もできるようになる超スキルになるってわけ」
「なんて出鱈目な……いやちょっと待てよ、あの技で魔王軍幹部を倒したっつーことはあの筋肉、魔王軍幹部よりも体力があるってことか」
「そうなるわねぇ、ほら、笑っちゃうでしょ?」
「なんじゃ? S ランク冒険者って頭おかしいやつしかおらぬのか? と言うかなんでこんな奴等が揃ってて魔王軍滅ぼされてないの? 妾だったら尻尾巻いて逃げ出すぞこんなの」
Sランク冒険者というあまりにも出鱈目な存在に、僕たちは思い思いの感想を呟く。
しかし、そんなすごいスキルを覚えられるのだ……これで進展のなかった魔王討伐も大きく前進して……いや待てよ?
「……ねえ姉ちゃん。あのスキルって桁外れの体力がないと使えないんだよね。そうすると僕覚えてもしょうがないんじゃ」
「……まぁそうなるねぇ」
……だめじゃん。
「HAHAHA‼︎ どうだったかなユウ君! このスキル、習得自体はさして難しいものではないんだ、条件は攻撃を瀕死になるまで受けて受けて受けまくること!! そうなれば体力も増幅するしスキルも覚えられて一石二鳥さ‼︎ さぁ、胸を貸してあげるから私と一緒にレッツトレーニン……」
「お断りします」
意気揚々と戻ってくるマッスル兄貴に、僕は丁重にその申し出を断ったのであった。
そう言って連れて行かれたのはVIPルームと入り口に書かれた部屋。
部屋の作りは木造の建物の中でここだけが頑丈な石造りであり。
ロープの張られた巨大な円場の舞台が、部屋の大部分を占めている。
おそらく、より実戦的な訓練を行うためのスペースなのだということはなんとなく理解できた。
「さて、スキルを習得する前にブリーフィングだ。これは覚えておいて損はないからよーく聞いておくれよ? まずはスキルの習得は四つのステップに分けられる」
部屋に案内をすると、アニキさんはそう語りながら舞台の上に上がると、ポーズを決めてそう語る。
「ステップ?」
「SO、スキル習得の流れは基本、「視認」「理解」「知覚」「再現」の手順を踏む」
「視認?知覚?」
「まぁ簡単に言うと、そのスキルを目で見て、そのスキルがどんな効果なのかを理解したうえで、そのスキルの名前を知って覚える。そしてそれを再現できるようにする……まぁ当たり前って言えば当たり前に聞こえるかも知れないんだけど、どれか一つ欠けてもスキルは習得できない。スキルの能力を誤認していたり、名前を間違えて覚えてたりすると習得ができないから……ようはしっかり見ていてねってことSA‼︎」
「なるほど、わかりました」
「いい返事だ、君はいい子だね。さて、誰かにスキルを教えてもらう場合、「視認」「理解」「知覚」のステップはとても簡単にクリアできる、見せてもらえばいいだけだからNE。だけど「再現」はそうも行かない、誰もが知識だけじゃ泳ぐことができないように、スキルもまた知識を得た上で発動を体に覚えさせる必要があるんだYO……まぁ、ごくまれに修練しなくてもスキルを再現できる天才って奴もいるけれどね」
「それってもしかして……」
ちらりと隣にいる姉ちゃんに視線を向けると、ドヤ顔で胸をはっている姉ちゃんがいた。
「あんた、SSS冒険者から見ても化け物なんだな」
「ふっふーん当然‼︎ 強さの秘訣はユウ君への一途な愛! ユウ君さえいればお姉ちゃんは無敵なんだから!」
「……苦労するNE、君も」
「わかります?」
同情してくれるマッスルアニキの瞳はとても優しかった。
「まぁ、それは置いておいてだ……誰か召喚魔法が使える人はいないかな?」
「はいはーい‼︎ それなら私が……」
「君の呼び出す魔物だと街一つ消えかねないからご遠慮願うYOアンネ」
「ぶー、私をなんだと思ってるのよアーノルド」
不貞腐れるように口を尖らせる姉ちゃんに、隣に座っていたマオが手をあげる。
「妾も使えるぞ、暴走して所構わず暴れまわるがの‼︎」
「なんで自慢げなんだよ」
「HAHAHA! 誰にでも発展途上という期間はあるものさ。敵対をしている方がむしろ都合がいいいから召喚してみてYO。出来るだけ強い魔物の方が好ましいNE」
「大丈夫か? ドラゴンとか出てくるぞ下手したら」
「HAHAHA、それのどこに問題があるのかな? 私はSSSランク冒険者、マッスル兄貴なんだYO!?」
マオの前で爽やかにポーズを決めるマッスル兄貴。
その姿から絶対の自信が伝わってくる。
「これが、Sランク冒険者……」
「いやただの変態だろ」
「……むぅ、まぁそこまでいうならよかろうて、行くぞ‼︎」
マオはそういうと魔力を練り上げ、同時に魔法陣を展開させる。
「ほぅ、これはこれは」
マッスル兄貴もこれほどの魔法の行使は予想外だったのか、目を見開き呼び出される魔物を凝視する。
召喚陣より姿を現した魔物は、マッスル兄貴の三倍はあろうかと言う体躯に無数の腕を持つ人型の魔物だった。
青色の肌に十を超える腕が身体中から生えたその怪物は、目前に立つマッスル兄貴に向かい拳を構えて威嚇をする。
「あれはヘカトンケイルね……無数の腕を持つ剛腕にして暴力の化身。神話にも暴れまわって神様をよく困らせたなんて話が残ってるほど凶暴で凶悪な魔物だけど……マオちゃん本当にすごいもの呼び出したわね」
「おいおい、おま、少しは限度ってもんを考えろよバカ‼︎」
「のじゃ!? し、仕方なかろう!? 本当に呼び出すものもコントロールできないんじゃから‼︎ ええい、本当に大丈夫なのか、筋肉の人‼︎」
「HAHAHA、全くもってノープロブレムだYO、むしろスパーリングには丁度いい‼︎ では早速、授業開始といこうか‼︎ ユウ君、しっかり見ているんだYO‼︎」
「はい‼︎」
僕の返事に、マッスル兄貴は白い歯を見せて笑うと、筋肉を膨らませてポーズをとる。
『挑発(サイドチェスト)‼︎』
挑発のスキルをマッスル兄貴が放つと、それを合図と言わんばかりに、ヘカトンケイルはその腕を膨れ上がった筋肉へと走る。
剛腕にして暴力の化身……姉ちゃんのその言葉には偽りはなく、振るわれた腕の風圧で地面をめくり上がらせながら、ヘカトンケイルはマッスル兄貴へと拳を叩き込む。
常人ならば触れただけでも即死級の暴力、それが雨のように筋肉へと降り注ぐ。
「素晴らしい! だが負けないYO‼︎ 『モストンマスキュラー‼︎』」
しかしマッスル兄貴はその攻撃を回避する素振りも見せず、真正面から受け止めた。
絶えず鈍い音が場内に響き、打撃の振動が見ている僕たちのもとまで届く。
それだけの攻撃を絶えず受けながらなお、筋肉は不動。
それどころか、攻撃をしたヘカトンケイルの拳から赤い血が滴り落ちている。
「なんつー硬さだあの筋肉‼︎?︎ マッスルじゃなくてあれじゃキャッスルじゃねえか‼︎」
「まさに筋肉の詰め合わせパックなのじゃ‼︎?」
驚愕するように声をあげるマオとフレン。
だがそれも無理はない。
「あれだけの攻撃を全部真正面から……SSSランク冒険者最硬の名前は伊達じゃないね」
「そう。しかもあの筋肉の出鱈目なところは、攻撃を受ける際に一切のスキルを使用してないところなのよね」
「はぁ‼︎? なんじゃって!?」
「モストンマスキュラーはただのポーズの名前なの、彼が信じるのは技術じゃなくて鍛え上げられた己の肉体のみ。 その桁外れの体力による鉄壁の防御を誇る冒険者。それがかれ、マッスル兄貴なのよ」
「いや、桁外れの体力って……と言うことはあれ一応ダメージ通ってるのか!?」
「もちろん。 ただ、あれだけ攻撃を受けても、きっと一割も体力は削られていないと思うけれどねー……本当、私のことだけ危険物扱いして、失礼しちゃう」
「まぁ、マッスル兄貴は城壁破壊しないだろうからね」
「ユウ君はどっちの味方なのよー‼︎」
頬を膨らませてむくれる姉ちゃん。
「あれ? でもちょっと待って姉ちゃん。 それだとスキル習得のはずなのに、僕たち結局彼の筋肉見せつけられてるだけなんだけど」
「多分彼が見せる技はこれからかな……ほら、そろそろだよ」
姉ちゃんはそう言ってマッスル兄貴を指差すと、マッスル兄貴の体に異変が現れる。
「っ‼︎? 体が、赤く……」
「よーく見ているんだYOユウ君!? これこそ、私が魔王軍幹部を屠ったアルティメットスキル‼︎」
叫び声と同時に、今まで動くことがなかったマッスル兄貴は手を伸ばし、自らを殴りつけるヘカトンケイルの腕を掴む。
「‼︎?」
『痛み分け痛みわけ‼︎』
赤くなった体から煙のように蒸気が上がり、同時に掴まれた腕から魔物の体が崩れ落ち、やがてチリ一つ残さず消滅をする。
「な、なんじゃあれは……一体何が」
「痛み分け。 自分が受けたダメージと対象が受けたダメージを合算し、半分にして双方に振り分けるスキル。普通の人が使うには意味がないスキルなんだけど……彼ほどの体力を持っている人間がああやって使えばあの通り。敵を倒しつつ自分だけが一方的に回復もできるようになる超スキルになるってわけ」
「なんて出鱈目な……いやちょっと待てよ、あの技で魔王軍幹部を倒したっつーことはあの筋肉、魔王軍幹部よりも体力があるってことか」
「そうなるわねぇ、ほら、笑っちゃうでしょ?」
「なんじゃ? S ランク冒険者って頭おかしいやつしかおらぬのか? と言うかなんでこんな奴等が揃ってて魔王軍滅ぼされてないの? 妾だったら尻尾巻いて逃げ出すぞこんなの」
Sランク冒険者というあまりにも出鱈目な存在に、僕たちは思い思いの感想を呟く。
しかし、そんなすごいスキルを覚えられるのだ……これで進展のなかった魔王討伐も大きく前進して……いや待てよ?
「……ねえ姉ちゃん。あのスキルって桁外れの体力がないと使えないんだよね。そうすると僕覚えてもしょうがないんじゃ」
「……まぁそうなるねぇ」
……だめじゃん。
「HAHAHA‼︎ どうだったかなユウ君! このスキル、習得自体はさして難しいものではないんだ、条件は攻撃を瀕死になるまで受けて受けて受けまくること!! そうなれば体力も増幅するしスキルも覚えられて一石二鳥さ‼︎ さぁ、胸を貸してあげるから私と一緒にレッツトレーニン……」
「お断りします」
意気揚々と戻ってくるマッスル兄貴に、僕は丁重にその申し出を断ったのであった。
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