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2023年10月31日
第二十九話 6:31
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テスラのいる施設に入った私たち四人。
私はここがどんな施設なのかもサッパリ分かっていなかったのですが、大きな正面玄関を入ったらすぐに受付があり、そこには施設の名前が大きく記されていました。
【テスラ血液銀行】
ゲゲゲっっ! テスラ血液銀行って言ったら海外にも血液を輸出してる国際的な血液銀行! ウチの病院でも血液使ってたっっ!
「あ、エドゥアルトさんお帰りなさい。テスラから伝言で、『下に来てください』だそうです」
「あ、そっスか。ありがと~」
受付の女性はいつもの事のように、エドゥアルトに伝言を伝えました。
あれ? こんな時間にもあんな女性が受付やってんの? 何かすごいなあ……
「あの人も吸血鬼です」
ルースヴェンさんが横からコッソリ教えてくれました。
ひえ~~……
こうして私たち四人は急いでエレベーターに。
するとエドゥアルトが右手だけを煙のようにして、エレベーターのボタンの奥にその煙を押しつけるではありませんか!
「わあ!」
私とセブリーヌは、思わず驚いて声を出してしまいました。するとエドゥアルトは笑顔で振り向いてしたり顔。
「こうしないと、人間が来ちゃうんスよ」
私とセブリーヌは顔を見合わせていると、横でルースヴェンさんも笑顔になっていました。
そしてエドゥアルトはボタンの奥のボタンを押したようで、エレベーターは下へ下へ下がって行きます。
ずいぶんと長いエレベーターだな~と思ったのですが、ようやく到着し、エレベーターのドアが開くと、そこはよく見るSF映画のような真っ白な研究施設。
どうやらここにテスラという人はいるみたいです。
「こっちっス」
エドゥアルトは相変わらず軽い感じで案内してくれますが、明らかに外に漏れたらヤバい研究とかをしてそうな重々しい雰囲気。
私たち四人の場違い感が半端ありませんっっ。
私は無意識に背中を丸めてコソコソと歩いてしまいましたが、エドゥアルトはもちろん、セブリーヌもルースヴェンさんも全く動揺せずに、堂々と歩いています。
何で?
私一人だけが小者感を出してしまいましたが、エドゥアルトが大きな左右に開くドアの入り口へ到着すると、インターホンを押しました。
どうやらここが目的の部屋のようです。
「テスラ、エドゥアルトっス。戻りました~」
「うむ。入りなさい」
インターホンから聞こえたのは、とても低く渋い老人のような男性の声。
するとドアが左右に開き、エドゥアルトは「行くっスよ~」と軽く私たちを促し中へ入って行きました。
私はもうドキドキが止まらなかったのですが、気がつくとルースヴェンさんが私の手を握ってくれて、落ち着かせてくれようとしていました。
その部屋は全体的に真っ黒に壁が塗られていて、すでに息が詰まりそう。
そしてなぜか突き当たりに星型のマーク(ペンタゴンマークってヤツですか?)が壁にかけられ、その手前には長机の上に簡単な祭壇のような形で電気のローソクが灯り、どうやらブーケやケーキが用意されているみたいです。
そしてみんなが座るイスも人数分用意されています。
まるでこれから結婚式をやるみたい……と、思うトコなんですが、出迎えてくれた男性のその格好は、全身真っ黒のまるで魔術師。
「初めまして。私がここの代表のテスラ。アルマンド・テスラと申します」
この魔術師さんがテスラさん! 低い声がとても渋いおじさんでしたが、若い頃は絶対にイケメンだったんだろうなって思うくらいに顔もイケてます。
「事情は聞いています。もしよろしければ、今ここで婚姻式を行おうと思っているのですが、ルースヴェン卿、どうですかな?」
「ぜひ。エレンさんさえよければ」
ゲゲゲっっ! またまたスピード展開っっ! 頭がついていかないっっ。でも頼んじゃおっっ!
「は、はい! お願いします!」
「うむ、よろしい。では結婚式を挙げますが一つ、我々は神を崇拝していません。なので悪魔崇拝の結婚式になりますが、エレン……苗字はなんと申すのかな? よろしいですか?」
「あ! え、え? 何だっ……あ! は、はい。エレン……マトレイです! 構いません。よろしくお願いしますっっ」
「あはははは。よろしい。ではそうしましょう。エレン・マトレイさん。そしてフリードリヒ・ルースヴェン・ファントム・シュレック卿」
あ~、びっくりした。私もう離婚したからシュレーダーじゃないんだ。十数年ぶりに前の苗字に戻ったから、全く出てこなくって、変に焦っちゃったっっ。でもまたすぐに苗字変わるのねっっ。
それにしても、ルースヴェンさんの本名がすぐ出て来るって事は……やっぱり繋がりがあるんだわ。
まだ私、知らないコトだらけっっ。
いや、そんな事考えている場合じゃないっっ。荷物は~……後ろの席とトコでいいや。ミナのキャリーはイスの上に置いて……。あ、セブリーヌとエドゥアルトはもう後ろで着席してるっっ。
「ではエレン・マトレイさん。このブーケを持って頂けますかな?」
「は、はい!」
テスラさんは優しく机の上に置いてあったブーケを手渡してくれました。
「では申し訳ないが時間がない。お二人とも、その格好での式で進めます」
「お願いします」
こうして結婚式がスタートすると思ったのですが……
「ではここで、悪魔を召喚しないといけませんので、今から呪文を唱えます」
テスラさんはおもむろに机の上に置いてあった辞書のような分厚い本を開くと、壁にかかっているペンタゴンに呪文を唱え始めたのです。
「クラードォー・ババラー・ニクトー……カンダ!」
あ、あれは魔術書ってヤツだわ……っっ。
私はあまりの展開に、ちょっと恐ろしくなり、ルースヴェンさんに身を寄せました。
同じようにセブリーヌもエドゥアルトに抱きついています。その顔はこわばっています。
一方でルースヴェンさんとエドゥアルトは、何が行われているのか理解しているようで、冷静そのもの。
しかも顔は少し微笑んでいるようです。
「テスラ……さすがです」
「え?」
私はルースヴェンさんの感心するその言葉を聞き逃しませんでした。
その時です。
壁にかかっているペンタゴンマークから青白い光がほど走るように部屋を照らし始めると、それと同時に全く知らない中年男性が一人現れたのです!
そしてその男性はそのまま目の前に落っこちて来ました。
「いたたたた……」
その男性が腰を痛がっているのを気にもせず、テスラは頭を下げて言ったのです。
「ようこそいらっしゃいました。ベリアル殿」
ゲゲゲっっ! べ、ベリアルっっ!
私はここがどんな施設なのかもサッパリ分かっていなかったのですが、大きな正面玄関を入ったらすぐに受付があり、そこには施設の名前が大きく記されていました。
【テスラ血液銀行】
ゲゲゲっっ! テスラ血液銀行って言ったら海外にも血液を輸出してる国際的な血液銀行! ウチの病院でも血液使ってたっっ!
「あ、エドゥアルトさんお帰りなさい。テスラから伝言で、『下に来てください』だそうです」
「あ、そっスか。ありがと~」
受付の女性はいつもの事のように、エドゥアルトに伝言を伝えました。
あれ? こんな時間にもあんな女性が受付やってんの? 何かすごいなあ……
「あの人も吸血鬼です」
ルースヴェンさんが横からコッソリ教えてくれました。
ひえ~~……
こうして私たち四人は急いでエレベーターに。
するとエドゥアルトが右手だけを煙のようにして、エレベーターのボタンの奥にその煙を押しつけるではありませんか!
「わあ!」
私とセブリーヌは、思わず驚いて声を出してしまいました。するとエドゥアルトは笑顔で振り向いてしたり顔。
「こうしないと、人間が来ちゃうんスよ」
私とセブリーヌは顔を見合わせていると、横でルースヴェンさんも笑顔になっていました。
そしてエドゥアルトはボタンの奥のボタンを押したようで、エレベーターは下へ下へ下がって行きます。
ずいぶんと長いエレベーターだな~と思ったのですが、ようやく到着し、エレベーターのドアが開くと、そこはよく見るSF映画のような真っ白な研究施設。
どうやらここにテスラという人はいるみたいです。
「こっちっス」
エドゥアルトは相変わらず軽い感じで案内してくれますが、明らかに外に漏れたらヤバい研究とかをしてそうな重々しい雰囲気。
私たち四人の場違い感が半端ありませんっっ。
私は無意識に背中を丸めてコソコソと歩いてしまいましたが、エドゥアルトはもちろん、セブリーヌもルースヴェンさんも全く動揺せずに、堂々と歩いています。
何で?
私一人だけが小者感を出してしまいましたが、エドゥアルトが大きな左右に開くドアの入り口へ到着すると、インターホンを押しました。
どうやらここが目的の部屋のようです。
「テスラ、エドゥアルトっス。戻りました~」
「うむ。入りなさい」
インターホンから聞こえたのは、とても低く渋い老人のような男性の声。
するとドアが左右に開き、エドゥアルトは「行くっスよ~」と軽く私たちを促し中へ入って行きました。
私はもうドキドキが止まらなかったのですが、気がつくとルースヴェンさんが私の手を握ってくれて、落ち着かせてくれようとしていました。
その部屋は全体的に真っ黒に壁が塗られていて、すでに息が詰まりそう。
そしてなぜか突き当たりに星型のマーク(ペンタゴンマークってヤツですか?)が壁にかけられ、その手前には長机の上に簡単な祭壇のような形で電気のローソクが灯り、どうやらブーケやケーキが用意されているみたいです。
そしてみんなが座るイスも人数分用意されています。
まるでこれから結婚式をやるみたい……と、思うトコなんですが、出迎えてくれた男性のその格好は、全身真っ黒のまるで魔術師。
「初めまして。私がここの代表のテスラ。アルマンド・テスラと申します」
この魔術師さんがテスラさん! 低い声がとても渋いおじさんでしたが、若い頃は絶対にイケメンだったんだろうなって思うくらいに顔もイケてます。
「事情は聞いています。もしよろしければ、今ここで婚姻式を行おうと思っているのですが、ルースヴェン卿、どうですかな?」
「ぜひ。エレンさんさえよければ」
ゲゲゲっっ! またまたスピード展開っっ! 頭がついていかないっっ。でも頼んじゃおっっ!
「は、はい! お願いします!」
「うむ、よろしい。では結婚式を挙げますが一つ、我々は神を崇拝していません。なので悪魔崇拝の結婚式になりますが、エレン……苗字はなんと申すのかな? よろしいですか?」
「あ! え、え? 何だっ……あ! は、はい。エレン……マトレイです! 構いません。よろしくお願いしますっっ」
「あはははは。よろしい。ではそうしましょう。エレン・マトレイさん。そしてフリードリヒ・ルースヴェン・ファントム・シュレック卿」
あ~、びっくりした。私もう離婚したからシュレーダーじゃないんだ。十数年ぶりに前の苗字に戻ったから、全く出てこなくって、変に焦っちゃったっっ。でもまたすぐに苗字変わるのねっっ。
それにしても、ルースヴェンさんの本名がすぐ出て来るって事は……やっぱり繋がりがあるんだわ。
まだ私、知らないコトだらけっっ。
いや、そんな事考えている場合じゃないっっ。荷物は~……後ろの席とトコでいいや。ミナのキャリーはイスの上に置いて……。あ、セブリーヌとエドゥアルトはもう後ろで着席してるっっ。
「ではエレン・マトレイさん。このブーケを持って頂けますかな?」
「は、はい!」
テスラさんは優しく机の上に置いてあったブーケを手渡してくれました。
「では申し訳ないが時間がない。お二人とも、その格好での式で進めます」
「お願いします」
こうして結婚式がスタートすると思ったのですが……
「ではここで、悪魔を召喚しないといけませんので、今から呪文を唱えます」
テスラさんはおもむろに机の上に置いてあった辞書のような分厚い本を開くと、壁にかかっているペンタゴンに呪文を唱え始めたのです。
「クラードォー・ババラー・ニクトー……カンダ!」
あ、あれは魔術書ってヤツだわ……っっ。
私はあまりの展開に、ちょっと恐ろしくなり、ルースヴェンさんに身を寄せました。
同じようにセブリーヌもエドゥアルトに抱きついています。その顔はこわばっています。
一方でルースヴェンさんとエドゥアルトは、何が行われているのか理解しているようで、冷静そのもの。
しかも顔は少し微笑んでいるようです。
「テスラ……さすがです」
「え?」
私はルースヴェンさんの感心するその言葉を聞き逃しませんでした。
その時です。
壁にかかっているペンタゴンマークから青白い光がほど走るように部屋を照らし始めると、それと同時に全く知らない中年男性が一人現れたのです!
そしてその男性はそのまま目の前に落っこちて来ました。
「いたたたた……」
その男性が腰を痛がっているのを気にもせず、テスラは頭を下げて言ったのです。
「ようこそいらっしゃいました。ベリアル殿」
ゲゲゲっっ! べ、ベリアルっっ!
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