ハッピー・ハロウィン・ウエディングっ!

広田川ヒッチ

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2023年10月31日

第二十五話 4:53

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 し、信じられない! 私、一晩で離婚を突きつけられて、プロポーズ受けちゃった!
 こんな事ある?

 私はもう幸せの絶頂! もう有頂天!

 でもルースヴェンさんはそうでもなさそう。やっぱりこの後が心配な様子……というか、素顔の時はいつも心配そうな顔になってしまうみたい。ちょっと残念。

「ルースヴェンさん。やっぱりこの後が心配ですか?」

 ちなみに私はまだルースヴェンさんに抱きついています♪

「あ、い、い、いや、あの……、べべべベリアルのこ、言葉をか、考えると……や、やっぱり……」

「ルースヴェンさん、仮面つける?」

「うん。つける」

 その時です。「ニャ~……」部屋の奥から猫のミナの声が。

 あ、ミナにゴハンあげるの忘れてたっっ。

 ぐるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる~~~~~~~~。

「あ」
「あ」

 今度は私のお腹の虫がめっちゃ鳴いたっっ。

 私とルースヴェンさんは顔を見合わせて笑いあいました。
 素顔のルースヴェンさんの笑顔、すっごいかわいい~~♪

「エエ、エレンさん。し、しょ、食事をととととってください。え、え~……と……な、な何でしたっけ?」

「冷凍食品」

「そ、そう。それ」

 私はゆっくり立ち上がると、キッチンに向かいました。するとルースヴェンさんも冷凍食品に興味があったのか、ついてきました。
 そして冷蔵庫を開けると「おお~」とルースヴェンさん感動。

「こちらの世界は私の世界より、数段も進んでいます。このような箱は、私の世界にはありませんっっ。これは素晴らしい」

 仮面をしっかりつけたルースヴェンさんは感動で冷蔵庫を隅から隅まで開けては閉め、観察を始めました。

 何となく分かってたけど……魔界って冷蔵庫ないのね……。電気がそもそもないのかな……。

 ちょっと不安にかられる私。

 そして満を持して冷凍食品を取り出します。「おお!それですか!」ルースヴェンさんの感動は止まりません。

「これは『チキンのクリーム煮』です♪」

 私はちょっと得意げに箱から『チキンのクリーム煮』を取り出して、レンジでチン。
 当然、この過程もルースヴェンさんには衝撃だったようで、

「このような物が作り出せたこの世界の人たちはすごい! 尊敬と同時に恐怖を感じます。なぜなら、この世界の人たちが本気を出して私たちの魔界に攻めてきた時、魔界の住人が勝てるとは到底思えません」

 そんなかなり大きな話題に変わってしまいました。やっぱり一国の城主となると、そういった事が頭によぎるのでしょうね。

 こうしてようやく私の食事が出来上がりました♪
 するとルースヴェンさんがいるにも関わらず、猫のミナがキッチンの入り口に顔を覗かせてきました。

「あ、ミナ!」
「え!」

 仮面をつけていてもやはり猫には少しビビるルースヴェンさん。でもミナは私とルースヴェンさんがとても仲良くしていたのを観察していたのか、ルースヴェンさんに敵意を出していなさそうです。

 ミナは恐る恐る近づいてきます。
 ルースヴェンさんは困惑し、私の後ろに回ろうか迷っている様子。

「ルースヴェンさん。きっと大丈夫。そのままそのまま」

「猫……わ、分かりました……」

 ミナはさらに近づいてきます。
 そしてルースヴェンさんの目の前までやって来ると、そこでちょこんとお座りをしました。

「ミャ~~~~」
「!」
「大丈夫」

 ルースヴェンさんはこの声に驚いて逃げようとしました。でも私は逃しません♪ だってきっと大丈夫だから♪

 ミナはさらにルースヴェンさんを観察し、とりあえずルースヴェンさんをよけて私の足元に来ると、前足をあげて「ゴハン早くちょうだい」とねだってきました。

「ほらね。大丈夫だったでしょ?」
「は、はい……」

 ルースヴェンさんは今日一疲れた顔をしました。
 こうして私はミナにゴハンをあげて、『チキンのクリーム煮』をテーブルに運びました♪

 あ~、よかった~~♪ ようやく食事にありつける~~♪♪

 ピンポーン♪

「え? お客さん?」
「この世界では、こんな夜更けにお客様がいらっしゃるのですか?」
「来ないですっっ! え?」

 私はインターホンで画像を確認すると、誰も立っていません。

「ルースヴェンさん。誰もいなかった」

 ピンポーン♪

「ゲゲゲっっ! またなったっっ!」

 再度インターホンの画像を見ます。でも誰もいない……
 こ、怖いっっ!

 するとルースヴェンさんが、また左手を口元へ持っていくと、

「吸血鬼という事はありませんか?」

 そう言うのです。私は(ええ?)と思いながらも、吸血鬼は鏡に映らない原理を思いだし、インターホンのボタンを押して確認をする事に。

「あ、あの~……誰かいます?」

「あ! 出てくれたっスね~♪ ほら、さっき病院の上であった吸血鬼っス。なんか、自体が悪い方向に向かってるからって、テスラから『あなた方を連れてくるように』って、言われちゃったんスよ~。そっち行っていいスか?」

 ゲゲゲっっ! あの軽い感じの吸血鬼? 大事になってるみたいっっ! ……あれ? でもよく考えたら変だわ……

「ル、ルースヴェンさん! この部屋、電気ついてるのに警察が来ない!」

「分かっています。もうこちらの吸血鬼たちに包囲されているのでしょう」

「え?」

「さすが同じ吸血鬼。よくお分かりっスね~。警察はこちらで退かせてもらったっス。いろいろ説明したいんでお二人にお会いしたいんスけどね~」

 ゲゲゲっっ! 何か悪い予感しかしないっっ!
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