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2023年10月31日
第二十一話 2:51
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馬車の中に入ってきたルースヴェンさん。
馬車の中はスマホの灯りしかないのに、顔から煙が上がっているのが分かりますっっ。
「だ、大丈夫なんですか? 早く治療しないと……」
「すいません……この傷を治すには、また血をいただくしかありませんっっ」
「え! あ! 採血の道具……」
「あります。フランソワさんが道具一式を用意してくれたのです」
ルースヴェンさんは顔をタオルで拭きながら馬車の足元にある、私がさっきタオルを出したリュックを指さしました。
しかしルースヴェンさんは仮面の上から顔をタオルで拭っており、当然仮面の下にも聖水は入り込んでいて拭えていません。
「ルースヴェンさんっっ。仮面を取らないと聖水が拭けませんっっ! 取ってくださいっっ! それととりあえず御者さん! ウチのマンションへ向かってくださいっっ!」
揺れる馬車の中で採血をするのは私的にも危険です。
しかしルースヴェンさんの仮面を取って、とりあえず聖水をタオルで拭くのが先決っっ。
しかしルースヴェンさんはかたくなに仮面を取りたがりません。
「ルースヴェンさん! 仮面を取ってください! 取ると何か問題があるんですか? 聖水を拭かないと顔からまだ煙が出てるんですっっ!」
「わ、分かっています。しかし……」
「も~~~~~~っっ! 無理矢理取りますからね! 顔は見ないようにしますからっっ!」
「わ、分かりました……」
私は渋々了承したルースヴェンさんの仮面を取りながら、すぐにタオルをスライドするようにあてて顔を見ないようにしました。
「ど、どうですか? 痛い? 取れています?」
「…………は、はい……。と、と、取れてますっっ……ほ、ほ、ほんとにありがと……ございます」
ルースヴェンさん、ずいぶんと恐縮してる感じになっちゃったけど、タオルで水分を吸ったおかげで煙は消えつつあります。
でもきっと、タオルの下の素顔は今、火傷のみたいな事になってて大変だと思います。
「や、火傷……顔、痛くありませんか? 火傷の後とか残ったりは…………」
「い、今は……あの……火傷してるんですけど……あ、あの……ち、ち、ち、ち、血を吸えば……あ、あの……な、治ると思い……ます」
あれ? 恐縮を通り越して緊張になっちゃってない? あれ? ルースヴェンさん大丈夫?
私は優しく顔を覆いながらルースヴェンさんの変化に心配を始めました。
こうして私とルースヴェンさんといまだに意識のないグスタフを乗せた馬車は、私の自宅マンションを目指して空中を走るのでした。
そして地上では病院へ向かう、いつくものサイレンの音が聞こえているのでした。
馬車の中はスマホの灯りしかないのに、顔から煙が上がっているのが分かりますっっ。
「だ、大丈夫なんですか? 早く治療しないと……」
「すいません……この傷を治すには、また血をいただくしかありませんっっ」
「え! あ! 採血の道具……」
「あります。フランソワさんが道具一式を用意してくれたのです」
ルースヴェンさんは顔をタオルで拭きながら馬車の足元にある、私がさっきタオルを出したリュックを指さしました。
しかしルースヴェンさんは仮面の上から顔をタオルで拭っており、当然仮面の下にも聖水は入り込んでいて拭えていません。
「ルースヴェンさんっっ。仮面を取らないと聖水が拭けませんっっ! 取ってくださいっっ! それととりあえず御者さん! ウチのマンションへ向かってくださいっっ!」
揺れる馬車の中で採血をするのは私的にも危険です。
しかしルースヴェンさんの仮面を取って、とりあえず聖水をタオルで拭くのが先決っっ。
しかしルースヴェンさんはかたくなに仮面を取りたがりません。
「ルースヴェンさん! 仮面を取ってください! 取ると何か問題があるんですか? 聖水を拭かないと顔からまだ煙が出てるんですっっ!」
「わ、分かっています。しかし……」
「も~~~~~~っっ! 無理矢理取りますからね! 顔は見ないようにしますからっっ!」
「わ、分かりました……」
私は渋々了承したルースヴェンさんの仮面を取りながら、すぐにタオルをスライドするようにあてて顔を見ないようにしました。
「ど、どうですか? 痛い? 取れています?」
「…………は、はい……。と、と、取れてますっっ……ほ、ほ、ほんとにありがと……ございます」
ルースヴェンさん、ずいぶんと恐縮してる感じになっちゃったけど、タオルで水分を吸ったおかげで煙は消えつつあります。
でもきっと、タオルの下の素顔は今、火傷のみたいな事になってて大変だと思います。
「や、火傷……顔、痛くありませんか? 火傷の後とか残ったりは…………」
「い、今は……あの……火傷してるんですけど……あ、あの……ち、ち、ち、ち、血を吸えば……あ、あの……な、治ると思い……ます」
あれ? 恐縮を通り越して緊張になっちゃってない? あれ? ルースヴェンさん大丈夫?
私は優しく顔を覆いながらルースヴェンさんの変化に心配を始めました。
こうして私とルースヴェンさんといまだに意識のないグスタフを乗せた馬車は、私の自宅マンションを目指して空中を走るのでした。
そして地上では病院へ向かう、いつくものサイレンの音が聞こえているのでした。
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