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2023年10月31日
第四話 19:47
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私とルースヴェンさんを乗せた馬車は、勢いよく出発し、すぐに城の門をくぐって私達の世界に戻ってきました。
しかしまだスマホの棒は一本も立ちません。
ルースヴェン城の辺りって、携帯通じないのね。そんな田舎だったなんて……。そりゃ売れないわ……
そんな事を思いながら城を見ていると、ある事に気がつきました。
ルースヴェンさん……ずっと仮面かぶってる……
私はそれが不自然に思えました。だってもうモンスター達もあの炎もいない、私と二人きりで馬車に乗っているのです。しかも夜明けまでに結婚をしなければいけない立場。
私に顔を見せれないような理由でもあるのかしら?
ひょっとして『オペラ座の怪人』のファントムのように、すごい顔をしてるとか……?
この仮面の話題に触れていいのか私は悩みました。
そんな時でした。
ティロリン♪
あ! SNSのDM! よかった~……と、私が思ったのも束の間、
ティロリン♪
ティロリン♪
ティロ、ティロリン♪
ティロリン♪
ティロリン♪
ゲゲゲっっ! いくつもDMが入ってきたっっ! な、何か嫌な予感しかしない……
私は慌ててスマホを開き、DMを確認しました。
横に座ったルースヴェンさんも、何事か気になってこちらを見ています。
【エレンまだ? グスタフがめっちゃ怒ってる!】
【エレンどうしたの? どっかに寄ってるの? とりあえず連絡ちょうだい】
【エレン何かあった? 何なら迎えに行くよ】
【エレンどこ? 今、マンションの入り口まで来たけど、ここにいないの?】
【エレン大丈夫? 何かトラブルに巻き込まれてない? とにかく連絡ください】
【エレン、本当にどうしたの? グスタフは怒ってるけど、みんな心配してるわよ! とにかく連絡ください】
【エレンさん、どこかで怪我とかしてないですか? すぐに助けに行きますから、連絡ください】
【エレン! とにかく連絡ください! とりあえず警察に連絡する手はずにはなったから、とにかく連絡ね!】
…………すんごく大変な事になってる……そうだよね~っっ。これから行くって連絡して一時間半も行ってないんだもんね~っっ。しかも私、普段すぐDM返すタイプなのに、何の連絡もなかったら、こうなるよねえ~っっ。ほとんどセブリーヌだけど、元同僚のフランソワからもDMきてる……夫からは一つもきてないけど……それに電話の着信記録もめっちゃ着いてる……全部セブリーヌだけど……
「エレンさん、どうなされましたか?」
唖然としている私を見て、ルースヴェンさんも何か不穏なものを感じとったようです。
「ル、ルースヴェンさんっっ。 今、仲間からDMがドッサリきてて、どうやら警察沙汰になってるかもです……」
「DM? ……警察ですか? 警察が来ているのですか?」
それを聞いたルースヴェンさんは、口元に左手をあてて「う~む」と少し考えました。
「パーティー会場は得策ではないですね。どこかにご主人を誘い出せませんか?」
「そうですね……病院……。主人の経営している病院ならホテルから近いですし、誘いやすいです」
「病院? それはすぐ近く?」
「ええ。シュレーダー病院と言います。そのまんまですけど」
「シュレーダー病院……」
ルースヴェンさんは、病院の名前を聞くと、少し驚いた様子で私の顔を眺めました。
「……すまない、すみません。エレンさん。少し動揺してしまいました。実は私が妻に迎えようとしていた女性が、あなたの病院に勤務されている方だったので……」
「え? 誰ですか?」
「……セブリーヌ・シモンという方です……」
「え? セブリーヌ?」
私は驚きました。まさか親友のセブリーヌを妻にするつもりだったなんてっっ!
まあ……でも、私よりかわいくて美人で頭良くて仕事できて……。あれで今男がいないのが不思議なくらい! そりゃあの人なら狙うかあ~~……
「あ、あの~……ルースヴェンさん。今スマホにいっぱいDM……連絡くれたの、セブリーヌなんですけど……」
「え!」
これを聞いたルースヴェンさんはさらに驚いて馬車の窓際までのけぞってしまいました。
「どうします? 返信しょうか? 電話もできますけど……」
「え? それは連絡がすぐにできるという事ですか? い、いや、いやいや、それはダメです! 私はあなたと結婚する身、いきなり浮気のような事をするのは良くありません!」
「いやいやは私のセリフです! 結婚も何も、さっきいきなり間違って私を連れてきただけじゃないですか! 本当の相手がセブリーヌなら、会ってお話して下さい! だってセブリーヌも承知なんですよね?」
この言葉にルースヴェンさんは黙ってしまいました。
あれ? セブリーヌも誘拐して無理矢理結婚するつもりだった?
しかしまだスマホの棒は一本も立ちません。
ルースヴェン城の辺りって、携帯通じないのね。そんな田舎だったなんて……。そりゃ売れないわ……
そんな事を思いながら城を見ていると、ある事に気がつきました。
ルースヴェンさん……ずっと仮面かぶってる……
私はそれが不自然に思えました。だってもうモンスター達もあの炎もいない、私と二人きりで馬車に乗っているのです。しかも夜明けまでに結婚をしなければいけない立場。
私に顔を見せれないような理由でもあるのかしら?
ひょっとして『オペラ座の怪人』のファントムのように、すごい顔をしてるとか……?
この仮面の話題に触れていいのか私は悩みました。
そんな時でした。
ティロリン♪
あ! SNSのDM! よかった~……と、私が思ったのも束の間、
ティロリン♪
ティロリン♪
ティロ、ティロリン♪
ティロリン♪
ティロリン♪
ゲゲゲっっ! いくつもDMが入ってきたっっ! な、何か嫌な予感しかしない……
私は慌ててスマホを開き、DMを確認しました。
横に座ったルースヴェンさんも、何事か気になってこちらを見ています。
【エレンまだ? グスタフがめっちゃ怒ってる!】
【エレンどうしたの? どっかに寄ってるの? とりあえず連絡ちょうだい】
【エレン何かあった? 何なら迎えに行くよ】
【エレンどこ? 今、マンションの入り口まで来たけど、ここにいないの?】
【エレン大丈夫? 何かトラブルに巻き込まれてない? とにかく連絡ください】
【エレン、本当にどうしたの? グスタフは怒ってるけど、みんな心配してるわよ! とにかく連絡ください】
【エレンさん、どこかで怪我とかしてないですか? すぐに助けに行きますから、連絡ください】
【エレン! とにかく連絡ください! とりあえず警察に連絡する手はずにはなったから、とにかく連絡ね!】
…………すんごく大変な事になってる……そうだよね~っっ。これから行くって連絡して一時間半も行ってないんだもんね~っっ。しかも私、普段すぐDM返すタイプなのに、何の連絡もなかったら、こうなるよねえ~っっ。ほとんどセブリーヌだけど、元同僚のフランソワからもDMきてる……夫からは一つもきてないけど……それに電話の着信記録もめっちゃ着いてる……全部セブリーヌだけど……
「エレンさん、どうなされましたか?」
唖然としている私を見て、ルースヴェンさんも何か不穏なものを感じとったようです。
「ル、ルースヴェンさんっっ。 今、仲間からDMがドッサリきてて、どうやら警察沙汰になってるかもです……」
「DM? ……警察ですか? 警察が来ているのですか?」
それを聞いたルースヴェンさんは、口元に左手をあてて「う~む」と少し考えました。
「パーティー会場は得策ではないですね。どこかにご主人を誘い出せませんか?」
「そうですね……病院……。主人の経営している病院ならホテルから近いですし、誘いやすいです」
「病院? それはすぐ近く?」
「ええ。シュレーダー病院と言います。そのまんまですけど」
「シュレーダー病院……」
ルースヴェンさんは、病院の名前を聞くと、少し驚いた様子で私の顔を眺めました。
「……すまない、すみません。エレンさん。少し動揺してしまいました。実は私が妻に迎えようとしていた女性が、あなたの病院に勤務されている方だったので……」
「え? 誰ですか?」
「……セブリーヌ・シモンという方です……」
「え? セブリーヌ?」
私は驚きました。まさか親友のセブリーヌを妻にするつもりだったなんてっっ!
まあ……でも、私よりかわいくて美人で頭良くて仕事できて……。あれで今男がいないのが不思議なくらい! そりゃあの人なら狙うかあ~~……
「あ、あの~……ルースヴェンさん。今スマホにいっぱいDM……連絡くれたの、セブリーヌなんですけど……」
「え!」
これを聞いたルースヴェンさんはさらに驚いて馬車の窓際までのけぞってしまいました。
「どうします? 返信しょうか? 電話もできますけど……」
「え? それは連絡がすぐにできるという事ですか? い、いや、いやいや、それはダメです! 私はあなたと結婚する身、いきなり浮気のような事をするのは良くありません!」
「いやいやは私のセリフです! 結婚も何も、さっきいきなり間違って私を連れてきただけじゃないですか! 本当の相手がセブリーヌなら、会ってお話して下さい! だってセブリーヌも承知なんですよね?」
この言葉にルースヴェンさんは黙ってしまいました。
あれ? セブリーヌも誘拐して無理矢理結婚するつもりだった?
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