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第五章 復活のはじまり
第六十七話 攻撃の手を緩めない
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城内の礼拝堂の壁を破壊し、向かって来る対吸血鬼部隊に壁の石を直撃させ粉砕、ついでに死んだ兵士の血を吸って傷ついた身体を回復させたドラクリア。
「フハハハハハハハハ! 何だこの集団は? これで私を倒そうとしていたのか?」
まだ大広間には石の直撃を受けていない対吸血鬼部隊の兵士もいるが、ドラクリアあまりの圧倒的な力に、完全に動揺してしまい、さっきまでの威圧感はどこへやら、兵士達は逃げたり、その場で動けなくなったりと、もう戦う気力は無くなってしまっている。
その混乱している光景が、床の所々で燃えている松明の炎やそれが燃え移り焼け死んでいる兵士の炎によって、陰惨さを増していた。
それでもまだ光り輝く十字架があり、ドラクリアはまずそれらに石の破片や足元に転がっている兵士の血を吸ってミイラ化させた死体を投げつけて壊していく。
この攻撃で生きている兵士達は大広間から逃げ出してしまった。
そんな中、大きな十字架を掲げて逃げずにその場に残る男が一人いた。
グリゴアである。
グリゴアは自分の責任を重く感じていた。
「もうやめてください! ヴラド公!」
目から涙を出して懇願しているグリゴアを見たドラクリアは、冷ややかな顔をしている。
「グリゴア……。残念だよ。貴様とは上手くやってこれたのに……。そんな十字架、私には効かん」
ドラクリアはそう言うと、グリゴア目がけて巨大な石の塊を投げた。
巨大な十字架を持っているグリゴアはよける余裕も体力もない。
しかしその石はグリゴアの目の前で、煙を出しながら横へそれた。
「熱~~~~~~~~~~~っっ!」
「熱いです~~~~~~~~~っっ!」
そこにはオクタヴィアンとヤコブの姿が。
オクタヴィアンとヤコブが石にぶつかって軌道を変えたのだ。
「グリゴア! その十字架下げろ! 熱いって!」
「ダメですよ! 十字架掲げてないと、ヴラド公に襲われます!」
「え、あ、そ、そうだなっっ。ヤコブっっ」
グリゴアは十字架を一旦下げそうになったが、また掲げた。そして少しずつ部屋の隅に移動した。
それを見届けたオクタヴィアンは、足元で死んでいる対吸血鬼退治の兵をすぐに見つけた。
「よし、ヤコブ! ここにいる死体から血を頂こう!」
「はい!」
二人はその死体に噛み付いた。
「美味い! 美味すぎる!」
「美味しーーーーーーーーーーーーっっ!」
オクタヴィアンは目を輝かせ、動くのもしんどかったヤコブは一気に元気になった。
その様子を見てドラクリアは少し笑みを浮かべた。
「フハハハハ。やはりオクタヴィアン、貴様は面白いヤツだ。殺すのが惜しいよ」
「ヴラド公……いや、ドラクリア。そんな一気に飲んだらもったいないですよ。こんな美味しい物を」
「そうですよ。わし、こんな美味しいなんて思いませんでしたわ~~~~~~♪」
「フハハハハハハハハ。ではこれはどうかな?」
ドラクリアはボロボロになった大広間の中央まで来ると、右手を突き出して手のひらをクルッと回転させながら上に突き上げた。
ドドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッッ!
オクタヴィアン、ヤコブ、グリゴアは、すぐにそれが何か分かった。
「オクタヴィアン! ヤコブ! 死体が生き返るぞ!」
「分かってるよ!」
オクタヴィアンは足元の死体を見ると、案の定、カタカタと動き出した。
「ヤコブ! 全部切り裂くぞ!」
「はい!」
二人はカタカタと動いている死体をどんどんと切り裂いていった。
しかしドラクリアは微笑んだままである。
「フハハハハハハ! はたしてそれだけかな?」
「え?」
オクタヴィアンとヤコブは足元の死体をバラバラにしながら周りを気にした。
すると大広間からバルコニーに通じる扉に、何かがバタバタとぶつかり始めた事に気がついた。
「コ、コウモリ!」
「オクタヴィアン様! 下からも何か聞こえますっっ!」
オクタヴィアンは城の一階から何かが、この大広間に向かってくる感覚を掴んだ。
そして時折、断末魔の声が聞こえる。
かなりな数……そしてこの独特のドブのような臭い……
「グリゴア! 絶対に十字架から手を離すなよ!」
グリゴアは焦りながら十字架にしがみついた。
オクタヴィアンとヤコブは大広間の入口を見た。
最初は人間にも聞こえないくらいの足音だったが、その無数の足音はどんどん大きくなり、部屋には振動も伝わり、それが大広間に向かって来ている。
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!
「な! ネズミっっ!」
グリゴアはその異様な数のネズミに恐れおののき、思わず目をつむった。
そしてネズミが大広間に入って来るのと同時にコウモリも扉を破って大広間中を飛び回り始めた。
ネズミは大広間の床を炎を避けながら覆い尽くさんばかりの数が走り、コウモリは天井が見えないぐらいにグルグルと飛び回っている!
そしてネズミは捕らえた人間を噛みつき食べながら大広間に運んできて、目の前で白骨になるまで群がって食べた。
「な、なんて事だっっ!」
十字架に守られているグリゴアは、何とかその被害を受けずに済んでいる。
「オクタヴィアン様! こいつら、キリがないですっっ!」
「でも他にどうやって殺せばいいのか分からない~~っっ!」
オクタヴィアンとヤコブは迫り来るネズミとコウモリをすごい速さでバンバン切っていくが、とにかく数が多すぎる。
しかも切ったネズミやコウモリは今度は動く死体となって噛みついてくる!
「フハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ! オクタヴィアン! ヤコブ! どれだけ持つかな?」
二人の様子を楽しく眺めているドラクリアはさらに顔が醜くなり、ヤギの様なツノまで生えていた。
しかしその時、先程ネズミ達が通ってきた大広間に向かってくる通路に、人の大きさほどある十字架と、聖書を唱える声が響いてきた。
「んん? 大司教?」
大広間に入って来たのは、ヴラドが三回目の公になった時に来たクルテア・デ・アルジェシュの大司教その人だった。
大司教は五人の神父を携えて、列をなしてゆっくりと大広間に入ってくる。
よく見るとその中にバサラブも混じっていた。
「吸血鬼達、聞きなさいね~! このバサラブ様が神父達を連れてきたんですからね~! 観念しなさいよ~~~~~~!」
何気にバサラブは大張り切りである。
しかし張り切っているだけあって、大司教と神父による聖書を唱える声と、十字架の効果は凄まじく、ネズミとコウモリはドラクリアの術が解けたかのように、どんどんと大広間から逃げていく。
「オクタヴィアン様! ヤバくないですかっっ?」
「ったくあの人はっっ! 調子に乗ってっっ! こっちもやられる前に逃げようっっ!」
オクタヴィアンとヤコブは自分達の身体から煙が上がり始めた事に気がつき、慌てて大広間の奥へ逃げ込んだ。
しかしドラクリアは、身体中から煙を出しながらも大広間の中央から動こうとはしない。
そんなドラクリアを大司教とバサラブ一行は、床に落ちている揺れる灯りの中で見つけた。
「あ! いた! ヴラド! 今日でおまえさんもね、おしまいなんですよ! 観念しなさいねっっ! では大司教、お願いします!」
そんな言葉を聞いてもドラクリアは全く動じている感じがしない。
「フハハハハハハハハ! 何だこの集団は? これで私を倒そうとしていたのか?」
まだ大広間には石の直撃を受けていない対吸血鬼部隊の兵士もいるが、ドラクリアあまりの圧倒的な力に、完全に動揺してしまい、さっきまでの威圧感はどこへやら、兵士達は逃げたり、その場で動けなくなったりと、もう戦う気力は無くなってしまっている。
その混乱している光景が、床の所々で燃えている松明の炎やそれが燃え移り焼け死んでいる兵士の炎によって、陰惨さを増していた。
それでもまだ光り輝く十字架があり、ドラクリアはまずそれらに石の破片や足元に転がっている兵士の血を吸ってミイラ化させた死体を投げつけて壊していく。
この攻撃で生きている兵士達は大広間から逃げ出してしまった。
そんな中、大きな十字架を掲げて逃げずにその場に残る男が一人いた。
グリゴアである。
グリゴアは自分の責任を重く感じていた。
「もうやめてください! ヴラド公!」
目から涙を出して懇願しているグリゴアを見たドラクリアは、冷ややかな顔をしている。
「グリゴア……。残念だよ。貴様とは上手くやってこれたのに……。そんな十字架、私には効かん」
ドラクリアはそう言うと、グリゴア目がけて巨大な石の塊を投げた。
巨大な十字架を持っているグリゴアはよける余裕も体力もない。
しかしその石はグリゴアの目の前で、煙を出しながら横へそれた。
「熱~~~~~~~~~~~っっ!」
「熱いです~~~~~~~~~っっ!」
そこにはオクタヴィアンとヤコブの姿が。
オクタヴィアンとヤコブが石にぶつかって軌道を変えたのだ。
「グリゴア! その十字架下げろ! 熱いって!」
「ダメですよ! 十字架掲げてないと、ヴラド公に襲われます!」
「え、あ、そ、そうだなっっ。ヤコブっっ」
グリゴアは十字架を一旦下げそうになったが、また掲げた。そして少しずつ部屋の隅に移動した。
それを見届けたオクタヴィアンは、足元で死んでいる対吸血鬼退治の兵をすぐに見つけた。
「よし、ヤコブ! ここにいる死体から血を頂こう!」
「はい!」
二人はその死体に噛み付いた。
「美味い! 美味すぎる!」
「美味しーーーーーーーーーーーーっっ!」
オクタヴィアンは目を輝かせ、動くのもしんどかったヤコブは一気に元気になった。
その様子を見てドラクリアは少し笑みを浮かべた。
「フハハハハ。やはりオクタヴィアン、貴様は面白いヤツだ。殺すのが惜しいよ」
「ヴラド公……いや、ドラクリア。そんな一気に飲んだらもったいないですよ。こんな美味しい物を」
「そうですよ。わし、こんな美味しいなんて思いませんでしたわ~~~~~~♪」
「フハハハハハハハハ。ではこれはどうかな?」
ドラクリアはボロボロになった大広間の中央まで来ると、右手を突き出して手のひらをクルッと回転させながら上に突き上げた。
ドドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッッ!
オクタヴィアン、ヤコブ、グリゴアは、すぐにそれが何か分かった。
「オクタヴィアン! ヤコブ! 死体が生き返るぞ!」
「分かってるよ!」
オクタヴィアンは足元の死体を見ると、案の定、カタカタと動き出した。
「ヤコブ! 全部切り裂くぞ!」
「はい!」
二人はカタカタと動いている死体をどんどんと切り裂いていった。
しかしドラクリアは微笑んだままである。
「フハハハハハハ! はたしてそれだけかな?」
「え?」
オクタヴィアンとヤコブは足元の死体をバラバラにしながら周りを気にした。
すると大広間からバルコニーに通じる扉に、何かがバタバタとぶつかり始めた事に気がついた。
「コ、コウモリ!」
「オクタヴィアン様! 下からも何か聞こえますっっ!」
オクタヴィアンは城の一階から何かが、この大広間に向かってくる感覚を掴んだ。
そして時折、断末魔の声が聞こえる。
かなりな数……そしてこの独特のドブのような臭い……
「グリゴア! 絶対に十字架から手を離すなよ!」
グリゴアは焦りながら十字架にしがみついた。
オクタヴィアンとヤコブは大広間の入口を見た。
最初は人間にも聞こえないくらいの足音だったが、その無数の足音はどんどん大きくなり、部屋には振動も伝わり、それが大広間に向かって来ている。
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!
「な! ネズミっっ!」
グリゴアはその異様な数のネズミに恐れおののき、思わず目をつむった。
そしてネズミが大広間に入って来るのと同時にコウモリも扉を破って大広間中を飛び回り始めた。
ネズミは大広間の床を炎を避けながら覆い尽くさんばかりの数が走り、コウモリは天井が見えないぐらいにグルグルと飛び回っている!
そしてネズミは捕らえた人間を噛みつき食べながら大広間に運んできて、目の前で白骨になるまで群がって食べた。
「な、なんて事だっっ!」
十字架に守られているグリゴアは、何とかその被害を受けずに済んでいる。
「オクタヴィアン様! こいつら、キリがないですっっ!」
「でも他にどうやって殺せばいいのか分からない~~っっ!」
オクタヴィアンとヤコブは迫り来るネズミとコウモリをすごい速さでバンバン切っていくが、とにかく数が多すぎる。
しかも切ったネズミやコウモリは今度は動く死体となって噛みついてくる!
「フハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ! オクタヴィアン! ヤコブ! どれだけ持つかな?」
二人の様子を楽しく眺めているドラクリアはさらに顔が醜くなり、ヤギの様なツノまで生えていた。
しかしその時、先程ネズミ達が通ってきた大広間に向かってくる通路に、人の大きさほどある十字架と、聖書を唱える声が響いてきた。
「んん? 大司教?」
大広間に入って来たのは、ヴラドが三回目の公になった時に来たクルテア・デ・アルジェシュの大司教その人だった。
大司教は五人の神父を携えて、列をなしてゆっくりと大広間に入ってくる。
よく見るとその中にバサラブも混じっていた。
「吸血鬼達、聞きなさいね~! このバサラブ様が神父達を連れてきたんですからね~! 観念しなさいよ~~~~~~!」
何気にバサラブは大張り切りである。
しかし張り切っているだけあって、大司教と神父による聖書を唱える声と、十字架の効果は凄まじく、ネズミとコウモリはドラクリアの術が解けたかのように、どんどんと大広間から逃げていく。
「オクタヴィアン様! ヤバくないですかっっ?」
「ったくあの人はっっ! 調子に乗ってっっ! こっちもやられる前に逃げようっっ!」
オクタヴィアンとヤコブは自分達の身体から煙が上がり始めた事に気がつき、慌てて大広間の奥へ逃げ込んだ。
しかしドラクリアは、身体中から煙を出しながらも大広間の中央から動こうとはしない。
そんなドラクリアを大司教とバサラブ一行は、床に落ちている揺れる灯りの中で見つけた。
「あ! いた! ヴラド! 今日でおまえさんもね、おしまいなんですよ! 観念しなさいねっっ! では大司教、お願いします!」
そんな言葉を聞いてもドラクリアは全く動じている感じがしない。
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