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吸血鬼 吾作とおサエの生活
オロロックの願い
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吾作は暗闇の中にいた。暗闇が多くの枝に変わり襲ってきたが、すべて手で払いのけた。
吾作がまっすぐに歩いていくと、その先にオロロックがいた。
「キョウは、アリガトウゴザイマース! アレは、ワタシとオクサンの~、ダイジな~、ネックレスなのデース」
「? 何だっけ?」
吾作はネックレスを持って家に帰ってきた事を全く忘れていた。
「ココは~、ユメのナカなので、シカタないデスね~。デモ~、ネックレスを~、タノミタイのデース! カミのモトに~、オクッテホシイのデスが~、ソレはムリでショウ~!
ナノデ~、アナタに~、そのネックレスを~、モッテいてホシイのデース! ワタシタチフウフの~、ダイジなモノなのデース! オネガイ! イタシマース!」
と、オロロックは懇願してきた。
「え? わしらが持っとりゃいいの?」
吾作はもう一度どうしたらいいか聞こうとしたが、
「タノミマース! ワタシタチのダイジなモノなのデース!」
オロロックはそう言うと、煙のように消えてしまった。
夕方になり日が落ちると、吾作はいつものように目が覚めた。
この日も夢見が悪く、目覚めからいい気分ではなかったが、何も覚えていないのでいつもの通り、
「まあ、いっか」
と、終わらせていた。
おサエはいつものように夕飯の支度をしていた。
「あ、吾作起きた~?」
「うん。起きた~」
「あ、今日、吾作の持ってきたあのおろろ~の飾り物ね、和尚さんトコに持ってったよ」
おサエは昨日のネックレスの話をし始めた。吾作は体を起こして聞いた。
「ほしたらねえ、和尚さんねえ。『じゃあ供養してあげるか~』って言ってたに。どうやって供養するかは聞いとらんけど」
「あ、ほか。ほんならよかったわ。きっとお寺さんでやるんだら~」
吾作はその話を聞いてほっとしたが、すぐに疑問が湧いてきた。
「今思っただけど、おろろ~の供養もしてあげんといかんじゃないかやあ?」
「ああ~、ほだねえ。でもいっしょにやるんじゃない?」
おサエは吾作の疑問に軽く答えたが、何だかやけに気になった吾作は、
「お寺さん行ってくるわ~」
と、言うと、さっさと外に出て行ってしまった。おサエは、ぽかーんとその様子を見ていたが、すぐに吾作が帰ってきて、
「わ、わし、お寺さん中入れんかったわっっ。おサエちゃん! いっしょにいかん?」
と、言ってきた。おサエは、
「晩ご飯食べてからね~♪」
そう言うと、半笑いでゆっくり晩ご飯を食べ始めた。
おサエの晩ご飯が終わり、吾作とおサエはお寺へ向かった。
二人がお寺の門の前まで来ると、吾作はやっぱり痛がり始めたので、おサエ一人が境内に入り、吾作は門から少し離れた所で待っていた。
(しかしおかしいて。あんなにお地蔵さんや観音様に手を合わせるのがわし好きだったのに、今は嫌で嫌でしょうがないわ。ほや、あの光が痛いで、しょうがないだけど、でも何で?)
吾作は眩しく光るお寺を眺めながら考えていた。
そうして少し待っていると、おサエが和尚さんを連れてお寺の門まで来た。
吾作はやっぱり和尚さんが眩しくて仕方なかったので、和尚さんに背を向けて話す事にした。それに、自分が和尚さんにも何故か嫌悪感を感じている事に気がついた。
そんな事には気づいていない和尚さんは、話を始めた。
「ん~……なるほどなあ。まあ、おサエから聞いとったもんで供養はするつもりでおっただが…………吾作、おサエ。あ、おサエは昼間に動いとるで知っとるかも知れんのだけどな、こないだの吾作の田植えを一晩で全て終わらした話な、あれ、となりの村とかまで広がっとるらしくてな。
ほんで沈没船のトコに何か御利益があるんじゃないかって人が毎日来るようになっとるんだわ。ほんでな、あそこの管轄の役人がわしんとこ来てな。
『ほこらか何か立ててほしい』
っつっとるんだわ。ほんだもんでな、近いうちにあそこに慰霊碑でも……と、思っとったんだが、あの船、お前さんらが出会った化け物以外に人の死体とか上がっとらんもんで、どうするか考えとったんだわ~。ん~。そもそもあの船、何らかの理由でただ漂流してただけの無人の船だったかも知れんしの」
(あの船に人が乗っていなかったのか?)
和尚さんの話を聞いた吾作とおサエは疑問に思ったが、これ以上考えても何も出てこないのでただただ和尚さんの話を聞く事にした。
「しかし、吾作から受けとったあの飾り物があるで、供養…………ん~。まあ少しだけ待っとってくれんか。ほいだで今日のところは帰りん」
そう和尚さんは言うと、お寺の中へ戻ろうとした。しかし何かを思い出したような顔をして、
「ほだほだ! 昨日、海沿いの村で海坊主が出たらしいぞ。吾作と言い、なんか最近よう分からんわあ」
と、言ってきた。吾作とおサエは、その報告にちょっとびっくりして顔を見合わせ、
「なんかすごいねえ」
「わし以外にも化け物出てくるなんてなあ~」
二人は関心していたが、吾作はそれが自分の事とは、全くもって思っていなかった。
その会話の間に和尚さんは境内に戻ってしまったので、二人も仕方ないので帰る事にした。
吾作がまっすぐに歩いていくと、その先にオロロックがいた。
「キョウは、アリガトウゴザイマース! アレは、ワタシとオクサンの~、ダイジな~、ネックレスなのデース」
「? 何だっけ?」
吾作はネックレスを持って家に帰ってきた事を全く忘れていた。
「ココは~、ユメのナカなので、シカタないデスね~。デモ~、ネックレスを~、タノミタイのデース! カミのモトに~、オクッテホシイのデスが~、ソレはムリでショウ~!
ナノデ~、アナタに~、そのネックレスを~、モッテいてホシイのデース! ワタシタチフウフの~、ダイジなモノなのデース! オネガイ! イタシマース!」
と、オロロックは懇願してきた。
「え? わしらが持っとりゃいいの?」
吾作はもう一度どうしたらいいか聞こうとしたが、
「タノミマース! ワタシタチのダイジなモノなのデース!」
オロロックはそう言うと、煙のように消えてしまった。
夕方になり日が落ちると、吾作はいつものように目が覚めた。
この日も夢見が悪く、目覚めからいい気分ではなかったが、何も覚えていないのでいつもの通り、
「まあ、いっか」
と、終わらせていた。
おサエはいつものように夕飯の支度をしていた。
「あ、吾作起きた~?」
「うん。起きた~」
「あ、今日、吾作の持ってきたあのおろろ~の飾り物ね、和尚さんトコに持ってったよ」
おサエは昨日のネックレスの話をし始めた。吾作は体を起こして聞いた。
「ほしたらねえ、和尚さんねえ。『じゃあ供養してあげるか~』って言ってたに。どうやって供養するかは聞いとらんけど」
「あ、ほか。ほんならよかったわ。きっとお寺さんでやるんだら~」
吾作はその話を聞いてほっとしたが、すぐに疑問が湧いてきた。
「今思っただけど、おろろ~の供養もしてあげんといかんじゃないかやあ?」
「ああ~、ほだねえ。でもいっしょにやるんじゃない?」
おサエは吾作の疑問に軽く答えたが、何だかやけに気になった吾作は、
「お寺さん行ってくるわ~」
と、言うと、さっさと外に出て行ってしまった。おサエは、ぽかーんとその様子を見ていたが、すぐに吾作が帰ってきて、
「わ、わし、お寺さん中入れんかったわっっ。おサエちゃん! いっしょにいかん?」
と、言ってきた。おサエは、
「晩ご飯食べてからね~♪」
そう言うと、半笑いでゆっくり晩ご飯を食べ始めた。
おサエの晩ご飯が終わり、吾作とおサエはお寺へ向かった。
二人がお寺の門の前まで来ると、吾作はやっぱり痛がり始めたので、おサエ一人が境内に入り、吾作は門から少し離れた所で待っていた。
(しかしおかしいて。あんなにお地蔵さんや観音様に手を合わせるのがわし好きだったのに、今は嫌で嫌でしょうがないわ。ほや、あの光が痛いで、しょうがないだけど、でも何で?)
吾作は眩しく光るお寺を眺めながら考えていた。
そうして少し待っていると、おサエが和尚さんを連れてお寺の門まで来た。
吾作はやっぱり和尚さんが眩しくて仕方なかったので、和尚さんに背を向けて話す事にした。それに、自分が和尚さんにも何故か嫌悪感を感じている事に気がついた。
そんな事には気づいていない和尚さんは、話を始めた。
「ん~……なるほどなあ。まあ、おサエから聞いとったもんで供養はするつもりでおっただが…………吾作、おサエ。あ、おサエは昼間に動いとるで知っとるかも知れんのだけどな、こないだの吾作の田植えを一晩で全て終わらした話な、あれ、となりの村とかまで広がっとるらしくてな。
ほんで沈没船のトコに何か御利益があるんじゃないかって人が毎日来るようになっとるんだわ。ほんでな、あそこの管轄の役人がわしんとこ来てな。
『ほこらか何か立ててほしい』
っつっとるんだわ。ほんだもんでな、近いうちにあそこに慰霊碑でも……と、思っとったんだが、あの船、お前さんらが出会った化け物以外に人の死体とか上がっとらんもんで、どうするか考えとったんだわ~。ん~。そもそもあの船、何らかの理由でただ漂流してただけの無人の船だったかも知れんしの」
(あの船に人が乗っていなかったのか?)
和尚さんの話を聞いた吾作とおサエは疑問に思ったが、これ以上考えても何も出てこないのでただただ和尚さんの話を聞く事にした。
「しかし、吾作から受けとったあの飾り物があるで、供養…………ん~。まあ少しだけ待っとってくれんか。ほいだで今日のところは帰りん」
そう和尚さんは言うと、お寺の中へ戻ろうとした。しかし何かを思い出したような顔をして、
「ほだほだ! 昨日、海沿いの村で海坊主が出たらしいぞ。吾作と言い、なんか最近よう分からんわあ」
と、言ってきた。吾作とおサエは、その報告にちょっとびっくりして顔を見合わせ、
「なんかすごいねえ」
「わし以外にも化け物出てくるなんてなあ~」
二人は関心していたが、吾作はそれが自分の事とは、全くもって思っていなかった。
その会話の間に和尚さんは境内に戻ってしまったので、二人も仕方ないので帰る事にした。
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