窓側の指定席

平成３０年２月１９日

別れ

「みなさま、突然で申し訳ない。大変お世話になりました」

主任の立花が涙ながらに言う。
社員は拍手を送っている。

　新入社員の大久保は、ゆっくりと立花に近づき、花束を渡した。

　どうして突然辞めたのだろう・・
浩二も知らないらしい。そもそも、なぜ悠一だけが個人的に呼ばれ、先に教えられたのだろう。

　・・立花が言っていた「いつかわかる」とは、いつわかるのか。
　
　立花はドアをあけ、去っていった。見送りなどいらない、勝手に出てくと皆に言っていた。最後まで、変わった人だった。

　結局、悠一自身も立花へ直接文句を言ったことはなかったし、表面上は上手くやれていた。自分が原因になったとは思わないし、思いたくない。



「霧島さん、ちょっとお時間ありますか？」珍しく秀人が声をかけてきた。

「うん、大丈夫だよ。どうしたの？」

「あ、会議室でお話させてください」



・・嫌な予感がした。
あの時と一緒だ。そう、立花が辞める前と。