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平成30年1月20日
逃避
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「なあ浩二、ちょっといいか?」
「どうした?また一緒にトイレか?頻尿だな―」浩二は笑っている。
「真面目な話なんだ、こんなデートしてるときに申し訳ないんだけど」悠一は左手で頭を掻き、いかにも悩んでいる感じでしゃべっている。
浩二と悠一は、綾たちと距離を置いたところに移動した。
「とっても言いづらくて申し訳無いんだけど・・でも言わなきゃ浩二のためにならないからさ・・」
「なんだよ、早く言えよ」
「ひかりちゃん、彼氏いるんだとさ。デートには来てくれたけどさ、まあ社交辞令みたいなもんだな」
「え、そうなのか・・」
浩二から笑顔が消えた。
「でもな、お前が彼女をデートを誘えたって事実は変わらない。自信を持っていいさ。成長したんだよ」悠一は浩二を慰めた。
「ゆうちゃん、ありがとね。とりあえずは、ひかりちゃんに悟られないように気を付けながら今日を終えるさ!」浩二は強がっているが、本心が透けて見える。辛いのだろうな。
帰りの車、浩二は何事もなかったかのように話している。ある意味、屈強な精神力だと思う。悠一は感心していた。
まず、霧島家に到着し、2人を降ろした。綾が「ちょっと待って!」と言い、足早に家に入り、みかんを1箱持ってきた。
「今日はありがとね!これ、食べて!運転代!」綾はニコニコしながら浩二に渡した。
「ありがとうございます!うまそ!酒の肴にします!」
みかんが肴に?と悠一は疑問に思ったが、それはさておき、そのみかんは悠一が食べたくて買ってきたものなのだが・・
そして、車は遠くへ走っていった。
「あの二人、大丈夫かな?変な空気になってないかな?」綾が浩二のことを気にかけていた。
「あいつなら大丈夫さ、きっと」
「そういえば動物園にさ、どっかで見たことあるひといたんだよね、名前は絶対に思い出せないけど」
「え、どんなひと?」
「頭がパーマかかってる人」
「いやそれ、浩二やん」
家のなかに入り、1時間後だろうか悠一の携帯が鳴った。
「ゆうちゃん、俺、ちょっくら飲みに行ってくるわ」
浩二からの連絡だった。
「俺も行こうかな」悠一が送信する。
「いや、いい。たまには独り酒するさ。またゆうちゃんに介抱させて迷惑かけたくないしな」
浩二は、やっぱり落ち込んでいる。珍しい、いつも会社では太陽のような存在でみんなを笑顔にしているのに。
・・・とりあえず、浩二が立ち直ることを心の底から祈るばかりである。
悠一は、窓から外をみてぼーっとしながら、今現在の複雑な感情を整理していた。
「どうした?また一緒にトイレか?頻尿だな―」浩二は笑っている。
「真面目な話なんだ、こんなデートしてるときに申し訳ないんだけど」悠一は左手で頭を掻き、いかにも悩んでいる感じでしゃべっている。
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「とっても言いづらくて申し訳無いんだけど・・でも言わなきゃ浩二のためにならないからさ・・」
「なんだよ、早く言えよ」
「ひかりちゃん、彼氏いるんだとさ。デートには来てくれたけどさ、まあ社交辞令みたいなもんだな」
「え、そうなのか・・」
浩二から笑顔が消えた。
「でもな、お前が彼女をデートを誘えたって事実は変わらない。自信を持っていいさ。成長したんだよ」悠一は浩二を慰めた。
「ゆうちゃん、ありがとね。とりあえずは、ひかりちゃんに悟られないように気を付けながら今日を終えるさ!」浩二は強がっているが、本心が透けて見える。辛いのだろうな。
帰りの車、浩二は何事もなかったかのように話している。ある意味、屈強な精神力だと思う。悠一は感心していた。
まず、霧島家に到着し、2人を降ろした。綾が「ちょっと待って!」と言い、足早に家に入り、みかんを1箱持ってきた。
「今日はありがとね!これ、食べて!運転代!」綾はニコニコしながら浩二に渡した。
「ありがとうございます!うまそ!酒の肴にします!」
みかんが肴に?と悠一は疑問に思ったが、それはさておき、そのみかんは悠一が食べたくて買ってきたものなのだが・・
そして、車は遠くへ走っていった。
「あの二人、大丈夫かな?変な空気になってないかな?」綾が浩二のことを気にかけていた。
「あいつなら大丈夫さ、きっと」
「そういえば動物園にさ、どっかで見たことあるひといたんだよね、名前は絶対に思い出せないけど」
「え、どんなひと?」
「頭がパーマかかってる人」
「いやそれ、浩二やん」
家のなかに入り、1時間後だろうか悠一の携帯が鳴った。
「ゆうちゃん、俺、ちょっくら飲みに行ってくるわ」
浩二からの連絡だった。
「俺も行こうかな」悠一が送信する。
「いや、いい。たまには独り酒するさ。またゆうちゃんに介抱させて迷惑かけたくないしな」
浩二は、やっぱり落ち込んでいる。珍しい、いつも会社では太陽のような存在でみんなを笑顔にしているのに。
・・・とりあえず、浩二が立ち直ることを心の底から祈るばかりである。
悠一は、窓から外をみてぼーっとしながら、今現在の複雑な感情を整理していた。
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