窓側の指定席

アヒルネコ

文字の大きさ
上 下
6 / 31
平成30年1月17日

覚悟の日

しおりを挟む
 今日は久々に太陽がでている。でも、そのせいで放射冷却現象が起きている。とても寒い。
 北海道や、東北以外は馴染みが薄いかもしれないが、雪が降っているときの時の方が気温は暖かい。逆に、朝から雲一つない快晴の場合、地表の熱が逃げてしまい、グッと気温は下がってしまうのだ。ただ、雪かきしなくて良いのは非常に助かる。
 朝のアラームを止めたとき、昨日残しておいたメモが、悠一の記憶を取り戻した。浩二に、デートの件について妻同席の許可が下りたことを伝えるのだ。

 いつもどおり、社員証をかざし事務所へ入る。新入社員の秀人はコーヒー豆をセットしている。
 そして、10分後に浩二がくる。そして主任の康之も。横山ひかりは、時間ギリギリに滑り込んできた。他の社員も続々と入ってくる。
 さあ、いつも通りの仕事が始まる。



 業務終了を告げるチャイムがなる。待っていたかのように、悠一は忘れずに浩二に話しかけた。
「良いニュースがあるぞ。なんと、うちの妻がWデートOKだとさ!」

「まじでか!よっしゃー!!」浩二はガッツポーズを決めた。

「さあ、あとはデートに誘うだけだぞ。浩二、頑張れよ。ここは気合いの見せ所だぞ!」悠一は浩二の背中を軽く叩いた。

「流石にここは頼めないよな。よし、思い立ったら吉日!言ってくる!」浩二は、マイホームを購入するかの勢いで決心し、横山ひかりのもとへ向かった。

「ねえ、ひかりちゃん今週末、時間あるかな?」

「あー今週末ですかぁ?土曜日なら空いてますけど何かありました?」

「霧島くん夫婦もくるんだけどさ、みんなで4人でどっか行かない?遠くてもいいよ!俺運転するし」

「えー!いいですね!それなら旭山動物園行きたいです」横山ひかりは屈託のない笑顔で浩二を見つめた。

「よし!決定!悠一にも言っとくわ!」喜びを包み隠しながら、悠一のもとに駆け寄った。

「OKだって!よっしゃーー!場所は旭山動物園だから!」

「了解!良かったな!なんか知らんけど動物園になったんだな。もちろん車で行くんだろ?俺たち夫婦は後ろに乗るからさ、恋人感覚で助手席にひかりちゃん乗せてやりな!」悠一は、浩二が喜んでいるのをみて心底幸せになった。人が幸せな瞬間は、やっぱり周囲も幸せだ。


「ただいまー」悠一が綾に呼び掛ける。
「おかえりー」と綾がキッチンから返事をした。

「浩二のやつさ、無事にデート誘えたんだよ!良かったー!土曜日に旭山動物園だってさ!綾、アシスト頼むね!」悠一が、まるで自分のことのように喜びながら綾に伝えた。

「えー!よかったね!しかも動物園行きたかったんだよね!ペンギン館見たい!」
綾は腰に手を当てて、パタパタとしている。ペンギンの真似だろうか?可愛いな、惚気けてしまう。

「楽しみだな、久々だな動物園なんて。シロクマ見たいなー」

「自分ににてるから?」

「いや、体型はね。それ、シロクマに失礼だよ?」

悠一がそう言うと、綾はにやけていた。
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜

月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。 だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。 「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。 私は心を捨てたのに。 あなたはいきなり許しを乞うてきた。 そして優しくしてくるようになった。 ーー私が想いを捨てた後で。 どうして今更なのですかーー。 *この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

後宮の棘

香月みまり
キャラ文芸
蔑ろにされ婚期をのがした25歳皇女がついに輿入り!相手は敵国の禁軍将軍。冷めた姫vs堅物男のチグハグな夫婦は帝国内の騒乱に巻き込まれていく。 ☆完結しました☆ スピンオフ「孤児が皇后陛下と呼ばれるまで」の進捗と合わせて番外編を不定期に公開していきます。 第13回ファンタジー大賞特別賞受賞! ありがとうございました!!

【完結】内緒で死ぬことにした  〜いつかは思い出してくださいわたしがここにいた事を〜

たろ
恋愛
手術をしなければ助からないと言われました。 でもわたしは利用価値のない人間。 手術代など出してもらえるわけもなく……死ぬまで努力し続ければ、いつかわたしのことを、わたしの存在を思い出してくれるでしょうか? 少しでいいから誰かに愛されてみたい、死ぬまでに一度でいいから必要とされてみたい。 生きることを諦めた女の子の話です ★異世界のゆるい設定です

【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。

ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。 彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。 「誰も、お前なんか必要としていない」 最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。 だけどそれも、意味のないことだったのだ。 彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。 なぜ時が戻ったのかは分からない。 それでも、ひとつだけ確かなことがある。 あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。 私は、私の生きたいように生きます。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」 「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」 いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。 「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と…… 私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。 「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」 「はい、お父様、お母様」 「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」 「……はい」 「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」 「はい、わかりました」 パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、 兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。 誰も私の言葉を聞いてくれない。 誰も私を見てくれない。 そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。 ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。 「……なんか、馬鹿みたいだわ!」 もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる! ふるゆわ設定です。 ※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい! ※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇‍♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ! 追加文 番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

処理中です...