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雪原の狼
鳥たちの話
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香 麗然たちは煙の中に映る鳥たちを、じっと見つめた。声を押さえて耳を済ます。
『──じゃあ、その狼が暴れてるってこと?』
『ぴちちっ』
『うーん。でも、おかしいわねぇ。確かあそこの狼は、守り神だったはずよ。暴れて、誰かに迷惑をかけるなんてことするかしら?』
白くてふわふわな小さな鳥、シマエナガの【やきとり】が、朱の宮にいる同族たちと話をしている様子が映った。
【やきとり】がゴマのように愛らしい目を細めれば、鳥たちは「ぴぴっ」と鳴く。
『あたしの知る限り、あの狼は人見知りはするし、大人しい性格だったはずよ? 人の肉を好んで食べようだなんて、考える子じゃないんだけど……』
うーんと、かわいらしく小首を傾げた。
『……まあ、いいわ。あたしじゃ、どうにもできないし。……そうだ! 人間を使いましょう! あれらは、こき使ってナンボな生き物だもの!』
かわいらしい見た目に反して、黒い感情を見せる。胸をはって『ジュリリ』と、独特な鳴き声を轟せていた。
□ □ □ ■ ■ ■
(【やきとり】ったら。面倒事を、私たちに押しつけようとしてるわね?)
香 麗然は心の中で毒づき、線香に息を吹きかける。すると線香は、ふっと煙を消した。火の消えた線香を紙に包み、懐にしまう。
後ろにいる二人へと振り向いた。
「……これが、私が受け継いだ一族の力よ。と言ってもこれは、ほんの一部でしかないわ。他にもいろいろあるけど、今は必要ないわよね?」
すべてを教えようとすると、どれほどの時間を費やすか。日が暮れても足りないほどに、一族として語りたいものがある。
その気持ちは飲みこみ、へらりと笑った。
「それで話は変わるけど……王都の近くに、雪が降る場所なんてあるの?」
天欄國の中心にあるこの町は比較的穏やかな気候のよう。冬であっても、重ね着するほどの寒さではなかった。
それは金明たちを見れば一目瞭然。彼女たちは防寒着を一切着ていなかった。
「こんな、冬でも暖かいところに雪なんて積もるの?」
「……おそらくそれは、【黒江省市】のことではないか?」
眠曹は足で軽く床をたたく。すると床は淡く光り、地図のようなものを浮かび上がらせた。
「わわっ!? え!? 何、これ!? どういうこと!?」
「我が王家に伝わる秘宝の一つだ。それよりも、この地図を見てくれ」
『──じゃあ、その狼が暴れてるってこと?』
『ぴちちっ』
『うーん。でも、おかしいわねぇ。確かあそこの狼は、守り神だったはずよ。暴れて、誰かに迷惑をかけるなんてことするかしら?』
白くてふわふわな小さな鳥、シマエナガの【やきとり】が、朱の宮にいる同族たちと話をしている様子が映った。
【やきとり】がゴマのように愛らしい目を細めれば、鳥たちは「ぴぴっ」と鳴く。
『あたしの知る限り、あの狼は人見知りはするし、大人しい性格だったはずよ? 人の肉を好んで食べようだなんて、考える子じゃないんだけど……』
うーんと、かわいらしく小首を傾げた。
『……まあ、いいわ。あたしじゃ、どうにもできないし。……そうだ! 人間を使いましょう! あれらは、こき使ってナンボな生き物だもの!』
かわいらしい見た目に反して、黒い感情を見せる。胸をはって『ジュリリ』と、独特な鳴き声を轟せていた。
□ □ □ ■ ■ ■
(【やきとり】ったら。面倒事を、私たちに押しつけようとしてるわね?)
香 麗然は心の中で毒づき、線香に息を吹きかける。すると線香は、ふっと煙を消した。火の消えた線香を紙に包み、懐にしまう。
後ろにいる二人へと振り向いた。
「……これが、私が受け継いだ一族の力よ。と言ってもこれは、ほんの一部でしかないわ。他にもいろいろあるけど、今は必要ないわよね?」
すべてを教えようとすると、どれほどの時間を費やすか。日が暮れても足りないほどに、一族として語りたいものがある。
その気持ちは飲みこみ、へらりと笑った。
「それで話は変わるけど……王都の近くに、雪が降る場所なんてあるの?」
天欄國の中心にあるこの町は比較的穏やかな気候のよう。冬であっても、重ね着するほどの寒さではなかった。
それは金明たちを見れば一目瞭然。彼女たちは防寒着を一切着ていなかった。
「こんな、冬でも暖かいところに雪なんて積もるの?」
「……おそらくそれは、【黒江省市】のことではないか?」
眠曹は足で軽く床をたたく。すると床は淡く光り、地図のようなものを浮かび上がらせた。
「わわっ!? え!? 何、これ!? どういうこと!?」
「我が王家に伝わる秘宝の一つだ。それよりも、この地図を見てくれ」
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