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ドキドキ同棲編
乗せ上手
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リナさんが持ってきてくれた漢方のお陰で、私の体調はすっかり良くなった。
最後に渡された精力増強剤は大輔くんに見つからない場所に隠してある。
どうしたものかな、とグルグル考えているけれど考える度に直ぐに思考が停止してしまう。
まさか自分がこんな悩みを持つとは思わなかった。
『恋人に溺愛され過ぎてその絶倫具合についていけません~ぎりぎりアラサー恋の受難~』なんて、ラノベも真っ青なタイトルが頭を駆け巡る。
「希帆さん♡」
不意に背後から声を掛けられてビクリ、と身体が強張る。
ススススス、と少し距離を取ってからクルリと振り向く。
「ど、どうしたの、大輔くん?」
噛んでしまったけれど、自然な笑顔が出来たはずだ。
大輔くんは眉間に軽く皺を寄せて何か言いたそうな顔をした。
「…最近、希帆さんが冷たい気がする」
「……!?そ、そんなこと…ないと思うけど…」
「ある!俺に何か隠してることない?不満があるならちゃんと言って。じゃないと分からないよ」
「う…」
別に不満な訳ではない。
むしろ、恋人に求められることほど女性としての悦びはない。
問題なのはその濃さだ。
身体がついていかないのだ。それだけである。
それさえクリアできれば問題はない。
「俺が近付くと変に距離を取るようになったでしょ?ここ数日イチャイチャしてないから、いい加減希帆さん不足なんだって!溜まってた書類仕事終わったんでしょ?ちょっとこっち来て俺とくっついて過ごそうよ」
「んんんん…」
ここ数日意識的に大輔くんを避けていた。
だって大輔くんと身体をくっつけると、否応なしに始まってしまうからだ。
もちろん無理強いされるわけではない。
けれど、上手いのだ。私を絡め取るのが、天才的に上手い。
「…俺と過ごしたくないの?」
しょぼん、とした表情で見つめられるともうダメだ。
まだ腰が痛い、とかそう言うことなど頭から消え去ってしまう。
「そんなわけないやんか!」
自分でとった距離を急いで詰めて、大輔くんの胸に飛び込んだ。
数日ぶりの大輔くんの身体の厚みに、私の全身が熱を帯びる。
「やっと希帆さん充が出来る~♡」
「…フフ…なにそれ?」
「希帆さんだって俺が足りなくなってたでしょ?はい、じゅうでーん♡」
ちゅっ、と可愛らしいキスをくれた大輔くんの唇は、直ぐに深く重ねられるほどになった。
角度を変えて私の口内を堪能するように舌先が触れる。
「ふは…っ……息できないって…」
「希帆さんがお預けするからでしょ~?何で俺のこと避けてたの?」
「…んー……」
「分かった。希帆さんはお仕置きされたいんだね♡」
「おん?」
「はい、移動するから捕まっててね~♡」
「ちょっ…」
ひょいっ、と軽々と抱き上げられてしまって慌てて大輔くんにしがみ付く。
彼が向かう先はもちろん寝室だ。
「理由言いたくなったら言ってね♡お仕置きは辞めないけど♡」
いつもの様に私の洋服を易々と脱がしていく美丈夫に言葉が出ない。
何もかも超越した年下相手に、私の衰えた手足と思考回路は到底追い付かなかった。
「ちょ、待って…ダメなんだって…!」
「ん?何がダメ?もう熱はないし喉の調子も良いよね?まだ具合悪い?」
「風邪の具合は良いんだけど、別の具合が…」
「……。…あぁ!」
ごにょごにょと言い淀んでいたら、大輔くんが何かを閃いたような声を出す。
それからニコニコと微笑みだす彼に一抹の不安を覚えた。
「…大輔くん?」
名前を呼ぶと一層笑みが濃くなった気がする。
「こっちの具合がまだって話でしょ?大丈夫だよ~、直ぐに準備万端にしてあげるから♡」
私の下腹部に手を添えて、極上の笑みを浮かべる恋人にノックアウトされそうだ。
相変わらずの変態オヤジ発言に頭を抱えつつ、嫌々と身をよじる。
「違うの!そう言うことじゃなくて…って、なんでそんな簡単に私の下着を脱がせるの!?」
「脱がしやすさを追求した下着を選んでるからね♡」
へ、変態だぁ~!
一般的な男子が言ったらブーングの嵐でも、大輔くんの顔面の良さは全てを凌駕してしまう。
私ってこんなに面食いだったっけ…?
あっという間に全裸にされてしまった私は、喜色満面の笑みの大輔くんにじりじりと追い詰められていた。
「だ、大輔くん!ちょっと落ち着こう!話をしよう!!」
「ん?良いよ~♡希帆さんは話続けて?俺は俺で進めるから♡」
「それじゃ意味ないんじゃーい!!」
押し倒されながら抗議をするけれど、ガッチリとした体格の大輔くんに簡単に組み敷かれてしまう。
あぁ、もう!そう言うところも格好良いって思ってる場合じゃないのに!
……仕方ないよね、格好良いものは格好良いんだもん。
「ハハハ!ほらほら♡話するんでしょ?早くしないと頭グズグズになって、何も話せなくなっちゃうよ?」
愉快そうに笑いながら、私の身体を弄り出す恋人をキッと睨み付ける。
全く!人の気も知らないで!!
「待って!…もう!!あのね…んっ♡……だから…っ…♡」
言葉を続けようとすると、大輔くんの指先が身体の気持ち良いところに触れる。
その度に息を飲んでしまって話が全然進まない。
「希帆さん頑張って♡」
クスクスと笑いながら私の耳朶を噛む大輔くんは完全に楽しんでいる。
だから、ダメなんだって!
このまま流されちゃったら、本当にダメなんだって!!
「一回止まって!…じゃないと……んっ♡…じゃないと……っ♡」
「んー?『じゃないと』なぁに?教えて?希帆さん♡」
教えて、と言う癖に、説明の為に口を開いた私の口内に素早くその肉厚な舌先を滑りこませ、言葉も吐息も奪っていく。
こうやって、簡単に私の意識を絡め取るんだ。
舌の根を何度も吸い上げられて、溢れる唾液も全て大輔くんは奪っていった。
その唾液をゴクリと飲みしだいて、大輔くんがニヤリと笑う。
「……ばかぁ…♡」
ハフハフと肩で息をしながら、何とか言葉を絞り出した。
大輔くんを詰るために選んだ言葉なのに、どうしても甘ったるい声になってしまう。
「イヤイヤしてても結局はこうして乗せられちゃうんだから、希帆さんも最初から諦めちゃえば良いのに♡ま、そう言うところも可愛いし、そう言う希帆さんを陥落させるのも大好きなんだけどね♡」
ギラリと光る大輔くんの双眼に見下ろされて、私は身震いを一つした。
最後に渡された精力増強剤は大輔くんに見つからない場所に隠してある。
どうしたものかな、とグルグル考えているけれど考える度に直ぐに思考が停止してしまう。
まさか自分がこんな悩みを持つとは思わなかった。
『恋人に溺愛され過ぎてその絶倫具合についていけません~ぎりぎりアラサー恋の受難~』なんて、ラノベも真っ青なタイトルが頭を駆け巡る。
「希帆さん♡」
不意に背後から声を掛けられてビクリ、と身体が強張る。
ススススス、と少し距離を取ってからクルリと振り向く。
「ど、どうしたの、大輔くん?」
噛んでしまったけれど、自然な笑顔が出来たはずだ。
大輔くんは眉間に軽く皺を寄せて何か言いたそうな顔をした。
「…最近、希帆さんが冷たい気がする」
「……!?そ、そんなこと…ないと思うけど…」
「ある!俺に何か隠してることない?不満があるならちゃんと言って。じゃないと分からないよ」
「う…」
別に不満な訳ではない。
むしろ、恋人に求められることほど女性としての悦びはない。
問題なのはその濃さだ。
身体がついていかないのだ。それだけである。
それさえクリアできれば問題はない。
「俺が近付くと変に距離を取るようになったでしょ?ここ数日イチャイチャしてないから、いい加減希帆さん不足なんだって!溜まってた書類仕事終わったんでしょ?ちょっとこっち来て俺とくっついて過ごそうよ」
「んんんん…」
ここ数日意識的に大輔くんを避けていた。
だって大輔くんと身体をくっつけると、否応なしに始まってしまうからだ。
もちろん無理強いされるわけではない。
けれど、上手いのだ。私を絡め取るのが、天才的に上手い。
「…俺と過ごしたくないの?」
しょぼん、とした表情で見つめられるともうダメだ。
まだ腰が痛い、とかそう言うことなど頭から消え去ってしまう。
「そんなわけないやんか!」
自分でとった距離を急いで詰めて、大輔くんの胸に飛び込んだ。
数日ぶりの大輔くんの身体の厚みに、私の全身が熱を帯びる。
「やっと希帆さん充が出来る~♡」
「…フフ…なにそれ?」
「希帆さんだって俺が足りなくなってたでしょ?はい、じゅうでーん♡」
ちゅっ、と可愛らしいキスをくれた大輔くんの唇は、直ぐに深く重ねられるほどになった。
角度を変えて私の口内を堪能するように舌先が触れる。
「ふは…っ……息できないって…」
「希帆さんがお預けするからでしょ~?何で俺のこと避けてたの?」
「…んー……」
「分かった。希帆さんはお仕置きされたいんだね♡」
「おん?」
「はい、移動するから捕まっててね~♡」
「ちょっ…」
ひょいっ、と軽々と抱き上げられてしまって慌てて大輔くんにしがみ付く。
彼が向かう先はもちろん寝室だ。
「理由言いたくなったら言ってね♡お仕置きは辞めないけど♡」
いつもの様に私の洋服を易々と脱がしていく美丈夫に言葉が出ない。
何もかも超越した年下相手に、私の衰えた手足と思考回路は到底追い付かなかった。
「ちょ、待って…ダメなんだって…!」
「ん?何がダメ?もう熱はないし喉の調子も良いよね?まだ具合悪い?」
「風邪の具合は良いんだけど、別の具合が…」
「……。…あぁ!」
ごにょごにょと言い淀んでいたら、大輔くんが何かを閃いたような声を出す。
それからニコニコと微笑みだす彼に一抹の不安を覚えた。
「…大輔くん?」
名前を呼ぶと一層笑みが濃くなった気がする。
「こっちの具合がまだって話でしょ?大丈夫だよ~、直ぐに準備万端にしてあげるから♡」
私の下腹部に手を添えて、極上の笑みを浮かべる恋人にノックアウトされそうだ。
相変わらずの変態オヤジ発言に頭を抱えつつ、嫌々と身をよじる。
「違うの!そう言うことじゃなくて…って、なんでそんな簡単に私の下着を脱がせるの!?」
「脱がしやすさを追求した下着を選んでるからね♡」
へ、変態だぁ~!
一般的な男子が言ったらブーングの嵐でも、大輔くんの顔面の良さは全てを凌駕してしまう。
私ってこんなに面食いだったっけ…?
あっという間に全裸にされてしまった私は、喜色満面の笑みの大輔くんにじりじりと追い詰められていた。
「だ、大輔くん!ちょっと落ち着こう!話をしよう!!」
「ん?良いよ~♡希帆さんは話続けて?俺は俺で進めるから♡」
「それじゃ意味ないんじゃーい!!」
押し倒されながら抗議をするけれど、ガッチリとした体格の大輔くんに簡単に組み敷かれてしまう。
あぁ、もう!そう言うところも格好良いって思ってる場合じゃないのに!
……仕方ないよね、格好良いものは格好良いんだもん。
「ハハハ!ほらほら♡話するんでしょ?早くしないと頭グズグズになって、何も話せなくなっちゃうよ?」
愉快そうに笑いながら、私の身体を弄り出す恋人をキッと睨み付ける。
全く!人の気も知らないで!!
「待って!…もう!!あのね…んっ♡……だから…っ…♡」
言葉を続けようとすると、大輔くんの指先が身体の気持ち良いところに触れる。
その度に息を飲んでしまって話が全然進まない。
「希帆さん頑張って♡」
クスクスと笑いながら私の耳朶を噛む大輔くんは完全に楽しんでいる。
だから、ダメなんだって!
このまま流されちゃったら、本当にダメなんだって!!
「一回止まって!…じゃないと……んっ♡…じゃないと……っ♡」
「んー?『じゃないと』なぁに?教えて?希帆さん♡」
教えて、と言う癖に、説明の為に口を開いた私の口内に素早くその肉厚な舌先を滑りこませ、言葉も吐息も奪っていく。
こうやって、簡単に私の意識を絡め取るんだ。
舌の根を何度も吸い上げられて、溢れる唾液も全て大輔くんは奪っていった。
その唾液をゴクリと飲みしだいて、大輔くんがニヤリと笑う。
「……ばかぁ…♡」
ハフハフと肩で息をしながら、何とか言葉を絞り出した。
大輔くんを詰るために選んだ言葉なのに、どうしても甘ったるい声になってしまう。
「イヤイヤしてても結局はこうして乗せられちゃうんだから、希帆さんも最初から諦めちゃえば良いのに♡ま、そう言うところも可愛いし、そう言う希帆さんを陥落させるのも大好きなんだけどね♡」
ギラリと光る大輔くんの双眼に見下ろされて、私は身震いを一つした。
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