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ハラハラ同居編
【番外編】定番のバレンタイン①
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今年の2/14は仕事だった。
日曜日だけど、営業の私にはあんまり関係ない。
「そうだ、理保さんに頂いたお菓子、会社に持って行こ~」
数日前に理保さんから、マカダミアンナッツチョコを大量に頂いたのだ。
彼氏さんとハワイに行ったらしい。
寒い時期に暖かい所に旅行って良いなぁ。
「希帆さん、お弁当お待たせ~♡」
「ありがとう!行ってきます!!」
ちゅっ
いつものように行ってきますのキスをして、玄関の扉に手を掛けたら、大輔くんに呼び止められた。
「それ、チョコレート?会社に持って行くの?」
「おん?そうそう。会社の人にもお裾分けしようと思って!」
「…会社の人って……男の人ばっかりなんでしょ?」
「?そーだけど……って、時間ヤバい!行ってきます!!」
何か言いたげな大輔くんを残して玄関を飛び出す。
後でLIMEしておこう!と思っていたけど、会社に着く頃にはすっかり忘れてしまっていた。
************
今日はスムーズに退勤出来たので、普段より少し早目に帰り着けた。
夜ご飯は何かな~、と鼻歌を歌いながら玄関を開ける。
「ただいま~」
ポテポテとキッチンまで歩き、空になったお弁当箱をシンクに置いた。
そのまま、夕飯の支度をしてくれている大輔くんの唇に、ただいまのキスをする。
「…おかえり」
おや?なんとなく不機嫌?
ほんのりと仏頂面??
「何かあった?体調悪い?」
「大丈夫だよ。ほらほら、スープ運んで~」
そのままトレーを渡されて、強制的にキッチンから退場させられてしまった。
おかしいな、お昼間にLIMEした時は普通だったのに。
若い子の気持ちは良くわからん。
「ご馳走様でした!美味しかったぁ~」
今日もご飯が美味しかった。
それだけで幸せ、幸せ。
でも、まだ何か食べたいな~…
「…希帆さん、またそれ食べるの?」
食器を下げてから、マカダミアンナッツチョコの箱を持ってリビングに戻ると、大輔くんに怪訝な顔をされてしまった。
「別腹だもん!大好物だし、いくら食べても飽きないし♡」
手早く包装を解いて1つを口に放り込むと、口一杯に甘い香りが広がる。
直ぐにそのまま噛み砕くのも好きだし、チョコレートだけ先に舐め溶かしてしまって、真ん中のナッツを最後に味わうのも好きだ。
お土産で貰ってから、1日1箱は消費している。
流石に食べ過ぎだと思ったから、今日は会社に持って行ったのだ。
無限に食べられる。
これで太るなら本望だ。後悔はしない。
…うそだ。ちょっとする。
……いや、かなりする。
「本当に好きだねぇ、チョコレート」
「チョコレートを嫌いな人は世の中に居ないよ」
「まぁ、美味しいけど…俺はそんなに食べれないなぁ」
ローテーブルに肘をつき、少し呆れ顔の大輔くんに「どうぞ」と箱を差し出すが、静かに首を振られてしまう。
まぁ、このところ毎日食べてるしね。
大輔くん、あんまり甘い物得意じゃないもんな。
「…沢山食べられないから、このチョコ食べたら、希帆さんのチョコが入らなくなっちゃうよ?俺」
その言葉に、パクパクと食べ進めていた手を止める。
「私のチョコ?」
口をモグモグと動かしながら、どこか諦めた顔をしている大輔くんに聞き返した。
「…………はぁ…。やっぱり、今日がバレンタインデーだって、気付いてないね」
「…おーー……。バレンタイン…」
自分に関係ないイベント過ぎて忘れてたーーー!!!
そう言えば、職場の女の子にチロルチョコ貰ったーーー!!!
全くノーマークだったぁぁぁ
何も用意してない…どないしよ……
ここ数年はもちろん、バレンタインの時期に彼氏や想い人が居なかった私にとって、毎年過ぎていくだけの日だ。
特に重要視したことがない。
「…大輔くん的にバレンタインって重要だった?」
「そりゃあさ、付き合って初めてのバレンタインだし…。ちょっとだけ期待はした」
「……ごめん。私、基本的にイベントごとって疎くて…」
崩していた足を正座に戻して、ごめんなさいポーズをする。
大輔くんは肘を付いたまま、その手とは逆の手で頭を撫でてくれた。
「お昼間に会社の男性たちと一緒に、持って行ったチョコを食べてる写真送ってくる時点で、気付いてないんだろうなって思ってた」
「ぬん…」
もしかしなくても、私、無神経?
とんでもなく申し訳なさが込み上げてきた…
えげつねぇ…
私って奴ぁ、えげつねぇよぅ…
「だからね」
申し訳なさで項垂れる私に、大輔くんが優しい声を出す。
「仕方がないから、自分で用意したよ♡」
ニィッコリ、と良い顔をする大輔くんは、寒気がするほど美しかった。
日曜日だけど、営業の私にはあんまり関係ない。
「そうだ、理保さんに頂いたお菓子、会社に持って行こ~」
数日前に理保さんから、マカダミアンナッツチョコを大量に頂いたのだ。
彼氏さんとハワイに行ったらしい。
寒い時期に暖かい所に旅行って良いなぁ。
「希帆さん、お弁当お待たせ~♡」
「ありがとう!行ってきます!!」
ちゅっ
いつものように行ってきますのキスをして、玄関の扉に手を掛けたら、大輔くんに呼び止められた。
「それ、チョコレート?会社に持って行くの?」
「おん?そうそう。会社の人にもお裾分けしようと思って!」
「…会社の人って……男の人ばっかりなんでしょ?」
「?そーだけど……って、時間ヤバい!行ってきます!!」
何か言いたげな大輔くんを残して玄関を飛び出す。
後でLIMEしておこう!と思っていたけど、会社に着く頃にはすっかり忘れてしまっていた。
************
今日はスムーズに退勤出来たので、普段より少し早目に帰り着けた。
夜ご飯は何かな~、と鼻歌を歌いながら玄関を開ける。
「ただいま~」
ポテポテとキッチンまで歩き、空になったお弁当箱をシンクに置いた。
そのまま、夕飯の支度をしてくれている大輔くんの唇に、ただいまのキスをする。
「…おかえり」
おや?なんとなく不機嫌?
ほんのりと仏頂面??
「何かあった?体調悪い?」
「大丈夫だよ。ほらほら、スープ運んで~」
そのままトレーを渡されて、強制的にキッチンから退場させられてしまった。
おかしいな、お昼間にLIMEした時は普通だったのに。
若い子の気持ちは良くわからん。
「ご馳走様でした!美味しかったぁ~」
今日もご飯が美味しかった。
それだけで幸せ、幸せ。
でも、まだ何か食べたいな~…
「…希帆さん、またそれ食べるの?」
食器を下げてから、マカダミアンナッツチョコの箱を持ってリビングに戻ると、大輔くんに怪訝な顔をされてしまった。
「別腹だもん!大好物だし、いくら食べても飽きないし♡」
手早く包装を解いて1つを口に放り込むと、口一杯に甘い香りが広がる。
直ぐにそのまま噛み砕くのも好きだし、チョコレートだけ先に舐め溶かしてしまって、真ん中のナッツを最後に味わうのも好きだ。
お土産で貰ってから、1日1箱は消費している。
流石に食べ過ぎだと思ったから、今日は会社に持って行ったのだ。
無限に食べられる。
これで太るなら本望だ。後悔はしない。
…うそだ。ちょっとする。
……いや、かなりする。
「本当に好きだねぇ、チョコレート」
「チョコレートを嫌いな人は世の中に居ないよ」
「まぁ、美味しいけど…俺はそんなに食べれないなぁ」
ローテーブルに肘をつき、少し呆れ顔の大輔くんに「どうぞ」と箱を差し出すが、静かに首を振られてしまう。
まぁ、このところ毎日食べてるしね。
大輔くん、あんまり甘い物得意じゃないもんな。
「…沢山食べられないから、このチョコ食べたら、希帆さんのチョコが入らなくなっちゃうよ?俺」
その言葉に、パクパクと食べ進めていた手を止める。
「私のチョコ?」
口をモグモグと動かしながら、どこか諦めた顔をしている大輔くんに聞き返した。
「…………はぁ…。やっぱり、今日がバレンタインデーだって、気付いてないね」
「…おーー……。バレンタイン…」
自分に関係ないイベント過ぎて忘れてたーーー!!!
そう言えば、職場の女の子にチロルチョコ貰ったーーー!!!
全くノーマークだったぁぁぁ
何も用意してない…どないしよ……
ここ数年はもちろん、バレンタインの時期に彼氏や想い人が居なかった私にとって、毎年過ぎていくだけの日だ。
特に重要視したことがない。
「…大輔くん的にバレンタインって重要だった?」
「そりゃあさ、付き合って初めてのバレンタインだし…。ちょっとだけ期待はした」
「……ごめん。私、基本的にイベントごとって疎くて…」
崩していた足を正座に戻して、ごめんなさいポーズをする。
大輔くんは肘を付いたまま、その手とは逆の手で頭を撫でてくれた。
「お昼間に会社の男性たちと一緒に、持って行ったチョコを食べてる写真送ってくる時点で、気付いてないんだろうなって思ってた」
「ぬん…」
もしかしなくても、私、無神経?
とんでもなく申し訳なさが込み上げてきた…
えげつねぇ…
私って奴ぁ、えげつねぇよぅ…
「だからね」
申し訳なさで項垂れる私に、大輔くんが優しい声を出す。
「仕方がないから、自分で用意したよ♡」
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