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ハラハラ同居編
噴火直前
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結局、あのまま風邪で寝込んでしまって、エッチどころじゃなくなりまして…。また数日…。
下手に『次は私からエッチに誘う』と宣言してしまったから、彼も手出しは出来ないご様子。
これ、もしかして、また私からお誘いしないといけないパターン?
ずっと私のターンのまま?このままターンエンドじゃダメ?
だって、あの夜は何だか熱に浮かされて(実際熱があった訳で)
欲求不満と母性のマリアージュのお陰で、あんな大胆なことが出来た訳で…。
いざ正気に戻ってみると、改めて彼を襲うなんて出来る気がしないっ!
かと言って、お酒の力を借りるのも嫌だ…。
こんな状態で果たしてエッチは出来るのでしょうか…。
けれど、生理予定日は待ってくれない訳で…。
それに伴って欲求不満もギュンギュン上昇している訳で…。
むむむむ。明日は久々に土曜日休みだし、彼も学校お休みだし、今日こそは…!
「…今日って、帰りは何時くらいになる?」
お弁当箱を包んでいる彼の傍にツツツツ、と近寄って声を掛ける。
「ん?今日?今日は……あ、隣県で学会。もしかしたら泊まりになるかも」
なんなん?学会って、なんなん??
私の欲求不満を増幅する集まりなの、学会。
ふざけんな、学会。かかって来いよ、学会!
てゆーか、私の予定は全て把握する癖に、自分の予定は教えてくれないとか何なの?
もしかして浮気?浮気なの?
男ってやっぱりエッチ出来ないと浮気するの?
そもそも私たちは付き合ってないから浮気ではないけど、それって何なの?何て言えば良いの?
不純異性交遊?不純異性交遊なの?
私と彼の馴れ初めが不純異性交遊じゃないの?何なの?
ばーか、ばーか!!
「ぶっくくくく…希帆さん、思ってる事全部顔に出てる…」
私の頬に指を押し込んで、膨らみから空気を抜く彼は腹を抱えて笑っている。
ポーカーフェイスなにそれ美味しいの?で人生を生き抜いてきたものですから!
ババ抜きで一番最後まで残っちゃう人間ですから!!
性欲モンスターみたいになってるけど、なかなかに我慢の限界です。ぐすん。
「泊まり…」
「うん。学会後に会食があるから。新幹線の時間が微妙なんだよね…」
まさかの?学会後で?会食して?
ホステス呼んで?
ホテルでしっぽり?
「…だから、考えてる事顔に出てるって」
うりゃ、と頭を乱暴に撫でられる。
まるで脳内で繰り広げている私の妄想に「馬鹿馬鹿しい」とでも言いたげな素振りで、人差し指を私の額に当てた。
「希帆さんと生活時間ずらす為に、これまで断ってきた付き合いを受け入れたら、めっちゃ予定詰められちゃったの!本当の本当に学校関係の集まり。それだけ!」
ツンっ、と最後に軽く押されて、頭が後ろに振られる。
「もう今後は断るから、今日が最後!…ごめんね」
今度は両腕が伸びてきて、ふんわりと抱き締められる。
彼の香水の香りを嗅ぎながら、自分の面倒な悋気を呪った。
*************************
流石に今夜は彼特製の夕飯は食べられない。
今日もお仕事頑張ったし、ヘトヘトだから外食かコンビニ弁当で良いやって思ったけど、ここ最近の彼の甘やかしのお陰か、彼のお料理スキルのお陰か、たぶんその両方のせいで、どっちも食べたいと思わなかった。
…一番の理由は、彼と一緒にご飯を食べないと、何を食べても美味しいと思わないからだ。
それでもお腹は空く訳で、私だってお料理が出来ないことはない訳で。
「とは言え他人のキッチンは居心地悪いな…」
久しぶりにエプロンなんて着けて包丁握っております。現在の私。
「ブリ大根でも作ろっと。手間要らないし」
艶子ママのお酒のおつまみに作っていたから、私の得意料理なんです、ブリ大根。
大根切って、ブリと一緒にお鍋にぶっこんで、お醤油と砂糖とお酒をワサーっと入れたら完成する茶色いお料理さ!
むろん、料理酒なんてお高くとまったものは使いません。艶子ママが呑んでる日本酒を失敬するのが私流。
後はお味噌汁でも作って、適当に胃を満たしましょうかね。
ピコンッ
今日は一日中スマフォの通知が鳴り止まない。
LIMEはもちろん、彼がGPSで私の居場所を調べると、調べられた側の私にもお知らせが来るのだ。
彼に無断でインストールされたGPSアプリは、もちろん即刻削除したんだけれど、先日の『岩盤浴失踪未遂事件』をキッカケに、再びインストールされてしまった。
「何回調べるねん…」
今日一日の間、彼が私の現在地を調べた回数は、この通知で18回目だ。
ほぼ同時にLIMEもくる。
【今、何してるの?😀】
わ~…。
この世で男に貰って一番面倒くさいLIME来たぁ~
いや、これまでに彼からは何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も…×エタニティ
このLIMEは貰っているが、今日一日で、このセリフは7通目だ。
ちなみに会社を出てからだと5通目。
彼にとって挨拶みたいなものなんだろうな~、と思いつつ、ちゃんと答えないと、もっと面倒くさいことになりそうなので、毎回律義に返事をしている。
【夜ご飯作ってるよ。そっちは?】
『そっちは?』と尋ねつつ、彼が今何をしているか私は知っている。
彼から先ほど来たLIMEに『今から会食会場に向かうよ~☺』と書いてあったからだ。
ではなぜ『そっちは?』と書いたのか。
ここ数日で私は気付いたのである。
聞かれたことに答えるだけよりも、こちらも尋ね返した方が、彼の機嫌が良くなる、…と!
面倒くさいことこの上なし、だが
あれだけの完璧人間なので、何か一つ欠点がないと人生チート過ぎてつまらんよな。知らんけど。
調味料を目分量でドパドパ入れて、落し蓋をしてから火を弱火にしたところで着信が入る。
彼からだ。
うぇ…。ビデオ通話だ…。
あんまり好きじゃないのよね。(ニシンのパイは食べたことないよ!)
ピッ
『あ、希帆さーん!久しぶりだね♡』
「数時間ぶりね」
『会食会場に着いたよ~♡ほら、教授も一緒』
画面をぐる~んと一周させて、店内や教授らしき人物を映してくれる。
今朝、私に掛けられたつまらない嫌疑を晴らそうとしているのかもしれない。
「美味しいもの沢山食べるんだよ~」
『希帆さんが居ないと何食べても美味しくないよ~」
「…ばか」
『ハハハ。火傷に気を付けてね♡間違っても指を切ったりしない様に!』
「はいはい。ほら、教授をお待たせしないように行って行って」
『あ、カギ閉め忘れないようにね!それから…』
「はいはい、切るよ~」
鍋の様子が気になって、強引に電話を切った。
煮物の鍋の火を消して、お味噌汁の鍋にお味噌を溶く。
いざ出来上がると、生理前の暴食欲がムクムクと湧き出して、ご飯を大盛にしてしまった。
下手に『次は私からエッチに誘う』と宣言してしまったから、彼も手出しは出来ないご様子。
これ、もしかして、また私からお誘いしないといけないパターン?
ずっと私のターンのまま?このままターンエンドじゃダメ?
だって、あの夜は何だか熱に浮かされて(実際熱があった訳で)
欲求不満と母性のマリアージュのお陰で、あんな大胆なことが出来た訳で…。
いざ正気に戻ってみると、改めて彼を襲うなんて出来る気がしないっ!
かと言って、お酒の力を借りるのも嫌だ…。
こんな状態で果たしてエッチは出来るのでしょうか…。
けれど、生理予定日は待ってくれない訳で…。
それに伴って欲求不満もギュンギュン上昇している訳で…。
むむむむ。明日は久々に土曜日休みだし、彼も学校お休みだし、今日こそは…!
「…今日って、帰りは何時くらいになる?」
お弁当箱を包んでいる彼の傍にツツツツ、と近寄って声を掛ける。
「ん?今日?今日は……あ、隣県で学会。もしかしたら泊まりになるかも」
なんなん?学会って、なんなん??
私の欲求不満を増幅する集まりなの、学会。
ふざけんな、学会。かかって来いよ、学会!
てゆーか、私の予定は全て把握する癖に、自分の予定は教えてくれないとか何なの?
もしかして浮気?浮気なの?
男ってやっぱりエッチ出来ないと浮気するの?
そもそも私たちは付き合ってないから浮気ではないけど、それって何なの?何て言えば良いの?
不純異性交遊?不純異性交遊なの?
私と彼の馴れ初めが不純異性交遊じゃないの?何なの?
ばーか、ばーか!!
「ぶっくくくく…希帆さん、思ってる事全部顔に出てる…」
私の頬に指を押し込んで、膨らみから空気を抜く彼は腹を抱えて笑っている。
ポーカーフェイスなにそれ美味しいの?で人生を生き抜いてきたものですから!
ババ抜きで一番最後まで残っちゃう人間ですから!!
性欲モンスターみたいになってるけど、なかなかに我慢の限界です。ぐすん。
「泊まり…」
「うん。学会後に会食があるから。新幹線の時間が微妙なんだよね…」
まさかの?学会後で?会食して?
ホステス呼んで?
ホテルでしっぽり?
「…だから、考えてる事顔に出てるって」
うりゃ、と頭を乱暴に撫でられる。
まるで脳内で繰り広げている私の妄想に「馬鹿馬鹿しい」とでも言いたげな素振りで、人差し指を私の額に当てた。
「希帆さんと生活時間ずらす為に、これまで断ってきた付き合いを受け入れたら、めっちゃ予定詰められちゃったの!本当の本当に学校関係の集まり。それだけ!」
ツンっ、と最後に軽く押されて、頭が後ろに振られる。
「もう今後は断るから、今日が最後!…ごめんね」
今度は両腕が伸びてきて、ふんわりと抱き締められる。
彼の香水の香りを嗅ぎながら、自分の面倒な悋気を呪った。
*************************
流石に今夜は彼特製の夕飯は食べられない。
今日もお仕事頑張ったし、ヘトヘトだから外食かコンビニ弁当で良いやって思ったけど、ここ最近の彼の甘やかしのお陰か、彼のお料理スキルのお陰か、たぶんその両方のせいで、どっちも食べたいと思わなかった。
…一番の理由は、彼と一緒にご飯を食べないと、何を食べても美味しいと思わないからだ。
それでもお腹は空く訳で、私だってお料理が出来ないことはない訳で。
「とは言え他人のキッチンは居心地悪いな…」
久しぶりにエプロンなんて着けて包丁握っております。現在の私。
「ブリ大根でも作ろっと。手間要らないし」
艶子ママのお酒のおつまみに作っていたから、私の得意料理なんです、ブリ大根。
大根切って、ブリと一緒にお鍋にぶっこんで、お醤油と砂糖とお酒をワサーっと入れたら完成する茶色いお料理さ!
むろん、料理酒なんてお高くとまったものは使いません。艶子ママが呑んでる日本酒を失敬するのが私流。
後はお味噌汁でも作って、適当に胃を満たしましょうかね。
ピコンッ
今日は一日中スマフォの通知が鳴り止まない。
LIMEはもちろん、彼がGPSで私の居場所を調べると、調べられた側の私にもお知らせが来るのだ。
彼に無断でインストールされたGPSアプリは、もちろん即刻削除したんだけれど、先日の『岩盤浴失踪未遂事件』をキッカケに、再びインストールされてしまった。
「何回調べるねん…」
今日一日の間、彼が私の現在地を調べた回数は、この通知で18回目だ。
ほぼ同時にLIMEもくる。
【今、何してるの?😀】
わ~…。
この世で男に貰って一番面倒くさいLIME来たぁ~
いや、これまでに彼からは何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も…×エタニティ
このLIMEは貰っているが、今日一日で、このセリフは7通目だ。
ちなみに会社を出てからだと5通目。
彼にとって挨拶みたいなものなんだろうな~、と思いつつ、ちゃんと答えないと、もっと面倒くさいことになりそうなので、毎回律義に返事をしている。
【夜ご飯作ってるよ。そっちは?】
『そっちは?』と尋ねつつ、彼が今何をしているか私は知っている。
彼から先ほど来たLIMEに『今から会食会場に向かうよ~☺』と書いてあったからだ。
ではなぜ『そっちは?』と書いたのか。
ここ数日で私は気付いたのである。
聞かれたことに答えるだけよりも、こちらも尋ね返した方が、彼の機嫌が良くなる、…と!
面倒くさいことこの上なし、だが
あれだけの完璧人間なので、何か一つ欠点がないと人生チート過ぎてつまらんよな。知らんけど。
調味料を目分量でドパドパ入れて、落し蓋をしてから火を弱火にしたところで着信が入る。
彼からだ。
うぇ…。ビデオ通話だ…。
あんまり好きじゃないのよね。(ニシンのパイは食べたことないよ!)
ピッ
『あ、希帆さーん!久しぶりだね♡』
「数時間ぶりね」
『会食会場に着いたよ~♡ほら、教授も一緒』
画面をぐる~んと一周させて、店内や教授らしき人物を映してくれる。
今朝、私に掛けられたつまらない嫌疑を晴らそうとしているのかもしれない。
「美味しいもの沢山食べるんだよ~」
『希帆さんが居ないと何食べても美味しくないよ~」
「…ばか」
『ハハハ。火傷に気を付けてね♡間違っても指を切ったりしない様に!』
「はいはい。ほら、教授をお待たせしないように行って行って」
『あ、カギ閉め忘れないようにね!それから…』
「はいはい、切るよ~」
鍋の様子が気になって、強引に電話を切った。
煮物の鍋の火を消して、お味噌汁の鍋にお味噌を溶く。
いざ出来上がると、生理前の暴食欲がムクムクと湧き出して、ご飯を大盛にしてしまった。
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